近代化改装されるロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦(フリゲート)マルシャル・シャーポシニコフと原子力水中巡洋艦イルクーツクは極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を使用できる
- カテゴリ:ロシアの造船業
『タス通信』より
2019年11月8日配信
【大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」と潜水艦「イルクーツク」はミサイル「ツィルコン」を使用できる】
ボリショイ・カーメニ/ウラジオストク、11月8日/タス通信
ロシア連邦太平洋艦隊の為に近代化されるプロジェクト1155大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」とプロジェクト949A(アンテイ)多目的原子力潜水艦「イルクーツク」は、最新の極超音速ミサイル「ツィルコン」を使用できる。
金曜日、極東造船クラスタ企業訪問の結果としてロシア国防次官アレクセイ・クリヴォルチコは報道陣へ伝えた。
「2020年に我々は近代化された軍艦マルシャル・シャーポシニコフを受領しなければなりません。
(ウラジオストク艦船修理センター『ダーリザヴォード』)指導部は、与えられた課題へ適切に対応し、艦の納入時期の遅延は無いであろう事を確信しております。
この艦が受け取る汎用発射装置は、将来的には、最新の極超音速ミサイル"ツィルコン"の使用が可能となります」
彼は話した。
次官は、現在、極東工場『ズヴェズダー』(ボリショイ・カーメニ、沿海地方)において949AMの水準までの近代化を行なっており、2022年に太平洋艦隊への引き渡しが計画されている原子力潜水艦「イルクーツク」も同様の能力を得ると付け加えた。
特別な特性を有する将来対艦ミサイルの作成については、今年2月にロシア大統領ウラジーミル・プーチンが連邦教書演説の際に発表した。
プロジェクト「ツィルコン」では、飛翔速度9000km/h及び射程距離1000km以上のミサイルの作成が提示される。
このミサイルを搭載するのは、複合体「カリブル」を装備する水上艦及び潜水艦となる。
専門家によると、このミサイルの迎撃は、既存の防護手段では不可能である。
太平洋艦隊に所属するプロジェクト1155大型対潜艦の8番艦「マルシャル・シャーポシニコフ」(1986年2月2日就役)は、2016年春からウラジオストクの艦船修理工場『ダーリザヴォード』で近代化改装工事が始まりました。
ガスタービンエンジンは『クロンシュタット海洋工場』へ送られ、修復されます。
[クロンシュタット海洋工場はロシア海軍の全ての艦艇用ガスタービンエンジンを修理する]
「マルシャル・シャーポシニコフ」は、近代化改装により対艦ミサイル「ウラン」を装備します。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフは近代化改装によりウラン対艦ミサイルを装備する]
「ウラン」4連装発射筒(3R-60U)は、「ラストルブ」対潜ミサイル4連装発射筒の在った場所に設置されるようです。
この他、有翼ミサイル「カリブル」用の垂直発射機3S-14も装備されます。

ブログ『BMPD』より
2017年8月19日配信
【大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」の近代化で2基の汎用垂直発射装置3S-14モジュールが設置される】
2基の3S-14モジュールとの事ですから、計16基の発射機が設置されるようです。
2018年2月16日、「マルシャル・シャーポシニコフ」で、溶接作業中に木製足場へ引火した事により火災が発生しました。
[ウラジオストクで近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフで火災が発生した]
その後、『ダーリザヴォード』の乾ドックへ入渠しました。
[近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフ近影(2018年7月11日)]
「マルシャル・シャーポシニコフ」の再就役は、2020年末頃になるようです。
近代化改装後の「マルシャル・シャーポシニコフ」は、大型対潜艦からフリゲートへ類別変更されます。
[近代化改装されるプロジェクト1155大型対潜艦はフリゲートへ艦種変更される]
プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII級)巡洋潜水艦K-132は、1985年5月8日にセヴェロドヴィンスクの北方機械製造事業(セヴマシュ)で起工され、1987年12月29日に進水、1988年12月30日にソ連海軍へ納入され、1989年1月4日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式に就役しました。
1989年10月31日に赤旗北方艦隊に編入され、同年11月16日にザーパドナヤ・リッツァ基地へ配備されました。
1990年8月30日から9月27日にザーパドナヤ・リッツァ基地からカムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地へ移動し、1990年10月29日付で赤旗太平洋艦隊へ転属しました。
1992年4月28日付で「原子力水中巡洋艦」へ分類変更され、1993年4月13日には「イルクーツク」と命名されました。
(合わせて同名の都市との後援協定を締結)
1997年11月には予備役に編入され、2001年11月には沿海地方のボリショイ・カーメニ市の艦船修理工場『ズヴェズダー』へ回航されました。
それから10年以上経った2013年、ミサイルを換装する大規模な近代化改装が行なわれる事になりました。
[オスカーII級原潜イルクーツクは高度な近代化を実施する]
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦イルクーツクは汎用ミサイル発射機を装備する]
「イルクーツク」は2022年に太平洋艦隊への復帰が予定されています。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦イルクーツクと原子力巡洋潜水艦マガダンの近代化改装が始まる]
これらの艦は、打撃有翼ミサイル「カリブル」と超音速対艦ミサイル「オーニクス」の他、将来的には、現在開発中の極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」も搭載できるようになります。
[極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」]
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