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ロシア海軍の為の新たな汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年にケルチ(ザリフ造船所)で起工され、2025年と2026年に就役する

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2019年12月3日3時14分配信
【情報筋はケルチでのロシア版「ミストラル」の起工時期について話した】
モスクワ、12月3日-ロシア通信社ノーボスチ

「ミストラル」型ヘリコプター母艦と同類の2隻の汎用ドック艦は、ケルチで2020年に起工される。
『ロシア通信社ノーボスチ』防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「決定が採択されたのは、未だ2隻の艦に限られておりますが、更なるシリーズが続く事も有り得るでしょう」
対談者は付け加えた。

海軍への引き渡しは、2025年と2026年に計画されている。

以前、情報筋は『ロシア通信社ノーボスチ』へ、新たな汎用ドック艦は12~16機のヘリコプターを搭載できると話した。
このヘリコプター母艦は、『統合造船業営団』総裁アレクセイ・ラフマノフが何度も作成計画を表明した遠征探検艦に非ず、他の独自プロジェクトである事を強調した。


12億ユーロの価格の2隻の「ミストラル」型ヘリコプター母艦の供給契約は、フランスDCNS/STX『ロソボロネクスポルト』の間で2011年に締結された。
「ウラジオストク」と命名された1番艦をフランスは2014年11月に引き渡さなければならなかったが、ウクライナの出来事に関連し、ロシアに対する制裁が導入されたが故に、フランス大統領フランソワ・オランドは契約履行の停止を決定した。



2011年6月にロシアフランスへ2隻の「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦(ヘリコプター空母)を発注し、「ウラジオストク」、「セヴァストーポリ」と命名された艦は2014年と2015年に引き渡される筈でしたが、フランスウクライナ情勢に関連して引き渡しを凍結しました。

2015年8月5日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンフランス大統領フランソワ・オランドは電話で会談し、「ミストラル」級ヘリコプター揚陸ドック艦の建造・供給契約の終了(破棄)を決定しました。
[ロシアとフランスはロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約を終了させた]

フランスロシアへ補償金として約9億5000万ユーロを支払い、2隻の「ミストラル」級に設置されたロシア製機器は全て取り外してロシアへ返却されました。
[ロシア海軍向けミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦の契約終了によりフランスはロシアへ9億4975万4849ユーロを支払う]
[ロシア海軍向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器は全てロシアへ到着した]
[ロシア向けだった2隻のミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦から取り外されたロシア製機器はロシア海軍へ引き渡される]

その後、2隻の「ミストラル」級エジプトへ売却されました。
(1番艦は「ガマール・アブドゥル=ナーセル」、2番艦は「アンワル・アッ=サーダート」と改名)

「ガマール・アブドゥル=ナーセル」(旧「ウラジオストク」):2016年6月2日にエジプト海軍へ引き渡し。
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「アンワル・アッ=サーダート」(旧「セヴァストーポリ」):2016年9月16日にエジプト海軍へ引き渡し。
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一方、ロシアは、以前からロシア版ミストラルとも言える大型の全通甲板ヘリコプター揚陸艦(汎用ヘリコプター揚陸艦)の設計を進めており、2015年6月には、汎用ヘリコプター揚陸艦の概念設計案「ラヴィーナ」の詳細が公表されました。
[ロシア海軍将来汎用揚陸ヘリコプター搭載艦プロジェクト「ラヴィーナ」]
[ロシア海軍の為の将来大型揚陸艦は複数のヴァージョンが設計されている]
[ロシア海軍の為の新たなヘリコプター揚陸艦の設計は進められている]

[汎用揚陸ヘリコプター母艦「ラヴィーナ」]
満載排水量:24000トン
全長:200メートル
幅:33メートル
吃水:5メートル
速力:22ノット
航続距離:5000海里
自立行動期間:60日
乗員:320名
積載能力:海軍歩兵隊員500名、各種戦闘車両50両
搭載機:ヘリコプター×16機(Ka-29、Ka-52K、Ka-27)
搭載艇:揚陸艇×6隻
兵装:AK-176MA 76mm単装砲×1基
高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」×2基
高射砲複合体「パラシ」×3基
AK-630M2「ドゥエト」30mm機関砲×2基


この概念設計案「ラヴィーナ」をベースにして、ロシア海軍向けとなる汎用ヘリコプター揚陸艦が設計され、実際に建造されることになります。
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の設計作業は進められている]

汎用ヘリコプター揚陸艦の為に新たな戦闘情報管理システムも開発されます。
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]


搭載機は、元々は「ミストラル」用に開発された艦上攻撃ヘリコプターKa-52K「カトラン」などになります。
[ロシア海軍の為の艦上攻撃ヘリコプターKa-52Kカトランは4機のプロトタイプが製造された]


この他、ソ連時代に生産された戦闘輸送ヘリコプターKa-29も搭載されるようです。
Ka-29は1990年代以降は予備役として保管されていましたが、2016年から修復が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦上輸送戦闘ヘリコプターKa-29は飛行訓練を行なった]

「ロシア版ミストラル」の建造は『2018-2027年の国家軍備プログラム』の枠組みで開始される予定です。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の汎用ヘリコプター揚陸艦の建造を開始する準備を整えている]

汎用ヘリコプター揚陸艦の機関は、ディーゼル/ガスタービン複合推進CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)になるようです。
これはディーゼルが巡航用、ガスタービンが増速用であり、ロシア海軍の新型艦では、プロジェクト22350フリゲートに採用されています。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]

ロシア国防省(ロシア海軍)は、クリミア半島セヴァストーポリ市の要望に応え、汎用ヘリコプター揚陸艦の1番艦に「セヴァストーポリ」の名前を付ける事を決定しています。
[ウラジオストクとセヴァストーポリの名はロシア海軍の将来ヘリコプター揚陸艦へ与えられる]
[ロシア海軍の為の将来汎用ヘリコプター母艦プリボイ級の1番艦はセヴァストーポリと命名される]


新世代汎用揚陸艦の建造場所としては、以前にはサンクトペテルブルク『北方造船所』などが有力視されていましたが、最近(2019年9月)になって、クリミア半島ケルチ市造船工場『ザリフ』で建造する案が浮上してきました。
[ロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島ケルチ市のザリフ造船所で起工される]
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ただ、ロシア統合造船業営団総裁アレクセイ・ラフマノフ氏は、この情報を即座に否定しました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2019年9月11日12時3分配信
【『統合造船業営団』はクリミアでのヘリコプター母艦建造計画の報道へ反論した】
この時、ラフマノフ氏は
「そのような話は未だ何も有りませんし、未だプロジェクトは有りません。
何処で建造するのかは、国が決める事です」

と言いました。

その後、再び2020年5月に造船工場『ザリフ』で2隻の汎用揚陸艦を起工するという話が出てきました。
[ロシア海軍の為の2万5千トン級汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻は2020年5月にクリミア半島で起工される?]

そして今回は、2隻の汎用揚陸艦が2020年にケルチ(つまり造船工場『ザリフ』)で起工され、2025年と2026年にロシア海軍へ引き渡されるという話が出てきました。


無論、これらは公式筋の情報では有りませんが、何度もケルチでの建造の話が出てくる事から、少なくとも「2020年中に造船工場『ザリフ』(ケルチ)で2隻の汎用揚陸艦を起工する」という事は確定しているようです。
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