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ロシア海軍の大洋研究調査船アドミラル・ウラジーミルスキーは南極調査航海へ出発した


『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2019年12月4日8時51分配信
【大洋調査船「アドミラル・ウラジーミルスキー」は南極へ進路を取った】

12月3日・火曜日、大洋研究調査船「アドミラル・ウラジーミルスキー」はクロンシュタットを去り、南極発見200周年及びイワン・クルゼンシュテールン提督生誕250周年記念日へ捧げられるロシア海軍の大規模な世界一周探検を開始した。
ロシア連邦国防省広報サービスが述べたように、2020年6月まで続く「アドミラル・ウラジーミルスキー」の探検中、そのルート上で様々な参加者~測量船「マルシャル・ゲロヴァーニ」と大洋研究調査船「ヤンターリ」が合流する。


海軍調査船は1万海里を航行する。
行程は、南極発見記念日の1月28日に「アドミラル・ウラジーミルスキー」「ヤンターリ」ロシア南極ステーション「ベリングスハウゼン」へ到着し、記念行事へ参加するように計画されている。
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探検指揮官であるロシア国防省航海・大洋調査管理副部長オレグ・オシポフ1等海佐は、探検参加者の訓練により、航海全期間に渡り、水路及び水文気象研究、航路の深度測定の総体の高度な専門レベルでの遂行が可能となった事を指摘した。

探検は、ロシア地理学協会との緊密な連携により実施される。

国際航海地図を現代の水準で作成し、保持するというロシア連邦の国際的義務に沿って、ベリングスハウゼン海での水路作業が計画されており、その資料により、1998年発行のロシア航海地図INT9172の改定が可能となる。
航路測定データは、全ての海と大洋の航海地図の情報を明確化する為に使用される。
デュルヴィル海で探検参加者は、南磁極の位置を明確にしなければならない。

ステーション「ベリングスハウゼン」への移動中、「アドミラル・ウラジーミルスキー」では、海軍軍事研修科学センターの14名の航海-水文学部の生徒は、水文学の専門分野で実習を行なう。

[Mil.Press Flot参照]
大洋研究調査船「アドミラル・ウラジーミルスキー」
は、2018年夏から『クロンシュタット海洋工場』で計画修理を行なった。
2019年8月、は係留試験を開始し、11月に「アドミラル・ウラジーミルスキー」は工場航行試験プログラムを完了した。

「アドミラル・ウラジーミルスキー」プロジェクト852大洋研究調査船であり、建造された6隻の船から成るシリーズの中で唯一現役に留まっている。
水流観測、化学水文学分野の研究、海洋生物学観測、海洋気象学、光量測定、波動観測、高層気象学観測の為に意図されている。



プロジェクト852大洋研究調査船の3番船「アドミラル・ウラジーミルスキー」は、ポーランドで1973年12月1日に起工され、1974年4月4日に進水、1975年5月31日に就役し、黒海艦隊へ編入されました。

1990年から1994年までポーランドでオーバーホールを行ない、その後、バルト艦隊へ転属し、クロンシュタットへ回航されました。

2014年8月18日には北極海遠征に出発し、北極海を横断して10月下旬にはウラジオストクへ入港しました。

その後、太平洋を横断してパナマ運河を通過し、カリブ海へ行き、大西洋を横断して2015年1月17日にクロンシュタットへ帰投しました。

2015年11月6日には南極遠征へ出発し、2016年4月に帰投しました。
この間、アルジェ(アルジェリア)、スエズ(エジプト)、ジッダ(サウジアラビア)、ヴィクトリア(セーシェル諸島)、マダガスカル、マプト(モザンビーク)、ケープタウン(南アフリカ)、マラボ(赤道ギニア)、ルアンダ(アンゴラ)、リスボン(ポルトガル)を訪問しました。

南極遠征


帰港



なお、この「アドミラル・ウラジーミルスキー」の南極遠征に関し、全く根も葉もないデマを流布している者達が居ます。

2016年3月21日
【古代プラズマ兵器「ガブリエルの箱舟」ついに発見される!? 現在プーチンが南極に輸送中!】

2016年3月24日
【ガブリエルの箱舟】

2017年3月20日
【ロシア海軍が南極に運んだ究極のプラズマ兵器「ガブリエルのアーク」】

無論言うまでもなく、これらのページに書いてある事は全てデタラメです。
少し・・・頭冷やそうか・・・

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2017年12月にはインド洋の調査航海へ出発しました。


なお、「アドミラル・ウラジーミルスキー」には、2018年3月の時点で17名の女性乗組員が居ました。
(同船は乗組員170名+研究要員80名)
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2019年3月8日3時1分配信
【(ロシア)海軍総司令官は国際女性デーに艦隊の女性(将兵)への祝辞を述べた】

2018年5月末にはシチリア島へ到着しました。


2018年6月8日に帰投しました。


2018年7月初頭からクロンシュタットでオーバーホール及び近代化改装が始まりました。
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オーバーホール完了後、2019年11月に洋上試験を行ない、バルト艦隊へ復帰しました。
[ロシア海軍の大洋研究調査船アドミラル・ウラジーミルスキーはオーバーホール後の航行試験を開始した]

そして12月3日、「アドミラル・ウラジーミルスキー」南極航海へ出発しました。
[ロシア海軍の大洋研究調査船アドミラル・ウラジーミルスキーは2020年に南極へ行く]

記事中にロシア海軍の探検家提督アーダム・ヨハン・フォン・クルーゼンシュテルン(イワン・フョードロヴィチ・クルゼンシュテールン)の名前が出てきますが、同氏は1770年11月19日生まれですから、生誕250周年は2020年11月19日になります。
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この航海は南極発見200周年を記念するものでもありますが、ロシアでは、海軍軍人ファビアン・ゴットリープ・フォン・べリングスハウゼン(ファッデイ・ファッデーイヴィチ・べリンスガウゼン)が1820年1月28日に南極大陸を最初に発見したとされています。
(この他にも2名の候補が居る)

今回の南極調査航海には、「アドミラル・ウラジーミルスキー」以外にも2隻の船が参加します。

太平洋艦隊測量船「マルシャル・ゲロヴァーニ」プロジェクト862の1隻であり、こちらもポーランドで建造された船です。
(1983年7月29日就役)
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北方艦隊プロジェクト22010海洋学調査船「ヤンターリ」は、カリーニングラード造船所『ヤンターリ』で建造され、2015年5月23日に就役した最新船です。
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[ロシア海軍の最新海洋調査船ヤンターリは地中海へ入った]
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