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ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海での試験を完了した

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2019年12月15日23時19分配信
【コルベット「グレミャーシチー」は白海での一連の試験を完了した】

プロジェクト20385コルベットのトップ「グレミャーシチー」は、白海での一連の試験を完了し、基地間移動を開始した。
一昼夜で艦は北方艦隊主要基地-セヴェロモルスクへ到着する。

試験の最終段階でコルベット乗組員は、北方艦隊航空隊との連携へ取り組んだ。
ヘリコプターKa-27乗員は、艦の電波工学システム及び複合体の上空飛行を行なった。

以前、白海ロシア最新コルベットは、水上目標への有翼ミサイル「カリブル」及び「オーニクス」の射撃、更に1度の地上目標への「カリブル」の射撃を実施した。

射撃は、北方艦隊航空・防空軍航空合同部隊と連携した白海海軍基地の艦船の乗組員により保障された。

コルベット「グレミャーシチー」の試験は、ちょうど1ヶ月続いた。
艦は11月13日にバルチースクから北方艦隊白海海軍基地へ到着した。

[参照]
プロジェクト20385コルベット
のトップ「グレミャーシチー」は、2012年2月1日に『北方造船所』で起工された。
艦の設計者は中央海洋設計局『アルマーズ』である。

艦は、敵の潜水艦及び水上艦の探知及び破壊、揚陸部隊の上陸支援、更には近海ゾーンにおける様々な課題の解決の為に意図されている。

コルベットを建造した造船工場『北方造船所』総取締役イーゴリ・ポノマリョフが指摘したように、「グレミャーシチー」は、前任者のプロジェクト20380と比べ、より威力の高い兵器を有している~それは、「ウラン」に代わり、ミサイル「カリブル」を装備し、高射ミサイル複合体は増加している。
これに加え、「グレミャーシチー」は、光学、電波位置測定、音響測定の視認性が著しく低下している。

「グレミャーシチー」の名は、海上での行動を成功裏に行ない、親衛称号を付けられ、その艦長アントン・グリン1等海佐(後に少将)はソヴィエト連邦英雄となった大祖国戦争時の北方艦隊の伝説の駆逐艦に敬意を表し、このコルベットに付けられた。



プロジェクト20385コルベットの1番艦「グレミャーシチー」は、2012年2月1日にサンクトペテルブルク市『北方造船所』(セーヴェルナヤ・ヴェルフィ)で起工されました。
[サンクトペテルブルクでフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」及びコルベット「グレミャーシチー」が起工された]

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プロジェクト20385プロジェクト20380の改良型であり、兵装が強化されています。
[プロジェクト20385「グレミャーシチー」型コルベット]

20380対艦ミサイル「ウラン」に代わり、20385は対地攻撃も可能な打撃巡航ミサイル「カリブル」を装備します。

当初、プロジェクト20385には、ドイツMTU社製のディーゼルエンジンが装備される予定でしたが、ヨーロッパ諸国対ロシア制裁により、その供給は途絶えました。
[ロシアは水上艦用のエンジン供給を拒否したドイツとウクライナの企業を訴える]

この為、設計を変更してロシア『コロムナ工場』ディーゼルエンジン「ディーゼルユニットDDA12000」~が搭載される事になりました。
これは以前のプロジェクト20380と同じエンジンです。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]

2016年4月末、『コロムナ工場』ディーゼルエンジンの設置作業が始まりました。
[ロシア海軍の為の新世代コルベット"グレミャーシチー"へのロシア製ディーゼルエンジンの取り付けが始まった]

2016年5月19日までにディーゼルエンジンの設置作業は完了しました。
[ロシア海軍の為の新世代コルベット"グレミャーシチー"へのロシア製ディーゼルエンジンの設置は完了した]

2017年6月30日、「グレミャーシチー」の進水式典が開催されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為のプロジェクト20385コルベット1番艦グレミャーシチーは進水した]

2018年1月から造船所の岸壁で係留試験が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"乗組員は艦内への居住を準備する]

「グレミャーシチー」の洋上試験(工場航行試験)開始は、当初の予定(2019年3月)より遅れ、2019年4月21日になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験を開始した]



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5月初頭に一旦クロンシュタットへ戻っていた「グレミャーシチー」は、5月6日に出航し、2回目の洋上試験をフィンランド湾で開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は2回目の洋上試験を開始した]

洋上試験中の5月8日、大祖国戦争(1941年6月22日のナチスドイツ軍によるソ連侵攻開始から1945年5月9日のベルリン占領までのソ連-ドイツ戦争ロシア側公式呼称)の勝利74周年の祝賀行事へ参加する為、一時クロンシュタットへ戻りました。

5月9日の戦勝記念日をクロンシュタット軍港で祝いました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験中に大祖国戦争勝利74周年を祝った]

祝賀行事を終えた後、「グレミャーシチー」は、フィンランド湾で洋上試験を続けました。
[ロシア海軍最新鋭のフリゲート"アドミラル・カサトノフ"とコルベット"グレミャーシチー"はバルト海で洋上試験を続ける]
[ロシア海軍の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はフィンランド湾で航行試験を続ける]

「グレミャーシチー」の洋上試験(工場航行試験)の第1段階は2019年6月下旬までに完了しました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験の第1段階を終えた]

「グレミャーシチー」は、7月28日の『ロシア海軍の日』サンクトペテルブルク(ネヴァ川)で行なわれた観艦式(主要海軍パレード)へ参加しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2019年7月28日14時37分配信
【ロシアは『海軍の日』を迎えた】


そして8月20日に洋上試験(工場航行試験)を再開しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験を再開した]

「グレミャーシチー」の洋上試験はバルト海で続けられ、10月4日にはヘリコプターの発着試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海でヘリコプターの発着試験を行なう]

その後、「グレミャーシチー」は工場航行試験を完了してカリーニングラード沿バルト造船工場『ヤンターリ』へ移動しました。

11月初頭にカリーニングラードを出航し、11月13日に白海海軍基地(セヴェロドヴィンスク)へ到着しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海海軍基地(セヴェロドヴィンスク)へ到着した]
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12月6日、「グレミャーシチー」は、最終洋上試験~国家試験を行なう為に白海へ出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海で試験を行なう]

12月9日、「グレミャーシチー」は、白海汎用垂直発射機3S-14から有翼ミサイル「カリブル」(対艦型)超音速対艦ミサイル「オーニクス」を発射しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海で対艦ミサイル"カリブル"と"オーニクス"を発射した]

12月11日、今度は白海からチジャ射爆場の地上目標へ有翼ミサイル「カリブル」(対地型)を発射しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海で地上目標へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]
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12月15日までに「グレミャーシチー」白海での試験を完了し、北方艦隊基地セヴェロモルスクへ向かいました。


「グレミャーシチー」ロシア海軍への引き渡しは、2019年12月末に予定されていましたが、2020年に延期されたようです。
[近代化されたフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"と新造コルベット"グレミャーシチー"及び"ロシア英雄アルダル・ツィジェンジャポフ"は2020年にロシア海軍太平洋艦隊へ引き渡される]


記事の末尾で触れられていますが、「グレミャーシチー」(轟く、鳴り響く)は、元々は第2次世界大戦時の北方艦隊駆逐艦(プロジェクト7、1939年8月28日就役、1958年除籍)であり、1943年3月1日に親衛称号を授与されています。
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その後、「グレミャーシチー」の名と親衛称号は北方艦隊駆逐艦3隻に受け継がれ、2010年代には新世代コルベットが栄光の「グレミャーシチー」を襲名する事になりました。
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