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ロシア海軍の新世代原子力空母の開発には未完成の重原子力空母ウリヤノフスクの設計図が参考にされる

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『タス通信』より
2020年1月13日配信
【情報筋:ロシア連邦の最初の航空母艦は、ソヴィエト時代の「ウリヤノフスク」の設計図を考慮に入れて建造される】
モスクワ、1月13日/タス通信

ソヴィエト社会主義共和国連邦が開発し、完成しなかった重原子力航空母艦「ウリヤノフスク」の技術文書は、ロシアの最初の航空母艦の作成に使用される。
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『タス通信』造船分野の情報提供者より伝えられた。

「前世紀の1980年代末から90年代初頭のニコラエフの『黒海造船工場』のウリヤノフスクの建造の為の技術設計、更に文書は、新たな航空母艦の作成に使用されます」
対談者の1人は話した。
彼は更に、航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の実地運用経験、特にシリアでの戦闘動作が考慮されると述べた。

同時に情報提供者は、海軍は未だ新たな航空母艦の戦術-技術的課題を示していない事を指摘した。
「海軍は戦術-技術的課題の作業を続けており、それは2020年に完了しなければならず、その後で『統合造船業営団』は設計の課題を受け取ります」
対談者は指摘した。

分野の他の情報提供者は確認した。
「新たな航空母艦の開発には、ウリヤノフスクの船体、更には、その総合艦載システムの作業設計文書が使用されるかもしれません」
対談者によると「未だ艦の科学研究作業は始まっていませんが、『ネヴァ川計画設計局』は、自身の主導で各作業を行なっております」

ロシア海軍は以前、2030年末に核動力装置を有する航空母艦の受領を計画していると表明した。
国防省は、次に、航空母艦建造の為の契約は2025年末に署名されるかもしれないと指摘した。
現在、ロシア海軍は、中型の通常動力航空母艦1隻~重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1985年にニコラエフで進水し、現在、近代化を伴う修理が行なわれている)を保有している。

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プロジェクト1143.7重原子力航空母艦「ウリヤノフスク」は、『ネヴァ川計画設計局』により開発され、ニコラエフ『黒海造船工場』で1988年11月に起工された。
艦は、1992~1993年の進水と1995年の海軍への引き渡しが計画されていた。
「ウリヤノフスク」は324メートルの長さを有し、最大排水量は約8万トンになる筈であった。
それは艦上に70機の航空機ヘリコプターを搭載する筈であった。
航空母艦の建造は、1991年のソヴィエト社会主義共和国連邦の崩壊により中止され、形成されていた艦の船体の一部は解体された。
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ロシア海軍の為の将来航空母艦Перспективный Авианосецの設計開発作業は2007年に始まりました。

将来航空母艦の設計を担当するのは『ネヴァ川計画設計局』になりますが、その叩き台となる概念設計案は、ロシア海軍向けなどの艦船の形状を研究する『クルイロフ国立科学センター』により作成されます。

『クルイロフ国立科学センター』は、2015年に多目的重航空母艦プロジェクト23000E「シトルム」を作成しました。
これは満載排水量9万~10万トンの通常動力の大型空母です。
[ロシア海軍将来空母概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」]

『クルイロフ』は、2018年8月下旬に軽航空母艦「シトルム-KM」の概念設計案を公表しました。
これは満載排水量44000トンの比較的小型の空母です。
[クルイロフ国立科学センターの半双胴(カタマラン)形式軽多目的空母は水中抵抗が大幅に低減する]

2019年6月末には76000トンの中型原子力空母の概念設計案の存在を公表しました。
[クルイロフ国立科学センターは半双胴形式の中型原子力空母の概念設計案を提示した]

一方、実際にロシア海軍向けとして建造される空母を設計する『ネヴァ川計画設計局』は、2019年7月上旬に将来空母設計案プロジェクト11430E「ラマンチーン」を公表しました。
これは満載排水量8万~9万トンの原子力空母です。
[原子力空母プロジェクト11430Eラマンチーンはサンクトペテルブルク国際海軍サロン(IMDS-2019)で公開された]


将来航空母艦の具体的な内容は未だ定まっていませんが、排水量は65000トン~70000トン程度になるようです。
[ロシア海軍の将来航空母艦は7万トン級になる]
[ロシア海軍の将来航空母艦は65000-70000トンになる]
つまり、上記の「シトルム」「ラマンチーン」よりは小さな艦になります。
(「シトルム-KM」よりは大きいですが)

現用の航空母艦で最も近いサイズの艦は、グレートブリテン海軍新鋭空母「クイーン・エリザベス」級になります。
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ロシア造船業界も、以前から重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(約6万トン)よりも大きな航空母艦を建造できると表明しています。
[ロシア造船業界はアドミラル・クズネツォフよりも大型の新世代航空母艦を建造できる]

将来航空母艦の建造は、早くても2020年代後半になるようです。
[ロシア海軍の為の新世代空母の建造は『2018-2027年の国家軍備プログラム』において開始される]

既に将来航空母艦の為の搭載機として、新たなVSTOL艦上戦闘機の開発が始まっています。
[ヤコブレフ新世代VSTOL艦上戦闘機]

この他、将来航空母艦の搭載機として、艦上早期警戒機艦上無人機も新たに開発されます。
[ロシア海軍航空隊司令官は語る]

将来原子力航空母艦の本格的な開発作業は2023年から始まります。
[ロシア海軍の為の7万トン級原子力空母の開発作業は2023年に始まる]

将来原子力航空母艦の設計には、ソ連時代に起工されたものの未完成に終わったプロジェクト11437重原子力航空巡洋艦「ウリヤノフスク」の設計が参考にされるとの事です。
ただしこれは、「ウリヤノフスク」のような艦を再び造るという事では無く、原子力機関の構造などを参考にするという事でしょう。
(将来航空母艦「ウリヤノフスク」原子力機関)


将来航空母艦を建造する造船所については、最近では、サンクトペテルブルク市『バルト工場』『北方造船所』、或いはセヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』の協同建造が有力視されています。
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の開発と建造には15年掛かる]

『バルト工場』
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『北方造船所』
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『セヴマシュ』
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