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ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはセヴァストーポリで記念艦として保管される

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『タス通信』より
2020年2月14日配信
【50年以上黒海艦隊で勤務している艦はセヴァストーポリの博物館への転換が計画されている】
セヴァストーポリ、2月14日/タス通信

50年以上に渡り黒海艦隊の一員だった警備艦「スメトリーヴイ」は、セヴァストーポリで博物館となる事が計画されている。
『タス通信』は、連邦院(上院)メンバーの元黒海艦隊副司令官ワレーリー・クリコフ中将より伝えられた。
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「警備艦スメトリーヴイは、50年以上に渡り海軍の一員として勤務しました。
最近まで同艦は黒海艦隊の一員として任務を遂行しておりましたが、現時点では、既に編制から除かれております。
このシリーズの艦は、艦の構造が世界で最も美しいものの1つと見られております。
加えて、これらは『歌うフリゲート』と呼ばれておりました。
最初のガスタービン装置が設置され、しかもそれは航空機であり、艦が動く時に異様な音を出しました」

上院議員は話した。

彼は、この艦が海軍の日(7月の最終日曜日に迎える)に博物館となる事が計画されており、黒海艦隊の主要基地セヴァストーポリの為の浮かぶ記念日となると説明した。

黒海艦隊副司令官(軍事及び政治活動担当)イーゴリ・クロチュキン少将は、市の中心部のアルトブーフタへ艦博物館を設置する選択肢が検討されていると報道陣へ話した。
「各々の海洋都市、特に艦隊の『首都』は、このような博物館~艦博物館を有しております。例えばクロンシュタットとか。
ですが、企画は単純では無く、それは深い検討が必要です。
艦が設置された場合、それは、この場所の飾りとなるのみならず、市の財産として市民やゲストを呼び込むものとなるでしょう」

彼は付け加えた。

セヴァストーポリの記念と栄光の年の地域管理局を率いる知事代行ミハイル・ラズヴォザエフは、前日の管理局会議で、「スメトリーヴイ」は5月9日の戦勝記念日までに艦博物館として開設するという希望を表明した。

「スメトリーヴイ」は1967年に進水し、1968年に黒海艦隊の艦のリストへ含まれた。
艦は4460トンの排水量と144メートルの全長を有する。
兵装:対艦ミサイルKh-35「ウラン」、砲装置AK-726、高射ミサイル複合体「ヴォルナ」(ミサイル16基)、5連装533mm魚雷発射管、2基の反応爆雷RBU-1000
艦の乗組員には、22名の士官と244名の水兵が含まれる。
その年齢にも関わらず、「スメトリーヴイ」は、昨年には、黒海へ入ったNATOの艦と、同盟の演習を監視する為に派遣された。
2019年10月、警備艦は艦隊の常時即応部隊から除外された。
黒海艦隊サイトが伝えるように、「スメトリーヴイ」の博物館への改造計画に海軍総司令部は3000万ルーブルを割り当てた。



プロジェクト61警備艦「スメトリーヴイ」は、1966年7月15日にニコラエフ61コムーナ記念造船工場で起工され、1967年8月26日に進水し、1969年9月25日に海軍へ引き渡され、同年10月21日に黒海艦隊へ編入されました。
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1987年から1995年まで「プロジェクト01090」近代化改装が行なわれ、「ウラン」対艦ミサイルなどが設置されました。
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2013年1月以降は、度々地中海へ派遣されました。

2013年1月下旬に地中海東部および黒海で実施されたロシア海軍3艦隊(黒海艦隊、バルト艦隊、北方艦隊)合同演習へ参加しました。
[ロシア海軍3艦隊合同演習(2013年1月下旬)]

2013年9月12日から2014年2月8日まで地中海への航海を行ないました。
[黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは地中海からセヴァストーポリへ戻った]

この間、2013年10月にはギリシャを訪問しています。
[黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはギリシャを訪れた]

2014年5月から9月にも地中海への航海を行なっています。

帰港後はセヴァストーポリ浮きドックでオーバーホールが行なわれ、2015年8月下旬に復帰しました。
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2015年8月31日~9月1日に航行試験を行なった後、2015年9月14日にも検査航海の為に出航しました。
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2015年9月18日にセヴァストーポリを出航し、地中海ギリシャコルフ島(ケルキラ)へ向かいました。
[ロシア海軍最後のカシン級スメトリーヴイはギリシャへ行く]
[ロシア海軍最後のカシン級スメトリーヴイはセヴァストーポリを抜錨し、ギリシャへ向かった]

2015年9月22日、ギリシャパトラを訪問し、ロシア海軍旗である聖アンドレイ旗の由来となった聖人アンドレイ(アンドレイ・ペルヴォズヴァーンヌィイ)イエスの4番目の弟子(使徒)~の遺骸の一部が譲渡されました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはギリシャのパトラを訪問した]

2015年9月25日にはコルフ(ケルキラ)島を訪問しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはギリシャのケルキラ(コルフ島)を訪問した]

その後、シリア沖へ向かい、2015年10月初頭には他の黒海艦隊所属艦と共に演習を実施しました。
[ロシア海軍は地中海で演習を実施した]

2015年12月13日、エーゲ海で投錨停泊中にトルコ漁船が衝突しそうになった為、警告発砲しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはエーゲ海でトルコ漁船と衝突しそうになった]

その後もエーゲ海地中海東部に滞在していたようですが、2015年12月末に母港セヴァストーポリへ戻りました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは地中海を去った]

2016年1月、「スメトリーヴイ」の舷側番号は「870」に変更されました。
(以前は「810」だった)
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2016年3月6日にセヴァストーポリを出航して地中海へ向かい、6月10日に帰港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは地中海へ向かった]

2016年10月28日にセヴァストーポリを出航し、10月29日にボスポラス海峡を南下して地中海へ入りました。

2016年10月31日から11月1日までギリシャを訪問し、ロシア皇帝家出身のギリシャ王妃オルガ(オリガ)の生誕165周年記念行事へ参加しました。

オリガ・コンスタンチノヴナ・ロマノヴァ(1851年9月3日~1926年6月18日)は、ロシア皇帝アレクサンドル2世の弟コンスタンチン大公の娘であり、1867年にギリシャ国王ゲオルギオス1世と結婚してギリシャ王妃となりました。
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「スメトリーヴイ」ギリシャを去った後も地中海東部(シリア沖)に滞在し、ここで2017年の新年を迎えました。

2017年2月下旬には地中海東部に居るアメリカ海軍原子力空母「ジョージ・H・W・ブッシュ」を追尾しました。
ブログ『BMPD』より
【「スメトリーヴイ」は「ブッシュ」を追う】

「スメトリーヴイ」は2017年3月5日にボスポラス海峡を北上して黒海へ入り、3月6日にセヴァストーポリへ帰投しました。

[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは4ヶ月間の地中海航海を終えてセヴァストーポリへ帰投した]

2017年5月10日にセヴァストーポリを出航し、数日後に帰投しました。


それから10日後の2017年5月20日、セヴァストーポリから出航して対空戦闘訓練を行ない、高射ミサイル「ヴォルナ」AK-726 76mm連装砲を発射しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは黒海で対空戦闘訓練を行なった]

「スメトリーヴイ」は、そのまま南方へ向かい、5月22日にボスポラス海峡を通過して地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは地中海へ入った]

「スメトリーヴイ」は、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」、「アドミラル・エッセン」及び大型揚陸艦3隻と共に、2017年5月23日から27日までリビア東部沖で演習を実施しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の地中海での演習は終わった]

その後も暫く地中海東部に留まっていました。
[地中海東部ではロシア海軍黒海艦隊の約15隻の艦船が行動している]

2017年6月2日にボスポラス海峡を北上して黒海へ入り、6月3日にセヴァストーポリへ帰港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは地中海からセヴァストーポリへ帰港した]


2018年4月20日、警備艦「プイトリーヴイ」「スメトリーヴイ」黒海で演習を行ない、沿岸、海上、空中目標への砲撃、泊地で襲撃を受けた際の対処、艦内のダメージコントロールの訓練を実施しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2018年4月20日16時38分配信
【黒海艦隊の警備艦「プイトリーヴイ」と「スメトリーヴイ」は海上で一連の戦闘訓練を実施した】

演習が終わった後も2隻はセヴァストーポリには戻らず、そのまま黒海を南下して2018年4月21日にボスポラス、ダーダネルス海峡を通過し、地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦プイトリーヴイとスメトリーヴイは地中海東部(シリア沖)へ行く]

2018年4月末には地中海東部で実施された演習へ参加しました。
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート2隻と警備艦2隻は地中海東部で演習を行なう]
[ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート2隻と警備艦2隻は地中海東部で演習を続けている]

その後も地中海東部に滞在し、2018年7月24日にはキプロスリマソール港への寄港を終えて出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはキプロス訪問を終えた]

2018年8月22日に地中海を去り、母港セヴァストーポリへ向かいました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは地中海を去った]
2018年8月25日にセヴァストーポリへ帰投しました。


2019年3月6日から数日間出航しました。


2019年4月16日にセヴァストーポリを出航し、4月19日に帰投しました。
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2019年5月21日にセヴァストーポリを出航し、フリゲート「アドミラル・エッセン」(2016年6月7日就役)、「アドミラル・マカロフ」(2017年12月27日就役)、警備艦「プイトリーヴイ」(1982年2月9日就役)と共に黒海で演習を実施しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2019年5月21日10時54分配信
【黒海艦隊のフリゲートは演習実施の為に出航した】

ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2019年5月23日10時46分配信
【黒海艦隊のフリゲートと警備艦は海上射爆場で戦闘演習を実施した】

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2019年5月30日にセヴァストーポリを出航し、NATOの合同演習を監視する為にブルガリア沖へ向かいました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイはブルガリア沖でNATOの演習を監視する]

2019年8月8日に黒海へ入ってきたアメリカ海軍ミサイル駆逐艦「ポーター」の監視任務に就きました。
[ロシア海軍黒海艦隊の警備艦スメトリーヴイは黒海へ入ったアメリカ海軍の駆逐艦ポーターを追跡している]
これが「スメトリーヴイ」の最後の洋上活動となり、2019年10月には即応部隊から外され、事実上退役しました。
(未だ完全に海軍から除籍されてはいないようですが)

今後、「スメトリーヴイ」は記念艦としてセヴァストーポリで展示される事になります。
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