ロシア海軍黒海艦隊の大型対潜艦ケルチは除籍された
- カテゴリ:ロシアの水上艦


『タス通信』より
2020年2月17日配信
【大型対潜艦「ケルチ」は黒海艦隊から除籍された】
タス通信、2月17日
近年は黒海艦隊の予備役となっていたプロジェクト1134B/BF(コード名「ベルクト-B」)大型対潜艦「ケルチ」は、海軍から除籍された。
『タス通信』は月曜日にクリミアの法執行機関の情報提供者より伝えられた。
「大型対潜艦の海軍旗降納式典は、この前の土曜日に行なわれました。
今、同艦は国防省の軍用資産のカテゴリーへ移され、廃棄を待っています」
彼は話した。
大型対潜艦「ケルチ」は、プロジェクト1134B/BFの最後の艦であった。
それは、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」の修理期間中に黒海艦隊の旗艦の役割を準備していたが、2014年11月4日の機関区画の火災で艦尾を損傷した事により運命は変わった。
2015年に国防省委員会は、「ケルチ」を艦隊の戦闘編制から除外し、予備役にする事を決定した。
これは、黒海艦隊に在籍する最後の大型対潜艦であった。
ソヴィエト社会主義共和国連邦及びロシア連邦の海軍において、大型対潜艦「ケルチ」は45年間勤務した。
プロジェクト1134B「ベルクト-B」大型対潜艦「ケルチ」は、1971年4月30日に黒海沿岸のニコラエフ市の61コムーナ記念造船工場で起工され、1972年7月21日に進水し、1974年12月25日に就役しました。
[カーラ級ミサイル巡洋艦「ケルチ」就役35周年]
就役後は、度々地中海へ進出しました。
1985年から1988年までセヴァストーポリで修理を行ない、この時に新開発の3次元レーダー「ポドべレゾヴィク」を試験的に装備しました。

ソ連邦解体直後の1992年2月4日から16日まで地中海へ進出しました。

1994年4月27日から1997年6月12日まで黒海艦隊旗艦を務めました。

2005年1月~9月にノヴォロシースクでオーバーホールを行ないました。
[ノヴォロシースクのカーラ型ミサイル巡洋艦「ケルチ」(2005年)]
2009年11月25日にセヴァストーポリを出航する「ケルチ」
2011年6月、黒海へ入ってきたアメリカ合衆国海軍のミサイル巡洋艦CG-61「モンテレー」を約2週間に渡り追跡・監視したのが「ケルチ」の最後の外洋での活動となりました。
(その後も、セヴァストーポリで毎年実施される黒海艦隊の観艦式には参加していましたが)
[最後のカーラ級ミサイル巡洋艦ケルチ近影(2012年6月)]
大型対潜艦「ケルチ」艦内(2011年7月)
しかし、ロシア黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」のオーバーホールに伴い、同艦の代わりの黒海艦隊旗艦として復帰する事になり、修理が開始されました。
[最後のカーラ級ミサイル巡洋艦ケルチは2015年からロシア黒海艦隊旗艦となる]
[ロシア黒海艦隊の大型対潜艦ケルチは2015年末までに修理を終える]
その修理作業の最中の2014年11月4日に火災が発生しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の大型対潜艦ケルチで火災が発生した]
この火災により、機関室付近が燃えてしまいました。

その後、修理を続けるのか、或いは修理を断念して除籍、解体するのかを決める為、浮きドックへ入渠して損傷個所の調査が行なわれました。

その結果、機関室付近の損傷が激しく(機関室周辺のケーブル線などは全焼)、修理するのは高く付く事になり、艦齢40年の「ケルチ」には、そこまでする価値は無いという結論に達し、一転して解体される事になりました。
[ロシア海軍黒海艦隊のカーラ級ミサイル巡洋艦ケルチは解体される]
2020年2月15日、ロシア海軍旗降納式典が開催され、正式に除籍されました。




今後、「ケルチ」は解体される事になります。
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