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ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は2020年1月に極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を行なった

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『タス通信』より
2020年2月27日10時23分配信
【情報筋:極超音速ミサイル「ツィルコン」は初めて艦でテストされた】
モスクワ、2月27日/タス通信

最新のロシア極超音速ミサイル「ツィルコン」は、初めて艦~プロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」でテストされ、1月に「ツィルコン」バレンツ海エリアから戦闘射爆場の地上目標へ発射された。
『タス通信』は、北西連邦管区の法執行機関の2名の情報提供者より伝えられた。

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「ツィルコンの国家試験プログラムに沿って、今年1月初頭にアドミラル・ゴルシコフは、バレンツ海エリアから北ウラルの戦闘射爆場の1つの地上目標に対し、このミサイルの発射試験を行ないました」
対談者の1人は話した。

他の情報提供者は、この情報を確認し、「ツィルコンの飛翔距離は500キロメートルを超えた」事を指摘した。

対談者は更に、2020年に海上搭載艦での「ツィルコン」の試験を続けると述べた。
「アドミラル・ゴルシコフでの発射試験プログラム完了後、このミサイルの発射は、原子力潜水艦により行なわれます」
情報提供者は話した。

科学生産合同『機械製造』は、『タス通信』へ、情報提供者より提示された情報へのコメントを拒否した。

昨年11月、北方艦隊広報サービスは、フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」が新たな種類の兵器の試験の準備の為、白海海軍基地(セヴェロドヴィンスク市)へ到着したと伝えた。

[ミサイル「ツィルコン」]
ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン
は、連邦教書演説において、ミサイル「ツィルコン」の作業はスケジュール通りに進んでいると述べた。
国家元首によると、ミサイルは、およそマッハ9の速度を発揮し、距離1000km以上の水上目標や地上目標を撃破できる。
この時プーチンは、ミサイル「ツィルコン」の使用は、有翼ミサイル「カリブル」の為に製造及び建造されたものを含め、一連の水上艦及び潜水艦へ提供されると説明した。

2019年11月、ロシア国防次官アレクセイ・クリヴォルチコは、近代化が行なわれているフリゲート「マルシャル・シャーポシニコフ」及びプロジェクト949A多目的原子力潜水艦「イルクーツク」への「ツィルコン」配置を計画していると述べた。
2019年12月、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、極超音速ミサイル「ツィルコン」は、ロシアの全ての新たなプロジェクト艦へ配置できると発言した。

プロジェクト22350フリゲートのトップ「アドミラル・ゴルシコフ」は4500トンの排水量を有し、全長は135メートルである。
艦の主要兵装は、有翼ミサイル「カリブル」である。



極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。
[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
[ロシア海軍は2019年に55基の超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領する]

科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。

「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。


「ツィルコン」に関しては、ミサイルの名前以外の確たる情報は出ていませんが、射程距離は400~500km程度、飛翔速度はマッハ6以上になるようです。

「ツィルコン」の発射試験は2015年秋頃から始まっています。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]

「ツィルコン」の試験は、アルハンゲリスク州ネノクサ村に在るロシア海軍ミサイル発射試験場で行なわれており、初期には失敗した事も有るようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]
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「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれていますが、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]

「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]

これまでに「ツィルコン」は、ネノクサ村ミサイル発射試験場から10回以上の発射試験が行なわれています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は10回以上の発射試験を行なった]

2019年2月20日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、教書演説において極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の開発は順調に進んでいると発言しています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の開発は滞りなく進んでいる]

これまでに地上からの発射試験のみが行なわれていた「ツィルコン」ですが、海上での発射試験は、北方艦隊プロジェクト22350フリゲートの1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)により行なわれる事になりました。
[ロシア海軍の新たな極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年末にフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"で洋上発射試験を行なう]

「アドミラル・ゴルシコフ」は2019年11月末に「ミサイル兵器」の試験の為、セヴェロドヴィンスクへ移動しました。

[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は新型ミサイルの試験を行なう為にセヴェロドヴィンスクへ到着した]

ただ、この時には発射試験は行わず、2019年12月末にセヴェロモルスクへ帰投しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は母港セヴェロモルスクへ帰投した]


そして2020年1月初頭、「アドミラル・ゴルシコフ」バレンツ海「ツィルコン」の発射試験を行ないました。
ミサイルは500キロメートル以上を飛翔し、北ウラルの地上目標へ命中しました。

潜水艦(水中)からの発射試験は、2020年に最新鋭の原子力水中巡洋艦K-561「カザン」(2020年就役予定)で行なわれる事になるようです。
[ロシア海軍の新たな極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2020年に原子力水中巡洋艦カザンで水中からの発射試験を行なう]

「ツィルコン」の海上での発射試験は2022年末までには完了し、2023年にはロシア海軍の軍備として採用されます。
[極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2023年にロシア海軍へ制式採用される]



「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」「オーニクス」と発射機を共有できる)

「ツィルコン」は、ロシア海軍の新世代艦であるプロジェクト22350フリゲート及びプロジェクト22350Mフリゲートプロジェクト885/885M「ヤーセン」原子力水中巡洋艦に装備されます。

この他、現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」にも装備されます。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2022年末に完了する]

同様に大規模な近代化改装が行なわれる4隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)は近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備する]

「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。

この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」/「ライカ」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー/ライカ」]

基本的には大型水上艦及び原子力潜水艦に搭載される「ツィルコン」ですが、より小型の艦へ搭載する為の小型ヴァージョンも開発されます。
[ロシア海軍の小型艦の為に極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"軽量化型が開発される]
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