ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦ノヴォチェルカッスクはボスポラス海峡を通過してシリアへ向かった
- カテゴリ:地中海情勢(2020年)

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2020年3月3日9時1分配信
【大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」は地中海へ進んでいった】
大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」はボスポラス海峡を通り過ぎて地中海へ出た。
『コメルサント』がトルコのスポッターのデータを引用して報じたように、大型揚陸艦は、ロシア海軍の物資-技術供給所が置かれているシリアのタルトゥース港へ向かっているものと予測される。
この前の金曜日・2月28日、シリアのイドリブ県における情勢の急激な変化を背景に、有翼ミサイル「カリブル」を装備するロシアの2隻のフリゲート~「アドミラル・マカロフ」及び「アドミラル・グリゴロヴィチ」、そして更には大型揚陸艦「オルスク」が黒海海峡を通過してシリアへ進んでいった事が想い起こされる。
トルコの観察者によると、「ノヴォチェルカッスク」は「重い貨物」を運んでいる。
大型揚陸艦の海峡通過時、トルコの沿岸警備艇が同行した。
ロシア連邦海軍の大型揚陸艦及び補助船、更にチャーター船は、非公式に「シリア・エクスプレス」と呼ばれているラタキアのロシア航空基地フマイミーン及びイスラム主義者との戦闘を行なっているシリア政府軍の為に弾薬を運ぶ作戦へ定期的に関わっている。
「ノヴォチェルカッスク」はプロジェクト775大型揚陸艦であり、1987年から就役している。
艦内には、増強された戦車中隊:12両の戦車或いは17両の歩兵戦闘車もしくは戦闘輸送車両、更には250名の揚陸隊員を載せる事が可能である。
自立航行期間は6ヶ月である。
兵装は、口径57mmの2連装砲AK-725が2基、一斉射撃反応火力システムA-215「グラード」の発射装置が2基、高射ミサイル複合体「ストレラ-3」発射装置4基と携帯式高射ミサイル複合体「イグラ」である。
ロシア海軍の大型揚陸艦は、2013年1月以降、黒海沿岸(ノヴォロシースク或いはセヴァストーポリ)からシリアのタルトゥースへ貨物や人員などを輸送する任務、いわゆる「シリア・エクスプレス」に従事しています。

当初は大型揚陸艦のみが「シリア・エクスプレス」へ参加していましたが、2015年夏以降は海軍がチャーター或いは購入した貨物船も参加するようになりました。
「シリア・エクスプレス」へ参加しているのは、主に黒海艦隊所属艦です。
黒海艦隊の大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」(1987年就役)は、2016年には3回(1月上旬、1月下旬、2月中旬)の「シリア・エクスプレス」へ従事しましたが、同年3月初頭に帰投して以来、長らくシリアへは派遣されていませんでした。
2016年から2017年までセヴァストーポリでオーバーホールを行なった後は黒海で行動しており、2020年1月にも黒海艦隊の演習へ参加しています。
2020年3月2日、「ノヴォチェルカッスク」は4年ぶりにボスポラス海峡を南下して地中海へ向かいました。
無論、行き先はシリアのタルトゥース港でしょう。
現在、地中海東部(シリア沖)には、少なくとも以下のロシア海軍の艦船が滞在しており、地中海作戦連合部隊(2013年6月1日創設)の指揮下で行動しています。
[黒海艦隊]
潜水艦「クラスノダール」:2019年3月中旬から地中海東部に滞在
潜水艦「ノヴォロシースク」:2019年12月初頭から地中海東部に滞在
フリゲート「アドミラル・エッセン」:2019年12月下旬から地中海東部に滞在
フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」:2020年2月末から地中海東部に滞在
フリゲート「アドミラル・マカロフ」:2020年2月末から地中海東部に滞在
哨戒艦「ドミトリー・ロガチョフ」:2020年1月末から地中海東部に滞在
対機雷防衛艦「イワン・アントノフ」:2020年1月中旬から地中海東部に滞在
大型揚陸艦「ノヴォチェルカッスク」:2020年3月初頭から地中海東部に滞在
大型揚陸艦「オルスク」:2020年2月末から地中海東部に滞在
軍用輸送船「ドヴィニツァ-50」:2020年2月下旬から地中海東部に滞在
対水中工作艇「キネリ」:2019年10月中旬から地中海東部に滞在
救助曳船「シャフテル」:2020年2月下旬から地中海東部に滞在
救助曳船「プロフェッソル・ニコライ・ムール」:2020年1月中旬から地中海東部に滞在
[バルト艦隊]
工作船PM-82:2019年11月上旬から地中海東部に滞在
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