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近代化改装されるロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は新たな100mm砲を得る

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『イズベスチヤ』より
2020年3月14日0時1分配信
【ステルス砲:フリゲート「マルシャル・シャーポシニコフ」は新たな砲を受け取る】

フリゲート「マルシャル・シャーポシニコフ」主砲を交換する。
艦は100mm砲A-190-01を受け取る。

新製品には「ステルス」技術が用いられている。
砲塔は、レーダースクリーンにとって、艦で最も目立つ箇所の1つである。
ステルス塔の登場は、フリゲートの視認性を著しく減らす。
この砲塔の角ばったフォルムは、敵の電波位置測定放射を上手く拡散させる。
専門家は、新たな兵器が有する他の特色は、艦の戦闘能力を著しく増大させる事を指摘した。

[ミサイルの補助]
近代化されるプロジェクト1155フリゲート「マルシャル・シャーポシニコフ」は、2基の艦首100mm砲AK-100に代わり、新たな砲装置を受け取ると国防省の情報提供者は『イズベスチヤ』へ話した。
近代化されたA-190-01装置は全ての試験を経て、8年前に軍備採用された。
海軍で最初にこれを受け取ったのは、小型ロケット艦「グラード・スヴャージスク」である。
その後、これは更に数隻の艦へ設置された。

AK-100は、ステルス技術が無かった1970年代に開発され、艦の拡散範囲非視認性は抑えられず、著しく大きかった。
これにより、同プロジェクト艦の艦首部分は大きくて重くなり、このような2基の大きな丸みのある塔が設置された事により、最新の電波位置測定ステーションからは大きく目立つ事になった。

新たなA-190-01は、古い装置に比べ、レーダースクリーンからの視認性はとても低いと軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは指摘した。

「現在、砲は、高い費用のミサイルでは損をする揚陸作戦の支援や、小型艦或いは船を撃破する為にはとても必要です」
専門家は『イズベスチヤ』へ話した。
「これらの課題を解決する為、フリゲートには1基の大口径兵器で充分です。
30年を経て、ようやく汎用性の要求を満たし、更には目標を正確に撃破する速射砲が現れ、これにより、シャーポシニコフの砲兵装が新たな、より効率的なものと交換される事が決定されたのです」


加えて、プロジェクト1155「ウダロイ」艦は、高度に専門化されている~これは敵潜水艦との戦闘の為に開発された。
その対艦兵装は、100mm砲のみであった。

現在の戦闘艦の主要打撃力は、ミサイルである。
近代化の為の全て作業を完了した後、フリゲートは、数倍に増大した火力を得る。

「その結果、艦隊には現代的な打撃艦が登場します」
ドミトリー・ボルテンコフ
は強調した。
フリゲートの兵装となる有翼ミサイル「カリブル」は、海上のみならず、地上の目標へ打撃を与える事が出来る。
このミサイルの海上ヴァージョンの射程距離は約1500キロメートルである。
兵器は、多くの補助特性を有する。

「シャーポシニコフ」へ設置された新たな汎用装置は、将来的には最新の極超音速ミサイル「ツィルコン」の使用も可能である。
それはマッハ8の速度を発揮し、距離500キロメートルの目標の撃破が可能である。
それは現世代の対艦ミサイルと比べ、航空母艦に至る目標の撃破の確率が増加している。

速度マッハ2.5は、現代的な対空及び対ミサイル防衛手段にとって限界であり、まさに、重量300~400kgの指向性弾頭を装備する「ツィルコン」に追いつく事など出来はしない。

[よく働く艦隊の戦闘「ワークホース」]
「マルシャル・シャーポシニコフ」
は1986年に海軍へ加入し、現在は艦船修理センター『ダーリザヴォード』に在り、その近代化を完了する。
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既に船底外部部品及び船体構造の修理、電気機器の据え付け、新たな兵装システムの為の基礎の仕上げが行なわれている。
近代化の枠組みで艦の上部構造物の20パーセント以上が取り外された事が知られている。
これらは再び製造され、これにより根本的に新たな兵器及び兵装システムの設置が可能になった。

「マルシャル・シャーポシニコフ」の更新には、もう1年は掛からない。
海軍において、同プロジェクト艦は、信頼できる「ワークホース」との評判を不動のものにしている。
30年間を経ても、彼らは遠距離航海へ向かい、この星の各地点でロシア旗のデモンストレーションを行なう余地がある。

このフリゲートは、ロシア領海外での人道的活動へ一度ならず参加している。
1990年、「マルシャル・シャーポシニコフ」は、内戦が起こったエチオピアからアブダビ及びアデンソヴィエト市民を避難させた。
そして今、艦は、2010年5月5日にソマリア海賊に乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」を解放した後で賞賛を受けている。
この時太平洋艦隊船員は、油槽船へ電光石火で突撃し、人質を解放して10名の海上テロリストを捕えた。
司令部は、船員の勇気と練度を高く評価した。
ウラジオストクへ戻った後、16名の作戦参加者は勲章と記念碑を受け取り、艦は「海賊の脅威」のニックネームを得た。

1980年から1981年に合計で13隻のプロジェクト1155艦が建造された。
これらは全てロシア及びソヴィエトの提督の名が付けられた。
現在、8隻の艦が現役に留まっており、4隻は太平洋艦隊、残りの4隻は北方艦隊に居る。

現在、ソヴィエト時代に建造された太平洋艦隊の艦は積極的に近代化されている。
特に、太平洋艦隊第114水域保護艦旅団に含まれる全てのプロジェクト1234「オヴォード」小型ロケット艦は更新される。
ミサイル兵装以外にも、これらは現代的な電波位置測定複合体、通信装置、より経済的かつ強力なディーゼルエンジンを受け取る。
「超オヴォード」の任務は、核兵器を有する水中ロケット巡洋艦の基地の保護と、敵の揚陸部隊からの沿岸の防衛、更には戦略潜水艦「ボレイ」が海へ出る際の防護となる。



プロジェクト1155大型対潜艦の8番艦「マルシャル・シャーポシニコフ」は、1983年5月25日にカリーニングラード沿バルト造船工場『ヤンターリ』で起工され、1984年12月27日に進水し、1985年12月30日にソ連海軍へ納入されました。
1986年2月2日に太平洋艦隊へ編入され、正式に就役しました。
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1987年10月1日から12月26日まで太平洋艦隊基地への移動航海を行ないました。
この間、モザンビーク、ルアンダ、セーシェル諸島、インド、ベトナムを訪問しました。

1988年7月14日から1989年2月13日までペルシャ湾で行動し、41隻の船を護送しました。
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1990年にはエチオピアからソ連民間人を避難させ、この間にアブダビアデンへ寄港しました。
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1990年8月14日から18日まで朝鮮共和国ウォンサン(元山)港を訪問しました。

1990年12月15日から1991年8月30日までペルシャ湾で行動し、この間にアブダビアデンへ寄港しました。
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1992年11月から1994年4月までウラジオストク艦船修理工場『ダーリザヴォード』でオーバーホールが行なわれました。

2003年4月16日にウラジオストクを出航し、5月にインド洋黒海艦隊の艦船と合同演習を行ない、その後、インドを訪問しました。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その1・太平洋艦隊のウダロイ級大型対潜艦]

2003年10月にはハワイ真珠湾を訪問しました。
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2004年8月30日から9月30日まで日本を訪問し、9月4日には日本海上自衛隊と捜索救助合同演習を行ないました。

2005年8月には中国青島港を訪問しました。

2006年3月にはグアム島を訪問しています。
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2008年9月15日から17日まで日本海で実弾射撃訓練を行ない、帰投した直後に火災事故が発生しました。
[大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフで火災発生 ]

2009年3月に修理を完了し、艦隊へ復帰しました。

「マルシャル・シャーポシニコフ」は、これまでに3度に渡りアデン湾海賊対処任務へ就いており、1度目は2010年2月24日に出港しています。
[大型対潜艦「シャーポシニコフ元帥」支隊はソマリアへ出発した]

アデン湾到着後の「マルシャル・シャーポシニコフ」艦内で打ち合わせを行なうロシア海軍海賊対処部隊幹部とアメリカ及びシンガポール海軍アデン湾派遣部隊指揮官
(2010年4月8日)
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2010年5月6日、ソマリア海賊に乗っ取られたロシアタンカー「モスクワ大学」を解放しました。
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【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】
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『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

この時のロシア海軍海賊対処部隊指揮官は、第44対潜艦旅団司令官イリダル・アフメロフ1等海佐でした。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
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しかし、拘束された10名も、ボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
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結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。
[アデン湾における大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフの活躍を描いた映画が撮影される]
「マルシャル・シャーポシニコフ」は2010年6月25日に帰投しました。

2012年4月下旬に黄海で実施されたロシア-中国海軍合同演習『海洋協同-2012』へ参加しました。
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2012」(2012年4月)]

2012年11月2日から2013年4月21日まで遠距離航海を行ない、2度目のアデン湾海賊対処任務に就きました。
[ロシア太平洋艦隊アデン湾派遣部隊はウラジオストクへ戻った]

2014年3月中旬から7月初頭までインド洋への遠距離航海を行ない、この間に3度目のアデン湾海賊対処任務を遂行しました。
[ロシア太平洋艦隊インド洋遠征(2014年3月-7月)]
2014年10月から12月までオーストラリア沖への遠距離航海を行ないました。
[オーストラリア沖へ行ったロシア海軍太平洋艦隊の軍艦はウラジオストクへ帰ってきた]

2015年3月下旬から4月上旬まで日本海で演習を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は日本海で演習を行なう]
[ロシア海軍太平洋艦隊は演習を実施した]

2015年6月下旬から7月初頭にオホーツク海で実施された演習へ参加しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はオホーツク海で対潜演習を実施した]
[ロシア海軍太平洋艦隊の『決闘』演習がオホーツク海で行なわれた]

2015年10月26日に宗谷海峡を東進し、11月16日に同海峡を西進したのを最後に、洋上での活動は見られなくなりました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2015年10月26日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について】

『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2015年11月16日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について】


2016年春からウラジオストク艦船修理工場『ダーリザヴォード』で近代化改装工事が始まりました。
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2基の「ラストルブ」対潜ミサイル4連装発射筒AK-100 100mm単装砲2番砲塔、ガスタービンエンジンなどが撤去されました。

ガスタービンエンジン『クロンシュタット海洋工場』へ送られ、修復されました。
[クロンシュタット海洋工場はロシア海軍の全ての艦艇用ガスタービンエンジンを修理する]

「マルシャル・シャーポシニコフ」は、近代化改装により対艦ミサイル「ウラン」を装備します。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフは近代化改装によりウラン対艦ミサイルを装備する]
「ウラン」4連装発射筒(3R-60U)は、「ラストルブ」対潜ミサイル4連装発射筒の在った場所に設置されるようです。
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この他、有翼ミサイル「カリブル」用の垂直発射機3S-14も装備されます。
ブログ『BMPD』より
2017年8月19日配信
【大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」の近代化で2基の汎用垂直発射装置3S-14モジュールが設置される】

3S-14発射機100mm単装砲2番砲塔の有った場所に設置されました。
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2018年2月16日、「マルシャル・シャーポシニコフ」で、溶接作業中に木製足場へ引火した事により火災が発生しました。

[ウラジオストクで近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフで火災が発生した]

その後、『ダーリザヴォード』の乾ドックへ入渠しました。
[近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフ近影(2018年7月11日)]

2019年11月13日までに乾ドックを出ました。
[近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート(大型対潜艦)マルシャル・シャーポシニコフはウラジオストクの乾ドックを出た]

その後、『ダーリザヴォード』の岸壁で艤装工事が進められています。

「マルシャル・シャーポシニコフ」AK-100 100mm砲の1番砲塔も撤去され、代わりにロシア海軍の新世代水上艦にも装備されているA-190-01「ウニヴェルサール」100mm単装砲が設置されるようです。


「マルシャル・シャーポシニコフ」の再就役は、2020年末頃になるようです。
[近代化改装されるロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦(フリゲート)マルシャル・シャーポシニコフと原子力水中巡洋艦イルクーツクは極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を使用できる]

近代化改装後の「マルシャル・シャーポシニコフ」は、大型対潜艦からフリゲートへ類別変更されます。
[近代化改装されるプロジェクト1155大型対潜艦はフリゲートへ艦種変更される]
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