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ロシア海軍のブヤン-M小型ロケット艦はスマート機雷を搭載する

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『イズベスチヤ』より
2020年3月16日15時56分配信
【賢い機雷:小型艦は知的な弾丸を得る】

小型ロケット艦「ブヤン-M」は、ユニークな能力を得る。
その兵装構成には、海洋機雷ロボットが加わる。
賢い弾丸は独力で「自分」「他者」を区別し、航行手段を識別する。
その後でのみ、同定された目標を撃破する。
今、「ブヤン」の主要打撃力は有翼ミサイル「カリブル」であるが、個々の海域へ機雷を配置する事により敵の船舶航行をブロックできるようになる。

「大型の為の小型」
プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦
は、機雷ロボットを使用する為に再装備すると国防省の情報提供者は『イズベスチヤ』へ話した。
艦は既に新たな弾丸で最初の演習を行なっている。

当初、この小型ロケット艦は、沿岸ゾーンの保護及び防護の為に開発された。
しかしカスピ海及び地中海エリアからシリアの目標へ「カリブル」を発射した事により、距離約1500キロメートルへ極めて正確にミサイル打撃を与える能力を示した。


機雷兵器は、敵にとってはより危険なものであると軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは考える。

「小型ロケット艦は、軍事活動舞台の枢要な地点の間の短い距離の内海で使う為には良いものです」
専門家は『イズベスチヤ』へ話した。
「まず初めに、黒海、バルト海、日本海について言えば、ブヤンはあまり目立たちませんが、同時に高い迅速さを持っております。
その軽快さは、島嶼、岩礁、湾の中へ紛れる事が出来ます。
必要なのは、必要な地点で迅速性を引き出し、敵の航行手段の航行或いは展開ルートへ(機雷を)運び、移動しながら敷設する事です。
他の重要な目標の中でも~戦略的な海峡に」


以前、小型ロケット艦は、艦上に機雷を持っていなかったが、国内軍事造船は、この種の兵器の使用の為の順応に絶えず努力していると情報提供者は指摘した。

今、「ブヤン-M」は、カスピ小艦隊、更にバルト艦隊黒海艦隊に加わっている。
更に数隻の小型ロケット艦が建造されている。

その主要兵装は有翼ミサイル「カリブル」と見られているが、今、海軍の為に極超音速ミサイル「ツィルコン」の小型ヴァージョンが開発されている。
これはマッハ5~10を発揮し、距離300~500キロメートルの目標を撃破できる。
その弾丸のスピードは、敵の対空防衛手段にとっては実質的に傷つけ難いものである。

これに加え、小型ロケット艦は、地上偵察-打撃及び偵察-火力回路に含まれる。
これは「ブヤン」を汎用打撃プラットフォームとし、地上部隊との綿密な連絡での行動が可能となる。

この場合、全ての必要な情報は、偵察・制御・通信複合体「射手」を通じて艦上へ転送される。
これは、最大限簡単に行動する:戦闘員は海岸の測量板で充分に目標指示が出来、砲あるいはミサイル打撃の砲火を呼び出す。

[パスポートによる識別]
新たな風貌の海洋機雷は、グループか、あるいは互いに離れて設置できる。
特殊アルゴリズムによりエレクトロニクスは、航行手段のタイプを特定し、「自分」「他者」を区別できる。
目標の同定の為のプログラムは、防衛側の艦の音響の特徴のインプットを保障する。

この特異な「パスポート」は、攻撃ゾーンに居る航行手段の確実な理解の高度な共有を助ける。
その結果、完全に安全に機雷源を移動し、敵は攻撃され、撃破される。

加えて海軍は今、機雷源使用の為の概念を開発している。
「賢い」弾丸の出現のお陰で、小型ロケット艦は知的な機雷源を設置する。
今、指定海域で対艦機雷「整列」自動モードでの戦闘手順が可能となる。
この為にそれは特殊センサーを装備し、その助力で指令制御ブロックは個々の目標へ接続できる。
このようなアプローチは、弾薬の間に目標を正しく配置し、一番価値のあるものを選択する事を可能にする。

この場合、各々の弾丸へ、明確な任務を与える事が出来る。
例えば、戦闘車両を移送する揚陸艦のみを、砂浜に穴を掘る事無く破壊する。
グループ攻撃において、それは、最初に行って機雷を探す小さな掃海艇を無視し、より大きな火力支援航行手段を爆破できる。
このような機雷の搭載は、更に、潜水艦、海上航空隊、戦術航空隊、戦略航空隊でも可能である。

新たな機雷の作成と、現代的な技術の導入により、敵の艦及び潜水艦に対処する艦隊の戦闘能力は著しく向上すると北方艦隊原子力潜水艦K-241の元艦長でロシア英雄フセヴォロド・フムイロフ少将は考える。

「機雷は、最も危険な種類の武器の1つです。
それは水上艦と水中艦を脅かします。
大祖国戦争中、ドイツ人は実際にクロンシュタットのバルト艦隊を封鎖し、その周辺海域を『つみれのスープ』に変えました」

彼は『イズベスチヤ』へ話した。
「そして、機雷から発せられる危険性は、増えるのみです。
新たな弾丸は、より現代的な弱体化システムを受け取り、磁気及び音響、更には他の物理的原理で作動する起爆装置を装備しています」


「敷設の限界範囲も変わりました。
特に、機雷は、飛行機の助力により設置できます。
ですが最も重要なのは、それは事実上魚雷へと変わり、自身で目標を見つける事です」

専門家は指摘した。

現在、機雷兵器は積極的に発展している。
アメリカ合衆国海軍は最近、Mk.65弾の近代化を行なった。
クイックストライク航空機雷ファミリーの改善作業が進められている。
それはGPS信号による進路修正誘導システムが設置され、高高度及び目標~数十キロメートル離れた場所から弾丸を投下できる。
アメリカ合衆国海軍の弾薬庫にある海洋機雷の正確な数は、公式には明らかにされていない。
しかしながら、様々な推測によれば、その数は10000個に達するかもしれない。



プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦は、これまでに12隻が起工され、この内の8隻がロシア海軍へ引き渡されています。
全てロシア内陸部ゼレノドリスク『A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク造船工場』で建造されています。
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建造番号631「グラード・スヴィヤージスク」Град Свияжск
2010年8月27日起工/2013年3月9日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備

建造番号632「ウグリーチ」Углич
2011年7月22日起工/2013年4月10日進水/2014年7月27日就役
カスピ小艦隊へ配備

建造番号633「ヴェリキー・ウスチュグ」Великий Устюг
2011年8月27日起工/2014年5月21日進水/2014年11月18日納入/2014年12月19日就役
カスピ小艦隊へ配備

建造番号634「ゼリョヌイ・ドル」Зелёный Дол
2012年8月29日起工/2015年4月2日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属

建造番号635「セルプホフ」Серпухов
2013年1月25日起工/2015年4月3日進水/2015年12月12日就役
黒海艦隊へ配備/2016年10月にバルト艦隊へ転属

建造番号636「ヴイシニー・ヴォロチョーク」Вышний Волочек
2013年8月29日起工/2016年8月22日進水/2018年5月25日納入/2018年6月1日就役
黒海艦隊へ配備

建造番号637「オレホヴォ・ズエヴォ」Орехово-Зуево
2014年5月29日起工/2018年7月18日進水/2018年12月10日就役
黒海艦隊へ配備

建造番号638「イングシェチア」Ингушетия
2014年8月29日起工/2019年6月11日進水/2019年12月28日就役
黒海艦隊へ配備

建造番号639「グライヴォロン」Грайворон
2015年4月10日起工/2020年就役予定
黒海艦隊へ配備予定

建造番号640「グラード」Град
2017年4月24日起工/2021年就役予定
黒海艦隊へ配備予定

建造番号641「ナロ・フォミンスク」Наро-Фоминск
2018年2月23日起工/2022年就役予定
黒海艦隊へ配備予定

建造番号642「スタヴロポリ」Ставрополь
2018年7月12日起工/2023年就役予定

黒海艦隊へ配備予定

プロジェクト21631は12番艦までの建造が計画されており、この内の10~12番艦の建造契約は2016年9月に締結されました。
[ロシア海軍の為のブヤン-M小型ロケット艦3隻(10-12番艦)の建造契約が締結された]


プロジェクト21631の主要兵装は、有翼ミサイル複合体「カリブル」です。
「カリブル」には、対艦攻撃型(最大射程375km)と対地攻撃型(最大射程2500km)が有ります。
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[打撃巡航ミサイル「カリブル」]

従来の小型ロケット艦は対艦攻撃のみに特化していましたが、「ブヤン-M」は対地攻撃用の有翼ミサイルを搭載する事により、地上への戦力投射にも使用できるようになりました。
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「ブヤン-M」の1~5番艦はドイツMTU社製ディーゼルエンジンを装備し、6番艦「ヴイシニー・ヴォロチョーク」以降は、ドイツ製ディーゼルをライセンス生産した中国製ディーゼルエンジンを装備していますが、これらの艦のエンジンも、将来的にはロシア国内で製造されるディーゼルエンジンに換装される事になるようです。
[ロシア海軍のブヤン-M小型ロケット艦はロシア製エンジンへ換装する]

「ブヤン-M」は、今後の電子機器や対空兵器の更新が計画されています。
[ロシア海軍のプロジェクト21631ブヤン-M小型ロケット艦は電子機器と対空兵器を更新する近代化が計画されている]

更に、新型のスマート機雷を搭載して機雷敷設任務にも使う事が考えられているようです。
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