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ロシア海軍北方艦隊の深海捜索救助装置(バチスカーフ)AS-36の近代化改装は2021年に完了する

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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア海軍情報供給グループ発表
2020年4月2日18時45分配信
【海軍は深海捜索救助装置「プリズ」及び「べステル」の近代化・修理プログラムを完了する】

ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将主催下の作業部会のビデオ会議が行なわれ、ロシア海軍捜索-事故救助作業艦隊の軍備として在る深海自律水中捜索救助装置「プリズ」型及び「べステル」型の修理及び近代化の進行状況が討議された。

特に、ニコライ・エフメノフ大将は、海軍の捜索救助保障コンセプトの第1段階実行の枠組みで、ロシア海軍捜索-事故救助作業艦隊の軍備として在る自律水中捜索救助装置「プリズ」及び「べステル」の修理・近代化プログラムは完了するとの報告を受けた。

4隻の水中装置「プリズ」は、『クラースノエ・ソルモヴォ』社及び『カノネルスキー工場』で中間修理及び近代化を実施した後、海軍へ復帰している。
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水中装置AS-28黒海艦隊へ、AS-26バルト艦隊へ、AS-30太平洋艦隊へ、AS-34北方艦隊へ復帰した。
2021年に『カノネルスキー工場』北方艦隊水中装置AS-36「べステル」の近代化と修理を完了しなければならない。

自律深海水中捜索救助装置は、高度な近代化と修理が行なわれた。
これは、新たな位置測定システム、水中音響捜索システム、テレビ監視システム、更には、捜索救助作業実施の効率を大幅に向上させる生命保障システムの更新についての話である。

ニコライ・エフメノフ大将は、海軍捜索救助作業サービス部長ダミール・シャイフトジノフ1等海佐へ、水中捜索救助装置の計画修理時期へ常に注意を払う課題を課した。
新たな短期修理スケジュールは、2019年12月に海軍総司令官により承認された。

更に、テレビ通信会議でニコライ・エフメノフ大将は、太平洋艦隊救助船「イーゴリ・べロウソフ」の標準捜索手段に含まれている最新の水中捜索救助装置AS-40「ベステル-1」は、技術的準備の必要な水準に維持されているとの報告を受けた。




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プロジェクト18270「べステル」深海救助装置AS-36は、1989年4月にニジニ・ノヴゴロド市クラースノエ・ソルモヴォ造船所で起工され、1991年春に進水しました。
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1994年8月25日には北方艦隊の基地へ到着し、同年9月20日から11月4日まで白海で工場航行試験と国家受領試験が実施されました。

1994年11月15日にロシア海軍へ納入され、1996年8月9日にセヴェロモスク基地へ到着し、プロジェクト05361救助船「ゲオルギー・チトフ」(1982年12月就役)へ搭載される事になりました。
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しかし、ソ連邦解体後の極度の財政難により満足に稼働できず、2000年8月の原潜「クルスク」爆沈事故の際に出動したものの、何の成果も得られませんでした。

その後も北方艦隊に在籍していました。

2014年6月初頭のAS-36


2017年3月20日にはバレンツ海での捜索救助演習へ参加しました。


2017年4月にも捜索救助演習へ参加しました。
この時には、プロジェクト05360救助船「ミハイル・ルドニツキー」(1978年12月就役)を母船としました。
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『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2017年4月9日13時58分配信
【救助水中装置AS-36はコラ湾で特殊任務へ取り組んだ】

近代化改装の話は2013年から出ていましたが、2017年12月からサンクトペテルブルク『カノネルスキー工場』で実行に移される事になりました。
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AS-36の近代化改装は2019年末に完了する予定でしたが、結局完了せず、2021年に延期される事になりました。
[ロシア海軍北方艦隊のバチスカーフAS-36の近代化改装は2019年に完了する]

今回、ロシア海軍総司令官エフメノフ提督が「水中捜索救助装置の計画修理時期へ常に注意を払う課題を課した」というのは、要するに、(AS-36の)修理完了時期がこれ以上遅れないように注意しろという事でしょう。

近代化改装されたAS-36は、太平洋艦隊へ配備されている改良型のプロジェクト18271「べステル-1」と同様の能力を有する事になります。
[ロシア海軍最新鋭バチスカーフAS-40は太平洋艦隊基地へ到着した]


現在、ロシア海軍には6隻の深海救助装置(バチスカーフ)が在籍しています。
ソ連海軍時代の1980年代後半に建造された4隻のプロジェクト1855「プリズ」は、2008年~2016年に近代化改装が行なわれ、プロジェクト18551にアップグレードされました。

[北方艦隊]
・AS-36(プロジェクト18270)
:1996年就役/2021年に近代化改装完了予定
母船:救助船「ミハイル・ルドニツキー」(プロジェクト05360、1978年12月就役)

・AS-34(プロジェクト18551):1989年11月30日就役/2016年4月に近代化改装完了
母船:救助船「ゲオルギー・チトフ」(プロジェクト05361、1982年12月就役)

[太平洋艦隊]
・AS-40(プロジェクト18271)
2016年2月1日就役
母船:救助船「イーゴリ・べロウソフ」(プロジェクト21300S、2015年12月就役)

・AS-30(プロジェクト18551):1988年11月12日就役/2013年8月に近代化改装完了
母船:救助船「アラゲズ」(プロジェクト537、1989年1月就役)

[黒海艦隊]
・AS-28(プロジェクト18551)
:1986年8月12日就役/2008年3月に近代化改装完了
母船:救助船「コムーナ」(1915年7月就役)

[バルト艦隊]
・AS-26(プロジェクト18551)
:1987年11月25日就役/2010年9月に近代化改装完了
母船:救助船SS-750(プロジェクト141S、1990年6月就役)
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