ロシア海軍の次世代水上戦闘艦・原子力駆逐艦リデルとプロジェクト22350Mフリゲートの設計作業は一時中断されている
- カテゴリ:ロシアの造船業

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2020年4月18日21時6分配信
【『北方計画設計局』は、ロシア連邦国防省の決定の不在が故に将来原子力駆逐艦の作業を一時停止させている】
モスクワ、4月18日、インタファクス
『北方計画設計局』(『統合造船業営団』へ加入)は、ロシア連邦国防省の決定の不在が故に、将来原子力駆逐艦プロジェクト23560「リデル」及び改善プロジェクト22350Mフリゲートの開発作業を一時停止させている。
同社の2019年の年次報告書には、このように記載されている。
2017年~2019年のプロジェクト「リデル」駆逐艦の計画作業は、2016年に概略設計が完了した後、ロシア連邦国防省により一時停止させられていると報告書では述べられた。
これに加え、軍当局は、2019年に概略設計が完了した後の改善プロジェクト22350Mフリゲート作成の為の更なる作業の開始を決定していない。
同社の報告によると、国家防衛発注下の作業が一時停止しているという事実は、『北方計画設計局』の「安定した財政及び経済姿勢を期待する事を可能にしない」
これと同時に、駆逐艦「リデル」及びプロジェクト22350Mフリゲートは、文書において、同社の最も有望な製品のリストに載せられている。
プロジェクト23560「リデル」駆逐艦は、ロシア連邦海軍の為の将来原子力水上ステルス艦プロジェクトである。
この艦は、14000トンの排水量を有し、大射程有翼ミサイル「カリブル」、最新の対空防衛システムと電波電子戦闘システムで武装するものと予想されている。
駆逐艦の概略設計の為の作業は2015年4月から2016年末まで続いた。
艦の起工は2022年以降に行なわれる事が予想されていた。
プロジェクト22350Mフリゲート~これは改善されたプロジェクト22350艦であり、排水量とミサイル「カリブル-NK」の搭載数が増加する。
現在、ロシア海軍の為の2タイプの大型水上戦闘艦が計画されています。
プロジェクト23560「リデル」原子力駆逐艦は、満載排水量約2万トンの巡洋艦クラスの大型水上戦闘艦です。
現在、艦の大まかな設計(概略設計)が完了しています。
[プロジェクト「リデル」原子力駆逐艦]
プロジェクト22350Mフリゲートは、プロジェクト22350フリゲート(「アドミラル・ゴルシコフ」型)の拡大発展型です。
こちらも、艦の大まかな設計(概略設計)が完了しています。
[プロジェクト22350Mフリゲート(超ゴルシコフ型)]
しかし、ロシア連邦国防省が、これ以上の作業の進行(本格的な細部の設計作業)に関する決定を下していない為、現在は双方とも作業が一時中断しています。
ロシア連邦国防省が「リデル」と22350Mに関する作業の進行を一時中断させているのは、おそらくは、以前には4隻で建造を打ち切る予定だったプロジェクト22350フリゲートが、少なくとも4隻の追加建造を決定した事に関係しているのでしょう。
(以前は22350の建造を4隻で打ち切って22350Mや「リデル」の建造へ移行する予定だった)
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲートの5番艦以降は24基の巡航ミサイル(対艦ミサイル)を搭載する]
更に、今年(2020年)には、2万5千トン級の汎用揚陸艦(ヘリコプター母艦)2隻の建造も始まります。
[新世代汎用揚陸艦セヴァストーポリ型]
建造費用で比較すると、「リデル」1隻と汎用揚陸艦2隻、22350フリゲート4隻が、大体同じ金額(1000億ルーブル)になります。
22350Mフリゲートの建造費に関する情報は有りませんが、おそらくは汎用揚陸艦と同じくらいでしょう。
22350フリゲートや汎用揚陸艦の数がある程度揃ってから、22350Mフリゲート、そして「リデル」の建造を開始するつもりなのでしょう。
決して原子力駆逐艦「リデル」とプロジェクト22350Mフリゲートの建造計画そのものが中止になったわけでは有りません。

- 関連記事
-
- ロシア海軍の新型艦は2020年7月16日に一斉起工される?
- サンクトペテルブルクのマラヒート設計局は通常動力潜水艦の為の閉サイクルガスタービン非大気依存発電装置の試験を続けている
- ロシア海軍の次世代水上戦闘艦・原子力駆逐艦リデルとプロジェクト22350Mフリゲートの設計作業は一時中断されている
- 2020年4月末にロシア海軍の為の新世代汎用揚陸艦2隻、アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート2隻、ヤーセン-M原子力水中巡洋艦2隻が起工される?
- ゼレノドリスク造船所はロシア海軍黒海艦隊の為に4隻の小型ロケット艦と4隻の哨戒艦を建造する
スポンサーサイト