ロシア海軍太平洋艦隊沿海地方多種戦力小艦隊の主力水上艦はウラジオストクへ帰投した
- カテゴリ:ロシア太平洋艦隊(2020年)




『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア沿海地域情報供給部(ウラジオストク市)発表
2020年5月5日1時30分配信
【太平洋艦隊沿海地方多種戦力小艦隊の艦は遠海ゾーンでの演習後にウラジオストクへ戻ってきた】
本日(5月5日)、遠海ゾーンでの一連の戦術演習へ参加した太平洋艦隊沿海地方多種戦力小艦隊の艦支隊がウラジオストクへ戻ってきた。
特に、祖国の基地へ艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、戦隊水雷艦「ブイストルイ」、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、「アドミラル・トリブツ」が到着した。
ウラジオストク泊地内で対潜艦の航空班は、演習期間に参加した艦の艦上ヘリコプターKa-27PLの地上飛行場へ移動する為の離艦を保障した。
1ヶ月の間、海上で艦は海上航空隊と合同で、支隊の対潜及び対空防衛の為の一連の演習を実施し、ミサイル及び砲射撃を行ない、砕氷船を伴ってラペルザ海峡海域の氷原を越えた。
2020年3月24日、ウラジオストクから太平洋艦隊旗艦「ワリャーグ」を筆頭に数隻の艦船が出航しました。
ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」

大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」

複合測量艦「マルシャル・クルイロフ」

病院船「イルティシュ」

この他にも10数隻の艦船が参加する日本海及びオホーツク海におけるロシア太平洋艦隊の戦術演習は、2020年3月25日に始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は日本海とオホーツク海で演習を行なう]
まず初めに、ウラジオストク南部のウリス湾に駐留する第11水域保護艦大隊所属の基地掃海艦BT-100、BT-114、BT-232がピョートル大帝湾で機雷源の掃海訓練を行ないました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア東方軍管区(太平洋艦隊)広報サービス発表
2020年3月25日4時38分配信
【太平洋艦隊の掃海艦は、演習中に艦隊の部隊展開ルート上の機雷源の突破へ取り組んだ】
翌3月26日、演習参加艦でヘリコプター搭載能力を有する艦~ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、「アドミラル・トリブツ」、複合測量艦「マルシャル・クルイロフ」~は、艦載ヘリコプターKa-27PL(対潜型)とKa-27PS(捜索救助型)(第7062航空基地所属、普段は沿海地方のニコラエフカ飛行場に駐留している)を受け入れ、発着艦訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦は日本海でヘリコプター発着訓練を行なった]
翌3月27日、第100揚陸艦旅団(フォキノ駐留)所属の大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスコイ」(1982年9月28日就役)は、ピョートル大帝湾で各種目標への砲撃訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型揚陸艦アドミラル・ネヴェリスコイは日本海で砲撃訓練を行なった]

演習部隊主力は3月26日に宗谷海峡へ入りました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2020年3月27日公表
【ロシア海軍艦艇の動向について】
スラバ級ミサイル巡洋艦:ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」(011)
ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦:駆逐艦「ブイストルイ」(715)
ウダロイI級駆逐艦2隻:大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」(564)、「アドミラル・パンテレーエフ」(548)
グリシャV級小型フリゲート2隻:小型対潜艦「メチェーリ」(323)、「ソヴィエツカヤ・ガヴァニ」(350)
タランタルIII級ミサイル護衛哨戒艇6隻:ロケット艇R-14(924)、R-24(946)、R-297(954)、R-20(921)、R-18(937)、R-19(978)
マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦:複合測量艦「マルシャル・クルイロフ」
アルタイ改級補給艦2隻:中型海洋給油船「イリム」、「イジョラ」
オホーツク級航洋曳船:海洋曳船「アレクサンドル・ピスクノフ」
アムール級工作艦:水上修理所PM-59
オビ級病院船:病院船「イルティシュ」
3月28日、ペトロパヴロフスク・カムチャツキー港に駐留する第114水域保護艦旅団麾下の第117水域防護艦大隊所属の小型対潜艦MPK-82(375)、MPK-107(332)、「ウスチ・イリムスク」(362)、「ホルムスク」(369)と、第66小型ロケット艦大隊所属の小型ロケット艦「イネイ」(418)、「モローズ」(409)、「ラズリーフ」(450)、「スメルチ」(423)も演習へ参加する為に出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊カムチャツカ方面部隊の小型対潜艦4隻と小型ロケット艦4隻は演習を開始した]
カムチャツカ方面部隊の出航に先立ち、第117水域防護艦大隊所属の海洋掃海艦MT-264、MT-265はペトロパヴロフスク・カムチャツキー港周辺で機雷源の掃海訓練を行ないました。
3月29日、大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」と「アドミラル・パンテレーエフ」は、カムチャツカに駐留する対潜哨戒機Il-38の協力の下に潜水艦の捜索と対空防衛の演習を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・トリブツとアドミラル・パンテレーエフは対潜・対空戦闘演習を行なった]
宗谷海峡の東方海域(オホーツク海西部)には未だ流氷が残っており、演習参加部隊は、太平洋艦隊の砕氷船「サドコ」と「イワン・スサーニン」、そして民間の『ロスモルポルト』社の砕氷船「カピタン・フレブニコフ」に先導されて流氷海域を通過しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の砕氷船は宗谷海峡の結氷海域を通過する艦船部隊を先導した]
3月31日、演習部隊に随伴する中型海洋給油船「イリム」(1972年11月17日就役)と「イジョラ」(1970年4月24日就役)は、4隻の小型ロケット艦(「イネイ」、「モローズ」、「ラズリーフ」、「スメルチ」)と駆逐艦「ブイストルイ」へ洋上補給を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の艦はオホーツク海で洋上補給を行なった]
4月2日以降、クリル諸島南部を含むオホーツク海南部で本格的な実弾射撃演習が始まりました。

[ロシア海軍太平洋艦隊は2020年4月2日~8日にオホーツク海南部(クリル諸島南部)で実弾射撃演習を行なう]
太平洋艦隊の海軍航空隊も演習へ参加しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の戦術演習へ20機以上の航空機とヘリコプターが参加する]
更に、ロシア航空宇宙軍遠距離航空隊の超音速爆撃機Tu-22M3(イルクーツク州のベラヤ飛行場に駐留する第6952親衛航空基地所属)もオホーツク海へ進出し、カムチャツカ半島のエリゾヴォ飛行場に駐留する太平洋艦隊の迎撃戦闘機MiG-31BMと共に演習へ参加しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の高空迎撃戦闘機MiG-31BMはオホーツク海上空で爆撃機Tu-22M3(バックファイア)を迎撃した]
[ロシア航空宇宙軍遠距離航空隊の超音速爆撃機Tu-22M3はオホーツク海のロシア海軍演習へ参加した]
カーメニ・ルチェイ飛行場に駐留する遠距離対潜哨戒機Tu-142M3もオホーツク海で対潜戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の遠距離対潜哨戒機Tu-142M3はオホーツク海の演習へ参加した]
4月6日、ペトロパヴロフスク・カムチャツキー港に駐留する第114水域保護艦旅団麾下の第117水域防護艦大隊所属の海洋掃海艦MT-264(738)とMT-265(718)は、アヴァチンスキー湾で砲撃訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊カムチャツカ方面部隊の海洋掃海艦は砲撃訓練を行なった]
そして演習の締め括りとして、太平洋艦隊旗艦のナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」と戦隊水雷艦「ブイストルイ」は、オホーツク海で130㎜連装砲AK-130による陸上砲撃訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊のナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグと戦隊水雷艦ブイストルイはオホーツク海南部で地上への艦砲射撃訓練を行なった]
砲撃訓練を行なった具体的な場所は明らかにされていませんが、「太平洋エリアの沿岸射爆場」との事ですから、おそらくはクリル諸島南部の何れかの島の太平洋側の海岸でしょう。

これで演習は完了し、ペトロパヴロフスク・カムチャツキー港に駐留する小型対潜艦MPK-82(375)、MPK-107(332)、「ウスチ・イリムスク」(362)、「ホルムスク」(369)と、と小型ロケット艦「イネイ」(418)、「モローズ」(409)、「ラズリーフ」(450)、「スメルチ」(423)は母港へ戻りました。
[ロシア海軍太平洋艦隊カムチャツカ方面部隊は演習を終えて基地へ戻る]
他の演習参加艦船(沿海地方から来た艦船)も、ペトロパヴロフスク・カムチャツキー港か原潜基地ヴィリュチンスクへ寄港したようです。

戦隊水雷艦「ブイストルイ」は、4月11日にカムチャツカ半島沖で130mm連装砲AK-130と30mm6連装機関砲AK-630による実弾射撃を単独で実施しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の戦隊水雷艦ブイストルイはカムチャツカ沖で砲撃訓練を行なった]
病院船「イルティシュ」は、津軽海峡を経由して4月13日にウラジオストクへ帰投しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の病院船イルティシュはウラジオストクへ帰投した]
4月16日、7隻の大型対潜艦及び小型対潜艦はカムチャツカ半島沖で対潜演習を行ないました。
この内、2隻が大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」と「アドミラル・トリブツ」であり、あとの5隻は小型対潜艦です。
現在、カムチャツカ方面には6隻の小型対潜艦~MPK-82(375)、MPK-107(332)、「ウスチ・イリムスク」(362)、「ホルムスク」(369)、「メチェーリ」(323)、「ソヴィエツカヤ・ガヴァニ」(350)が居ますので、この内の5隻が演習へ参加したようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦と小型対潜艦はカムチャツカ半島沖で対潜演習を行なった]
4月20日、第2親衛ロケット艇大隊(ウラジオストク南部ウリス湾に駐留)所属の6隻のロケット艇(R-14、R-24、R-297、R-20、R-18、R-19)はサハリン沖で対空防衛演習を行ないました。
対潜哨戒機Il-38Nが空中標的を投下しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア東方軍管区(太平洋艦隊)広報サービス発表
2020年4月20日6時5分配信
【太平洋艦隊の2個ロケット艇グループは空中目標への砲射撃を実施した】
4月24日、ロケット艇R-14、R-24、R-297、R-20、R-18、R-19と大型揚陸艦「オスリャービャ」は宗谷海峡を西進して日本海へ入りました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2020年4月27日公表
【ロシア海軍艦艇の動向について】
ロシア海軍当局からの発表は有りませんが、その後、母基地(ロケット艇はウラジオストク南部ウリス湾、大型揚陸艦はフォキノ)へ戻ったようです。
4月27日、ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、戦隊水雷艦「ブイストルイ」、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、「アドミラル・トリブツ」は、カムチャツカ半島沖で対空戦闘演習を行ない、3隻の小型対潜艦から発射されたミサイル標的「サマン」を、短距離対空ミサイルと30mmガトリング砲で撃墜しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の主力水上艦はカムチャツカ沖で対空戦闘演習を行なった]
4月30日、ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、戦隊水雷艦「ブイストルイ」、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、「アドミラル・トリブツ」は、「太平洋エリア」で沿岸への艦砲射撃訓練を行ないました。
場所は明らかにされていませんが、「太平洋エリア」と言っているので、おそらくは、以前と同様にクリル諸島南部の何れかの島の太平洋側の海岸でしょう。
[ロシア海軍太平洋艦隊の主力水上艦は艦砲射撃訓練を行なった]
そして5月5日、ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」、戦隊水雷艦「ブイストルイ」、大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」、「アドミラル・トリブツ」はウラジオストクへ帰投しました。
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