極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2021-2022年にロシア海軍へ制式採用される
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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2020年5月8日5時4分配信
【(ロシア)国防省は「ツィルコン」の軍備採用の時期について述べた】
モスクワ、5月8日-ロシア通信社ノーボスチ
極超音速有翼ミサイル「ツィルコン」を有する艦載複合体は、2021年-2022年の境目の軍備採用が計画されている。
ロシア連邦国防次官アレクセイ・クリヴォルチコは述べた。
「ツィルコン」の最初の試験はこの前の12月に始まり、プロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」艦上で実施された。
今年は、プロジェクト22350水上艦とプロジェクト885M多目的原子力潜水艦での試験が計画されている。
「複合体の軍備採用の時期は、おおむね2021~2022年になる見込みです」
クリヴォルチコは、近日中に発行される雑誌『国家防衛』5月号において話した。
極超音速ミサイル「ツィルコン」はマッハ9の速度(音速の9倍)と1000km以上の飛翔距離を有する。
将来的には、このミサイルがロシア海軍の水上艦と潜水艦の武装となる。
これに加え、ウラジーミル・プーチン大統領は、地上配置「ツィルコン」の開発に言及した。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2020年5月8日4時42分配信
【「ツィルコン」は今年(2020年)に初めて潜水艦でテストされる】
モスクワ、5月8日-ロシア通信社ノーボスチ
海上極超音速有翼ミサイル「ツィルコン」の試験は、今年(2020年)にはプロジェクト22350フリゲートとプロジェクト885M潜水艦で行なわれる。
ロシア連邦国防次官アレクセイ・クリヴォルチコは述べた。
「ツィルコン」の最初の試験はこの前の12月に始まり、プロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」艦上で実施された。
この方法で、今年には初めて潜水艦で試験が行なわれる。
「今年には、プロジェクト22350水上艦及びプロジェクト885M多目的原子力潜水艦での(ツィルコンの)試験が計画されております」
クリヴォルチコは、近日中に発行される雑誌『国家防衛』5月号において話した。
極超音速ミサイル「ツィルコン」はマッハ9の速度(音速の9倍)と1000km以上の飛翔距離を有する。
将来的には、このミサイルがロシア海軍の水上艦と潜水艦の武装となる。
これに加え、ウラジーミル・プーチン大統領は、地上配置「ツィルコン」の開発に言及した。
近代化プロジェクト885M「ヤーセン-M」潜水艦のトップ「カザン」の海軍への引き渡しは、9月に計画されている。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2020年5月8日5時32分配信
【国防省は、どの艦が「ツィルコン」で武装するのかについて述べた】
モスクワ、5月8日-ロシア通信社ノーボスチ
多目的原子力潜水艦、フリゲート、原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」は極超音速有翼ミサイル「ツィルコン」で武装する。
ロシア連邦国防次官アレクセイ・クリヴォルチコは述べた。
「ツィルコンは、プロジェクト885、885M、949AM原子力潜水艦、プロジェクト22350、23560水上艦、更には装備更新されるプロジェクト1144.2巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの武装の為に意図されております」
クリヴォルチコは、近日中に発行される雑誌『国家防衛』5月号において話した。
極超音速ミサイル「ツィルコン」はマッハ9の速度(音速の9倍)と1000km以上の飛翔距離を有する。
将来的には、このミサイルがロシア海軍の水上艦と潜水艦の武装となる。
これに加え、ウラジーミル・プーチン大統領は、地上配置「ツィルコン」の開発に言及した。
極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」や「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。
[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
[ロシア海軍は2019年に55基の超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領する]
科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。
「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。
「ツィルコン」に関しては、ミサイルの名前以外の確たる情報は出ていませんが、射程距離は400~500km程度、飛翔速度はマッハ6以上になるようです。
「ツィルコン」の発射試験は2015年秋頃から始まっています。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]
「ツィルコン」の試験は、アルハンゲリスク州のネノクサ村に在るロシア海軍のミサイル発射試験場で行なわれており、初期には失敗した事も有るようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]



「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれていますが、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]
「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]
これまでに「ツィルコン」は、ネノクサ村のミサイル発射試験場から10回以上の発射試験が行なわれています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は10回以上の発射試験を行なった]
2019年2月20日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、教書演説において極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の開発は順調に進んでいると発言しています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の開発は滞りなく進んでいる]
これまでに地上からの発射試験のみが行なわれていた「ツィルコン」ですが、海上での発射試験は、北方艦隊のプロジェクト22350フリゲートの1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)により行なわれる事になりました。
[ロシア海軍の新たな極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年末にフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"で洋上発射試験を行なう]
「アドミラル・ゴルシコフ」は2019年11月末に「ミサイル兵器」の試験の為、セヴェロドヴィンスクへ移動しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は新型ミサイルの試験を行なう為にセヴェロドヴィンスクへ到着した]
ただ、この時には発射試験は行わず、2019年12月末にセヴェロモルスクへ帰投しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は母港セヴェロモルスクへ帰投した]
2020年1月初頭、「アドミラル・ゴルシコフ」はバレンツ海で「ツィルコン」の発射試験を行ないました。
ミサイルは500キロメートル以上を飛翔し、北ウラルの地上目標へ命中しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は2020年1月に極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を行なった]
「アドミラル・ゴルシコフ」からの2回目の「ツィルコン」発射試験は、2020年春に実施されるようです。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は2020年春に2回目の極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を行なう]
2020年中に、更に数回(3、4回)の「ツィルコン」発射試験が「アドミラル・ゴルシコフ」により行なわれます。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は2020年に極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を数回行なう]
その後にプロジェクト885原子力水中巡洋艦の1番艦「セヴェロドヴィンスク」(2014年6月17日就役)からの「ツィルコン」発射試験が行なわれます。
[ロシア海軍北方艦隊の原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクは2020年に極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を行なう]
[ロシア海軍北方艦隊の原子力潜水艦は極超音速ミサイルの発射試験を行なう]
2020年と2021年に、「アドミラル・ゴルシコフ」からの「ツィルコン」発射試験は7-8回、「セヴェロドヴィンスク」からの発射試験が2-3回実施される予定です。
[2020-2021年にロシア海軍の最新鋭極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験が約10回実施される]
「ツィルコン」の海上での発射試験は2021年末までには完了し、2022年にはロシア海軍の軍備として採用されます。
[極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2022年にロシア海軍へ制式採用される]
これまでの「ツィルコン」に関する情報(つまり上記の情報)は、殆どが「匿名希望の情報提供者」からのものでした。

しかし今回、ロシア国防次官アレクセイ・ヴャチェスラフォヴィチ・クリヴォルチコ氏(1977年8月25日生まれ、現在42歳)は、2020年に水中からの「ツィルコン」発射試験を行なうのは、プロジェクト885M原子力水中巡洋艦になると述べました。
つまり、上記の「セヴェロドヴィンスク」(プロジェクト885原子力水中巡洋艦)では無く、今年中に就役予定のプロジェクト885Mの1番艦「カザン」で試験を行なうという事になります。
更にクリヴォルチコ氏は、水上艦からの「ツィルコン」発射試験に関しても、プロジェクト22350フリゲートで行なうとしか述べておらず、1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」に限定していません。
つまり、今年中に就役予定の22350の2番艦「アドミラル・カサトノフ」で試験が行なわれる可能性も否定しておりません。
「ツィルコン」の制式採用時期に関しても、「2021年~2022年」と述べており、これまでに報じられた時期よりも早くなる可能性を示唆しています。
「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」と対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」や「オーニクス」と発射機を共有できる)
「ツィルコン」は、ロシア海軍の新世代艦であるプロジェクト22350フリゲート及びプロジェクト22350Mフリゲート、プロジェクト885/885M「ヤーセン」原子力水中巡洋艦に装備されます。
この他、現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」にも装備されます。
[ロシア海軍の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装は2022年末に完了する]
同様に大規模な近代化改装が行なわれる4隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)は近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備する]
「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。
この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」/「ライカ」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー/ライカ」]
基本的には大型水上艦及び原子力潜水艦に搭載される「ツィルコン」ですが、より小型の艦へ搭載する為の小型ヴァージョンも開発されます。
[ロシア海軍の小型艦の為に極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"軽量化型が開発される]
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