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ロシア造船業界はロシア海軍の為の新世代原子力駆逐艦リデルの建造を準備している

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『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2020年6月29日12時46分配信
【『統合造船業営団』は原子力駆逐艦「リデル」の建造を準備する-総取締役】
モスクワ、6月29日、インタファクス

『統合造船業営団』原子力駆逐艦「リデル」の建造を準備しているが、ロシア連邦国防省からの発注は未だ無い。
『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは述べた。

「このような発注が有る場合、我々は必ず、これを建造し、何処に居るのかさえ知る事になるでしょう」
ラフマノフ
『インタファクス』のオンライン記者会見中に言った。

2019年12月、ラフマノフは、営団原子力駆逐艦「リデル」のシリーズ建造開始の準備を進めていると述べた。
「国防省からの通知を待っております。
とは言え私共は準備しております。
これは、次の遠海ゾーン艦の長いシリーズの始まりとなります」
『統合造船業営団』
のトップは話した。

2018年8月、情報筋は、ロシアは誘導ロケット兵器を装備する数隻の原子力駆逐艦「リデル」を建造できると『インタファクス』へ伝えた。
「おそらくは、これは1隻の艦では有りません。
このような遠海ゾーン艦を海軍は必要としております。
シリーズは4隻~6隻の艦になるでしょう。
多くは、トップ艦を作成する為のプロジェクトの実現に依存します」

彼は話した。

2018年夏、ロシア連邦海軍司令部は、最初の駆逐艦の起工が行なわれるのは、2022年よりも前にはならないと表明した。

駆逐艦は、大射程有翼ミサイル「カリブル」及び極超音速ミサイル「ツィルコン」(「ツィルコン」は試験を行なっている)、最新の対空防衛システム電波電子戦闘システムの装備が予想されている。

株式会社『北方計画設計局』(『統合造船業営団』へ加入)の年次報告書によると、駆逐艦「リデル」の概略設計は完了している。
文書では、概略設計の為の作業は2015年4月に始まり、2016年末には技術的準備状態のステップは100パーセントになった。

駆逐艦の排水量は14000トンと予想されている。
原子力推進装置のお陰により、これは無制限の航行距離を得る。
自立行動期間は90日。

伝えられているように、駆逐艦の主要打撃力は、各々に8基の有翼ミサイル「カリブル」「オーニクス」、将来的には「ツィルコン」を配置できる8組の汎用発射装置であり、合計で64基となる。
(現代のロシアフリゲートの第1と第2のタイプは16基のミサイルで武装する)

専門家の評価によると、「ステルス」技術により建造される「リデル」は、遠海ゾーンでの任務遂行の際の海軍の能力を大幅に強化する。

2月20日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、合計でロシア海軍は2027年までに遠海ゾーン作戦の為の21隻の艦を受け取ると述べた。



[ロシア将来駆逐艦プロジェクト「リデル」]
[ロシア海軍将来駆逐艦概念設計案・プロジェクト23560E「シクヴァル」]

ロシア海軍は、2000年代後半以降、新世代多用途駆逐艦(将来駆逐艦Перспективный Эсминец)の建造計画について何度も表明して来ました。
[ロシア海軍新世代原子力駆逐艦建造計画]
[ロシア海軍新世代駆逐艦の建造計画は現司令部に承認された]
[ロシアは「超駆逐艦」を建造する]

将来駆逐艦「リデル」は、原子力推進通常動力(ガスタービン)の2タイプの設計が進められていました。
[ロシア新世代駆逐艦は通常動力と核動力の2種類が設計される]

しかし現在では将来駆逐艦「リデル」の動力は原子力推進に決まっています。
[ロシア海軍将来駆逐艦リデル級は原子力推進となる]
[ロシア海軍の為の将来駆逐艦リデルは原子力推進となる]

「リデル」の排水量は、前のクラス(プロジェクト956駆逐艦、約8000トン)よりも遥かに大きくなり、その打撃力は巡洋艦に匹敵します。
[ロシア海軍将来駆逐艦リデルは巡洋艦に匹敵する攻撃力を有する]

「リデル」の上部構造物には複合材料の使用も検討されています。
[ロシア海軍将来駆逐艦リデル級の上部構造物は非金属複合材料で造られるかもしれない]

「リデル」の設計を担当する『北方計画設計局』は、実際にロシア海軍向けとして建造される艦の設計へ着手しています。
(これまでに公開されている模型は、「リデル」の概念設計案「シクヴァル」のものであり、このままの形で建造されるわけではない)
[ロシア海軍の為の将来原子力駆逐艦リデル級の設計が始まる]

「リデル」級駆逐艦ロシア連邦『2018-2027年の国家軍備プログラム』に含まれています。
[ロシア海軍の将来原子力駆逐艦リデルの建造計画は中止されていない]

「リデル」級駆逐艦の設計概略はロシア国防省に承認されています。
[ロシア海軍の将来原子力駆逐艦リデルの設計概略は承認された]
[ロシア海軍の将来駆逐艦リデルは原子力推進となる事がロシア国防省に承認された]

「リデル」級の艦名は、まだ正式には決まっていませんが、艦名候補として「オルロフ-チェスメンスキー」(1770年のチェスマ海戦トルコ艦隊に勝利したロシア海軍の貴族提督アレクセイ・オルロフ伯爵)が挙げられています。
『イズベスチヤ』より
2017年3月31日0時1分配信
【原子力の「リデル」は「オルロフ-チェスメンスキー」となる】
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「リデル」級駆逐艦の技術設計、つまり、実際に艦を建造する為の細部の設計は、2019~2020年に開始されます。
この作業の完了は2022年に予定されており、当然ながら、艦の建造開始は、それよりも後になります。
[ロシア海軍の新世代原子力駆逐艦リデルの設計は2022年に完了する]

「リデル」級駆逐艦の建造の為のインフラ整備も進められています。
[ロシア海軍の新世代原子力駆逐艦リデルの建造の為のインフラ整備は進められている]
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「リデル」級を建造する予定のサンクトペテルブルク『北方造船所』は、以前から設備の近代化を進めており、その一環として、2017年12月末に新たな船台を建造する契約へ署名しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2017年12月29日12時51分配信
【北方造船所は新たな船台を建設する契約を締結した】
新たな船台の完成後、『北方造船所』「リデル」級駆逐艦の建造が可能となります。

「リデル」級駆逐艦が何隻建造されるのかは未だ決まっていませんが、現在の所、4~6隻程度の建造が想定されているようです。
[ロシア海軍の新世代原子力駆逐艦リデルは4~6隻が建造される]

ただし、後述のように、かなり大型の艦となるので、『北方造船所』以外の造船所も建造へ参加する可能性も有るでしょう。
例えば、同じサンクトペテルブルク『バルト工場』とか。
[サンクトペテルブルクの『バルト工場』はロシア海軍の大型水上艦の建造へ参加する]

プロジェクト23560「リデル」原子力駆逐艦の全長は230メートル、(満載)排水量は2万トンとなり、2020年代に2隻の建造が始まります。
[ロシア海軍の為のプロジェクト23560リデル原子力駆逐艦2隻の建造は2020年代に始まる]

「リデル」概念設計案「シクヴァル」を設計した『クルイロフ国立科学センター』は、「リデル」へのセラミック装甲の採用を提案しています。
(実際に採用されるかどうかはさて置き)
[ロシア海軍の将来原子力駆逐艦リデルはセラミック装甲を採用するかもしれない]

しかし、2020年4月下旬の時点で、ロシア連邦国防省は、これ以上の「リデル」の作業の進行(本格的な細部の設計作業)に関する決定を下していない為、現在は設計作業が一時中断しています。
[ロシア海軍の次世代水上戦闘艦・原子力駆逐艦リデルとプロジェクト22350Mフリゲートの設計作業は一時中断されている]

これが西側では、「リデル」の建造計画は中止されたと誤解されていますが、今回の『統合造船業営団』総取締役アレクセイ・ラフマノフ氏の発言を見ても、中止されていません。
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