ロシア造船業界はロシア海軍の為の新たな航空母艦の建造を準備する
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2020年6月29日13時30分配信
【『統合造船業営団』はロシア連邦海軍の為の新たな航空母艦を建造する為に必要な技術的能力と経験を有している-総取締役】
モスクワ、6月29日、インタファクス
『統合造船業営団』は、ロシア連邦海軍の為の新たな航空母艦の建造へと歩みだす準備を整えており、(造船)分野の企業は、このようなプロジェクトを実現する為に必要な全てのリソースと経験を持っている。
『統合造船業営団』総取締役アレクセイ・ラフマノフは述べた。
「これは海軍にとっては明確な問題です。
重要なのは、どのように戦うのかを理解する事です。
祖国が命じれば、我々は航空母艦を建造します」
ラフマノフは、月曜日の『インタファクス』のオンライン記者会見中、ロシア連邦海軍の為の新たな航空母艦の建造開始が可能な時期についての質問に答え、こう話した。
彼によると、『統合造船業営団』は、最新の航空母艦建造の為の全ての技術的能力を有している。
「私共は理解しております。これが、どのような技術で可能なのかを。
私共は理解しております。それに基づいた基礎的な技術的解決策は、どのようなものであるべきかを。
クズネツォフを修理し、本質的には再建-『新造』となったインド海軍の為の航空母艦ヴィクラマーディティヤの経験は、このような経験を、少なくとも『セヴマシュ』と呼ばれる1つの企業が持っている事を示しました」
ラフマノフは指摘した。
現時点でロシア海軍はただ1隻の航空母艦~現在修理中の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を有している。
それは2022年に復帰しなければならない。
2017年11月、ロシア連邦国防次官(現在は副首相)ユーリー・ボリソフは発言した。
「航空巡洋艦について具体的に御話しいたしますと、それ(開発及び発注の予定)はプログラムの最後です。
私共は、現代的な航空母艦の開発と発注を計画しております」
2018年2月、ラフマノフは、『統合造船業営団』は新たな航空母艦プロジェクトの作業を主導していると『インタファクス』へ述べた。
『統合造船業営団』の最新の年次報告書では、ロシアは革新的な将来艦のコンセプトを開発しており、その中には新たな航空母艦のプロジェクトも含まれると指摘された。
「革新的な将来艦のコンセプト(概要)の開発:航空母艦、駆逐艦、フリゲート、非大気損発電装置付きの通常動力潜水艦、第5世代原子力潜水艦」
文書では、こう述べられている。
ロシア軍は、ロシア連邦海軍の為の新たな航空母艦の作成は、2018~2027年の国家軍備プログラムの第2プログラム時期(後半)に始まると表明した。
ロシア海軍の為の将来航空母艦Перспективный Авианосецの設計開発作業は2007年に始まりました。
将来航空母艦の設計を担当するのは『ネヴァ川計画設計局』になりますが、その叩き台となる概念設計案は、ロシア海軍向けなどの艦船の形状を研究する『クルイロフ国立科学センター』により作成されます。
『クルイロフ国立科学センター』は、2015年に多目的重航空母艦プロジェクト23000E「シトルム」を作成しました。
これは満載排水量9万~10万トンの通常動力の大型空母です。
[ロシア海軍将来空母概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」]
『クルイロフ』は、2018年8月下旬に軽航空母艦「シトルム-KM」の概念設計案を公表しました。
これは満載排水量44000トンの比較的小型の空母です。
[クルイロフ国立科学センターの半双胴(カタマラン)形式軽多目的空母は水中抵抗が大幅に低減する]
2019年6月末には76000トンの中型原子力空母の概念設計案の存在を公表しました。
[クルイロフ国立科学センターは半双胴形式の中型原子力空母の概念設計案を提示した]
一方、実際にロシア海軍向けとして建造される空母を設計する『ネヴァ川計画設計局』は、2019年7月上旬に将来空母設計案プロジェクト11430E「ラマンチーン」を公表しました。
これは満載排水量8万~9万トンの原子力空母です。
[原子力空母プロジェクト11430Eラマンチーンはサンクトペテルブルク国際海軍サロン(IMDS-2019)で公開された]
将来航空母艦の具体的な内容は未だ定まっていませんが、排水量は65000トン~70000トン程度になるようです。
[ロシア海軍の将来航空母艦は7万トン級になる]
[ロシア海軍の将来航空母艦は65000-70000トンになる]
つまり、上記の「シトルム」や「ラマンチーン」よりは小さな艦になります。
(「シトルム-KM」よりは大きいですが)
現用の航空母艦で最も近いサイズの艦は、グレートブリテン海軍の新鋭空母「クイーン・エリザベス」級になります。

ロシア造船業界も、以前から重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(約6万トン)よりも大きな航空母艦を建造できると表明しています。
[ロシア造船業界はアドミラル・クズネツォフよりも大型の新世代航空母艦を建造できる]
将来航空母艦の建造は、早くても2020年代後半になるようです。
[ロシア海軍の為の新世代空母の建造は『2018-2027年の国家軍備プログラム』において開始される]
既に将来航空母艦の為の搭載機として、新たなVSTOL艦上戦闘機の開発が始まっています。
[ヤコブレフ新世代VSTOL艦上戦闘機]
この他、将来航空母艦の搭載機として、艦上早期警戒機と艦上無人機も新たに開発されます。
[ロシア海軍航空隊司令官は語る]
将来原子力航空母艦の本格的な開発作業は2023年から始まります。
[ロシア海軍の為の7万トン級原子力空母の開発作業は2023年に始まる]
将来原子力航空母艦の設計には、ソ連時代に起工されたものの未完成に終わったプロジェクト11437重原子力航空巡洋艦「ウリヤノフスク」の設計が参考にされるとの事です。
[ロシア海軍の新世代原子力空母の開発には未完成の重原子力空母ウリヤノフスクの設計図が参考にされる]
ただしこれは、「ウリヤノフスク」のような艦を再び造るという事では無く、原子力機関の構造などを参考にするという事でしょう。
(将来航空母艦も「ウリヤノフスク」も原子力機関)
将来航空母艦を建造する造船所については、最近では、サンクトペテルブルク市の『バルト工場』と『北方造船所』、或いはセヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』の協同建造が有力視されています。
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の開発と建造には15年掛かる]
『バルト工場』

『北方造船所』

『セヴマシュ』

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