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ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦アドミラル・レフチェンコはオーバーホールを行なう

『イズベスチヤ』より
2020年7月17日0時1分配信
【狩人は変身する:「アドミラル・レフチェンコ」は復活する】

北方艦隊の主な対潜艦の1隻の修理が始まる。
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国防省は、プロジェクト1155大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」を修理作業リストへ入れる事に同意した。
それは2021年に海上へ出る事が計画されている。
近代化は、北方艦隊で大型かつ最も活動的な戦闘艦の内の1隻が長期間に渡り勤務する事を可能にする。
「アドミラル・レフチェンコ」は、艦内の電子機器、更には航行用エンジンを交換する。
専門家は、大型対潜艦の戦闘準備態勢の回復は、潜水艦へ対処する海軍の能力を向上させると見ている。

[大修理]
大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」
は、回復修理後の試験の為、来年末までに海へ行かなければならないと軍当局の情報提供者は『イズベスチヤ』へ話した。
航行用ガスタービンエンジンに加え、冷却装置と船外機器が交換される。
特に、艦内の電子機器及び対火災機器が近代化される。
最後に大型対潜艦が海へ出たのは2018年だった。
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同プロジェクト戦闘艦は、現役に留まり続ける計画に関連し、ロシア海軍の対潜部隊の基礎を構成する。
太平洋においては、最初の改善プロジェクト1155M大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」がすでに試験へ着手しており、強力な打撃のポテンシャルを得た。

それとは異なり、「アドミラル・レフチェンコ」は、その専門性を保持する~潜水艦との戦い。

修復されたプロジェクト1155大型対潜艦は、少なくとも30~35年間は現役に在るが、更に少なくとも5~7年は勤務すると元海軍総参謀長ワレンチン・セリヴァノフは考えている。

「今、我々の艦隊には、大型艦が足りていません」
彼は『イズベスチヤ』へ話した。
「プロジェクト1155大型対潜艦は、良好な航行性能を有しており、祖国の沿岸から離れて滞在する事が可能です。
そのポテンシャルは、使い尽くされてはおりません。
最近、主要海軍パレードへ参加する為にサンクトペテルブルクへ到着した同プロジェクトの大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフは、1985年に私の指揮下で地中海を横断しました。
これらの艦には、良好かつ故障の無い対潜兵器魚雷と深海爆弾が有ります~。
大型対潜艦の近代化においては、水上や地上目標を撃破できる打撃ミサイルが得られます。
このような兵器セットは、彼らが公海で揺るぎない気持ちを持つことを可能にします」


改善された大型対潜艦は、現時点で海軍にはとても必要であると専門家は指摘した。
この30年間、海軍の大型艦は建造も引き渡しもされていない。
今、例えば、プロジェクト22350フリゲートのシリーズが始動している。
しかし、それらは未だ就役しておらず、プロジェクト1155対潜艦は、その代わりとなり得る事をワレンチン・セリヴァノフは確信している。

[対潜艦ファミリー]
プロジェクト1155「ウダロイ」
は、ソヴィエト社会主義共和国連邦において、1977年から1991年までに合計12隻が建造された。
更なる1隻の「アドミラル・チャバネンコ」は、改善ヴァージョンの1155.1として就役した。
それがファミリーの中で唯一、対艦ミサイル兵器~超音速の「モスキート」を得た。

これらの艦は、艦グループの一員として、そして単独で敵の原子力潜水艦を狩る為に意図されている。
これらは、高い航海性能と自立行動性の点で優れていた。
しかし、これらは強力な打撃ポテンシャルと高度な対空防衛手段を有していなかった。

主な焦点は、原子力潜水艦との戦闘の為の兵装に当てられている。
各艦は、8基の射撃距離90kmの対潜ミサイル魚雷複合体「ラストルブ-2」を持っている。
潜水艦を撃破する為、更に2基の4連装533mm魚雷発射管反応爆撃装置も使用できる。
格納庫には、2機のヘリコプターKa-27PLが駐留する。

潜水艦を探知する為、プロジェクト1155は強力な回転展望式水中音響ステーション「ポリノム」が設置されている。
このようなものは、海軍で最も大型の艦のみ~航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」重原子力巡洋艦「オルラン」が有している。

大型対潜艦の対空防衛は、射程距離12kmの高射ミサイル複合体「キンジャール」2基と、4基の6銃身速射砲AK-630により保障される。

現在、同プロジェクト艦8隻が現役に留まっている。
これは、国内海軍の最大の戦闘ユニットの1つであり、その排水量は、アメリカロシアフリゲートを超える巡洋艦にのみ明らかに見劣りする。

[プロジェクト・カメレオン]
プロジェクト1155艦
は、恐るべき多目的戦闘ユニットへ変える事が出来る。
これは、プロジェクト1155Mのレベルの高度な近代化が行なわれた太平洋艦隊大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」により実証された。

改善された艦は、対潜及び有翼ミサイル「カリブル-NK」の為の16基の垂直発射装置を持つ汎用射撃複合体を得た。
それは更に、対艦ミサイルKh-35の8基のコンテナを装備する。
主砲の100mm砲装置は交換され、他の改良が行なわれた。
以前に『イズベスチヤ』が報じたように、大型対潜艦の弾丸には、更に最新の極超音速ミサイル「ツィルコン」も加わる。

今、「マルシャル・シャーポシニコフ」は、潜水艦の破壊が可能であるのみならず、水上艦、更には陸上目標にも高精度打撃を与えられる。
これは、大型対潜艦からフリゲートへの再分類を可能にした。

将来的には、プロジェクト1155大型対潜艦へ、最新の高射ミサイル-砲複合体「パーンツィリ-M」の装備が検討されている。
それは、対艦ミサイルや空中の他の脅威から自身を護る能力を著しく向上しなければならない。

今後、太平洋艦隊の3隻の同プロジェクト艦の高度な近代化が計画されている。
北方艦隊の3隻の大型対潜艦の為の同様のプログラムは、未だ伝えられていない。



プロジェクト1155大型対潜艦の6番艦「ハバロフスク」は、1982年1月27日にレニングラード(現サンクトペテルブルク)の『A.A.ジダーノフ記念造船工場』(現『北方造船所』)で起工されました。
1982年5月24日に「アドミラル・レフチェンコ」と改名されました。
1985年2月21日に進水し、1988年9月30日に就役しました。
1989年5月1日に北方艦隊へ編入されました。

1990年5月16日から12月15日まで地中海への遠距離航海を行ない、シリアタルトゥース港を訪れ、アメリカ海軍航空母艦「サラトガ」を追跡しました。
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1993年8月~9月にも地中海への航海を行ない、フランストゥーロンを公式訪問しました。

1996年にはグレートブリテンおよびアメリカとの合同演習へ参加し、同年11月には、バルト海から北方艦隊基地セヴェロモルスクへ移動する就役前の重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」をエスコートしました。
[就役前の原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」(1995~1997年)]

1999年10月から2001年7月まで建造元の『北方造船所』でオーバーホールを行ないました。

2007年12月~2008年2月の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の地中海遠征へ同行しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第2次地中海遠征(2007年12月~2008年2月)]

2008年12月~2009年3月の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」地中海遠征にも同行しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第3次地中海遠征(2008年12月~2009年3月)]

しかし途中で「アドミラル・クズネツォフ」と別れ、アデン湾へ向かいました。
[駆逐艦「アドミラル・レフチェンコ」、ソマリア沖へ]

その後は重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と合流し、同艦と行動を共にしました。
[北方艦隊のピョートル・ヴェリキーとアドミラル・レフチェンコは地中海で任務を遂行する]

2010年後半にアデン湾で海賊対処任務に就き、8個船団の51隻の民間船(ギリシャ、エジプト、パナマ船籍)を護送しました。
(2010年6月11日出航、11月30日帰投)
この間、ジブチ、サラーラ(オマーン)、ハーコンスヴァーン(ノルウェー)、セウタ(スペイン)へ寄港しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
【大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」の対海賊当直】

2013年12月~2014年5月の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」地中海遠征にも同行しましたが、途中で別行動となりました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第5次地中海遠征(2013年12月-2014年5月)]

「アドミラル・レフチェンコ」セヴァストーポリを訪れた後、2014年7月初頭に帰投しました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦アドミラル・レフチェンコは長期航海を終えて母港へ戻った]

2014年9月~10月に北極圏遠征を行ない、ノヴォシビルスク諸島まで進出しました。
(2014年9月6日出港、10月9日寄港)
この遠征には大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」の他に大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、「コンドポガ」、給油船「セルゲイ・オシポフ」、救助曳船「パミール」が参加しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
【2014年9月6日~10月9日の北方艦隊艦船支隊のノヴォシビルスク諸島への航海】

2015年3月の北方艦隊の抜き打ち演習へ参加した後は外洋へ出る事も無くなり、事実上予備役となりました。
[ロシア海軍北方艦隊はバレンツ海で救助演習を行なう]

それから5年以上経った2020年7月、「アドミラル・レフチェンコ」はオーバーホールと小規模な近代化が行なわれる事になりました。

同型艦「マルシャル・シャーポシニコフ」は、対艦ミサイル100mm砲を換装するなどの大規模な近代化改装が行なわれましたが、「アドミラル・レフチェンコ」は、そこまでの近代化は行わないようです。
[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は日本海で洋上試験を開始した]
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