ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフは極東へ向かった

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2020年7月31日8時40分配信
【最新掃海艦「ヤーコフ・バリャーエフ」は太平洋艦隊へ向かった】
『中部ネヴァ川造船工場』で建造されたプロジェクト12700対機雷防衛艦「ヤーコフ・バリャーエフ」は、サンクトペテルブルクから太平洋艦隊の駐留場所への移動に着手した。
同社広報サービスが伝えたように、航海条件に依り、指定地点への掃海艦の到着には、1.5ヶ月~2ヶ月掛かる。
移動は、工場の試運転チームと艦の乗組員により保障される。
基地へ到着すると、『中部ネヴァ川造船工場』の造船業者と掃海艦の乗組員メンバー、契約先組織の代表は、工場航行試験の標準プログラムの実行準備作業を開始する。
艦の発注者への引き渡しと、ロシア連邦海軍への編入は、2020年末に計画されている。
掃海艦「ヤーコフ・バリャーエフ」は、2017年12月に起工され、2020年1月に進水した。
これは、『中部ネヴァ川造船工場』で建造されたプロジェクト12700(コード名「アレクサンドリト」)の4番艦である。
現在、同社では、更なる4隻の「アレクサンドリト」:「ゲオルギー・クルバトフ」、「ピョートル・イリイチョーフ」、「アナトーリー・シレモフ」、そして7月24日に起工された「レフ・チェルナヴィン」が様々な建造進捗段階に在る。
排水量約890トンの「アレクサンドリト」型複合材料掃海艦は、主として海軍基地海域での機雷の捜索及び破壊の為に意図されている。
それは、水中音響ステーション(ソナー)、遠隔操作の自動水中無人機を艦上へ配置する。
同時に艦は、従来の掃海兵装も使用できる。
2019年5月、海軍造船・兵装・運用管理部長ウラジーミル・トリャピチニコフ少将は、『Mil.Press』記者との対談で「アレクサンドリト」シリーズは12隻に増加すると発表した。
彼によると、2050年までの造船プログラムにおいて、30隻以上の掃海艦が計画されている。
彼によると、海軍は毎年3隻の「アレクサンドリト」を必要とする。
現在、ロシア海軍の一員として、プロジェクト12700掃海艦「アレクサンドル・オブホフ」、「イワン・アントノフ」、「ウラジーミル・イェメリヤノフ」が勤務に就いている。
ロシア海軍の新世代掃海艦プロジェクト12700「アレクサンドリト」は、船体が一体成型のガラス繊維強化プラスチックで造られており、世界最大級の非金属船体艦です。


従来のソ連/ロシア海軍の掃海艦は、外洋で活動する海洋掃海艦と、自軍基地周辺海域で活動する基地掃海艦に分けられていましたが、プロジェクト12700は、基地掃海艦と海洋掃海艦を統合するものとなり、「対機雷防衛艦」とも呼ばれています。
(当初は基地掃海艦に分類されていたが、2016年に海洋掃海艦となった)

プロジェクト12700対機雷防衛艦の5番艦「ヤーコフ・バリャーエフ」は、サンクトペテルブルクの『中部ネヴァ川造船工場』で2017年12月26日に起工されました。
[ロシア海軍の為の新型掃海艦ヤーコフ・バリャーエフはサンクトペテルブルクで起工された]
艦名の元になったヤーコフ・イラリオノヴィチ・バリャーエフ(1924年6月9日-1945年8月14日)は、1945年8月のソヴィエト-日本戦争に参加した海軍歩兵隊員であり、8月14日に朝鮮北部の清津の戦闘で戦死し、21歳の短い生涯を閉じました。
死後、ソヴィエト連邦英雄称号を授与されました。

「ヤーコフ・バリャーエフ」は2019年12月18日に屋内造船台から出渠しました。
「ヤーコフ・バリャーエフ」の乗組員団は、2019年12月末までにカムチャツカ半島に駐留する太平洋艦隊の北東軍集団の第114水域防護艦旅団で編成されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフの乗組員が編成された]
同旅団の配下には、掃海艦3隻を有する第117水域防護艦大隊が有りますので、「ヤーコフ・バリャーエフ」は、同大隊に配属されるようです。
2020年1月29日、「ヤーコフ・バリャーエフ」は進水しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフはサンクトペテルブルクで進水した]
サンクトペテルブルクのロシア海軍統合訓練センターでの「ヤーコフ・バリャーエフ」の乗組員の訓練は2020年3月下旬に完了し、その後、バルト艦隊へ配備された1番艦「アレクサンドル・オブホフ」で洋上の実地訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフ乗組員はサンクトペテルブルクでの訓練を完了した]
そして2020年7月31日、「ヤーコフ・バリャーエフ」は『中部ネヴァ川造船工場』の艤装岸壁を離れ、太平洋艦隊の配備予定基地へ向かいました。
今回の記事では、具体的に何処へ向かったのかは触れられていませんが、同艦は北東軍集団へ配備されるので、おそらくはペトロパヴロフスク・カムチャツキー港でしょう。
具体的な移動ルートにも一切触れられていませんが、可能性が高いのは、北極海経由、いわゆる北方海上航路でしょう。
太平洋艦隊の基地へ到着後、「ヤーコフ・バリャーエフ」は洋上試験を開始します。
「ヤーコフ・バリャーエフ」は、2020年末にロシア海軍への就役が予定されています。
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