ロシア造船業界は重戦略用途原子力水中巡洋艦アルハンゲリスクとセヴェルスターリを水中タンカーへ改造する用意がある


『タス通信』より
2020年8月23日15時19分配信
【『統合造船業営団』は世界最大の潜水艦プロジェクト941を基にした水中タンカーを作成する用意がある】
モスクワ、8月23日/タス通信
『統合造船業営団』は、プロジェクト941戦略原子力潜水艦「セヴェルスターリ」と「アルハンゲリスク」を基にした水中タンカーを作成する用意がある。
このような艦1隻は、900億ルーブルの費用が掛かる。
日曜日、フォーラム『アルミヤ-2020』での『タス通信』のインタビューに対し、『統合造船業営団』総取締役アレクセイ・ラフマノフは述べた。
「このようなタンカーの構想は、完全に消えたわけでは無く、私共は、それを喜んで建造する用意があります。
結局のところ、ミサイルや燃料を運送するのに、どのような差異が有るのでしょうか?
海上航行の安全性の観点からは、このようなタンカーは適切な設計です。
水中では、例えば、嵐は酷くありませんからね」
ラフマノフは、潜水艦「セヴェルスターリ」と「アルハンゲリスク」から水中タンカーを作成する可能性についての質問に答え、こう話した。
しかし、『統合造船業営団』のトップは、このような艦を作成する費用は高くなることを指摘した。
「水中タンカーには、800億~900億ルーブルの費用が掛かるでしょう(価格は設計局が算定したものであり、決定案の少なくとも30パーセントは、現行の設計から流用される事を考慮している)。
このプロジェクトにより得られる経済効果は、『薄い』と言えるでしょう」
ラフマノフは説明した。
現在、弾道ミサイル搭載艦だった2隻のプロジェクト941潜水艦「セヴェルスターリ」と「アルハンゲリスク」は海軍から除籍され、セヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』で放置されている。
将来的には、解体が計画されている。
以前には、これらの潜水艦を有翼ミサイルで再武装するという意見が提示された。
専門家によると、「アルハンゲリスク」と「セヴェルスターリ」は、各々が200基のミサイル「カリブル」を搭載できる。



ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト941「アクラ」(NATOコード名「タイフーン」)】
プロジェクト941「アクラ」重戦略用途原子力水中巡洋艦(タイフーン級)は、1981年~1989年に6隻が就役しましたが、現役に留まっているのは1隻のみであり、既に3隻が解体されています。
・TK-208
1976年6月30日起工/1980年9月27日進水/1981年12月29日納入/1982年12月14日就役
1989年1月20日に近代化の為予備役編入、1991年よりプロジェクト941U近代化改装を始めるが資金不足の為に工事中断
1996年にプロジェクト941UMとして近代化改装工事を再開、2000年12月7日に「ドミトリー・ドンスコイ」と命名、2002年6月26日再進水、2004年12月再就役
・TK-202
1978年4月22日起工/1982年9月23日進水/1983年12月28日納入/1983年12月31日就役
1999年除籍、2005~2007年にセヴェロドヴィンスクで解体
・TK-12
1980年4月19日起工/1983年12月17日進水/1984年12月26日納入/1984年12月27日就役
1996年予備役編入、2000年除籍、2006~2007年にセヴェロドヴィンスクで解体
・TK-13
1982年2月23日起工/1985年4月30日進水/1985年12月26日納入/1985年12月30日就役
1997年除籍、2007~2009年にセヴェロドヴィンスクで解体
・TK-17
1983年8月9日起工/1986年12月12日進水/1987年12月15日納入/1987年12月25日就役
2002年11月18日に「アルハンゲリスク」と命名、2005年1月26日予備役編入、2009年7月にセヴェロドヴィンスクへ回航、以後同地で係留保管
・TK-20
1985年8月27日起工/1989年4月11日進水/1989年12月19日納入/1989年12月22日就役
2000年6月20日に「セヴェルスターリ」と命名、2001年10月にセヴェロドヴィンスクへ回航、2004年4月29日予備役編入、以後係留保管
ただ1隻のプロジェクト941の現役艦「ドミートリー·ドンスコイ」は既に艦齢35年ですが、当面は現役に留まります。

[重戦略用途原子力水中巡洋艦ドミトリー・ドンスコイはロシア海軍で現役に留まり続ける]
あとの2隻~「アルハンゲリスク」と「セヴェルスターリ」は既に退役しており、現在はセヴェロドヴィンスクで係留保管されています。
2013年5月、この2隻を解体するという話が出てきましたが、未だ実行には移されていません。
[タイフーン級戦略原潜セヴェルスターリとアルハンゲリスクは除籍、解体される]
「アルハンゲリスク」と「セヴェルスターリ」は、2016年以降に弾道ミサイル発射筒の封印作業が行なわれました。
これはアメリカとの戦略兵器削減条約に基づく措置です。
[ロシア海軍のタイフーン級戦略原潜アルハンゲリスクは2016年に弾道ミサイル発射筒が使用不能にされる]
しかし、「アルハンゲリスク」と「セヴェルスターリ」の処分(解体)そのものに関しては、未だ正式には決定されていません。
[ロシア海軍のタイフーン級戦略原潜アルハンゲリスクとセヴェルスターリの解体は未だ決定されていない]
[ロシア海軍のタイフーン級戦略原潜アルハンゲリスクとセヴェルスターリの解体に関する決定は保留されている]
『ロスアトム』は、2020年以降に「アルハンゲリスク」と「セヴェルスターリ」を解体する意向のようです。
[ロシア海軍の重戦略用途原子力水中巡洋艦アルハンゲリスクとセヴェルスターリは2020年以降に解体される]
今回の『統合造船業営団』総取締役アレクセイ・ラフマノフ氏の発言にしても、「アルハンゲリスク」と「セヴェルスターリ」を水中タンカーへ改造する具体的な計画や発注が有るわけでは無く、「やれと言われれば出来る」「そのような発注が有れば応じる事は出来る」といった程度のものに過ぎません。
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