ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で演習を行なう為に出航した
- カテゴリ:ロケット巡洋艦スラヴァ型
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア黒海地域情報供給部(セヴァストーポリ市)発表
2020年9月2日10時25分配信
【黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」は演習の為に出航した】
ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」は、計画修理完了後に出航し、特別錬成任務への取り組みへ着手した。
「単艦での航行及び戦闘実施」の要素の任務遂行の枠組みで、複合艦上戦闘演習及び乗組員の整然とした活動が行なわれる。
錬成任務の要素への取り組みは、黒海エリアの海上戦闘訓練射爆場で行なわれる。
実地行動中に親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」乗組員は、高射砲射撃の実行を伴う対空防衛、電波電子戦闘手段の使用、ダメージコントロール、更には海上移動中及び無防備の泊地へ停泊中の艦の全面的な防衛及び防護の複合艦上演習を実施する。
演習の段階の1つで、乗組員には、艦の主要ミサイル複合体の仮想使用の為の行動方式への取り組みが待ち受けている。
訓練の義務的要素へ取り組んだ後、巡洋艦の乗組員は、戦略指揮-参謀演習『カフカス-2020』への参加の準備を続ける。

プロジェクト1164「アトラント」ロケット巡洋艦の1番艦「スラヴァ」は、1976年11月5日にウクライナのニコラエフ市の『61コムーナ記念造船工場』で起工され、1979年7月27日に進水し、1982年12月13日にソ連海軍へ納入されました。
進水する「スラヴァ」(1979年7月27日)

1982年秋に洋上試験を行なう「スラヴァ」

1983年1月30日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式に海軍へ就役しました。
就役後は黒海艦隊へ編入され、何度も地中海へ派遣されました。
1983年9月に地中海で行動中の「スラヴァ」

1989年12月初頭にマルタ島で行なわれたソ連とアメリカの首脳のマルタ会談にも同行しました。
[ソ連海軍ロケット巡洋艦スラヴァが見た東西冷戦終結(1989年)]
1991年3月21日から建造元の『61コムーナ記念造船工場』で大規模なオーバーホールを開始しました。
しかし、オーバーホール中にソヴィエト連邦は解体され、ウクライナは独立した為、ニコラエフ市のドックに居た「スラヴァ」は宙に浮く事になりました。
ソ連邦解体後の財政難により「スラヴァ」のオーバーホールの資金は捻出できず、おまけにロシアとウクライナの黒海艦隊帰属・分割問題により、「スラヴァ」もロシアとウクライナの所有権争いに巻き込まれました。
(ウクライナは、自国のドックに居る「スラヴァ」の所有権を主張した)
1995年6月22日、「スラヴァ」は、除籍されるプロジェクト1123対潜巡洋艦の名前を受け継ぎ、「モスクワ」と改名されました。

1998年5月13日、除籍される親衛警備艦「クラースヌイ・カフカース」の親衛旗を受け継ぎ、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」となりました。

この間、「スラヴァ」改め「モスクワ」のオーバーホールが資金不足により進まない事に業を煮やしたモスクワ市は、2000万ドルを寄付しました。
「モスクワ」のオーバーホールは1999年8月に完了し、黒海艦隊旗艦として復帰しました。

オーバーホール期間中に「モスクワ」の対艦ミサイルは、「バザーリト」から「ヴルカーン」へ換装されました。
2003年4月~5月にはインド洋への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その2・黒海艦隊の親衛ロケット巡洋艦モスクワ]
2004年9月には地中海でイタリア海軍との合同演習『IONIEKS-2004』へ参加しました。
2007年12月初頭から2008年2月初頭まで行なわれた北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の地中海遠征に参加しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第2次地中海遠征(2007年12月~2008年2月)]
[スラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」、大西洋上で戦闘訓練(2008年1月21日)]
2008年8月上旬のロシア・グルジア戦争(南オセチア紛争)の際、黒海東部へ派遣されました。
[南オセチア紛争(2008年8月)]
2009年1月末にイタリアのメッシナ港を訪問しました。
[巡洋艦「モスクワ」は、シチリア島を訪問する]
2010年5月には北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と共に極東へ派遣され、戦略演習『ヴォストーク-2010』へ参加しました。

2013年初頭には衛星通信複合体「ツェンタヴル-NM-1」が装備されました。
2013年1月下旬に黒海と地中海で行なわれたロシア海軍3艦隊合同演習へ演習総旗艦として参加しました。
[ロシア海軍3艦隊合同演習(2013年1月下旬)]
2013年7月から9月まで大西洋とカリブ海への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍大西洋・カリブ海遠征(2013年7月-9月)]
2014年9月から2015年1月まで太平洋への遠距離航海を行ないました。
[ロケット巡洋艦モスクワ遠距離航海(2014年9月-2015年1月)]
2015年5月には中国海軍との合同演習『海洋協同-2015』へ参加しています。
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2015」(2015年5月)]
2015年6月には、エジプト海軍との合同演習『友情の橋-2015』へ参加しました。
[合同演習『友情の橋-2015』を終えたロシア海軍とエジプト海軍の艦船はアレクサンドリアへ戻った]
2015年6月下旬から8月初頭まで大西洋へ進出し、アンゴラと赤道ギニアを訪問しています。
[ロシア黒海艦隊大西洋遠征(2015年6月-)]
2015年9月24日にセヴァストーポリを出航して地中海東部(シリア沖)へ向かい、2016年1月9日に帰港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはシリアからセヴァストーポリへ帰港した]
2016年5月21日から7月16日までセヴァストーポリの第13艦船修理工場の浮きドックへ入渠しました。
2016年7月22日、視察のためにセヴァストーポリを訪れたロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将によりナヒーモフ勲章が授与されました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはナヒーモフ勲章を授与された]
2016年7月31日、2017年7月30日、2018年7月29日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。
「モスクワ」は、2018年から近代化改装の開始が予定されていましたが、実行には移されませんでした。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2018年からセヴァストーポリで近代化改装を行なう]
結局、セヴァストーポリの『第13艦船修理工場』で「モスクワ」の修理を行なう事になりました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはセヴァストーポリで修理を行なう]
2019年6月5日、「モスクワ」はセヴァストーポリを出航し、黒海へ出ました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは3年ぶりに出航した]
2019年7月28日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。

その後、セヴァストーポリで機関の修理を行ないました。
2019年12月4日、他の黒海艦隊所属艦と共に、緊急出航などの訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは緊急出航訓練を行なった]
「モスクワ」は2020年4月22日からセヴァストーポリ北方乾ドックでの修理を開始しました。


7月3日に乾ドックを出ました。
その後は艦船係留埠頭へ戻り、最終的なメンテナンス作業が行なわれました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2020年8月に最終メンテナンスを終える]
2020年7月26日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。

今回のオーバーホールにより「モスクワ」の寿命は20年延長され、2040年代初頭まで現役に留まる事が可能となります。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2040年代初頭まで現役に留まる]
そして9月2日、「モスクワ」は乗組員の慣熟訓練の為に黒海へ出航しました。
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