ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフはラプテフ海へ入った

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア連邦国防省情報・マスコミュニケーション部発表
2020年9月4日17時6分配信
【最新対機雷防衛艦「ヤーコフ・バリャーエフ」はサンクトペテルブルクから太平洋艦隊への移動ルート上でラプテフ海へ入った】
サンクトペテルブルクから太平洋艦隊への移動を行なっている最新のプロジェクト12700対機雷防衛艦「ヤーコフ・バリャーエフ」は、ラプテフ海へ入った。

これは、太平洋艦隊の為に『中部ネヴァ川造船工場』が建造したプロジェクト12700対機雷防衛艦シリーズの最初の艦である。
「ヤーコフ・バリャーエフ」のカムチャツカ到着は9月末に計画されている。
「海軍総司令部は、太平洋艦隊の機雷掃海部隊への最新のプロジェクト12700対機雷防衛艦の装備へと着手しました」
以前、ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将は、水上艦建造問題について討議した会合の結果を受け、こう述べた。
ニコライ・エフメノフ大将によると、『中部ネヴァ川造船工場』で太平洋艦隊の為に建造された対機雷防衛艦シリーズの最初となる「ヤーコフ・バリャーエフ」は、サンクトペテルブルクから太平洋艦隊への艦隊間移動を行なっており、機雷掃海部隊へ加わる。
太平洋艦隊へ艦が到着すれば、『中部ネヴァ川造船工場』、乗組員と請負組織の代表は、工場航行試験を行なう為の対機雷防衛艦「ヤーコフ・バリャーエフ」の準備へ着手する。
ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将の指示により、艦は2020年末に海軍へ受け入れられ、太平洋艦隊の機雷掃海部隊への補充が計画されている。
「ヤーコフ・バリャーエフ」は2017年12月に起工された。
これは、『中部ネヴァ川造船工場』が建造したプロジェクト12700の第4の艦となる。
以前、造船所は海軍へ3隻の同プロジェクト艦を引き渡した。
今日において、同社では更なる4隻のプロジェクト12700艦が様々な準備段階に在る~「ゲオルギー・クルバトフ」、「ピョートル・イリイチョーフ」、「アナトーリー・シレモフ」、「レフ・チェルナヴィン」
プロジェクト12700「アレクサンドリト」は、ロシア連邦海軍の為に中央海洋設計局『アルマーズ』(『統合造船業営団』へ加入)が開発した。
この艦は新世代機雷掃海艦に属しており、海洋機雷との戦いの為に意図されている。
対機雷防衛艦は、危険ゾーンへ入らずに海域の水上で、海域の底で、それを探知できる。
機雷への対処の為、艦は様々な種類の掃海具、更には遠隔操作自動無人水中装置を使用できる。
このような艦の建造に当たり、『中部ネヴァ川造船工場』は、世界の造船所に同類が無い最新のロシア技術を使用している。
同プロジェクト艦は、世界最大級の真空注入方式による一体ガラス繊維強化プラスチック製船体というユニークさを持つ。
船体の質量は金属製よりも小さく、その強度は著しく増大している。
このような船体は、全く腐食する事は無く、その就役期間は、通常の運用を順守すれば事実上無制限である。
高い強度と小さな質量に加えて、複合材料船体の長所は、その「非磁気性」にあり、機雷捜索の際の艦の大いなる生存性を保障する。
ロシア海軍総司令部の計画に沿って、新世代対機雷防衛艦は、近い将来にロシア海軍の機雷掃海戦力の基礎となり、任務遂行の効率性は大幅に向上する。
[参照]
プロジェクト12700「アレクサンドリト」対機雷防衛艦
排水量-890トン
全長-62メートル
幅-10メートル
最大速力-16ノット
乗組員-44名
ロシア海軍の新世代掃海艦プロジェクト12700「アレクサンドリト」は、船体が一体成型のガラス繊維強化プラスチックで造られており、世界最大級の非金属船体艦です。


従来のソ連/ロシア海軍の掃海艦は、外洋で活動する海洋掃海艦と、自軍基地周辺海域で活動する基地掃海艦に分けられていましたが、プロジェクト12700は、基地掃海艦と海洋掃海艦を統合するものとなり、「対機雷防衛艦」とも呼ばれています。
(当初は基地掃海艦に分類されていたが、2016年に海洋掃海艦となった)

プロジェクト12700対機雷防衛艦の5番艦「ヤーコフ・バリャーエフ」は、サンクトペテルブルクの『中部ネヴァ川造船工場』で2017年12月26日に起工されました。
[ロシア海軍の為の新型掃海艦ヤーコフ・バリャーエフはサンクトペテルブルクで起工された]
艦名の元になったヤーコフ・イラリオノヴィチ・バリャーエフ(1924年6月9日-1945年8月14日)は、1945年8月のソヴィエト-日本戦争に参加した海軍歩兵隊員であり、8月14日に朝鮮北部の清津の戦闘で戦死し、21歳の短い生涯を閉じました。
死後、ソヴィエト連邦英雄称号を授与されました。

「ヤーコフ・バリャーエフ」は2019年12月18日に屋内造船台から出渠しました。
「ヤーコフ・バリャーエフ」の乗組員団は、2019年12月末までにカムチャツカ半島に駐留する太平洋艦隊の北東軍集団の第114水域防護艦旅団で編成されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフの乗組員が編成された]
同旅団の配下には、掃海艦3隻を有する第117水域防護艦大隊が有りますので、「ヤーコフ・バリャーエフ」は、同大隊に配属されるようです。
2020年1月29日、「ヤーコフ・バリャーエフ」は進水しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフはサンクトペテルブルクで進水した]
サンクトペテルブルクのロシア海軍統合訓練センターでの「ヤーコフ・バリャーエフ」の乗組員の訓練は2020年3月下旬に完了し、その後、バルト艦隊へ配備された1番艦「アレクサンドル・オブホフ」で洋上の実地訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフ乗組員はサンクトペテルブルクでの訓練を完了した]
そして2020年7月31日、「ヤーコフ・バリャーエフ」は『中部ネヴァ川造船工場』の艤装岸壁を離れ、太平洋艦隊の配備予定基地(ペトロパヴロフスク・カムチャツキー)へ向かいました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ヤーコフ・バリャーエフは極東へ向かった]
その後、「ヤーコフ・バリャーエフ」は北極海へ入りました。

「ヤーコフ・バリャーエフ」のカムチャツカ到着は9月末に予定されており、その後に洋上試験を開始します。
「ヤーコフ・バリャーエフ」は、2020年12月末にロシア海軍への就役が予定されています。
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