ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは現役復帰後の初のヘリコプター発着訓練を行なった
- カテゴリ:ロケット巡洋艦スラヴァ型

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア黒海地域情報供給部(セヴァストーポリ市)発表
2020年9月8日7時40分配信
【黒海艦隊の親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」はヘリコプターKa-27PLを艦上へ受け入れる演習を実施した】
黒海艦隊のナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」乗組員は、黒海エリアでヘリコプターKa-27PLを艦上へ受け入れる演習を実施した。
演習は艦隊戦力の戦闘訓練計画に沿って実施された。
前日、巡洋艦は「単艦での航行及び戦闘実施」の任務の要素へ移行する為に出航した。
黒海艦隊の海上航空・対空防衛部隊の独立混成航空連隊の一員であるヘリコプターKa-27PL乗員は、艦の乗組員と連携して親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」の甲板へ実際の着艦及び発艦を行なった。
更に、演習中に艦の全ての航空複合システムの整然とした動作が点検され、ヘリコプターの飛行を保障する艦内班の行動へ取り組んだ。
巡洋艦の乗組員にとって、艦上へのヘリコプターの組織的な受け入れの課題への取り組みは、艦の計画修理実行に関連する長期の休止の後の戦闘訓練の重要な段階となる。
演習は成功裏に実施され、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」乗組員は、黒海の海上射爆場で錬成任務の要素への取り組みを続ける。

プロジェクト1164「アトラント」ロケット巡洋艦の1番艦「スラヴァ」は、1976年11月5日にウクライナのニコラエフ市の『61コムーナ記念造船工場』で起工され、1979年7月27日に進水し、1982年12月13日にソ連海軍へ納入されました。
進水する「スラヴァ」(1979年7月27日)

1982年秋に洋上試験を行なう「スラヴァ」

1983年1月30日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式に海軍へ就役しました。
就役後は黒海艦隊へ編入され、何度も地中海へ派遣されました。
1983年9月に地中海で行動中の「スラヴァ」

1989年12月初頭にマルタ島で行なわれたソ連とアメリカの首脳のマルタ会談にも同行しました。
[ソ連海軍ロケット巡洋艦スラヴァが見た東西冷戦終結(1989年)]
1991年3月21日から建造元の『61コムーナ記念造船工場』で大規模なオーバーホールを開始しました。
しかし、オーバーホール中にソヴィエト連邦は解体され、ウクライナは独立した為、ニコラエフ市のドックに居た「スラヴァ」は宙に浮く事になりました。
ソ連邦解体後の財政難により「スラヴァ」のオーバーホールの資金は捻出できず、おまけにロシアとウクライナの黒海艦隊帰属・分割問題により、「スラヴァ」もロシアとウクライナの所有権争いに巻き込まれました。
(ウクライナは、自国のドックに居る「スラヴァ」の所有権を主張した)
1995年6月22日、「スラヴァ」は、除籍されるプロジェクト1123対潜巡洋艦の名前を受け継ぎ、「モスクワ」と改名されました。

1998年5月13日、除籍される親衛警備艦「クラースヌイ・カフカース」の親衛旗を受け継ぎ、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」となりました。

この間、「スラヴァ」改め「モスクワ」のオーバーホールが資金不足により進まない事に業を煮やしたモスクワ市は、2000万ドルを寄付しました。
「モスクワ」のオーバーホールは1999年8月に完了し、黒海艦隊旗艦として復帰しました。

オーバーホール期間中に「モスクワ」の対艦ミサイルは、「バザーリト」から「ヴルカーン」へ換装されました。
2003年4月~5月にはインド洋への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その2・黒海艦隊の親衛ロケット巡洋艦モスクワ]
2004年9月には地中海でイタリア海軍との合同演習『IONIEKS-2004』へ参加しました。
2007年12月初頭から2008年2月初頭まで行なわれた北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の地中海遠征に参加しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第2次地中海遠征(2007年12月~2008年2月)]
[スラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」、大西洋上で戦闘訓練(2008年1月21日)]
2008年8月上旬のロシア・グルジア戦争(南オセチア紛争)の際、黒海東部へ派遣されました。
[南オセチア紛争(2008年8月)]
2009年1月末にイタリアのメッシナ港を訪問しました。
[巡洋艦「モスクワ」は、シチリア島を訪問する]
2010年5月には北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と共に極東へ派遣され、戦略演習『ヴォストーク-2010』へ参加しました。

2013年初頭には衛星通信複合体「ツェンタヴル-NM-1」が装備されました。
2013年1月下旬に黒海と地中海で行なわれたロシア海軍3艦隊合同演習へ演習総旗艦として参加しました。
[ロシア海軍3艦隊合同演習(2013年1月下旬)]
2013年7月から9月まで大西洋とカリブ海への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍大西洋・カリブ海遠征(2013年7月-9月)]
2014年9月から2015年1月まで太平洋への遠距離航海を行ないました。
[ロケット巡洋艦モスクワ遠距離航海(2014年9月-2015年1月)]
2015年5月には中国海軍との合同演習『海洋協同-2015』へ参加しています。
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2015」(2015年5月)]
2015年6月には、エジプト海軍との合同演習『友情の橋-2015』へ参加しました。
[合同演習『友情の橋-2015』を終えたロシア海軍とエジプト海軍の艦船はアレクサンドリアへ戻った]
2015年6月下旬から8月初頭まで大西洋へ進出し、アンゴラと赤道ギニアを訪問しています。
[ロシア黒海艦隊大西洋遠征(2015年6月-)]
2015年9月24日にセヴァストーポリを出航して地中海東部(シリア沖)へ向かい、2016年1月9日に帰港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはシリアからセヴァストーポリへ帰港した]
2016年5月21日から7月16日までセヴァストーポリの第13艦船修理工場の浮きドックへ入渠しました。
2016年7月22日、視察のためにセヴァストーポリを訪れたロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将によりナヒーモフ勲章が授与されました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはナヒーモフ勲章を授与された]
2016年7月31日、2017年7月30日、2018年7月29日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。
「モスクワ」は、2018年から近代化改装の開始が予定されていましたが、実行には移されませんでした。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2018年からセヴァストーポリで近代化改装を行なう]
結局、セヴァストーポリの『第13艦船修理工場』で「モスクワ」の修理を行なう事になりました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはセヴァストーポリで修理を行なう]
2019年6月5日、「モスクワ」はセヴァストーポリを出航し、黒海へ出ました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは3年ぶりに出航した]
2019年7月28日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。

その後、セヴァストーポリで機関の修理を行ないました。
2019年12月4日、他の黒海艦隊所属艦と共に、緊急出航などの訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは緊急出航訓練を行なった]
「モスクワ」は2020年4月22日からセヴァストーポリ北方乾ドックでの修理を開始しました。


7月3日に乾ドックを出ました。
その後は艦船係留埠頭へ戻り、最終的なメンテナンス作業が行なわれました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2020年8月に最終メンテナンスを終える]
2020年7月26日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。

今回のオーバーホールにより「モスクワ」の寿命は20年延長され、2040年代初頭まで現役に留まる事が可能となります。

[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2040年代初頭まで現役に留まる]
現役復帰した「モスクワ」は、9月2日に乗組員の慣熟訓練の為、黒海へ出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で演習を行なう為に出航した]
9月8日には、現役復帰後の初めてのヘリコプター発着訓練を行ないました。
- 関連記事
-
- ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグはピョートル大帝湾で砲撃訓練を行なった
- ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは戦略指揮-参謀演習『カフカス-2020』への参加を準備する
- ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは現役復帰後の初のヘリコプター発着訓練を行なった
- ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で演習を行なう為に出航した
- ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2020年8月に最終メンテナンスを終える
スポンサーサイト