ロシア海軍北方艦隊の中型海洋給油船アカデミック・パシンは地中海遠征を終えて母港ムルマンスクへ帰投した


『ロシア連邦国防省公式サイト』より
北方艦隊広報サービス発表
2020年12月11日19時0分配信
【給油船「アカデミック・パシン」は地中海及び大西洋への遠距離航海からムルマンスクへ到着した】
本日(12月11日)、ムルマンスク英雄市の埠頭では、地中海及び大西洋への遠距離航海から戻ってきた中型海洋給油船「アカデミック・パシン」乗組員の歓迎式典が開催された。
給油船は4ヶ月に渡り、遠海ゾーンにおいて、ロシア海軍及び北方艦隊の戦闘艦及び支援船の行動を保障した。
中型海洋給油船「アカデミック・パシン」は、大部分の時間を、大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」率いる北方艦隊艦船支隊の一員として行動した。
ムルマンスクの埠頭で船は、軍楽隊、補助艦隊幹部及び北方艦隊司令部、更には船員の家族に出迎えられた。


歓迎式典は、ムルマンスク上級海上指揮官~北方艦隊副司令官(物資-技術サービス供給担当)ドミトリー・ウクラインツァ少将の主催下で行なわれた。

彼は、船の船長から、乗組員は全ての与えられた任務を成功裏に遂行し、遠距離航海から戻ってきたとの報告を受けた。

遠距離航海全般において、給油船の船上には船員と共に、海賊の攻撃、潜在的な破壊工作、テロリストの脅威から船の安全を保障する北方艦隊の海軍歩兵グループが乗っていた。
北方艦隊副司令官は、遠距離航海の全ての参加者への感謝の意を表し、与えられた任務の遂行の結果に基づき、優秀な船員への表彰を指示した。


8月から続いた遠距離航海中、給油船は20000海里以上を航行し、大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」と共に地中海諸国の国の港への業務寄港を何度か行った。
船員にとっては、遠海ゾーンでの航海を完了したのは、これが歴史上初めてである。
中型海洋給油船「アカデミック・パシン」は、2020年初頭に北方艦隊へ加わった。
大洋で船は、自信をもって材料部分及び特殊機器の点検を行ない、演習実施中にロシア海軍の艦船への液体貨物及び固形貨物を移送した。

『ネヴァ川造船・修理工場』公式サイトより
【中型給油船プロジェクト23130】
ロシア海軍の為の新たな中型海洋給油船・プロジェクト23130は、2013年5月に建造所を決める為の入札の公募が発表されました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)が建造される]
その結果、サンクトペテルブルク近郊のシュリッセリブルク市に在る『ネヴァ川造船・修理工場』で建造される事になり、2013年11月に建造契約が締結され、2014年2月末にはプレートカットが始まりました。

[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)プロジェクト23130のプレートカットが始まる]
プロジェクト23130中型給油船の1番船「アカデミック・パシン」は、2014年4月26日に『ネヴァ川造船・修理工場』で起工されました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは起工された]
2年後の2016年5月26日に進水しました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは進水した]
進水後は、造船所の岸壁で艤装工事が進められていました。
2018年3月初頭の「アカデミック・パシン」

そして2018年5月18日、シュリッセリブルク市のすぐ近くのラドガ湖で航行試験を開始しました。


[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンの航行試験が始まった]
2018年8月には洋上補給システムの試験が行なわれました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは洋上補給システムの試験を続けている]
「アカデミック・パシン」のラドガ湖での試験は完了し、2018年9月11日にクロンシュタットへ到着しました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはクロンシュタットへ行く]
2018年9月29日にクロンシュタットを出航し、フィンランド湾での試験を開始しました。
当局からの発表は有りませんが、2018年6月20日に就役し、10月22日に北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着した最新の大型揚陸艦「イワン・グレン」(135)がバルト海に居た頃、「アカデミック・パシン」から洋上補給を受けた事も有りました。
双方の行動履歴から見て、おそらくは2018年10月初頭あたりでしょう。

[ロシア海軍の最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンは北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着した]
フィンランド湾での試験を終えた「アカデミック・パシン」は、2018年11月初頭にバルチースクへ移動しました。

その後、バルチースクをベースにバルト海で洋上試験を行なっていました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンの洋上試験は最終段階へ入る]
2019年1月中旬には、バルト海に居た北方艦隊の偵察艦「ユーリー・イワノフ」への洋上給油を行なったようです。

[ロシア海軍北方艦隊の最新偵察艦ユーリー・イワノフは長期任務を終えてセヴェロモルスクへ帰投した]
2019年1月下旬、バルト艦隊航空隊の艦載ヘリコプターKa-27PSが協力し、ヘリコプターによる船上への貨物移送試験が実施されました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはヘリコプターによる船上への貨物移送試験を行なった]
その後もバルト海で洋上試験は続けられ、6月4日には、同じくバルト海で洋上試験中のプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・カサトノフ」への洋上給油を行ないました。

[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバルト海で最新鋭フリゲート"アドミラル・カサトノフ"への洋上給油を行なった]
7月初頭までに「アカデミック・パシン」はヘリコプターによる船上への貨物移送試験を完了しました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはヘリコプターによる物資補給試験を完了した]
その後、「アカデミック・パシン」はバルチースクを出航し、ムルマンスクへ向かい、7月16日に到着しました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはムルマンスクへ行く]
『MarineTraffic.com』より
【アカデミック・パシン】
2019年8月23日の「アカデミック・パシン」

その後もバレンツ海で洋上試験は続けられ、10月18日~19日に重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」への洋上補給(貨物移送)を行ないました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバレンツ海で重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーへの洋上補給を行なった]

「アカデミック・パシン」の洋上試験は12月中旬頃に完了しました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバレンツ海での洋上試験を完了する]
2019年12月30日にロシア海軍への正式な就役式典となる海軍旗初掲揚式典が開催される予定でしたが、延期されました。
[新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは2019年12月30日にロシア海軍へ就役する]
2020年1月21日、北方艦隊基地セヴェロモルスクで、「アカデミック・パシン」の海軍旗初掲揚式典が開催され、正式にロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入されました。
[新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入された]
1982年9月末に就役したプロジェクトREF-675中型海洋給油船「ヴャジマ」以来、実に38年ぶりの新造給油船となりました。

3月6日にはフリゲート「アドミラル・カサトノフ」への洋上補給を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバレンツ海で洋上補給訓練を行なった]
その後に英仏海峡海域へ進出し、4月下旬まで滞在していました。
[ロシア海軍はフランス海軍最新鋭原潜の情報を収集していた?]
2020年8月にムルマンスクを出航し、9月上旬に地中海東部で大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」と合流し、以後、同艦と行動を共にしました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフは地中海東部(キプロス南方沖)で最新給油船アカデミック・パシンから洋上補給を受けた]
10月19日から22日までギリシャのピレウス港へ寄港しました。
[ロシア海軍北方艦隊のヴィツェ・アドミラル・クラコーフはギリシャのピレウス港を去った]
10月末にシリアのタルトゥース港へ寄港しました。
[ロシア海軍北方艦隊のヴィツェ・アドミラル・クラコーフはシリアのタルトゥース港を去った]
その後、地中海を西へ進み、11月8日にはジブラルタル海峡を通過して大西洋へ入りました。
[ロシア海軍北方艦隊のヴィツェ・アドミラル・クラコーフは地中海を去り、大西洋へ入った]
11月16日にラ・マンシュ海峡を通過して北海へ入りました。
[ロシア海軍北方艦隊の中型海洋給油船アカデミック・パシンと救助曳船アルタイは北海へ入った]
その後、暫くグレートブリテン島北部(スコットランド)のマレー湾(Moray Firth)付近に滞在していました。

大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は12月10日にセヴェロモルスクへ帰投しましたが、「アカデミック・パシン」は、それより1日後にムルマンスクへ帰投しました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフは地中海遠征を終えて母港セヴェロモルスクへ帰投した]
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