ロシア海軍のヤーセン級原子力水中巡洋艦とアドミラル・ゴルシコフ型フリゲートは連携して極超音速ミサイル"ツィルコン"を使用する
- カテゴリ:極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」
『イズベスチヤ』より
2020年12月17日0時1分配信
【全ての「ヤーセン」:潜水艦は「ツィルコン」を敵へ誘導する】
北方艦隊の演習中に原子力潜水艦はプロジェクト「アドミラル・ゴルシコフ」フリゲートとの連携へ取り組む。

国防省は一連の海上演習の実施を予定し、その中で最新の水上艦と潜水艦の連携への取り組みを計画している。
これは、ユニークな原子力潜水艦プロジェクト885「ヤーセン」とプロジェクト22350「アドミラル・ゴルシコフ」フリゲートについての話である。


原子力潜水艦は、「ゴルシコフ」が搭載する極超音速ミサイル「ツィルコン」を目標へ誘導する。
「ヤーセン」は世界で最も静粛かつ危険な潜水艦とみなされている。
大型フリゲートとの結びつきでロシア海軍の能力は急進的に増大する。
[効果的なパートナー]
「ヤーセン」と「アドミラル・シリーズ」フリゲートが参加する数回の合同演習が来年に行なわれると『イズベスチヤ』は軍当局の情報提供者より伝えられた。
演習は、北方艦隊の戦闘訓練プログラムの枠組みで行なわれる。
対談者によると、演習中に艦の管理システムは単一回路へ閉じられる。
潜水艦は仮想敵を探知し、「ツィルコン」発射の為、フリゲートへ目標指示を与える。
次に、(フリゲートは)その遠距離射撃高射ミサイルシステムで潜水艦をカバーする。
このような連携は、気付かれず、敵にとっては完全に不意に、その艦の破壊を可能にする。
以前、北方艦隊司令官アレクサンドル・モイセーエフ中将は、艦隊が最も現代的な風貌の軍事機材を受け取ると言った。
「先ず初めに、これらは、グループの基礎を構成する新たなプロジェクト艦であります」
彼は言った。
プロジェクト22350フリゲートは、現在、建造段階に在る。
シリーズのトップ艦「アドミラル・ゴルシコフ」は既に海軍へ加わっている。
2隻目の「アドミラル・カサトノフ」は国家試験を完了した。
3隻目の「アドミラル・ゴロフコ」は今年5月に進水した。
2021年末までには北方艦隊へ加わると国防省は伝えた。
「アドミラル・イサコフ」は今後2年間で、そして「アドミラル・ユマシェフ」と「アドミラル・スピリドノフ」は2025年~2026年に就役しなければならない。
「アドミラル・シリーズ」の代表は、ロシア海軍で最も強力なものの1つである。
新たな汎用艦載射撃複合体(UKSK)3S-14は、有翼ミサイル「カリブル」と対艦ミサイル「オーニクス」の使用を可能にする。
プロジェクト22350フリゲートは、極超音速ミサイル「ツィルコン」の主要搭載艦となる。
シリーズのトップ艦は、今まさに製品の試験を行なっている。
類似するものを持たない極超音速ミサイルの特性と設計の特徴について知られているのは、ほんの少しである。
幾つかのデータが、今年10月6日に行なわれた最初の複合試験の後に示された。
大統領へ参謀本部総長ワレーリー・ゲラシモフが報告したように、飛翔距離は450キロメートル、高度は28キロメートル、時間は4.5分、速度はマッハ8である。
これらのデータに基づき、専門家は、ミサイルは発射後に成層圏へ出て、目標が在るゾーンへの飛行を行ない、その後、急降下して敵の指定物体の破壊を行なうものと予測した。
[艦の制御]
ミサイルの射程距離とプロジェクト「ヤーセン」潜水艦の静粛性のお陰により、ロシア船員は自身を危険へ晒さずに敵艦を撃沈できる。
元潜水艦艦長のイーゴリ・クルディン1等海佐は『イズベスチヤ』へ話した。

「あらゆるグループの行動は、潜水艦グループであろうと水上艦との合同であろうと、効果的な戦闘任務の遂行を可能にします」
彼は強調した。
「ヤーセンは、水中音響複合体や他の探知手段の助力による優秀な捜索能力を有しています。
これと同時に、原子力潜水艦自体は気付かれないままです。
水上艦は追跡は非常に簡単です。
そして潜水艦は目標を発見し、隠密裏の追跡を確立し、フリゲートへ指示を送る事が出来ます。
このお陰で、敵の火力手段の射程ゾーンへ入らずに、自身の兵器を最大射程で使用できます。
同時に、このミサイル"ツィルコン"は、非常に強力な兵器で、撃墜は余りにも困難であり、実質的にはあらゆる艦の破壊が保証されます」
データを送信しても、原子力潜水艦は敵から隠れたままである。
打撃を与えた後、潜水艦の乗組員は目標が撃破されたかどうかを監視し、必要に応じ、自身の兵器で再度の打撃を与えるとイーゴリ・クルディンは指摘した。
プロジェクト885「ヤーセン」水中艦は、今日において、最も完全な多目的原子力潜水艦である。
現在、北方艦隊には、シリーズのトップ艦1隻~「セヴェロドヴィンスク」が含まれている。
潜水艦の工場試験には3年掛かった~この間に、ミサイル複合体「カリブル」と「オーニクス」も仕上げられた。
近い内に海軍は、数隻の近代化されたプロジェクト885M「ヤーセン-M」多目的艦で強化されなければならない。
これらの原子力潜水艦は、より現代的な基礎要素、更には改善された機器及び材料が用いられている。
このような2隻の潜水艦~「カザン」と「ノヴォシビルスク」は、現在、試験を行なっている。
双方のプロジェクトの潜水艦の設計と建造には、数多くの革新的な解決策が用いられた。
特に、初めて新たな設計が使用された~軽量船体は、騒音を低減する為、強化艦首部分の一部のみを覆っている。
原子炉は、一次冷却回路のパイプラインが原子炉容器内へ配置される技術により作られている。
このような構成により、緊急事態あるいは潜水艦の損傷の場合、事故や乗組員の放射線被被曝の可能性は大幅に減少する。
原子炉は、再装填無しで25年~30年に渡り動作でき、これは原子力潜水艦自体の就役期間に匹敵する。
533mm魚雷発射管は、初めて艦首では無く、中央区画の後ろへ配置されている。

極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」や「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。

[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]

[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]

[ロシア海軍は2019年に55基の超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領する]
科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。
「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。
「ツィルコン」に関しては、ミサイルの名前以外の確たる情報は出ていませんが、射程距離は400~500km程度、飛翔速度はマッハ6以上になるようです。
「ツィルコン」の発射試験は2015年秋頃から始まっています。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]
「ツィルコン」の試験は、アルハンゲリスク州のネノクサ村に在るロシア海軍のミサイル発射試験場で行なわれており、初期には失敗した事も有るようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]



「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれていますが、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]
「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]
これまでに「ツィルコン」は、ネノクサ村のミサイル発射試験場から10回以上の発射試験が行なわれています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は10回以上の発射試験を行なった]
2019年2月20日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、教書演説において極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の開発は順調に進んでいると発言しています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の開発は滞りなく進んでいる]
これまでに地上からの発射試験のみが行なわれていた「ツィルコン」ですが、海上での発射試験は、北方艦隊のプロジェクト22350フリゲートの1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)により行なわれる事になりました。
[ロシア海軍の新たな極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年末にフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"で洋上発射試験を行なう]
「アドミラル・ゴルシコフ」は2019年11月末に「ミサイル兵器」の試験の為、セヴェロドヴィンスクへ移動しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は新型ミサイルの試験を行なう為にセヴェロドヴィンスクへ到着した]
ただ、この時には発射試験は行わず、2019年12月末にセヴェロモルスクへ帰投しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は母港セヴェロモルスクへ帰投した]
2020年1月初頭、「アドミラル・ゴルシコフ」はバレンツ海で「ツィルコン」の発射試験を行ないました。
ミサイルは500キロメートル以上を飛翔し、北ウラルの地上目標へ命中しました。

[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は2020年1月に極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を行なった]
「アドミラル・ゴルシコフ」からの2回目の「ツィルコン」発射試験は、当初は2020年春に実施される予定であり、同艦は2020年4月初頭にセヴェロドヴィンスクへ回航され、「ツィルコン」の運用(発射)に関する部分的な近代化改装が行なわれました。

[ロシア海軍のプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)フリゲートは近代化される]
しかし、発射試験はコロナウイルスの影響により何度も延期されました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海で演習を行なう]
結局、白海で2回目の「ツィルコン」発射試験(海上目標に対しては初)が実行されたのは、2020年10月6日になりました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は海上目標への極超音速ミサイル"ツィルコン"発射試験を行なった]
11月26日、「アドミラル・ゴルシコフ」は白海から3回目の「ツィルコン」発射試験(海上目標に対しては2回目)を実行しました。
公表された動画を見る限り、発射は夜間(おそらくは11月25日深夜~11月26日未明)に実施されたようです。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海からバレンツ海の海上目標へ極超音速ミサイル"ツィルコン"を発射した]
そして12月11日、「アドミラル・ゴルシコフ」は白海からチジャ射爆場の地上目標へ「ツィルコン」発射試験を実行しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海から極超音速ミサイル"ツィルコン"を地上へ発射した]
2021年には、「アドミラル・ゴルシコフ」型フリゲートと「ヤーセン」級原子力水中巡洋艦が連携して「ツィルコン」の発射試験を行ないます。
具体的には、「ヤーセン」級が目標を感知し、そこへフリゲートが「ツィルコン」を発射するようです。
「ツィルコン」の海上での発射試験は2021年末までには完了し、2022年にはロシア海軍の軍備として採用されます。
[極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2021-2022年にロシア海軍へ制式採用される]
「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」と対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」や「オーニクス」と発射機を共有できる)
「ツィルコン」は、ロシア海軍の新世代艦であるプロジェクト22350フリゲート及びプロジェクト22350Mフリゲート、プロジェクト885/885M「ヤーセン」原子力水中巡洋艦に装備されます。
この他、現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」にも装備されます。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフへの兵装の取り付けが始まる]
同様に大規模な近代化改装が行なわれる4隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)は近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備する]
「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。
この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」/「ライカ」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー/ライカ」]
基本的には大型水上艦及び原子力潜水艦に搭載される「ツィルコン」ですが、より小型の艦へ搭載する為の小型ヴァージョンも開発されます。
[ロシア海軍の小型艦の為に極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"軽量化型が開発される]
2020年12月17日0時1分配信
【全ての「ヤーセン」:潜水艦は「ツィルコン」を敵へ誘導する】
北方艦隊の演習中に原子力潜水艦はプロジェクト「アドミラル・ゴルシコフ」フリゲートとの連携へ取り組む。

国防省は一連の海上演習の実施を予定し、その中で最新の水上艦と潜水艦の連携への取り組みを計画している。
これは、ユニークな原子力潜水艦プロジェクト885「ヤーセン」とプロジェクト22350「アドミラル・ゴルシコフ」フリゲートについての話である。


原子力潜水艦は、「ゴルシコフ」が搭載する極超音速ミサイル「ツィルコン」を目標へ誘導する。
「ヤーセン」は世界で最も静粛かつ危険な潜水艦とみなされている。
大型フリゲートとの結びつきでロシア海軍の能力は急進的に増大する。
[効果的なパートナー]
「ヤーセン」と「アドミラル・シリーズ」フリゲートが参加する数回の合同演習が来年に行なわれると『イズベスチヤ』は軍当局の情報提供者より伝えられた。
演習は、北方艦隊の戦闘訓練プログラムの枠組みで行なわれる。
対談者によると、演習中に艦の管理システムは単一回路へ閉じられる。
潜水艦は仮想敵を探知し、「ツィルコン」発射の為、フリゲートへ目標指示を与える。
次に、(フリゲートは)その遠距離射撃高射ミサイルシステムで潜水艦をカバーする。
このような連携は、気付かれず、敵にとっては完全に不意に、その艦の破壊を可能にする。
以前、北方艦隊司令官アレクサンドル・モイセーエフ中将は、艦隊が最も現代的な風貌の軍事機材を受け取ると言った。
「先ず初めに、これらは、グループの基礎を構成する新たなプロジェクト艦であります」
彼は言った。
プロジェクト22350フリゲートは、現在、建造段階に在る。
シリーズのトップ艦「アドミラル・ゴルシコフ」は既に海軍へ加わっている。
2隻目の「アドミラル・カサトノフ」は国家試験を完了した。
3隻目の「アドミラル・ゴロフコ」は今年5月に進水した。
2021年末までには北方艦隊へ加わると国防省は伝えた。
「アドミラル・イサコフ」は今後2年間で、そして「アドミラル・ユマシェフ」と「アドミラル・スピリドノフ」は2025年~2026年に就役しなければならない。
「アドミラル・シリーズ」の代表は、ロシア海軍で最も強力なものの1つである。
新たな汎用艦載射撃複合体(UKSK)3S-14は、有翼ミサイル「カリブル」と対艦ミサイル「オーニクス」の使用を可能にする。
プロジェクト22350フリゲートは、極超音速ミサイル「ツィルコン」の主要搭載艦となる。
シリーズのトップ艦は、今まさに製品の試験を行なっている。
類似するものを持たない極超音速ミサイルの特性と設計の特徴について知られているのは、ほんの少しである。
幾つかのデータが、今年10月6日に行なわれた最初の複合試験の後に示された。
大統領へ参謀本部総長ワレーリー・ゲラシモフが報告したように、飛翔距離は450キロメートル、高度は28キロメートル、時間は4.5分、速度はマッハ8である。
これらのデータに基づき、専門家は、ミサイルは発射後に成層圏へ出て、目標が在るゾーンへの飛行を行ない、その後、急降下して敵の指定物体の破壊を行なうものと予測した。
[艦の制御]
ミサイルの射程距離とプロジェクト「ヤーセン」潜水艦の静粛性のお陰により、ロシア船員は自身を危険へ晒さずに敵艦を撃沈できる。
元潜水艦艦長のイーゴリ・クルディン1等海佐は『イズベスチヤ』へ話した。

「あらゆるグループの行動は、潜水艦グループであろうと水上艦との合同であろうと、効果的な戦闘任務の遂行を可能にします」
彼は強調した。
「ヤーセンは、水中音響複合体や他の探知手段の助力による優秀な捜索能力を有しています。
これと同時に、原子力潜水艦自体は気付かれないままです。
水上艦は追跡は非常に簡単です。
そして潜水艦は目標を発見し、隠密裏の追跡を確立し、フリゲートへ指示を送る事が出来ます。
このお陰で、敵の火力手段の射程ゾーンへ入らずに、自身の兵器を最大射程で使用できます。
同時に、このミサイル"ツィルコン"は、非常に強力な兵器で、撃墜は余りにも困難であり、実質的にはあらゆる艦の破壊が保証されます」
データを送信しても、原子力潜水艦は敵から隠れたままである。
打撃を与えた後、潜水艦の乗組員は目標が撃破されたかどうかを監視し、必要に応じ、自身の兵器で再度の打撃を与えるとイーゴリ・クルディンは指摘した。
プロジェクト885「ヤーセン」水中艦は、今日において、最も完全な多目的原子力潜水艦である。
現在、北方艦隊には、シリーズのトップ艦1隻~「セヴェロドヴィンスク」が含まれている。
潜水艦の工場試験には3年掛かった~この間に、ミサイル複合体「カリブル」と「オーニクス」も仕上げられた。
近い内に海軍は、数隻の近代化されたプロジェクト885M「ヤーセン-M」多目的艦で強化されなければならない。
これらの原子力潜水艦は、より現代的な基礎要素、更には改善された機器及び材料が用いられている。
このような2隻の潜水艦~「カザン」と「ノヴォシビルスク」は、現在、試験を行なっている。
双方のプロジェクトの潜水艦の設計と建造には、数多くの革新的な解決策が用いられた。
特に、初めて新たな設計が使用された~軽量船体は、騒音を低減する為、強化艦首部分の一部のみを覆っている。
原子炉は、一次冷却回路のパイプラインが原子炉容器内へ配置される技術により作られている。
このような構成により、緊急事態あるいは潜水艦の損傷の場合、事故や乗組員の放射線被被曝の可能性は大幅に減少する。
原子炉は、再装填無しで25年~30年に渡り動作でき、これは原子力潜水艦自体の就役期間に匹敵する。
533mm魚雷発射管は、初めて艦首では無く、中央区画の後ろへ配置されている。

極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」や「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。

[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]

[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]

[ロシア海軍は2019年に55基の超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領する]
科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。
「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。
「ツィルコン」に関しては、ミサイルの名前以外の確たる情報は出ていませんが、射程距離は400~500km程度、飛翔速度はマッハ6以上になるようです。
「ツィルコン」の発射試験は2015年秋頃から始まっています。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]
「ツィルコン」の試験は、アルハンゲリスク州のネノクサ村に在るロシア海軍のミサイル発射試験場で行なわれており、初期には失敗した事も有るようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]



「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれていますが、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]
「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]
これまでに「ツィルコン」は、ネノクサ村のミサイル発射試験場から10回以上の発射試験が行なわれています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は10回以上の発射試験を行なった]
2019年2月20日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、教書演説において極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の開発は順調に進んでいると発言しています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の開発は滞りなく進んでいる]
これまでに地上からの発射試験のみが行なわれていた「ツィルコン」ですが、海上での発射試験は、北方艦隊のプロジェクト22350フリゲートの1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)により行なわれる事になりました。
[ロシア海軍の新たな極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年末にフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"で洋上発射試験を行なう]
「アドミラル・ゴルシコフ」は2019年11月末に「ミサイル兵器」の試験の為、セヴェロドヴィンスクへ移動しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は新型ミサイルの試験を行なう為にセヴェロドヴィンスクへ到着した]
ただ、この時には発射試験は行わず、2019年12月末にセヴェロモルスクへ帰投しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は母港セヴェロモルスクへ帰投した]
2020年1月初頭、「アドミラル・ゴルシコフ」はバレンツ海で「ツィルコン」の発射試験を行ないました。
ミサイルは500キロメートル以上を飛翔し、北ウラルの地上目標へ命中しました。

[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は2020年1月に極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を行なった]
「アドミラル・ゴルシコフ」からの2回目の「ツィルコン」発射試験は、当初は2020年春に実施される予定であり、同艦は2020年4月初頭にセヴェロドヴィンスクへ回航され、「ツィルコン」の運用(発射)に関する部分的な近代化改装が行なわれました。

[ロシア海軍のプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)フリゲートは近代化される]
しかし、発射試験はコロナウイルスの影響により何度も延期されました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海で演習を行なう]
結局、白海で2回目の「ツィルコン」発射試験(海上目標に対しては初)が実行されたのは、2020年10月6日になりました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は海上目標への極超音速ミサイル"ツィルコン"発射試験を行なった]
11月26日、「アドミラル・ゴルシコフ」は白海から3回目の「ツィルコン」発射試験(海上目標に対しては2回目)を実行しました。
公表された動画を見る限り、発射は夜間(おそらくは11月25日深夜~11月26日未明)に実施されたようです。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海からバレンツ海の海上目標へ極超音速ミサイル"ツィルコン"を発射した]
そして12月11日、「アドミラル・ゴルシコフ」は白海からチジャ射爆場の地上目標へ「ツィルコン」発射試験を実行しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海から極超音速ミサイル"ツィルコン"を地上へ発射した]
2021年には、「アドミラル・ゴルシコフ」型フリゲートと「ヤーセン」級原子力水中巡洋艦が連携して「ツィルコン」の発射試験を行ないます。
具体的には、「ヤーセン」級が目標を感知し、そこへフリゲートが「ツィルコン」を発射するようです。
「ツィルコン」の海上での発射試験は2021年末までには完了し、2022年にはロシア海軍の軍備として採用されます。
[極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2021-2022年にロシア海軍へ制式採用される]
「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」と対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」や「オーニクス」と発射機を共有できる)
「ツィルコン」は、ロシア海軍の新世代艦であるプロジェクト22350フリゲート及びプロジェクト22350Mフリゲート、プロジェクト885/885M「ヤーセン」原子力水中巡洋艦に装備されます。
この他、現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」にも装備されます。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフへの兵装の取り付けが始まる]
同様に大規模な近代化改装が行なわれる4隻のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍のプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級)は近代化改装により極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"を装備する]
「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。
この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」/「ライカ」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー/ライカ」]
基本的には大型水上艦及び原子力潜水艦に搭載される「ツィルコン」ですが、より小型の艦へ搭載する為の小型ヴァージョンも開発されます。
[ロシア海軍の小型艦の為に極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"軽量化型が開発される]
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- ロシア海軍のヤーセン級原子力水中巡洋艦とアドミラル・ゴルシコフ型フリゲートは連携して極超音速ミサイル"ツィルコン"を使用する
- ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海から極超音速ミサイル"ツィルコン"を地上へ発射した
- ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海からバレンツ海の海上目標へ極超音速ミサイル"ツィルコン"を発射した
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