ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは就役30周年を迎えた
- カテゴリ:重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ



『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年1月20日16時15分配信
【北方艦隊司令官は重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」の艦の記念日に乗組員を祝福した】
本日(1月20日)、北方艦隊司令官アレクサンドル・モイセーエフ大将は、重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」への海軍旗掲揚30周年記念日に捧げられる行事へ参加した。
アレクサンドル・モイセーエフ大将は、巡洋艦の記念日に艦の乗組員と退役将兵を祝福し、ロシア海軍にとって重要な日である事を指摘した。
北方艦隊司令官は、艦が一度ならずロシア海軍で最高となり、地中海及び北大西洋での7回の戦闘勤務及び遠距離航海任務を遂行し、巡洋艦の最初の乗組員により構築された伝統が、現代の世代の船員により支えられ、増大している事を強調した。
「今日において、北方艦隊の航空・防空軍の連合部隊では、航空機Su-33及びMiG-29Kの2個艦上戦闘機連隊が活動し、重航空巡洋艦アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフの主要兵器となっており、既に一度ならずその稀有な戦闘能力を示しております」
アレクサンドル・モイセーエフ大将は話し、近い将来に飛行士は航空巡洋艦の甲板から直接飛行を行なえるようになるという確信を表明した。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの経歴(ロシア国防省公式サイト)]
プロジェクト11435重航空巡洋艦「リガ」は、1982年9月1日に黒海沿岸のニコラエフ南造船所(黒海造船工場)で起工され、1985年12月4日の進水時には「レオニード・ブレジネフ」と改名されていました(1982年11月26日に改名)。
1989年10月から洋上試験が始まり、艦上戦闘機Su-27K、MiG-29K、そして練習機Su-25UTGの発着艦試験も実施されましたが、この時には「トビリシ」と改名されていました(1987年8月11日に改名)。
1990年10月4日には「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」(ソヴィエト連邦海軍元帥クズネツォフ)と改名されました。
1990年12月25日に受領-引渡証書へ署名され、ソ連海軍へ納入されました。
1991年1月20日、重航空巡洋艦「ソヴィエト連邦海軍元帥クズネツォフ」は海軍旗初掲揚式典を開催し、赤旗北方艦隊へ編入、正式にソ連海軍へ就役しました。

この日(海軍旗初掲揚式典の開催日)が「アドミラル・クズネツォフ」の「就役記念日」となります。
1991年12月に黒海沿岸のセヴァストーポリから北方艦隊基地ヴィジャエヴォ(ウラグバ)へ回航されました。
(12月1日出港、12月24日到着)
[エクソダス~空母クズネツォフ回航~(1991年12月)]
[1993年のウラグバ基地]
1994年9月15日には、大西洋上で有翼ミサイル「グラニート」の発射試験を行なっています。
「アドミラル・クズネツォフ」が「グラニート」を発射したのは、これが最初で最後となりました。
重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の最初の遠距離航海が行なわれたのは1995年12月-1996年3月でしたが、帰港後は予算不足で満足に整備も修理も出来ず、以後、2000年代前半までは遠距離航海を行なう事が出来ませんでした。
[第1次地中海遠征(1995年12月8日出港、1996年3月22日帰港)]
そのような状況下にも関わらず、1999年10月には試作艦上戦闘機Su-27KUBの発着艦試験を行なっています。
2000年代初頭に修理が行なわれ、2004年9月20日から11月1日まで大西洋への遠距離航海を実施しました。
[クズネツォフ復帰まで~1990年代末~2004年~]
この時、再び「アドミラル・クズネツォフ」でのSu-27KUBの発着艦試験も行なわれました。
翌2005年8月にも北東大西洋への遠距離航海を行ないました。
2007年12月初頭には12年ぶりの地中海への遠距離航海へ出発しました。
[第2次地中海遠征(2007年12月5日出港、2008年2月3日帰港)]
2008年2月に遠征から戻った後、約7ヶ月間掛けて修理が行なわれました。
『RBK』より
2008年12月8日12時59分配信
【艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」は航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理を完了した】
「アドミラル・クズネツォフ」は2008年11月末頃まで7ヶ月間掛けて第35艦船修理工場で修理が行なわれ、主動力装置(つまり蒸気タービンエンジン)の更新、ボイラー機器、空調システム、航空機用昇降機の修復、ケーブル配線の交換、巡洋艦の各区画の兵装システムの復旧作業が実施されました。
2008年以降も3度に渡り地中海への遠距離航海を行なっています。
[第3次地中海遠征(2008年12月5日出港、2009年3月2日帰港)]
[第4次地中海遠征(2011年12月6日出港、2012年2月16日帰港)]
[第5次地中海遠征(2013年12月17日出港、2014年5月18日帰港)]
第4次地中海遠征の数ヶ月前の2011年8月、1992年に海軍高等学校を卒業して以来、ずっと「アドミラル・クズネツォフ」でのみ勤務していたセルゲイ・アルタモノフ氏が艦長に就任しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ艦長セルゲイ・アルタモノフ]
7度目の遠距離航海の後、「アドミラル・クズネツォフ」は2015年5月-8月にロスリャコヴォの大型浮きドックPD-50へ入渠し、普段は海水に浸かっている艦底部分(吃水線から下の部分)の修復作業が行なわれました。

[ロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフは浮きドックを出る]
2016年初頭から9月までムルマンスクの第35艦船修理工場でオーバーホールと部分的な近代化改装が行なわれました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは2016年9月末に新型艦上戦闘機MiG-29K/KUBを運用する為の改修を終える]

2016年10月15日に出航し、翌2017年2月8日に帰投した通算6回目の地中海遠征においては、初めて艦載機によるシリアのテロ組織への空爆を行ないました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第6次地中海遠征(2016年10月-2017年2月)]
「アドミラル・クズネツォフ」航空隊は、2016年11月8日から2017年1月6日までの約2ヶ月間に、420回の戦闘飛行(内117回は夜間)と、750回の捜索救助、航空輸送支援の為の飛行を行ない、シリア領内のテロ組織の施設1252を破壊しました。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフの艦上戦闘機Su-33とMiG-29K/KUBは2016年11月~2017年1月にシリア領内のテロ組織を空爆した]
シリア沖への遠距離航海から1年後、2018年2月23日の「祖国防衛者の日」にクレムリン宮殿で開催された国家表彰授与式において、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは、「アドミラル・クズネツォフ」へウシャコーフ勲章を授与しました。

『タス通信』より
2018年2月23日14時24分配信
【プーチンは祖国防衛者の日に国家表彰を授与した】
これまで先送りされていた「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は、ムルマンスクの第35艦船修理工場で2018年4月末に始まりました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]
2019年2月末、「アドミラル・クズネツォフ」の艦長は交代し、副長ヤロスラフ・アダモフ氏が艦長に昇格しました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの艦長は交代した]
工事中、2度の大事故(2018年10月30日の大型浮きドックPD-50の沈没、2019年12月12日の火災事故)に遭いましたが、工事は続行されています。

そして2021年1月20日、「アドミラル・クズネツォフ」は就役30周年を迎えました。
現在の「アドミラル・クズネツォフ」の艦載機は、艦上戦闘機Su-33を装備するスモレンスク赤旗授与・ソ連邦英雄2度受賞ボリス・サフォーノフ記念第279独立艦上戦闘機航空連隊と、艦上戦闘機MiG-29K/KUBを装備する第100独立艦上戦闘機航空連隊が中核となっており、この他に対潜ヘリコプターKa-27、早期警戒ヘリコプターKa-31、捜索救助ヘリコプターKa-27PS(第830独立艦上対潜ヘリコプター連隊所属)を搭載しています。
現在の所、「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装は2022年末の完了が予定されています。
今回の近代化により「アドミラル・クズネツォフ」の寿命は20年以上延長され、少なくとも2040年代初頭までは現役に留まる事になります。
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