ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2021年に完了する
- カテゴリ:プロジェクト877潜水艦(キロ級)


『タス通信』より
2021年1月26日0時11分配信
【黒海艦隊の潜水艦「アルローサ」の修理は2021年の完了が計画されている】
セヴァストーポリ、1月25日/タス通信
セヴァストーポリの黒海艦隊・第13艦船修理工場の専門家は、2021年に潜水艦「アルローサ」の工事完了を計画している。
『タス通信』は月曜日に同社の代理人より伝えられた。
第13艦船修理工場の代理人によると、現在、潜水艦「アルローサ」の技術的準備状態は80パーセントであり、潜水艦は近代化の要素を伴う修理を行なっている。
対談者が説明したように、多くの要因が修理の進行に影響した事により、工場での作業終了の正確な時期を告げる準備は出来ていないが、これは「近い将来に行なわれ、計画では今年中です」
彼は更に、プロジェクト1239のトップ艦~エアクッション小型ロケット艦「ボラ」の準備は91パーセント完了したと付け加えた。

今年には施設での作業の完了が計画されている。
艦の修理は2019年に始まった。
その特殊性が故に、特別に高度な訓練を受けた専門家が必要であり、特別な方法と材料を必要とした。
工場広報サービスによると、現在、第13艦船修理工場の専門家は、警備艦「ラードヌイ」、大型揚陸艦「オルスク」、「ヤーマル」、「アゾフ」を含む45の施設で作業を行なっている。
2021~2022年の工場の為の発注は、ロシア連邦国防省と締結した国家契約により提供される。
[ブラックホール]
実際の潜水艦基地の展示複合物が在るセヴァストーポリ要塞建造物博物館の館長ユーリー・タタリエフは、潜水艦「アルローサ」はゴーリキー市(現ニジニ・ノヴゴロド)の工場『クラースノエ・ソルモヴォ』で、ソヴィエト社会主義共和国連邦崩壊の直前に建造され、実験プロジェクト877に属すると『タス通信』へ話した。

その特徴は、スクリューの代わりに噴水推進エンジンが設置された事に在る。
「この時期、科学者は噴水推進エンジンに従事しており、この方向性は適切でした。
アルローサが作成された時、これを原子力潜水艦に設置する可能性が研究されました。
これは、潜水艦の隠密性~主要な戦術特性~にとっては、最も静粛なエンジンです。
海外からは(噴水推進エンジンを持つ潜水艦は)ブラックホールと呼ばれており、潜水艦は、事実上聞こえません」
タタリエフは説明した。
彼はソヴィエト連邦崩壊直後、「アルローサ」は黒海で唯一戦闘準備の整ったロシア連邦の潜水艦であり続けた事を指摘した。
この状況は、2014年のロシアへのクリミア復帰後の黒海艦隊の再軍備まで維持された。
「潜水艦は全ての戦闘演習任務へ積極的に参加し、魚雷訓練で一度ならず海軍総司令官の賞を獲得し、地中海で一度ならず任務を遂行し、国際演習へ参加しました。
結構な事に、乗組員には多くのやるべきことが有ります」
対談者は付け加えた。
プロジェクト877V潜水艦B-871は、ロシア内陸部のゴーリキー(現ニジニー・ノヴゴロド)のクラースノエ・ソルモヴォ造船所で1988年5月17日に起工され、1989年9月10日に進水し、1990年12月30日に就役し、黒海艦隊へ配備されました。
プロジェクト877Vは、試験的に艦尾にポンプジェットを装備した実験艦です。

1991年12月から1992年3月まで戦闘勤務を行ないましたが、1992年3月13日に乗組員の一部がウクライナへ忠誠を誓い、機関室を占拠して潜水艦の乗っ取りを試みました。
乗っ取りの試みは阻止されたものの、ソ連邦解体後のロシア・ウクライナ間の黒海艦隊分割・帰属問題も有り、更にはバッテリーの不調も有って1992年から1996年までは殆ど動きませんでした。
ただし、1996年2月10日公開のジャッキー・チェン主演の映画「First Strike」(ファイナル・プロジェクト)には、B-871が「出演」しています。
0:45から登場する潜水艦がB-871です。
1996年5月22日にバッテリーの交換を完了し、ようやく動けるようになりました。

2004年1月5日に「アルローサ」と命名されました。
「アルローサ」は、ロシアの宝石会社です。
【『アルローサ』公式サイト】
2011年6月にスペイン沖で実施された国際海軍演習『ボールド・モナーク-2011』に参加しました。
その後、2011年7月から2012年7月までバルト海沿岸のクロンシュタットで修理され、2012年9月にセヴァストーポリへ戻りました。
[ポンプジェット潜水艦アルローサは黒海へ戻る]
[ポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリへ戻った]


2014年6月にセヴァストーポリの第13艦船修理工場(黒海艦隊直営)で修理及び近代化が始まりました。

[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは近代化改装を行なう]
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサは近代化改装を行なっている]
「アルローサ」の近代化改装作業の完了時期は何度も延期され、2017年末の完了予定も実現しませんでした。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサの近代化改装は2017年に完了する]
2014年から2016年に掛け、黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦6隻が就役した為、黒海艦隊にとっては、「アルローサ」の復帰を急ぐ必要性は無くなっています。
[プロジェクト06363潜水艦]
黒海艦隊では持て余されている「アルローサ」ですが、今度はバルト艦隊へ転属させるという話が出てきました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはバルト艦隊へ転属する]
『第13艦船修理工場』の岸壁に係留されていた「アルローサ」でしたが、2019年5月末に同社の浮きドックへ入りました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリの浮きドックへ入った]

「アルローサ」の近代化改装作業の完了は2019年に予定されていましたが、またも延期されました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2019年に完了する]
現在の所、「アルローサ」の近代化改装作業は、2021年中の完了が予定されています。
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