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ロシア海軍の為に4隻のアカデミック・パシン型給油船(補給艦)が建造される

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『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2021年3月16日11時0分配信
【海軍の為に更なる3隻のプロジェクト23130給油船が建造される】

ロシア海軍の為に、更なる3隻のプロジェクト23130中型海洋給油船が建造される。
『クラースナヤ・ズヴェズダー』のインタビューでロシア連邦国防省輸送支援部の補助艦隊のチーフ、セルゲイ・エピファノフ1等海佐が述べたように、然るべき契約は2020年に署名された。

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彼によると、給油船の最初の生産船は「ワシーリー・ニキーチン」の名を受ける。
この船の建造開始及び完了時期をセルゲイ・エピファノフは明らかにしなかった。

プロジェクト23130中型海洋給油船のトップ「アカデミック・パシン」『ネヴァ川造船・修理工場』で建造され、2020年1月に海軍へ引き渡された事が想い起こされる。
この時、セルゲイ・エピファノフは、更なる5隻のこのような船の発注を計画していると述べたが、シリーズの建造時期については言わなかった。

その後、『イズベスチヤ』ロシア連邦国防省の情報筋は、2028年に北極で6隻のプロジェクト23130給油船から成る補助艦隊の作成が計画されていると話した。

プロジェクト23130給油船は貨物タンク区画の二重船体を持つ単一甲板船であり、北方緯度での航行が可能である。
船は、戦闘艦の為の燃料、航空燃料、食料品の移送の為に意図されている。
航続距離は9000海里であり、主な任務の1つは、航空艦への随伴であると言われている。

「アカデミック・パシン」は、係留される事無く、海上で並行貨物移送システムにより他の船或いは艦へ数種類の液体貨物:ディーゼル燃料(軽油)、重油、ケロシン(航空燃料)、潤滑油、水の移送あるいは受け入れ、更には乾燥貨物(食料、用具、技術資産)の受入、保管、輸送及び移送の為に意図されている。

プロジェクト23130給油船の全長は130メートル、幅約21メートル、最大速力16ノット、自立航行期間60日、乗組員24名。



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『ネヴァ川造船・修理工場』公式サイトより
【中型給油船プロジェクト23130】

ロシア海軍の為の新たな中型海洋給油船・プロジェクト23130は、2013年5月に建造所を決める為の入札の公募が発表されました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)が建造される]

その結果、サンクトペテルブルク近郊のシュリッセリブルク市に在る『ネヴァ川造船・修理工場』で建造される事になり、2013年11月に建造契約が締結され、2014年2月末にはプレートカットが始まりました。
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[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)プロジェクト23130のプレートカットが始まる]

プロジェクト23130中型給油船の1番船「アカデミック・パシン」は、2014年4月26日に『ネヴァ川造船・修理工場』で起工されました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは起工された]

2年後の2016年5月26日に進水しました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは進水した]

進水後は、造船所の岸壁で艤装工事が進められていました。

2018年3月初頭の「アカデミック・パシン」
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そして2018年5月18日、シュリッセリブルク市のすぐ近くのラドガ湖で航行試験を開始しました。
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[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンの航行試験が始まった]

2018年8月には洋上補給システムの試験が行なわれました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンは洋上補給システムの試験を続けている]

「アカデミック・パシン」ラドガ湖での試験は完了し、2018年9月11日にクロンシュタットへ到着しました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはクロンシュタットへ行く]

2018年9月29日にクロンシュタットを出航し、フィンランド湾での試験を開始しました。



当局からの発表は有りませんが、2018年6月20日に就役し、10月22日に北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着した最新の大型揚陸艦「イワン・グレン」(135)がバルト海に居た頃、「アカデミック・パシン」から洋上補給を受けた事も有りました。
双方の行動履歴から見て、おそらくは2018年10月初頭あたりでしょう。
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[ロシア海軍の最新鋭大型揚陸艦イワン・グレンは北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着した]

フィンランド湾での試験を終えた「アカデミック・パシン」は、2018年11月初頭にバルチースクへ移動しました。
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その後、バルチースクをベースにバルト海で洋上試験を行なっていました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンの洋上試験は最終段階へ入る]

2019年1月中旬には、バルト海に居た北方艦隊偵察艦「ユーリー・イワノフ」への洋上給油を行なったようです。
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[ロシア海軍北方艦隊の最新偵察艦ユーリー・イワノフは長期任務を終えてセヴェロモルスクへ帰投した]

2019年1月下旬、バルト艦隊航空隊艦載ヘリコプターKa-27PSが協力し、ヘリコプターによる船上への貨物移送試験が実施されました。
[ロシア海軍の為の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはヘリコプターによる船上への貨物移送試験を行なった]

その後もバルト海で洋上試験は続けられ、6月4日には、同じくバルト海で洋上試験中のプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・カサトノフ」への洋上給油を行ないました。
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[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバルト海で最新鋭フリゲート"アドミラル・カサトノフ"への洋上給油を行なった]

7月初頭までに「アカデミック・パシン」ヘリコプターによる船上への貨物移送試験を完了しました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはヘリコプターによる物資補給試験を完了した]

その後、「アカデミック・パシン」バルチースクを出航し、ムルマンスクへ向かい、7月16日に到着しました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはムルマンスクへ行く]

『MarineTraffic.com』より
【アカデミック・パシン】

2019年8月23日の「アカデミック・パシン」
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その後もバレンツ海で洋上試験は続けられ、10月18日~19日に重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」への洋上補給(貨物移送)を行ないました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバレンツ海で重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーへの洋上補給を行なった]
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「アカデミック・パシン」の洋上試験は12月中旬頃に完了しました。
[ロシア海軍の新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはバレンツ海での洋上試験を完了する]

2020年1月21日、北方艦隊基地セヴェロモルスクで、「アカデミック・パシン」の海軍旗初掲揚式典が開催され、正式にロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入されました。

[新型給油船(補給艦)アカデミック・パシンはロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入された]

1982年9月末に就役したプロジェクトREF-675中型海洋給油船「ヴャジマ」以来、実に38年ぶりの新造給油船となりました。
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2020年8月~12月には初の地中海への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の中型海洋給油船アカデミック・パシンは地中海遠征を終えて母港ムルマンスクへ帰投した]


以前には、「アカデミック・パシン」を含め合計6隻のプロジェクト23130中型海洋給油船の建造が計画されていましたが、2020年の契約では、3隻のプロジェクト23130中型海洋給油船しか発注されていないようです。
(つまり、「アカデミック・パシン」を含めれば合計4隻)
[ロシア海軍の為に6隻のアカデミック・パシン型給油船(補給艦)が建造される]
[6隻のアカデミック・パシン型給油船(補給艦)がロシア海軍北方艦隊へ配備される]

未だ起工時期は明らかにされていませんが、23130の2番船は「ワシーリー・ニキーチン」と命名されます。
船名の由来は、おそらくはソヴィエト連邦軍の燃料サービス部門の責任者を務めたワシーリー・ニキーチン大将(1914年11月12日~1994年8月3日)でしょう。
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