ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは深海調査用小型原子力潜水艦を搭載する
- カテゴリ:ロシア海軍の特務原潜


『タス通信』より
2021年3月27日9時2分配信
【情報筋:潜水艦「ベルゴロド」は深海調査の為の装置AS-15を搭載できる】
モスクワ、3月27日/タス通信
プロジェクト09852特殊用途原子力潜水艦「ベルゴロド」は、原子力無人水中装置「ポセイドン」に加え、原子力深海ステーションAS-15を搭載できる。
『タス通信』は防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「原子力深海ステーションAS-15は、修理及び近代化が行なわれています。
深度3キロメートルで動作可能なステーションAS-15の搭載艦として、原子力潜水艦ベルゴロドが予定されています」
彼は話した。
この装置の修理及び近代化を行なっている艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』(『統合造船業営団』へ加入)は、この情報について『タス通信』へコメントしなかった。
公開情報源によると、AS-15は第2のプロジェクト1910「カシャロート」特殊潜水艦である。
ステーションは1983年2月23日にレニングラード・アドミラルティ合同(現『アドミラルティ造船所』)で起工され、1991年12月30日に軍当局へ引き渡された。


AS-15は、2000年に沈没した潜水艦「クルスク」の捜索・救助活動へ参加した4隻の番号ASの内の1隻である。
2013年からAS-15は『ズヴェズドーチカ』で修理待ち状態に在った。
2020年、原子炉の炉心を降ろす操作が行なわれると報じられた。
以前、『タス通信』の情報筋は、潜水艦「ベルゴロド」の国家試験は今年5月に始まると述べた。

プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII)原子力水中巡洋艦K-329「ベルゴロド」は、1992年7月24日にセヴェロドヴィンスク市の生産合同『北方機械製造事業』(セヴマシュ)で起工されましたが、2006年に完成度80パーセント程度で建造工事は凍結されました。
[オスカーII型原潜最終艦、建造中止?]
[未完のオスカーII型原潜ベルゴロド]
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」の建造は停止される]
その後、「ベルゴロド」は特殊用途原潜へ改造されることになりました。
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」は特殊作戦母艦として完成する]
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」は完成する]

2012年12月20日、「ベルゴロド」は、原子力調査潜水艦プロジェクト09582として、『セヴマシュ』で改めて「起工」されました。
[調査原潜プロジェクト09852は起工された]

当初、「ベルゴロド」は、2018年末までにロシア海軍へ引き渡される予定でしたが、その後、引き渡しは延期され、2018年末までの進水予定も実現しませんでした。
[原子力科学調査潜水艦ベルゴロドは2018年にロシア海軍へ引き渡される]
[ロシア海軍の為の原子力科学調査潜水艦ベルゴロドは2018年末までに進水する]
「ベルゴロド」は、無人潜水艇「クラヴェシン-2」などの有人或いは無人の各種潜水艇を搭載します。
[ロシア海軍の新型無人潜水艇クラヴェシン-2の試験はクリミア半島のフェオドシヤで行なわれている]
この他、現在開発中の大洋多目的システム「ポセイドン」(深海原子力無人機)の搭載母艦としての役割も果たします。
[大洋多目的システム「ポセイドン」]
2019年4月23日、「ベルゴロド」は『セヴマシュ』で進水しました。
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは進水した]
「ベルゴロド」は、2020年にロシア海軍への引き渡しが予定されていました。
[特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは2020年6月に洋上試験を開始し、同年9月にロシア海軍へ引き渡される]
しかし、コロナウイルス流行による遅延(『セヴマシュ』でも感染者が出た)などの理由により、2020年中に洋上試験を開始する事すら実現できず、引き渡しは2021年に延期される事になりました
[セヴェロドヴィンスク造船所で建造されている特殊用途原子力潜水艦ベルゴロド、原子力水中巡洋艦カザンとノヴォシビルスク、戦略用途原子力水中巡洋艦クニャージ・オレグは2021年にロシア海軍へ就役する]
「ベルゴロド」の航行試験は、白海の解氷が予想される2021年5月以降に始まります。
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは洋上試験の準備を進めている]
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドの洋上試験は2021年5月に始まる]

「ベルゴロド」は、「ポセイドン」を含む各種無人潜水艇の他に、「原子力深海ステーション」、即ち深海調査用の小型特務原子力潜水艦も搭載できます。

プロジェクト1910「カシャロート」(NATOコード名「ユニフォーム」)原子力深海ステーションAS-15は、レニングラード(現サンクトペテルブルク)の『アドミラルティ造船所』で1983年2月23日に起工され、1988年4月29日に進水、1991年12月30日にロシア海軍へ納入されました。

2005年にセヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』へ回航され、修理と近代化が始まりました。
作業は停滞しておりましたが、2020年秋以降に原子炉の炉心が降ろされ、本格的に作業が始まりました。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31(ロシャリク)の修理作業は2021年に延期された]
AS-15の修理・近代化改装の完了時期は未だ明らかにされていませんが、復帰後は「ベルゴロド」が母艦になるようです。
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