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近代化改装された大型対潜艦改めフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は2021年5月にロシア海軍太平洋艦隊へ復帰する

『イズベスチヤ』より
2021年3月24日19時28分配信
【元帥のジェスチャー:近代化されたフリゲートは太平洋艦隊へ補充される】

かつての対潜艦は強力な打撃兵装を装備する。
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5月にはフリゲート「マルシャル・シャーポシニコフ」は、2016年に始まった近代化を完了し、戦闘当直へ就く事が出来るだろう。
近い内に、その乗組員は全ての標準兵装の練習射撃を行なう。
かつての大型対潜艦は、有翼ミサイル「オーニクス」「カリブル」、そして更に極超音速の「ツィルコン」の搭載艦となる。
更新された戦闘ユニットは、アジア-太平洋地域、北極及び中近東の沿岸での行動の為に必要であると専門家は考えている。

[就役]
現在、艦は必要な試験を完了しており、5月には太平洋艦隊の一員として戦闘当直へ就く事が出来ると『イズベスチヤ』軍当局の情報提供者より伝えられた。
近代化の後の「マルシャル・シャーポシニコフ」は、兵装特性が抜本的に変化したが故に公式にフリゲートへ再分類される。

以前、太平洋艦隊司令官セルゲイ・アヴァキャンツは、フリゲート対潜艦及び高精度有翼ミサイル搭載艦の能力が組み合わされると語った。

その航行試験は、昨年7月に始まった。
12月末には工場点検の完全なサイクルが終了した。
この為、「シャーポシニコフ」は数回海上へ出航し、標準兵器の射撃を実施した。

3月に国防省広報サービスは、フリゲートが第2錬成任務K-2を遂行すると伝えた。
太平洋艦隊の他の艦と合同で、その乗組員はピョートル大帝湾潜水艦を破壊する訓練を行なった。

「このような艦の為、地域での多くの任務が考えられます」
軍事専門家ワシーリー・カシン『イズベスチヤ』へ話した。
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「太平洋艦隊は、多くの積極的活動へ参加しています:中国や他の国との合同演習、アジア-太平洋地域諸国の港への訪問、インド洋への航海。
最近まで、この為の艦は足りず、時には合同演習が中止される事さえ有りました。
今、これらの機能は近代化されるフリゲートが獲得し、将来的には、太平洋艦隊の為に建造されるプロジェクト22350艦が到来します。
マルシャル・シャーポシニコフは、艦上に強力な水中音響複合体、高精度兵器を搭載します。
その良好な航行性能とメカニズムの信頼性は、遠距離航海を成し遂げる事を可能にします。
必要ならば、海賊との戦いへ参加し、ソマリア沿岸へ行き、或いはシリアでロシアの存在を保障する事も出来ます」

[汎用のマルシャル(元帥)]

この5年間で艦は根本的に近代化された。
新たなフリゲートの主砲は完全に改正された。
ソヴィエト時代のプロジェクト1155大型対潜艦は、強力かつ多くの対潜兵器を搭載していた~ミサイル、魚雷、噴射推進爆弾
しかし、沿岸及び水上目標を攻撃するものは、砲装置しか無かった。
海上で対潜艦は、打撃複合体と強力な対空防衛システムを持つプロジェクト956「ソブレメンヌイ」駆逐艦へ随伴し、カバーする為に計画された。
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更新された「マルシャル・シャーポシニコフ」は、自立戦闘ユニットとなった。
それは、16基のミサイルを垂直発射する汎用発射装置3S-14を受け取った。
そこには、様々な対艦及び対潜弾、更には地上目標攻撃の為の有翼の「カリブル」を組み合わせて装填できる。
将来的には、現代の対空防衛手段では迎撃できない極超音速の「ツィルコン」も使用できる。

汎用発射機を補完する為、8基の独立した対艦ミサイルKh-35「ウラン」が据え付けられている。
これらは多数の「カリブル」或いは「ツィルコン」の為にセルを自由にすることを可能にする。
2基の砲は、1基のより正確かつ速射の口径100mmのA-190砲塔と交換された。

近代化が終わると同時に「シャーポシニコフ」は、2500キロメートルまでの地上目標と、420キロメートルまでの艦を撃破できる。
フリゲートの対空兵器は多少は改善される。
それは設置されている高射ミサイル複合体「キンジャール」である。
これは、空中目標への攻撃距離の増加を可能にした:18キロメートル、高度10キロメートルまで。

作業は兵装に限られていない。
艦船修理工場は、艦の上部構造物の20パーセントを交換した。
船体の修理が行なわれた。
通信及び制御装置は更新された。
動力装置コンポーネントの一部は交換され、潜水艦を探知する為、より強力な水中音響複合体が追加された。

[移動ユニット]
ソヴィエト社会主義共和国連邦
で建造された大型対潜艦の近代化は、2016年から株式会社・艦船修理センター『ダーリザヴォード』で続けられた。
ドックへ置かれる前、「マルシャル・シャーポシニコフ」は、定期的に遠距離航海や紛争地点に在った。

1990年代初頭、「シャーポシニコフ」エチオピアからソヴィエト市民を避難させ、ペルシャ湾第1次湾岸戦争の当事者の行動に関する情報を収集した。
2010年、大型対潜艦は数ヶ月間アデン湾をパトロールし、民間船舶航行保護の為の国際作戦へ参加した。
配置されていた海軍歩兵隊員は、ソマリア海賊により乗っ取られたロシア人が乗るタンカー「モスクワ大学」を解放した。
その後も大型対潜艦は、この問題のある地域で何度も当直に就いた。

近代化の後、「マルシャル・シャーポシニコフ」は、元のプロジェクト1155の高い航行特性を保持し、ロシア沿岸から遠く離れて行動できる。
同時に、その打撃兵装により、ロシア海軍で最も強力な艦の1つとなる。

「シャーポシニコフ」の後、他のプロジェクト1155大型対潜艦が近代化されると予測される。
最初の候補は、太平洋艦隊「アドミラル・ヴィノグラードフ」になる。
それは追加して対空兵装が強化され、高射複合体「シチーリ-1」或いは「パーンツィリ-M」が設置され、更にはレーダー一式が完全に更新される。



プロジェクト1155大型対潜艦の8番艦「マルシャル・シャーポシニコフ」は、1983年5月25日にカリーニングラード沿バルト造船工場『ヤンターリ』で起工され、1984年12月27日に進水し、1985年12月30日にソ連海軍へ納入されました。
1986年2月2日に太平洋艦隊へ編入され、正式に就役しました。
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1987年10月1日から12月26日まで太平洋艦隊基地への移動航海を行ないました。
この間、モザンビーク、ルアンダ、セーシェル諸島、インド、ベトナムを訪問しました。

1988年7月14日から1989年2月13日までペルシャ湾で行動し、41隻の船を護送しました。
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1990年にはエチオピアからソ連民間人を避難させ、この間にアブダビアデンへ寄港しました。
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1990年8月14日から18日まで朝鮮共和国ウォンサン(元山)港を訪問しました。

1990年12月15日から1991年8月30日までペルシャ湾で行動し、この間にアブダビアデンへ寄港しました。
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1992年11月から1994年4月までウラジオストク艦船修理工場『ダーリザヴォード』でオーバーホールが行なわれました。

2003年4月16日にウラジオストクを出航し、5月にインド洋黒海艦隊の艦船と合同演習を行ない、その後、インドを訪問しました。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その1・太平洋艦隊のウダロイ級大型対潜艦]

2003年10月にはハワイ真珠湾を訪問しました。
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2004年8月30日から9月30日まで日本を訪問し、9月4日には日本海上自衛隊と捜索救助合同演習を行ないました。

2005年8月には中国青島港を訪問しました。

2006年3月にはグアム島を訪問しています。
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2008年9月15日から17日まで日本海で実弾射撃訓練を行ない、帰投した直後に火災事故が発生しました。
[大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフで火災発生 ]

2009年3月に修理を完了し、艦隊へ復帰しました。

「マルシャル・シャーポシニコフ」は、これまでに3度に渡りアデン湾海賊対処任務へ就いており、1度目は2010年2月24日に出港しています。
[大型対潜艦「シャーポシニコフ元帥」支隊はソマリアへ出発した]

アデン湾到着後の「マルシャル・シャーポシニコフ」艦内で打ち合わせを行なうロシア海軍海賊対処部隊幹部とアメリカ及びシンガポール海軍アデン湾派遣部隊指揮官
(2010年4月8日)
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2010年5月6日、ソマリア海賊に乗っ取られたロシアタンカー「モスクワ大学」を解放しました。
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【ソマリア海賊:露タンカー乗っ取り 翌日に解放】
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『ロシア通信社ノーボスチ』情報グラフィックより。
2012年5月7日配信
【乗っ取られたタンカー「モスクワ大学」の突入解放作戦】

この時のロシア海軍海賊対処部隊指揮官は、第44対潜艦旅団司令官イリダル・アフメロフ1等海佐でした。
[ソマリア海賊対処部隊指揮官イリダル・アフメロフの華麗な戦歴]

タンカー「モスクワ大学」を乗っ取ろうとしたソマリア海賊は1名が射殺され、10名が拘束されました。
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しかし、拘束された10名も、ボートに乗せられて海上へ放逐され、その後、死亡しました。
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結果的に、「モスクワ大学」を襲撃したソマリア海賊は、11名全てが死亡しました。
[アデン湾における大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフの活躍を描いた映画が撮影される]
「マルシャル・シャーポシニコフ」は2010年6月25日に帰投しました。

2012年4月下旬に黄海で実施されたロシア-中国海軍合同演習『海洋協同-2012』へ参加しました。
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2012」(2012年4月)]

2012年11月2日から2013年4月21日まで遠距離航海を行ない、2度目のアデン湾海賊対処任務に就きました。
[ロシア太平洋艦隊アデン湾派遣部隊はウラジオストクへ戻った]

2014年3月中旬から7月初頭までインド洋への遠距離航海を行ない、この間に3度目のアデン湾海賊対処任務を遂行しました。
[ロシア太平洋艦隊インド洋遠征(2014年3月-7月)]
2014年10月から12月までオーストラリア沖への遠距離航海を行ないました。
[オーストラリア沖へ行ったロシア海軍太平洋艦隊の軍艦はウラジオストクへ帰ってきた]

2015年3月下旬から4月上旬まで日本海で演習を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は日本海で演習を行なう]
[ロシア海軍太平洋艦隊は演習を実施した]

2015年6月下旬から7月初頭にオホーツク海で実施された演習へ参加しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はオホーツク海で対潜演習を実施した]
[ロシア海軍太平洋艦隊の『決闘』演習がオホーツク海で行なわれた]

2015年10月26日に宗谷海峡を東進し、11月16日に同海峡を西進したのを最後に、洋上での活動は見られなくなりました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2015年10月26日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について】

『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2015年11月16日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について】


2016年春からウラジオストク艦船修理工場『ダーリザヴォード』で近代化改装工事が始まりました。
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2基の「ラストルブ」対潜ミサイル4連装発射筒AK-100 100mm単装砲2番砲塔、ガスタービンエンジンなどが撤去されました。

ガスタービンエンジン『クロンシュタット海洋工場』へ送られ、修復されました。
[クロンシュタット海洋工場はロシア海軍の全ての艦艇用ガスタービンエンジンを修理する]

「マルシャル・シャーポシニコフ」は、近代化改装により対艦ミサイル「ウラン」を装備する事になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフは近代化改装によりウラン対艦ミサイルを装備する]

近代化改装開始から1年以上経った2017年8月には、「マルシャル・シャーポシニコフ」の為に、有翼ミサイル「カリブル」用の垂直発射機3S-14も発注された事が明らかになりました。
ブログ『BMPD』より
2017年8月19日配信
【大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」の近代化で2基の汎用垂直発射装置3S-14モジュールが設置される】
(つまり、当初は「ウラン」対艦ミサイルのみを装備するつもりだったが、その後、「カリブル」も装備する事になった)

「ウラン」4連装発射筒(3R-60U)「ラストルブ」対潜ミサイル4連装発射筒の在った場所に、3S-14発射機100mm単装砲2番砲塔の在った場所に設置されました。
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2018年2月16日、「マルシャル・シャーポシニコフ」で、溶接作業中に木製足場へ引火した事により火災が発生しました。

[ウラジオストクで近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフで火災が発生した]

その後、『ダーリザヴォード』の乾ドックへ入渠しました。
[近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦マルシャル・シャーポシニコフ近影(2018年7月11日)]

2019年11月13日までに乾ドックを出ました。
[近代化改装中のロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート(大型対潜艦)マルシャル・シャーポシニコフはウラジオストクの乾ドックを出た]

その後、『ダーリザヴォード』の岸壁で艤装工事が進められました。


「マルシャル・シャーポシニコフ」AK-100 100mm砲の1番砲塔も撤去され、代わりにロシア海軍の新世代水上艦にも装備されているA-190-01「ウニヴェルサール」100mm単装砲が設置されました。

[近代化改装されるロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は新たな100mm砲を得る]

更に、最新の高射ミサイル-砲複合体「パーンツィリ」の装備も検討されています。
(未だ実際に装備はされていませんが )
[近代化されるロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は最新高射ミサイル-砲複合体パーンツィリ-Mを装備する]

2020年7月10日、「マルシャル・シャーポシニコフ」は、最初の洋上試験を開始しました。
[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は日本海で洋上試験を開始した]


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その後、一旦ウラジオストクへ戻り、8月13日には再び洋上試験の為に出航しました。
[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は日本海で洋上試験を続ける]

9月15日、太平洋艦隊司令官セルゲイ・アヴァキャンツ大将「マルシャル・シャーポシニコフ」を視察しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊司令官は近代化改装されたフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"を視察した]

10月19日、「マルシャル・シャーポシニコフ」は工場航行試験の第2段階を実行する為にウラジオストクを抜錨し、日本海へ出航しました。

[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は洋上試験の第2段階実施の為に日本海へ出航した]

その後、ウラジオストクへ帰投し、11月6日には艦船修理工場『ダーリザヴォード』の乾ドックへ入渠しました。
[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は最終洋上試験の準備の為にドックへ入った]


兵装の試験を行なう為、12月15日に出航しました。
[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は兵装試験を行なう為、日本海へ出航した]

12月24日、A-190-01 100mm単装砲対艦ミサイル「ウラン」の発射試験を行ないました。

[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は日本海でA-190-01 100mm砲と対艦ミサイル"ウラン"の発射試験を行なった]

12月28日に再び対艦ミサイル「ウラン」を発射しました。

[近代化改装されたロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"は日本海で再び対艦ミサイル"ウラン"を発射した]

「マルシャル・シャーポシニコフ」は、2021年1月から港内に停泊した状態で乗組員の各種訓練~第1錬成任務K-1を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"はウラジオストク港内で乗組員の錬成訓練を行なった]

2021年3月には海上での乗組員の各種訓練~第2錬成任務K-2へ移行し、3月4日には他の太平洋艦隊の水上艦と共にピョートル大帝湾で対潜戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグ、フリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"、大型対潜艦アドミラル・トリブツはピョートル大帝湾で対潜戦闘訓練を行なった]

「マルシャル・シャーポシニコフ」が正式に太平洋艦隊へ復帰するのは2021年5月になります。

近代化改装後の「マルシャル・シャーポシニコフ」は、大型対潜艦からフリゲートへ類別変更されます。
[近代化改装されるプロジェクト1155大型対潜艦はフリゲートへ艦種変更される]
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