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改セヴェロドヴィンスク型原子力水中巡洋艦カザンはロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入された


本日(2021年5月7日)、プロジェクト885M「ヤーセン-M」原子力水中巡洋艦「カザン」はロシア連邦海軍へ就役しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア連邦国防省情報・マスコミュニケーション部発表
2021年5月7日10時31分配信
【原子力水中ロケット巡洋艦「カザン」は海軍総司令官の指示によりセヴェロドヴィンスクで海軍へ受け入れられた】

本日、セヴェロドヴィンスクの企業『セヴマシュ』で、ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将主催下の第4世代プロジェクト「ヤーセン-M」原子力水中ロケット巡洋艦「カザン」海軍への受け入れ式典が開催された。
ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将から原子力水中巡洋艦「カザン」艦長アレクサンドル・べケトフ1等海佐へ授与された聖アンドレイ旗は、潜水艦の旗竿へ掲揚された。
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この時をもって原子力水中ロケット巡洋艦「カザン」は公式にロシア海軍へ加わった。

式典へは更に、タタールスタン共和国副首相ルスラン・ニグマトゥリン北方艦隊司令官アレクサンドル・モイセーエフ大将アルハンゲリスク州知事アレクサンドル・ツィブリスキーセヴェロドヴィンスクのトップ、イーゴリ・スクベンコ『統合造船業営団』副総裁(軍事造船担当)ウラジーミル・コロリョーフ『セヴマシュ』総取締役ミハイル・ブドニチェンコサンクトペテルブルク機械製造局『マラヒート』総取締役ウラジーミル・ドロフェーエフが参加した。

式典参加者を前にした演説で、ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将は話した。
「本日、私共は新世代艦シリーズのトップである最新原子力水中巡洋艦カザンへ海軍旗を掲げました。
計画設計局『マラヒート』により開発された原子力水中巡洋艦カザンプロジェクトは、効率的な打撃兵装及び電波電子兵装を有しており、世界の大洋の全ての海域での任務遂行を可能にします。
原子力水中巡洋艦カザンの乗組員は、威厳をもって高品質でロシアの防衛能力を強化する事を確信をもって申し上げます」


巡洋艦は、わが国初の、世界最大の原子力潜水艦「アクラ」と、200隻以上の水上艦及び潜水艦を作成した造船所『北方機械製造事業』により建造された。

「この艦の作成で、勤労、技能、才能、魂を捧げてくれた全ての方に感謝します。
貴方達に強固な健康と、更なる成功を」
ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将
は話した。

以前の5月5日、原子力水中巡洋艦「カザン」の受け入れ式典に先立ち、ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将は、原子力潜水艦「カザン」の試験が成功裏に完了した事を証明する受領証書を承認した。
潜水艦海軍への加入に関する海軍総司令官の指示書は、本日・5月7日に読み上げられた。



ロシア海軍第4世代原子力潜水艦であるプロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦の2番艦(改型のプロジェクト885M「ヤーセン-M」としては1番艦)「カザン」は、2009年7月24日にセヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で起工されました。
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[改セヴェロドヴィンスク型原潜「カザン」起工]
[改セヴェロドヴィンスク型原潜カザンは新型機器のみを装備した初の第4世代原潜となる]
[改ヤーセン級多用途原潜カザンの操舵装置の製造が始まった]

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プロジェクト885M「ヤーセン-M」は、以前の885「ヤーセン」(「セヴェロドヴィンスク」)よりも全長が10メートル短くなり(つまり129.2メートル)、533mm魚雷発射管は8門に減らされ(「セヴェロドヴィンスク」は10門)、4連装垂直ミサイル発射管は10基(「セヴェロドヴィンスク」は8基)に増加しています。
従いまして、885の改良型と言うよりは実質的に新しい設計の潜水艦と言えます。

北方艦隊への配備が予定されている「カザン」の乗組員の編成は、2016年3月までに完了しました。
[ロシア海軍北方艦隊潜水部隊は新世代戦略原潜クニャージ・ウラジーミルと多用途原潜カザンの乗組員を編成した]

「カザン」は2017年3月31日に進水しました。

[ロシア海軍の第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級2番艦カザンはセヴェロドヴィンスク造船所で進水した]

2017年7月末からは、造船所の岸壁で係留試験が始まりました。
[ロシア海軍の第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級2番艦カザンの係留試験が始まった]

2018年9月24日、「カザン」は最初の航行試験(工場航行試験)へ出発しました。

[ロシア海軍の為のヤーセン級原子力水中巡洋艦2番艦カザンの航行試験が始まった]
試験は2019年1月初頭頃まで続きました。


当初、「カザン」ロシア海軍への引き渡しは2019年12月末に予定されていました。
[第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級2番艦カザンは2019年にロシア海軍へ引き渡される]

しかし、航行試験の結果、幾つかの不具合が発覚した為、2019年中の引き渡しは実現できませんでした。
[ヤーセン級原子力水中巡洋艦2番艦カザンのロシア海軍への引き渡しは延期されるかもしれない]

「カザン」は、2019年7月以降に航行試験を再開しました。
[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦ヤーセン級2番艦カザンは2019年7月に航行試験を再開する]

しかし、不具合は完全に修正されたわけでは無く、「カザン」ロシア海軍への引き渡しは、2020年末頃までに延期される事になりました。
[ヤーセン級原子力水中巡洋艦2番艦カザンのロシア海軍への引き渡しは2020年に延期された]

一方、「カザン」の航行試験は白海で続けられ、12月5日には魚雷発射試験を行ない、水中目標へ2基の魚雷を一斉に発射しました。
[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦カザンは白海で魚雷発射試験を行なった]

翌12月6日には水上目標への魚雷発射試験を行ないました。
[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦カザンは白海で水上目標へ魚雷を発射した]

白海での「カザン」の航行試験は、2019年12月半ばまで続けられました。

2020年にも「カザン」の航行試験は続けられる事になりました。
[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦カザンの洋上試験は延長される]

「カザン」の最終洋上試験となる国家試験は、2020年9月初頭に始まりました。
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦カザンは2020年秋に最終洋上試験を開始する]
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦カザンは白海で航行試験を行なった]
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦カザンは白海で試験を続ける]

10月7日、「カザン」は洋上試験と、乗組員の錬成訓練を終えてセヴェロドヴィンスクへ帰投しました。
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦カザンは白海での試験と訓練を終えてセヴェロドヴィンスクへ帰投した]

その後、「カザン」は11月21日に国家試験の最終段階の為に白海へ出航し、11月23日には有翼ミサイル「カリブル」を地上目標へ発射しました。
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦カザンは白海で巡航ミサイル"カリブル"を地上目標へ発射した]

11月30日には超音速対艦ミサイル「オーニクス」の発射試験を行ないました。
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦カザンは白海で超音速対艦ミサイル"オーニクス"を発射した]

この他、11月中に「カリブル」「オーニクス」の同時発射試験も行なったようです。
[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦カザンは2020年11月に巡航ミサイル"カリブル"とオーニクスを同時に発射した]

その後、「カザン」は一旦セヴェロドヴィンスクへ戻り、12月中旬に白海へ出航し、12月19日に再び超音速対艦ミサイル「オーニクス」の発射試験を行ないました。
[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦カザンは白海で再び超音速対艦ミサイル"オーニクス"を発射した]

「カザン」ロシア海軍への引き渡しは2020年12月末に予定されていましたが、結局、またも実現せず、引き渡しは翌2021年に延期される事になりました。
[ヤーセン-M原子力水中巡洋艦カザンは2020年12月にロシア海軍へ就役する]

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2021年4月末、「カザン」は最終点検の為、白海へ出航しました。

2021年5月5日、「カザン」の試験が全て完了した事を証明する受領証書への署名がセヴェロドヴィンスクで行なわれました。
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[改セヴェロドヴィンスク型原子力水中巡洋艦カザンは2021年5月7日にロシア海軍へ就役する]

そして2021年5月7日、「カザン」への聖アンドレイ旗(ロシア海軍旗)初掲揚式典が開催され、正式にロシア海軍へ就役しました。
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「カザン」北方艦隊へ編入され、おそらくは準姉妹艦「セヴェロドヴィンスク」(2014年6月17日就役)と同じく第11対空母原潜師団(ザオゼルスク)へ配備される事になるでしょう。
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