ロシアは「超駆逐艦」を建造する
- カテゴリ:プロジェクト「リデル」原子力駆逐艦


『イズベスチヤ』より
2013年2月13日0時01分配信
【ロシアは、1989年以来の最大の艦を造る】
超駆逐艦は、有翼ミサイルと、更には将来対空防衛・ミサイル防衛複合体で武装する。
(ロシア)海軍は、今後10年間の最も野心的なプロジェクトを明らかにした。
『イズベスチヤ』は、(ロシア)海軍総司令部が、サンクトペテルブルクの北方計画設計局が提出した将来遠海ゾーン駆逐艦プロジェクトの草案を承認した事を突き止めた。
最後のロシア大型艦は、ソヴィエト連邦時代の1989年に造船所で建造され、その後に進水し、1998年にはロシア海軍のフラッグシップ(的存在)となり、世界最大の戦闘艦(航空母艦を除く)の重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」である。

今後2-3年に、プロジェクトの設計者は、(駆逐)艦の外観と武装に関する技術文書を作成する為の仕事を行なう。
駆逐艦は、大方サンクトペテルブルクの「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」で起工される事になるだろうが、海軍総司令部の最終決定は未だ下されていない。
防衛産業企業体の代理人が『イズベスチヤ』へ説明したように、新たな駆逐艦は、ソヴィエト社会主義共和国連邦時代以降に設計・建造された最大の戦闘艦となる。
「駆逐艦の排水量は、プロジェクト1164ロケット巡洋艦モスクワよりも僅かに少なくなるでしょう。
おおよそ12000トン程度になります。
それは汎用艦であり、打撃、対潜、対空、更には対ミサイル防衛機能を有します。
更にそれは、沿岸ゾーンで地上部隊を火力支援する事が出来ます」
防衛産業企業体の情報提供者は話した。

黒海艦隊旗艦・巡洋艦「モスクワ」や優秀なアメリカの誘導ロケット巡洋艦「タイコンデロガ」級のような巨大なサイズの駆逐艦の出現は、今は未だ、かなり難しいだろう。
何しろアメリカ合衆国海軍には、使用可能な同シリーズの巡洋艦が27隻在るのだ。
『イズベスチヤ』によると、超駆逐艦は、対艦ミサイル、地上目標攻撃の為の有翼ミサイル、S-500「プロメテーイ」を含む将来対空防衛・ミサイル防衛複合体で武装する。
水中物体(潜水艦)と戦う為に、水中音響ステーション及び魚雷の装備が計画される。
ソヴィエト社会主義共和国連邦及びロシア海軍の駆逐艦はプロジェクト956「ソブレメンヌイ」のみであった。

排水量8000トン、武装は対艦ミサイル「モスキート」と対空防衛複合体のみであり、潜水艦に対する装備は無かった。
駆逐艦は動力装置の扱い、特に、ボイラー用の水の品質管理が非常に難しかった。
それ故に、17隻のシリーズの内の9隻は1990年代以降に退役あるいは解体された。

「我が海軍は、排水量の面で恥ずかしくないような駆逐艦を切実に必要としております。
アメリカの主要駆逐艦アーレイ・バーク型はかなり大きく、9648トンであり、トマホーク有翼ミサイルとハープーン対艦ミサイルを搭載しています。
イージスシステムを持つ計62隻の防空駆逐艦は最強です」
防衛産業企業体の代理人はコメントした。
彼によると、大きなサイズは、世界の大洋の遠隔エリアにおける艦船グループ及び海軍歩兵の遠征作戦活動への安定した戦闘任務の提供を決定づける。
アメリカ合衆国とは異なり、ロシアは世界中に拠点を有しておらず、物資補充能力は限られており「全て自分自身で運ばなければならない」と彼は指摘した。
まず初めに、新たな駆逐艦は、ヘリコプター空母「ミストラル」を護らなければならない。
そしてその先には、将来原子力航空母艦を。
「北方計画設計局は、大型打撃艦の設計に関し、良い経験を蓄積して来ました。
艦隊旗艦のロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキー、そして大型対潜艦アドミラル・チャバネンコ-これらは、彼等の設計です」
対談者は『イズベスチヤ』へ想起させた。


ウラジーミル・ザハロフ退役海軍少将は『イズベスチヤ』へ、 このシリーズのユニットの最少隻数は3隻だと話した。
「太平洋艦隊及び北方艦隊には、それぞれ9隻ずつの新たな駆逐艦が、そしてバルト艦隊に5隻が有れば良いでしょう。
ですが、まず初めは、潜水艦の展開の確保を主要任務とする太平洋艦隊であります」
提督は表明した。
軍事専門家でロシア/ソ連海軍の歴史に関する著書を記しているドミトリー・ボルテンコフ氏は、この20年間で、ロシアは、実質的に全世代の艦を逸したと考えている。
「世界の主要海軍の殆どは、当時、大型で多機能情報制御システムと強力な防空、対ミサイル防衛、対艦及び有翼ミサイルといった良好な装備を有する艦を数多く建造しました。
私達が参加するまでの間に」
彼は『イズベスチヤ』へ話した。
彼によると、ロシアの水上戦力の基礎-巡洋艦1164、大型対潜艦1155、駆逐艦956は頑丈な艦ではあるが、その就役期間の終わりは、そう遠くない。
ロシア海軍は、2006年以降、新世代多用途駆逐艦(将来駆逐艦Перспективный Эсминец)の建造計画について何度も表明して来ました。
[ロシア海軍新世代原子力駆逐艦建造計画]
[ロシアは新たな駆逐艦及び巡洋艦及び空母の建造計画を続行する]
[ロシア海軍新世代駆逐艦の建造計画は現司令部に承認された]
今回の記事では「Суперэсминец」(スーパーデストロイヤー、超駆逐艦)とも呼ばれている将来駆逐艦Перспективный Эсминецは、当初はガスタービン推進となる予定でしたが、最近では、原子力推進が有力視されています。
将来駆逐艦には、おそらく有翼ミサイル「カリブル」と「オーニクス」が搭載されるでしょう。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
[汎用ミサイル垂直発射機3R-14UKSK]
防空ミサイルは、現在開発中のS-500「プロメテーイ」(プロメテウス)の海軍ヴァージョンになるとの事です。
S-500「プロメテーイ」は、弾道ミサイル防衛にも使用されます。
今回の記事によると、将来駆逐艦は対地砲撃支援任務にも使われるとの事ですから、152mm2連装砲「コアリツィア-F」が装備されるかもしれません。

昨年(2012年)、ロシア造船業の総元締めである「統合造船業営団」は、新たな駆逐艦などの「共通プラットフォーム」を開発すると表明しています。
[ロシア海軍水上艦の共通プラットフォームが開発される]
以前の報道によると、将来駆逐艦の建造は2016年から開始される計画です。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2012年6月22日13時55分配信
【ロシアの新たな対ミサイル防衛駆逐艦は2016年に建造を開始する】
当時のロシア統合造船業営団総裁ローマン・トロチェンコ氏によると、最初の駆逐艦は2016年に起工され、同シリーズは少なくとも6隻建造されるとの事です。
駆逐艦の建造発注は、サンクトペテルブルク市の「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」と「バルチースキー・ザヴォード」へ均等配分されます。
「バルチースキー・ザヴォード」は、今回の記事でも触れられている重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」を建造しています。

今回の記事によると、将来駆逐艦は、プロジェクト1164ロケット巡洋艦とほぼ同サイズ(12000トン級)になるようです。

プロジェクト1164ロケット巡洋艦のサイズは以下の通りです。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
【ロシア黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」】
基準排水量:9800トン
満載排水量:11300トン
全長:186m
最大幅:21m
吃水:10m
今回の記事で将来駆逐艦の建造者の最有力候補とされているサンクトペテルブルク市の「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」は、原子力駆逐艦の建造受注を視野に入れ、造船所の設備の近代化を行ないます。
(もともと「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」は原子力艦を建造していなかった)

[サンクトペテルブルク北方造船所は、原子力艦の建造を準備する]
[サンクトペテルブルク北方造船所はコルベット6隻とフリゲート6隻の建造契約を締結した]
これにより、「セーヴェルナヤ・ヴェルフィ」は、全長180メートルの原子力水上艦の建造が可能となりますが、これが将来駆逐艦のサイズとなるでしょう。
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