ロシア海軍の将来原子力航空母艦は『2024~2033年の国家軍備プログラム』へ含まれるかもしれない
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2021年5月18日3時13分配信
【軍事産業委員会は新たなロシア航空母艦プロジェクトについて話した】
モスクワ、5月18日-ロシア通信社ノーボスチ
ロシア連邦軍事産業委員会は、新たな2024~2033年の国家軍備プログラムを準備するに当たり、新たな航空母艦を建造する計画を含める事の妥当性を評価する。
『ロシア通信社ノーボスチ』のインタビューに対し、その(軍事産業委員会の)メンバーにして政府海洋評議会のメンバーであるウラジーミル・ポスペロフは話した。

「理想といたしましては、海軍の為に、このような3隻の艦が必要です~トップ艦と2隻の生産艦が。
航空母艦の素案は存在しております」
彼は指摘した。
ポスペロフによると、ロシアは、このような大型艦を作成する為に必要な技術の多くを有しているが、幾つかは改善が必要である。
「然るべき速力を保障するのに必要な出力の核動力装置は有ります。
ですが、飛行装置の発着艦システムを含め、将来航空母艦の幾つかの基礎要素は改善する必要が有ります。
これに加え、私共は、必要な数の兵器の搭載が可能な将来艦上戦闘機を作成しなければなりません」
専門家は話した。
現在、海軍には、このようなクラスの艦は1隻のみである~重航空巡洋艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」
それはソヴィエト社会主義共和国連邦時代の1991年に運用へ入った。
それは未だ修理中である。
更新後、それは更に20年間艦隊で勤務できる。
ロシア航空母艦の甲板長は306メートル、幅75メートル、艦の排水量は60000トン、最大航行距離8417海里(15000キロメートル以上)。
乗組員-518名の士官と210名の准士官を含む1960名。
航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」の標準航空団は、艦上航空機Su-33及びSu-25、更にはヘリコプターKa-27/Ka-29で構成されている。
艦は、戦闘機MiG-29K及びヘリコプターKa-52Kから成る新たな航空グループの試験を行なった。
これに加え、「アドミラル・クズネツォフ」は対艦有翼ミサイル複合体打撃ミサイル兵器「グラニート」(12基の甲板下発射装置がトランポリン台の基礎に配置されている)、高射ミサイル複合体「キンジャール」(4基のモジュール、192基のミサイル)と「コールチク」(8基のモジュール、256基のミサイルと48000発の弾丸)を有する。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2021年5月18日4時4分配信
【軍事産業委員会は新たなロシア航空母艦の費用を見積もった】
モスクワ、5月18日-ロシア通信社ノーボスチ
新たな航空母艦の建造は、ロシアに半兆ルーブルを出費させるだろう。
『ロシア通信社ノーボスチ』のインタビューに対し、ロシア連邦軍事産業委員会参与会のメンバーにして政府海洋評議会のメンバーであるウラジーミル・ポスペロフは述べた。
「様々な見積もりが有ります。
私達は、このようなものを提示します:航空母艦のトップは、約5000億ルーブル」
ポスペロフは話した。
彼は、この数字は悪魔的であると言った。
彼によると、新たなロシア航空母艦の排水量は、少なくとも7万~8万トンでなければならない。
このような大型艦の作成は、建造が進むに連れて高額になるリスクがある。
「決定を下すまでに、計画段階で全てのリスクを考慮しなければなりません。
私共は、10~20パーセントは誤るかもしれませんが、そうでは無い事も有ります。
そうでなければ、多年に渡る長期建造へ入るでしょう」
ポスペロフは警告した。
同時に彼は、ロシア航空母艦は安価でなければならず、排水量11万トンで、無人機と一緒に勘定すれば100機以上の飛行装置を受け入れるアメリカ航空母艦よりも僅かに小さい事を強調した。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2021年5月18日10時42分配信
【軍事産業委員会は新たなロシア航空母艦の建造時期について述べた】
モスクワ、5月18日-ロシア通信社ノーボスチ
新たなロシア航空母艦は、工場と艦上戦闘機の準備が整っていれば、10年で建造できる。
『ロシア通信社ノーボスチ』のインタビューに対し、ロシア連邦軍事産業委員会参与会のメンバーにして政府海洋評議会のメンバーであるウラジーミル・ポスペロフは述べた。
「航空機の為の科学-技術的基礎が満たされ、造船所の準備が整っていれば、少なくとも10年は掛かりますね」
ポスペロフは話した。
以前に彼は、新たな航空母艦の素案は用意されており、それは新たな2024~2033年の国家軍備プログラムに加えられるかもしれず、建造には半兆ルーブルの費用が掛かると言った。
ロシア海軍の為の将来航空母艦Перспективный Авианосецの予備設計開発作業は2007年に始まりました。
将来航空母艦の設計を担当するのは『ネヴァ川計画設計局』になりますが、その叩き台となる概念設計案は、ロシア海軍向けなどの艦船の形状を研究する『クルイロフ国立科学センター』により作成されます。
『クルイロフ国立科学センター』は、2015年に多目的重航空母艦プロジェクト23000E「シトルム」を作成しました。
これは満載排水量9万~10万トンの通常動力の大型空母です。
[ロシア海軍将来空母概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」]
『クルイロフ』は、2018年8月下旬に軽航空母艦「シトルム-KM」の概念設計案を公表しました。
これは満載排水量44000トンの比較的小型の空母です。
[クルイロフ国立科学センターの半双胴(カタマラン)形式軽多目的空母は水中抵抗が大幅に低減する]
2019年6月末には76000トンの中型原子力空母の概念設計案の存在を公表しました。
[クルイロフ国立科学センターは半双胴形式の中型原子力空母の概念設計案を提示した]
一方、実際にロシア海軍向けとして建造される空母を設計する『ネヴァ川計画設計局』は、2019年7月上旬に将来空母設計案プロジェクト11430E「ラマンチーン」を公表しました。
これは満載排水量8万~9万トンの原子力空母です。
[原子力空母プロジェクト11430Eラマンチーンはサンクトペテルブルク国際海軍サロン(IMDS-2019)で公開された]
将来航空母艦の具体的な内容は未だ定まっていませんが、排水量は65000トン~70000トン程度になるようです。
[ロシア海軍の将来航空母艦は7万トン級になる]
[ロシア海軍の将来航空母艦は65000-70000トンになる]
つまり、上記の「シトルム」や「ラマンチーン」よりは小さな艦になります。
(「シトルム-KM」よりは大きいですが)
現用の航空母艦で最も近いサイズの艦は、グレートブリテン海軍の新鋭空母「クイーン・エリザベス」級になります。

ロシア造船業界も、以前から重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(約6万トン)よりも大きな航空母艦を建造できると表明しています。
[ロシア造船業界はアドミラル・クズネツォフよりも大型の新世代航空母艦を建造できる]
ただ、現在の所、将来航空母艦の建造開始の具体的な時期は未だ決まっていません。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の新たな航空母艦の建造を準備する]
ですが、将来航空母艦の為の搭載機として、新たなVSTOL艦上戦闘機の開発が始まっています。
[ヤコブレフ新世代VSTOL艦上戦闘機]
この他、将来航空母艦の搭載機として、艦上早期警戒機と艦上無人機も新たに開発されます。
[ロシア海軍航空隊司令官は語る]
将来原子力航空母艦の本格的な開発作業は2023年から始まります。
[ロシア海軍の為の7万トン級原子力空母の開発作業は2023年に始まる]
将来原子力航空母艦の設計には、ソ連時代に起工されたものの未完成に終わったプロジェクト11437重原子力航空巡洋艦「ウリヤノフスク」の設計が参考にされるとの事です。
[ロシア海軍の新世代原子力空母の開発には未完成の重原子力空母ウリヤノフスクの設計図が参考にされる]
ただしこれは、「ウリヤノフスク」のような艦を再び造るという事では無く、原子力機関の構造などを参考にするという事でしょう。
(将来航空母艦も「ウリヤノフスク」も原子力機関)
将来航空母艦を建造する造船所は、以前にインド海軍向けの航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」の改造(実質的に新造)を担当したセヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』が最有力候補となっております。

[ロシア海軍の為の将来原子力航空母艦はセヴェロドヴィンスク造船所(セヴマシュ)で建造される]
この他、将来航空母艦建造への協力企業(航空母艦の船体の一部を建造)として、サンクトペテルブルク市の『バルト工場』と『北方造船所』が候補に挙がっています。
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の開発と建造には15年掛かる]
『バルト工場』

『北方造船所』

将来航空母艦の建造費は、1番艦で約5000億ルーブルになるようです。
2020年7月に2隻が起工されたプロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦「イワン・ロゴフ」型が1隻500億ルーブル程度ですから、10隻分になります。
[プロジェクト23900汎用揚陸ヘリコプター母艦(イワン・ロゴフ型)]
将来航空母艦を設計している『ネヴァ川計画設計局』は、より安価な汎用海上複合体「ヴァラーン」(45000トン)を提示していますが、今回の軍事産業委員会のウラジーミル・ポスペロフ氏の一連の発言を見る限り、全く眼中に無いようです。
[ロシアの新たな汎用海上複合体ヴァラーン]
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