ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは係留試験の準備を進めている

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2021年6月2日12時52分配信
【第3のプロジェクト22350フリゲートは係留試験を準備する】
『北方造船所』で建造されているプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は、電気設備の組み立て及び艦首及び艦尾の主配電盤及び沿岸配電盤の据え付けの作業を完了した。
同社広報サービスが説明したように、盤へ接続すれば、フリゲートへ設置された全てのシステム及び機器への電力供給が可能となる。
現在、造船所は、減速装置、タービン、主ディーゼル、シャフトラインの芯出しを行ない、曳航装置と泡消火システムの品質管理部門への引き渡しを準備している。
発注下で製品及び機器の積載及び据え付けが行なわれ、艦の勤務室への板張りの準備が続けられていると『北方造船所』広報サービスは付け加えた。
第3のプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は2012年2月に起工され、2020年5月に進水した。
2020年12月、北方艦隊司令官アレクサンドル・モイセーエフは、艦は2021年に就役すると言った。
「アドミラル・ゴロフコ」は、ロシア製のガスタービン装置を装備する最初のプロジェクト22350艦になる。
フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」とフリゲート「アドミラル・カサトノフ」には、増速用エンジンとしてウクライナの企業『ゾーリャ機械設計』が製造したガスタービン装置が使われている。
[Mil.Press FlotProm参照]
プロジェクト22350フリゲートの満載排水量は5400トン、全長135メートル、幅16メートル。
艦は29ノットの速力を発揮する。
自立航行期間30日。
航続距離4500海里。
乗組員170名+海軍歩兵隊員20名。
22350フリゲートの主要打撃力は、高精度遠距離有翼ミサイル「カリブル」である。
この他、艦は130mm砲A-192、高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」、対潜兵器複合体「パケート」、ミサイル砲システム「パラシ」を装備する。
艦上にはヘリコプターKa-27PLが駐留する。
1等多目的フリゲート・プロジェクト22350の3番艦「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト20385コルベット「グレミャーシチー」と共にサンクトペテルブルクの『北方造船所』で2012年2月1日に起工されました。
本艦は「アドミラル・ゴロフコ」の名を持つ艦としては「2代目」になります。
初代「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト58ロケット巡洋艦として1961年4月20日に同じ『北方造船所』(当時は『A.A.ジダーノフ記念造船工場』)で起工され、1962年7月18日に進水、1964年12月30日に就役しました。
当初は北方艦隊へ配属されましたが、1968年3月に黒海艦隊へ転属し、1982年6月から1989年3月までセヴァストーポリでオーバーホールが行なわれました。

ソ連邦解体後も現役に留まり、1990年代には黒海艦隊旗艦を務め、2002年11月に除籍されました。


起工から2年後の2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係が悪化した為、ガスタービンエンジン(M90FR)の供給が途絶える事になりました。
元々、ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア及びウクライナの企業が関わっており、エンジンの最終組立はウクライナで行なわれていました。
(主要部品はロシアの企業で製造し、それをウクライナへ送って最終組み立て)
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
ウクライナでの最終組み立てが出来なくなった為、その為の設備をロシア国内に建設し、完全にロシア国内だけでガスタービンエンジンを生産できる体制を構築する必要が生じ、この体制作りに数年を要しました。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲート3番艦と4番艦のガスタービンエンジンはロシア国内で製造されている]
[ロシア海軍の新世代フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)における輸入代替問題]
ようやくガスタービンエンジン完全国産の目途が立ち、「アドミラル・ゴロフコ」用のガスタービンが造船所へ供給されました。
これにより、建造が遅延していた「アドミラル・ゴロフコ」も進水する目途が立ちました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2020年7月1日までに進水する]
以前には2020年4月末~5月初頭の進水が予定されていましたが、新型コロナウイルス流行の影響の為、5月22日に延期されました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは進水した]
進水後は造船所の岸壁で艤装工事が進められています。

今後、「アドミラル・ゴロフコ」は、先ず初めに造船所の岸壁で係留試験を開始し、それが終わった後に洋上試験(工場航行試験と国家試験)を行ないます。
「アドミラル・ゴロフコ」のロシア海軍への引き渡しは2022年に予定されており、1番艦及び2番艦と同様に北方艦隊へ配備されます。
[アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年にロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ配備される]
- 関連記事
-
- ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲート4番艦アドミラル・イサコフの1基目のディーゼル・ガスタービンユニットが納入された
- ロシア海軍北方艦隊のフリゲート"アドミラル・カサトノフ"はクロンシュタットへ到着した
- ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは係留試験の準備を進めている
- ロシア海軍の新世代フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)における輸入代替問題
- アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年にロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ配備される
スポンサーサイト