プロジェクト20386コルベット"メルクーリイ"は実験船になるかもしれない

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2021年6月10日13時56分配信
【ステルス・コルベット「メルクーリイ」は海軍へ加入せず、新たな技術の開発の為に使用されるかもしれない-『統合造船業営団』トップ】
モスクワ、6月10日、インタファクス
プロジェクト20386ステルス・コルベット「メルクーリイ」は実験船となり、ロシア海軍の戦闘編制には加入しないかもしれない。
『インタファクス』は『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフより伝えられた。
「我々の理解の範疇において、現代の技術がコルベットに用いられた場合、実のところは、この技術が開発されるまでの間、その建造は遅れる事になるでしょう」
ラフマノフは話した。
「そして、艦自体が実験船となるかもしれない事に注意を払った場合、決して海軍へ加入する事は無いでしょう。
それは海原を進み、新たな技術を開発するでしょう」
『統合造船業営団』のトップは付け加えた。
彼によると、コルベットは、それに使用される新たな技術を仕上げる必要性が故に引き渡しが何度も延期されたフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」のような運命に直面する事は無い。
「もしも、それが本当に実験船となるのならば、それは実験船として運用へ入るでしょう」
『統合造船業営団』のトップは指摘した。
ラフマノフは更に、艦の運命は「発注者がこのコルベットにどれだけ多くの革新を望むのか」に依存すると述べた。
「メルクーリイ」はプロジェクト20386のトップ艦である。
このプロジェクトは、中央海洋設計局『アルマーズ』により開発された。
複合材料を使用したお陰で、それは前任者よりも「ステルス」技術を完全に使用する事が出来る。
同プロジェクトコルベットは、艦載ミサイル複合体の有翼ミサイルで水上艦船を撃破し、敵潜水艦を捜索し、小口径対潜魚雷複合体で破壊し、高射ミサイル複合体により敵の空中攻撃手段の打撃から艦船の戦闘安定性を保障し、海洋揚陸部隊の上陸へ砲撃支援を与える事が出来る。
新たなコルベットの特徴は、バランスの取れた兵装構成、オープンアーキテクチャによる統合情報管理システム、新たな電波電子兵装、ロボット化複合体、乗組員数の縮小、航続距離の増大、穏やかな水上及び強い波の水上における高い完全航行速度にある。
プロジェクト20386はモジュール原則に基づいており、一時的に設置される兵器を艦へ装備する事により、広範囲の任務を果たす事を可能にする。
[プロジェクト20386コルベット]
[ロシア海軍の将来コルベット・プロジェクト20386]
[ロシア海軍の新世代コルベット"メルクーリイ"]

プロジェクト20380/20385コルベットの更なる改良発展型であるプロジェクト20386の1番艦「ジェルズキー」Дерзкий(建造番号1009)は、2016年10月28日にサンクトペテルブルクの『北方造船所』(セーヴェルナヤ・ヴェルフィ)で起工されました。

[ロシア海軍の新世代コルベット"ジェルズキ―"は起工された]

プロジェクト20386の満載排水量は3400トンになり、以前のプロジェクト20380/20385よりも1000トン以上増加しています。
航続距離も20380/20385より延びて5000海里となり、速力も30ノットに増加、乗員は80名に減少しています。
機関はガスタービン電気推進システムが採用されます。
[ロシア海軍の新世代コルベット・プロジェクト20386はガスタービン電気推進システムを装備する]
プロジェクト20386は、10隻以上の建造が計画されています。
[ロシア海軍は新世代コルベット・プロジェクト20386を10隻以上建造する]
この内、1番艦「ジェルズキー」を含む3隻は2025年までの就役が予定されています。
[2025年までに3隻のプロジェクト20386(ジェルズキー型)コルベットがロシア海軍へ就役する]
「ジェルズキー」の名で起工されたプロジェクト20386コルベット1番艦ですが、ロシア海軍にとっては伝統的な名前である「メルクーリイ」(1928~1829年のロシア-トルコ戦争において、1829年2月9日に2隻のトルコ戦列艦と戦って勝利したブリッグ)へ改名される事になりました。

[ロシア海軍のプロジェクト20386コルベット1番艦ジェルズキーはメルクーリイに改名される]
2019年4月23日、「ジェルズキー」改め「メルクーリイ」の船体は接合されました。
2020年3月末、「メルクーリイ」の船体は造船台から進水しました。

ただし、これは正規の進水では無く、他の艦を建造する為に造船台を空ける為のようです。
[ロシア海軍の新世代コルベット"メルクーリイ"の船体は進水した]
今後、「メルクーリイ」は造船所の岸壁で艤装工事が行なわれます。
ガラス繊維強化プラスチック製の「メルクーリイ」上部構造物は、サンクトペテルブルクの『中部ネヴァ川造船工場』で製造が進められています。

「メルクーリイ」は、2022年末までにロシア海軍への引き渡しが予定されています。
[プロジェクト20386コルベット1番艦ジェルズキー改めメルクーリイは2022年末にロシア海軍へ引き渡される]
[ロシア海軍の新世代コルベット"メルクーリイ"は完全なステルス艦となる]
しかし今回、『統合造船業営団』総取締役アレクセイ・ラフマノフ氏は、「メルクーリイ」が新技術、つまり新たに開発される各種機器や兵器などの実験船となる可能性に初めて言及しました。
ラフマノフ氏はプロジェクト22350フリゲートの1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」を引き合いに出していますが、同艦は、プロジェクト22350で初めて装備される新開発の電子機器や各種兵装の「実験艦」としての役割も担った為、戦力化が大幅に遅れました。

そこで、新開発の艦載機器を海上で試験する為の専用艦として、「メルクーリイ」が候補に挙がっているという事でしょう。
過去に海軍の水上戦闘艦から実験船へ変身した例としては、黒海艦隊のプロジェクト26巡洋艦「ヴォロシーロフ」(1940年6月20日就役)が有ります。


[試験船OS-24]
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