2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜ロシャリクは近代化改装される
- カテゴリ:ロシア海軍の特務原潜

『インタファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2021年6月22日7時5分配信
【原子力深海ステーション「ロシャリク」は近代化を計画している-開発者】
モスクワ、6月22日、インタファクス
設計局『マラヒート』は、プロジェクトNo.10831「ロシャリク」の技術的近代化プロジェクトを開発した。
同社の2020年の年次報告書では、こう述べられている。
「極めて短縮された期間で、受注品・工場番号No.210の技術的近代化プロジェクトが実行されます」
文書では、こう述べられた。
2017年の『マラヒート』報告書では、受注品No.210は、プロジェクトNo.10831原子力深海ステーションに属していると説明された。
この年にステーションは近代化が実施された~それは電力供給システムと電波電子兵装の装置が更新された。
2019年7月1日、ロシア海軍のプロジェクト10831深海装置AS-31で火災が発生した。
国防省が伝えたように、緊急事態の結果、14名の潜水艦船員が死亡した。
セルゲイ・ショイグ国防相が話したように、装置の核動力は火災により損傷していない。
国防相によると、事故の主な原因は、バッテリー区画の火災である。
2019年7月1日、ロシア海軍の「科学研究深海装置」は、ロシア領海内での海底調査中に火災が発生し、乗組員14名が死亡しました。
[ロシア海軍の深海調査原潜で火災が発生し、乗員14名が死亡した]
ロシア国防省は、事故を起こした「科学研究深海装置」の名前などは一切公表していませんが、プロジェクト10831「ロシャリク」原子力深海ステーションのようです。

原子力深海ステーションAS-12は、1988年頃にセヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で起工され、2003年8月頃に進水、2010年頃に就役しました。
船体はチタン製です。
同級に関しては詳細は未だ不明です。
艦名については「AS-31」という説も有り、今回の『インタファクス』の記事では、AS-31と記されています。
明確な要目も不明ですが、水中排水量は2100トン、全長は60メートル、幅は7メートル、水中速力は30ノット、潜航深度は少なくとも1000m以上(未確認情報によれば最大6000m)、乗員は25名と推定されています。
ロシア海軍の第4世代通常動力潜水艦プロジェクト677「ラーダ」とほぼ同サイズの小型原潜のようです。
「ロシャリク」級特務原潜AS-12(AS-31?)



ロシャリク級は、以前には戦略原子力潜水艦プロジェクト667BDR(デルタIII級)K-129を改造した特殊用途原子力潜水艦プロジェクト09786(デルタ・ストレッチ)BS-136「オレンブルク」を母艦としており、同艦に搭載されて海洋で行動していました。


2012年9月には北極圏へ行き、ロモノソフ海嶺とメンデレーエフ海嶺の海底を調査しています。
『イズべスチヤ』より
2012年10月29日配信
【軍用原子力バチスカーフ「ロシャリク」は北極圏を探った】
北極圏で行動する母艦BS-136「オレンブルク」(2012年9月27日)

ロシャリクは、2015年にも2回の遠距離航海を行なっています。
[ロシア海軍の特務原潜ロシャリクは2015年に2度の遠征を行なっていた]
2016年12月末にプロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦「ポドモスコヴィエ」が再就役してからは、同艦を母艦としているようです。
[改造を終えた特務原潜ポドモスコヴィエ(モスクワ州)はロシア海軍へ引き渡された]

事故後、ロシャリクと搭載母艦(プロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦BS-64「ポドモスコヴィエ」)は北方艦隊基地セヴェロモルスクへ入港しました。


この事故の詳細や事故を起こした艦の名前は相変わらず公表されていませんが、ロシア国防省は、事故で死亡した乗員14名の名前は公表しています。
[2019年7月1日のロシア海軍の深海調査原潜の火災事故で死亡した乗組員14名の氏名が公表された]
死亡したのは艦長を始めとして佐官クラスの年長者が殆どですが、おそらくは、火災事故発生の際、若い乗組員(つまり、将来のロシャリク運用の中核となる人々)を助ける為、自分達が犠牲になったのでしょう。
(ロシャリクの標準乗員は25名なので、おそらく11名程度が生存している)
火災事故で損傷したロシャリクは、2019年11月初頭にセヴェロドヴィンスクの艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』へ回航されました。

[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜の修理は9月に始まる]
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31は修理の為にセヴェロドヴィンスクへ運ばれた]
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31(ロシャリク)の修理作業が始まった]
機関部分以外の損傷は激しく、船体の一部を含め、殆どの機器は交換される事になるようです。
まず初めに、原子炉の炉心を降ろす予定でしたが、作業は2021年に延期されました。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31(ロシャリク)の修理作業は2021年に延期された]
延期の理由は、ロシャリクよりも古い原子力深海ステーションAS-15(1991年12月30日就役)のオーバーホールを先に行なう事になった為です。
ロシャリクの原子炉の炉心は、2021年3月末までに降ろされました。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31(ロシャリク)は原子炉の炉心を降ろした]
ロシャリクは、修理と共に近代化改装も実行される事になり、艦隊へ復帰するのは2025年頃になります。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜ロシャリクは2025年までに復帰する]
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