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ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコは近代化改装により巡航ミサイル"カリブル"を装備する

『イズベスチヤ』より
2021年7月6日0時1分配信
【アドミラルの修復:ロシア海軍はミニロケット巡洋艦を受け取る】

更新された大型対潜艦は如何なる課題を解決できるのか。
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ロシア海軍は、ミニロケット巡洋艦を受け取る。
プロジェクト1155.1大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」は、このシリーズの唯一の代表であり、長期修理の後、新たな能力を持って復帰する。
特に、それは有翼ミサイル「カリブル」及び極超音速ミサイル「ツィルコン」の発射装置を受け取る。
同時に大型対潜艦は、海軍で最も強力な対潜兵装~ロケット魚雷複合体を装備し、数十キロメートルの距離で敵潜水艦の破壊が可能となる。
専門家によると、新たな兵装システムのお陰により、「アドミラル・チャバネンコ」の威力は巡洋艦に匹敵する。

[水上と水中で]
『イズベスチヤ』
軍当局の情報提供者が話したように、国防省は、北方艦隊の一員である大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」の近代化プランへ同意した。
対談者によると、現在、全ての作業の実行に必要な期間の見積もりが進められている。
2014年に「チャバネンコ」は修理へ送られ、この時からムルマンスク州艦船修理工場に居る。

近代化プロジェクトは、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」の更新と大部分が同一となる。
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有翼ミサイル「カリブル」及びKh-35に加え、「チャバネンコ」最新極超音速ミサイル「ツィルコン」の搭載艦となる。
しかし、主な新しい点は、数十キロメートルの距離で敵潜水艦の撃破が可能なユニークなロケット魚雷複合体である。
これにより、「チャバネンコ」は、海軍で最も汎用性の有る艦の1隻となる:それは、海上、沿岸、空中、水中目標を同様に効率的に破壊できる。

近代化の後、「チャバネンコ」大型対潜艦からフリゲートへの再分類が計画されている事を情報提供者は指摘した。
しかしながら、実質的には、艦船修理工場から絶大なミサイル兵器を持つ巡洋艦が出てくる事になるだろう。
「アドミラル・チャバネンコ」のサイズは、例えば黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」に少し劣る(排水量7700トンに対して11500トン)。
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[「モスキート」の歴史]
「1970~1980年代、我々の開発者は、統一されない様々なミサイル及び発射装置を作成し、その結果、正に対潜任務の為に意図されたプロジェクト1155ウダロイが出現しました」

軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフ『イズベスチヤ』へ話した。
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「ですが、艦隊の発展に伴い、これは必要では無い事が明らかになりました~同時に、より新しい兵器システムを持つ打撃巡洋艦の出現が望まれるようになりました。
チャバネンコが建造された時、それは高度に近代化され、サイズは増大し、新たな兵器システム、砲、ミサイル"モスキート"、ヴォドパードが設置されました。
しかしながら、建造はソヴィエト社会主義共和国連邦の崩壊と重なり、1990年代には、海軍が大きな財政問題を抱えていたが故、長期間に渡り造船工場『ヤンターリ』に留まっていました」


大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」の歴史は、ほぼ半世紀前に始まった。
プロジェクトの試験-設計作業は1970年代には始まっていた。
艦は1989年に起工された。
この時、10隻のプロジェクト1155.1大型対潜艦の建造が計画されていた。
しかし、ソヴィエト社会主義共和国連邦崩壊後、シリーズの他の代表は全て放棄され、トップ艦は長年に渡り未完成のままだった。
ようやく1999年に「アドミラル・チャバネンコ」ロシア連邦海軍へ引き渡され、2014年に修理へ入るまで積極的に勤務へ就いていた。
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2009~2010年に大型対潜艦は、この当時、海賊が高度に活発だったアフリカの角及びアデン湾海域で船舶航行の安全を保障した。

プロジェクト1155.1大型対潜艦「主砲」は、50キロメートルまでの距離で水中目標の撃破が可能な強力な対潜ロケット-魚雷複合体「ヴォドパード」である。
弾は魚雷発射管から水上へ発射される。
その後、ロケットエンジンが始動され、弾頭部分が目標の居る場所まで送り届けられる。
そこでそれは駆動し、通常の魚雷のように潜水艦へと移動する。

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魚雷兵装に加え、「チャバネンコ」2連装130mm砲装置AK-130、高射ミサイル複合体「キンジャール」、更には対艦ミサイル「モスキート」で武装する。
最後のものは、近代化中に水上及び地上目標への射撃が可能な現代的な有翼ミサイル兵器と交換される。
大型対潜艦は、更に艦上へ2機の対潜ヘリコプターKa-27を搭載する。

極超音速ミサイル「ツィルコン」は、昨年秋に試験に成功し、数分で数百キロメートル離れた目標へ命中した。
現在、それは試験の最終段階の1つに在る。
製品は、極超音速(音速より6~8倍高い)へ加速し、距離500キロメートルまでの目標の撃破が可能である。
今日において、このような弾に対抗する手段は世界中の国に1つも無いと考えられている~対空防衛管制システムは、目標を捕捉出来ず、対ミサイルは追う事も出来ない。

[「ウダロイ」を追う]
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~これは、ロシアの対潜戦力の基礎として有名なソヴィエト1155「ウダロイ」シリーズの、より現代的なモデルである。
基礎プロジェクトの下で12隻の大型対潜艦が建造され、現在、海軍には7隻が在籍している:太平洋艦隊には「マルシャル・シャーポシニコフ」、「アドミラル・ヴィノグラードフ」、「アドミラル・パンテレーエフ」、「アドミラル・トリブツ」が加わり、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」、「セヴェロモルスク」、「アドミラル・レフチェンコ」北方艦隊で勤務に就いている。

「ウダロイ」の新たなヴァージョンである「アドミラル・チャバネンコ」は、技術的にも完全な艦である事が示された:動力装置は、ボイラータービンシステムの操作に起因する多くの問題を回避した。

近年、残された大型対潜艦は、徐々にプロジェクト1155Mへ近代化される。
それは、新たな艦上電子機器及び設備、航行用エンジン、冷却装置、閉鎖弁バルブが設置される。
そして最も重要なのは、大型対潜艦有翼ミサイル発射装置が取り付けられ、潜水艦狩りの狭い専門から離れ、自立した打撃力となる事に在る。



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プロジェクト11551大型対潜艦の1番艦「アドミラル・チャバネンコ」は、1989年2月28日にカリーニングラード沿バルト造船工場『ヤンターリ』で起工され、1992年12月14日に進水し、1995年から洋上試験を開始しました。
1999年1月28日にロシア海軍へ引き渡され、その後、北方艦隊へ編入されました。
[ウダロイII型駆逐艦「アドミラル・チャバネンコ」]

2007年6月末にアメリカノーフォークを訪問しました。
[アドミラル・チャバネンコ in ノーフォーク(2007年6月)]

2007年12月~2008年2月の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」地中海遠征へ同行しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第2次地中海遠征(2007年12月-2008年2月)]

2008年9月から重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と共にカリブ海への遠距離航海を行ない、ベネズエラキューバを訪問しました。
[ロシア艦隊の大西洋・カリブ海遠征]

2008年12月5日にはパナマ運河を通過しました。
[大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、パナマへ]
[パナマ運河を通過する大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」(2008年12月5日~6日)]

カリブ海へ行った後に「ピョートル・ヴェリキー」と別れ、2009年1月中旬に沿バルト造船工場『ヤンターリ』へ戻って短期間のオーバーホールを行なった後、地中海へ向かい、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」と合流し、2009年3月初頭に帰投しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第3次地中海遠征(2008年12月~2009年3月)]

2009年11月から2010年4月までアデン湾で海賊対処任務に従事しました。
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[ロシア海軍第5次ソマリア遠征]

2011年12月~2012年2月の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」地中海遠征へ同行しました。
[空母クズネツォフ第4次地中海遠征]

2012年7月には、地中海への遠距離航海へ向かった北方艦隊大型揚陸艦3隻を北大西洋までエスコートしました。
[大型対潜艦アドミラル・チャバネンコは北東大西洋で訓練を行なう]

2012年9月の北方艦隊北極圏遠征へ参加しました。
[ロシア北方艦隊北極圏演習(2012年9月)]

2014年4月にムルマンスク『第35艦船修理工場』へ回航され、オーバーホールと近代化改装が始まりました。
[ロシア海軍の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコは2015年からオーバーホールを始める]
[ロシア海軍の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコはオーバーホールの第1段階を終えた]

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しかし、『第35艦船修理工場』重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装も行なっており、こちらの方が優先されている為か、「アドミラル・チャバネンコ」の工事は後回しにされています。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ近代化改装]

現在の所、「アドミラル・チャバネンコ」の近代化改装の完了は2023年末頃に予定されています。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコの近代化改装は2023年までに完了する]

「アドミラル・チャバネンコ」の近代化改装は、太平洋艦隊「マルシャル・シャーポシニコフ」(2021年4月27日に復帰)と同様のものとなるようです。
[近代化改装された大型対潜艦改めフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"はロシア海軍太平洋艦隊へ復帰した]
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