ロシア製燃料はヘリ空母ミストラルに使用できる
- カテゴリ:ロシアのミストラル級導入見直し問題

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2013年2月23日13時23分配信
【ロゴージンはミストラルの為の燃料問題に関する報道を否定した】
モスクワ、2月23日-ロシア通信社ノーボスチ
ロシア連邦副首相ドミトリー・ロゴージンは、ロシアで生産されている燃料及び潤滑油がヘリコプター空母「ミストラル」型には適していないというメディアの報道に反論した。
「これらの艦(ミストラル級)に関する問題が何か、僕は知っています。
メディアの報道の殆どは憶測に過ぎませんよ。
例えばね、燃料-潤滑油に関しては、伝えられる所によれば、(ロシア製の)潤滑油と燃料は(ミストラルに)使用できないなどと書かれていますがね。
それは全く違いますよ」
土曜日、彼はロシアの愛国者組織の会合において話した。
副首相は、彼がロシア連邦とNATOの調整役としての仕事をしていた時、この組織(NATO)との折衝の一つにロシア艦と西側の艦との燃料の互換性が在った事を指摘した。
「僕達は、特にアフリカの角エリアにおける西側諸国との合同平和維持作戦の実現性に関する課題を仕上げました。
それは、ロシアの給油船から我が国の燃料を、EU及びNATOの海賊対処作戦へ参加する戦闘艦へ給油する可能性についての討議も含まれました」
ロゴージンは付け加えた。
彼によると、幾つかの問題が実在する事は確かだが「全体的に見ますと、その殆どはメディアの憶測に過ぎません」
ロシア連邦政府副議長(副首相)は、ロシアは、最初の2隻の艦をフランスの造船所で建造する契約に署名しており、国際的義務を尊重する国として、この契約を見直すべきではない事を強調した。
「ですが僕達は、これらの艦の運用ゾーンを考慮に入れた技術的特性、技術的数値についてフランス側に詳しい説明を求める権利が有ります」
彼は説明した。
ロゴージンは、3隻目と4隻目の「ミストラル」建造の為のフランスとの契約の可能性に関する問題は、このタイプの1番艦及び2番艦の試験運航の完了後にのみ検討される事を想起した。
『イタルータス』より
2013年2月23日13時39分配信
【ロゴージンはロシア製燃料がヘリコプター空母ミストラルに適していないという見解を否定した】
クラスノゴルスク/モスクワ地方/、2月23日/イタル-タス通信 ニコライ・ゴンチャロフ
ロシア製燃料はヘリコプター空母「ミストラル」に使用できる。
本日(2月23日)の祖国防衛者の日の機会に、副首相ドミトリー・ロゴージンは、愛国者組織の代表との会合で表明した。
このタイプの3隻目と4隻目のヘリコプター空母を建造するか否かの決定は、最初の2隻の試験後に採択される。
「1隻目と2隻目のミストラルをフランスの造船所で組み立てる契約は署名されており、国際的義務を尊重する国といたしまして、僕達は、これらの契約を見直す権利を有しておりません」
ロゴージンは強調した。
「ですが僕達は、これらの艦の運用ゾーンを考慮に入れた技術的特性、技術的数値についてフランス側に詳しい説明を求める権利は、確かに有ります」
副首相は語った。
「燃料-潤滑油に関しては、殆どが憶測にすぎませんよ。(ロシア製の)潤滑油や燃料が(ミストラルに)使用できないなんて、それは全く違います」
ロゴージンは話した。
彼は、NATO本部で仕事をしていた時の経験に言及した。
彼は、ロシアの給油船からNATO加盟国の艦船への燃料補給を含めたロシア艦の海賊対処作戦への参加に関する調整を行なっていた。
「問題は有りましたが、全体的に見ますと、その殆どはメディアの憶測に過ぎませんよ」
ロゴージンは話した。
「3隻目と4隻目のミストラルに関しましては、1隻目と2隻目の試験運航の結果を見た後でのみ、決定が下されるでしょう」
ロゴージンは強調した。
「砕氷機能を持っていないこれら(のミストラル)が、北方緯度でどのように動作するのかを確認する必要が有ります」
彼は付け加えた。
ロシアは、技術の為にこれらの艦を購入するとロゴージンは話した。
「大型艦の設計と建造-この技術は、我が造船所にとって魅惑的です。
それを参考にして、取り入れなければなりません。
現代の僕達の為に限り」

[ヘリ空母(強襲揚陸艦)ミストラル級]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]
今年2月初頭、ドミトリー・ロゴージン氏は、ロシア国内では「ミストラル」級の為の燃料が生産されていないと発言しました。
[ロシアではヘリ空母ミストラル級の為の燃料が生産されていない]
その直後、ロゴージン氏は、2月14日-15日にロシア・フランス軍事技術協力会議が開かれ、この席上で「ミストラル」級に関する諸問題も討議されると述べています。
[ロシアのヘリ空母ミストラル級導入に関する諸問題は解決される]
しかし世間一般(むろん日本も含む)では、「ロシア製燃料はミストラル級に使用できない」などという「誤解」「曲解」だけが独り歩きして行きました。
ロゴージン氏は現職(ロシア連邦副首相)に就く前にはNATOのロシア常駐代表を務めており、アデン湾海賊対処に関するロシア艦とNATO艦の共同作戦についてもNATO側との調整を行なった経験が有ります。
この時、ロシアの給油船からNATO海軍の艦船へロシア製燃料を給油する問題についても討議されたとの事です。
ロシアの給油船からNATO加盟国で建造された水上戦闘艦への給油の事例としては、2008年12月初頭に実施されたロシア海軍とベネズエラ海軍の合同演習が有ります。
この時、ロシア海軍の給油船は、ベネズエラ海軍のイタリア製フリゲートへ洋上給油を行ないました。
[ロシア・ベネズエラ合同海軍演習「VENRUS-2008」は開始された]
これとは逆に、今年1月初頭、ロシア北方艦隊の海賊対処部隊は、同じくNATO加盟国のスペインのセウタ港へ寄港し、現地で燃料を購入しています。
[ロシア北方艦隊海賊対処部隊はスペインのセウタ港で20万ユーロを支出した]
つまり、NATO諸国で使用されている艦船用燃料はロシアの艦船でも使用できるという事です。
その逆もまた然り。
「ミストラル」級はディーゼルエレクトリック推進方式であり、発電用としてフィンランドのバルチラ社製ディーゼルエンジンを搭載しています。
そして今現在、ロシア海軍にはフィンランドで建造された各種支援船が数多く就役しており、これらの船はバルチラ社製ディーゼルエンジンを搭載しています。
当然、これらのフィンランド製支援船はロシア製の燃料で動いていますが、特に不都合は起こっていません。
ロシア太平洋艦隊所属の海洋救助曳船「フォーチィ・クリロフ」

「フォーチィ・クリロフ」の主機・バルチラ社製12V32ディーゼルエンジン
ロシア太平洋艦隊所属の中型海洋給油船「イルクト」

要するに、ロゴージン氏自身は、ミストラル級に使用されている各種の燃料や潤滑油はロシア製のものと全く同一ではないとは言いましたが、ロシア製の燃料や潤滑油がミストラル級(NATO海軍の艦船)で使えないなどとは一言も言っていないという事です。
「ミストラル」級にはロシア製の燃料が使用できないと言ったのは、あくまでもロシアの一部の専門家です。

『kojii.net』より
【今週の軍事関連ニュース (2013/02/08)】
Dmitry Rogozin 露副首相が、Mistral 級揚陸艦について 2013/2/5 に「適切な燃料がない等の問題から、運用に困難をきたす」との見解を示した。
同級で使用できる 50 種類ほどの燃料が、いずれもロシアでは生産していないもので、さらにその燃料を補給できる給油艦もない、という事情による。
(DefenseNews 2013/2/5)
これは全くのデタラメです。
ロゴージン氏自身は、「(ミストラル級の)運用に困難をきたす」などとは一言も言っていません。
給油艦云々も含め、これは、ロゴージン発言を聞いたロシアの一部の専門家の発言です。

『イタルータス』より
2013年2月5日13時26分配信
【ロゴージン-ロシアはヘリコプター空母「ミストラル」型の為の燃料を生産しておらず、化学者は特別な解決法を探さなければならない】
イタル-タスは、「ミストラル」級の燃料適合問題についてロシア国内の造船所やフィンランドのバルチラ社に問い合わせましたが、造船所からは「幾つかの問題はあるが、それは燃料とは関係が無い」と言われ、バルチラ社からは回答を拒否されました。
そこで「匿名希望の軍事専門家」に聞いた所「ミストラル級に使用されている50種類の燃料はロシアでは生産されておらず、運用に困難をきたす」云々と言われたのを、そのまま報じたわけです。
そして上記のDefenseNewsは、「匿名希望の軍事専門家」の発言を、ロゴージン氏の発言と混同してしまったのです。
更に、DefenseNewsだけ読んで、ロシア語の元記事はチェックしない(そもそもロシア語の記事が読めない)日本の「専門家」が、この話を鵜呑みにしてしまったという事です。
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