ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は2021年11月にウラジオストクへ到着する

『タス通信』より
2021年8月17日8時9分配信
【ロケットコルベット「グレミャーシチー」はバルト艦隊から太平洋艦隊への艦隊間移動を開始した】
モスクワ、8月17日/タス通信
有翼ミサイル「カリブル-NK」を搭載するプロジェクト20385ロケットコルベット「グレミャーシチー」は、ロシア連邦バルト艦隊から太平洋艦隊への艦隊間移動を行なっている。
『タス通信』は防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「コルベット"グレミャーシチー"は、現在、艦グループの一員として地中海へ向かっています。
更に今後、同艦はスエズ運河を通過してアジア-太平洋地域へ向かいます。
その太平洋艦隊への到着は11月に予定されています」
彼は話した。
『タス通信』、この情報を公式に確認していない。
8月13日、北方艦隊広報サービスは、大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」率いる艦・支援船支隊がパ・ド・カレー海峡を通過し、ラ・マンシュ海峡へ向かって南方への移動を続けていると伝えた。
支隊の一員として更に、太平洋艦隊のコルベット「グレミャーシチー」と黒海艦隊の掃海艦「ウラジーミル・イェメリヤノフ」が加わっている。
広報サービスによると、今後、遠距離航海計画に沿って艦・支援船支隊の乗組員には、一連の艦隊間協同の課題への取り組みが控えている。
コルベット「グレミャーシチー」は『北方造船所』(『統合造船業営団』へ加入)で建造され、2020年12月29日に海軍へ引き渡された。
有翼ミサイル「カリブル-NK」或いは「オーニクス」、将来的には極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載する。
プロジェクト20385コルベットの1番艦「グレミャーシチー」は、2012年2月1日にサンクトペテルブルク市の『北方造船所』(セーヴェルナヤ・ヴェルフィ)で起工されました。
[サンクトペテルブルクでフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」及びコルベット「グレミャーシチー」が起工された]

プロジェクト20385はプロジェクト20380の改良型であり、兵装が強化されています。
[プロジェクト20385「グレミャーシチー」型コルベット]
20380の対艦ミサイル「ウラン」に代わり、20385は対地攻撃も可能な打撃巡航ミサイル「カリブル」を装備します。
当初、プロジェクト20385には、ドイツのMTU社製のディーゼルエンジンが装備される予定でしたが、ヨーロッパ諸国の対ロシア制裁により、その供給は途絶えました。
[ロシアは水上艦用のエンジン供給を拒否したドイツとウクライナの企業を訴える]
この為、設計を変更してロシアの『コロムナ工場』のディーゼルエンジン~「ディーゼルユニットDDA12000」~が搭載される事になりました。
これは以前のプロジェクト20380と同じエンジンです。
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
2016年4月末、『コロムナ工場』製ディーゼルエンジンの設置作業が始まりました。
[ロシア海軍の為の新世代コルベット"グレミャーシチー"へのロシア製ディーゼルエンジンの取り付けが始まった]
2016年5月19日までにディーゼルエンジンの設置作業は完了しました。
[ロシア海軍の為の新世代コルベット"グレミャーシチー"へのロシア製ディーゼルエンジンの設置は完了した]
2017年6月30日、「グレミャーシチー」の進水式典が開催されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為のプロジェクト20385コルベット1番艦グレミャーシチーは進水した]
2018年1月から造船所の岸壁で係留試験が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"乗組員は艦内への居住を準備する]
「グレミャーシチー」の洋上試験(工場航行試験)開始は、当初の予定(2019年3月)より遅れ、2019年4月21日になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験を開始した]

5月初頭に一旦クロンシュタットへ戻っていた「グレミャーシチー」は、5月6日に出航し、2回目の洋上試験をフィンランド湾で開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は2回目の洋上試験を開始した]
洋上試験中の5月8日、大祖国戦争(1941年6月22日のナチスドイツ軍によるソ連侵攻開始から1945年5月9日のベルリン占領までのソ連-ドイツ戦争のロシア側公式呼称)の勝利74周年の祝賀行事へ参加する為、一時クロンシュタットへ戻りました。
5月9日の戦勝記念日をクロンシュタット軍港で祝いました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験中に大祖国戦争勝利74周年を祝った]
祝賀行事を終えた後、「グレミャーシチー」は、フィンランド湾で洋上試験を続けました。
[ロシア海軍最新鋭のフリゲート"アドミラル・カサトノフ"とコルベット"グレミャーシチー"はバルト海で洋上試験を続ける]
[ロシア海軍の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はフィンランド湾で航行試験を続ける]
「グレミャーシチー」の洋上試験(工場航行試験)の第1段階は2019年6月下旬までに完了しました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験の第1段階を終えた]
「グレミャーシチー」は、7月28日の『ロシア海軍の日』にサンクトペテルブルク(ネヴァ川)で行なわれた観艦式(主要海軍パレード)へ参加しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2019年7月28日14時37分配信
【ロシアは『海軍の日』を迎えた】
そして8月20日に洋上試験(工場航行試験)を再開しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験を再開した]
「グレミャーシチー」の洋上試験はバルト海で続けられ、10月4日にはヘリコプターの発着試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海でヘリコプターの発着試験を行なう]
その後、「グレミャーシチー」は工場航行試験を完了してカリーニングラードの沿バルト造船工場『ヤンターリ』へ移動しました。
11月初頭にカリーニングラードを出航し、11月13日に白海海軍基地(セヴェロドヴィンスク)へ到着しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海海軍基地(セヴェロドヴィンスク)へ到着した]

12月6日、「グレミャーシチー」は、最終洋上試験~国家試験を行なう為に白海へ出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海で試験を行なう]
12月9日、「グレミャーシチー」は、白海で汎用垂直発射機3S-14から有翼ミサイル「カリブル」(対艦型)と超音速対艦ミサイル「オーニクス」を発射しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海で対艦ミサイル"カリブル"と"オーニクス"を発射した]
12月11日、今度は白海からチジャ射爆場の地上目標へ有翼ミサイル「カリブル」(対地型)を発射しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海で地上目標へ巡航ミサイル"カリブル"を発射した]

12月15日までに「グレミャーシチー」は白海での試験を完了し、北方艦隊基地セヴェロモルスクへ向かいました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は白海での試験を完了した]
セヴェロモルスク到着後、「グレミャーシチー」は12月27日にバレンツ海へ出航し、砲撃試験を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバレンツ海で砲撃試験を行なった]
「グレミャーシチー」のロシア海軍への引き渡しは、2019年12月末に予定されていましたが、洋上試験を全て終える事が出来なかった為、2020年に延期されました。
[近代化されたフリゲート"マルシャル・シャーポシニコフ"と新造コルベット"グレミャーシチー"及び"ロシア英雄アルダル・ツィジェンジャポフ"は2020年にロシア海軍太平洋艦隊へ引き渡される]
2020年1月12日、「グレミャーシチー」は洋上試験を再開する為にバレンツ海へ出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバレンツ海で洋上試験を再開した]
1月14日には魚雷の発射試験を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバレンツ海で魚雷を発射した]
1月中旬までにバレンツ海での試験は全て完了しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバレンツ海での洋上試験を完了した]
3月11日、「グレミャーシチー」はセヴェロモルスク基地から出航し、バルト海へ回航されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はセヴェロモルスクを去り、バルト海へ向かった]

5月19日、「グレミャーシチー」はバルト海で最終洋上試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海で最終洋上試験を開始した]
5月26日には艦載ヘリコプターの着艦試験を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海でヘリコプターの着艦試験を行なった]
6月初頭にも引き続き艦載ヘリコプターの着艦試験が行なわれました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海でヘリコプターの発着艦試験を続ける]
「グレミャーシチー」は6月22日までに建造元の『北方造船所』へ戻りました。
ここで1ヶ月間に渡り船体や艦内の検査を行なった後、2020年8月末から洋上試験を再開しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は2020年8月に最終洋上試験を行なう]
その後、主に電子機器(レーダーなど)の試験や最終調整に重点を置いて洋上試験は続けられました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海で洋上試験を続ける]
11月12日には、悪天候及び夜間時のヘリコプター着艦試験を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海で夜間のヘリコプター着艦試験を行なった]
12月10日には高射ミサイル複合体「リドゥート」の発射試験を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"はバルト海で高射ミサイル"リドゥート"の発射試験を行なった]
これで「グレミャーシチー」の洋上試験は全て完了し、12月13日にサンクトペテルブルクの『北方造船所』へ戻りました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は洋上試験を完了した]
2020年12月29日、サンクトペテルブルクの『北方造船所』で「グレミャーシチー」への聖アンドレイ旗初掲揚式典が開催され、正式にロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入されました。
[プロジェクト20385コルベットの1番艦グレミャーシチーはロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入された]
就役後もバルト海に留まり、2021年7月25日の『ロシア海軍の日』にはクロンシュタット泊地の観艦式へ参加しました。
その後、バルト海から出て、地中海へ向かう北方艦隊の大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」と合流し、8月13日に英仏海峡へ入りました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフと太平洋艦隊のコルベット"グレミャーシチー"と黒海艦隊の対機雷防衛艦ウラジーミル・イェメリヤノフは英仏海峡へ入った]
今後、「グレミャーシチー」は地中海へ入り、スエズ運河を通過して紅海、アデン湾、アラビア海、インド洋へ進み、その後に東南アジア海域を通過して日本海へ入り、ウラジオストクへ向かいます。
「グレミャーシチー」がウラジオストクへ到着するのは、2021年11月になるようです。
- 関連記事
-
- 2021年12月17日の火災事故によるコルベット"プロヴォールヌイ"の損害の評価が始まる
- サンクトペテルブルクで建造中のロシア海軍太平洋艦隊向けコルベット"プロヴォールヌイ"で火災が発生した
- ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭コルベット"グレミャーシチー"は2021年11月にウラジオストクへ到着する
- プロジェクト20385(グレミャーシチー型)コルベット2番艦プロヴォールヌイは2021年末にロシア海軍へ就役する
- ロシア海軍太平洋艦隊の為のプロジェクト20385(グレミャーシチー型)コルベット2番艦プロヴォールヌイの乗組員が編成された
スポンサーサイト