近代化改装中のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2022年6月に新たな乾ドックへ入渠する

『タス通信』より
2021年11月9日8時3分配信
【情報筋:新たな乾ドックは2022年6月に航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」を受け入れる】
モスクワ/11月9日/タス通信
プロジェクト1143.5重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』支所『第35艦船修理工場』の近代化された乾ドックへの設置は来年6月に計画されている。
艦の引き渡し時期は2023年にずれ込む。
『タス通信』は防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「巡洋艦アドミラル・クズネツォフのドック入りは来年6月に行われます。
艦は新たなドックの作業場でスクリュー推進軸グループの設置及び船体作業を始めます。
その修理は2023年夏に完了し、同年末に航空母艦は海軍へ引き渡されます」
対談者は話した。
彼によると、更新されたドックは今年末には巡洋艦の受け入れが可能となる。
「ですが、この技術的プロセスは、安定した天候下で温暖かつ明るい時期に実施するのが安全です」
彼は付け加えた。
『統合造船業営団は、閉鎖入札の結果により、2020年6月に航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の修理の為の2室の乾ドックの再建及び技術的再装備の契約を締結した。
請負業者は『オルゲネルゴストロイ』商会となった。
2018年10月0日夜、唯一のプロジェクト7454大型浮きドックPD-50は「アドミラル・クズネツォフ」の計画出渠の際にムルマンスクで沈没した。
このような排水量の艦を受け入れるための他の適切なドックはロシア連邦北部には無い。
この時、乾ドックの北室及び南室を統合し、400メートル×70メートルの寸法の単一の長方形のドックの建設が決定された。
新たな乾ドックは、国内の全ての現用プロジェクトの艦船を受け入れる事が出来る。


ロシア海軍唯一の「航空母艦」~ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(1991年1月21日就役)は、シリア作戦(2016年11月~2017年1月)から帰投した翌年の2018年4月23日に近代化改装の契約が締結され、その直後に工事が開始されました。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の契約は締結された]
近代化改装の全容は明らかにされていませんが、兵装、電子機器、通信機器、航空艤装、戦闘情報管理システム、航空機管制複合体、火災探知システムなどは新型に変更される事になるようです。
[ロシア海軍の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな通信システムを受け取る]
[ロシア海軍将来汎用揚陸艦の為の新たな戦闘情報管理システムが開発される]
[ロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフは航空隊と戦闘情報管理ステムを近代化する]
近代化改装を終えた「アドミラル・クズネツォフ」は、少なくとも20年間の就航が可能となります。
つまり、2040年頃までは現役に留まるという事です。
[ロシア海軍の空母アドミラル・クズネツォフは近代化改装後、少なくとも2040年まで現役に留まる]
プロジェクト11435重航空巡洋艦(アドミラル・クズネツォフ)を設計した『ネフスキー計画設計局』により、「アドミラル・クズネツォフ」の新たな近代化改装案が作成されました。
[ネフスキー計画設計局はロシア海軍唯一の空母アドミラル・クズネツォフの近代化改装の為の準備を進めている]
「アドミラル・クズネツォフ」には、新たな淡水化装置が設置されます。
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装により新型の高射ミサイル砲複合体「パーンツィリ-M」が装備されます。
[近代化改装されるウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは新たな高射ミサイル砲複合体パーンツィリ-Mを装備する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、近代化改装の際に新たな航空機管制複合体を装備します。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは近代化改装により新たな航空機管制複合体を装備する]
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは新たな航空機管制複合体レジストル-Eを装備する]
更には、ロシア海軍の新型フリゲート・プロジェクト22350(「アドミラル・ゴルシコフ」型)で初めて採用される最新の高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」の装備も計画されています。
[近代化改装されるウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは最新高射ミサイル複合体ポリメント-リドゥートを装備する]
「アドミラル・クズネツォフ」の近代化改装の費用については、これまでに様々な数字が出ていましたが、結局、約600億ルーブルに落ち着いたようです。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の費用は約600億ルーブルになる]
「アドミラル・クズネツォフ」の機関(蒸気タービン)自体は変更されませんが、蒸気発生用のボイラーは8基全てが交換される事になり、2018年7月下旬からボイラーの撤去作業が始まりました。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフのボイラーの撤去作業が始まった]
蒸気タービン機関自体も大規模な修復が行なわれます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは蒸気タービンエンジンを修復する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、8基のボイラー(KVG-4)を、新たに製造されたボイラーKVG-4と交換します。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年9月4日8時0分配信
【情報筋:「アドミラル・クズネツォフ」の新たなロシア製ボイラーは25年と見積もられている】
新たなボイラーKVG-4の寿命は25年になります。
「アドミラル・クズネツォフ」の火災探知システムは、予算の都合の為か、半分だけが新型に取り換えられることになるようです。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは火災探知システムの半分を新型に替える]
更には、電力供給体系(ケーブル線)の一部も更新されます。
[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは電力供給体系を部分的に更新する]
「アドミラル・クズネツォフ」は、2018年9月17日にムルマンスク北東のロスリャコヴォの第82艦船修理工場の大型浮きドックPD-50へ入渠しました。


[近代化改装されるロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは大型浮きドックPD-50へ入った]
2018年10月30日未明、大型浮きドックPD-50へ入渠していた「アドミラル・クズネツォフ」の出渠作業中、突然に電力供給が止まり、浮きドックは沈没しました。
[重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを修理中の浮きドックPD-50で事故が発生した]
この事故により、浮きドックPD-50のクレーン1基が「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下し、甲板を損傷しました。
具体的には、飛行甲板に直径5メートル程の穴が開きました。
「アドミラル・クズネツォフ」は、事故後にロスリャコヴォからムルマンスクの第35艦船修理工場へ回航され、第24埠頭(「アドミラル・クズネツォフ」がいつも停泊している場所)へ係留されました。
「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板へ落下したクレーンは、12月下旬に撤去されました。
[浮きドックPD-50の沈没事故により航空母艦アドミラル・クズネツォフの飛行甲板へ落下したクレーンは完全に撤去されている]
2019年12月12日10時16分(モスクワ時間)、近代化改装工事中の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の第1発電機区画での溶接作業中に火災が発生しました。
[近代化改装工事中の重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフで火災が発生した]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフ火災事故(2019年12月12日)続報]
[ロシア海軍の航空母艦アドミラル・クズネツォフ火災事故(2019年12月12日)続報(その2)]
火災は24時間以内に鎮火されましたが、乗組員の士官2名が死亡し、他に14名が火災発生時の有毒ガスによる中毒で入院しました。
この火災により、「アドミラル・クズネツォフ」は第1発電機区画が全焼しましたが、致命的な損傷は受けておらず、修理及び近代化改装作業は続行されています。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは、2019年12月12日の火災により致命的な損傷は受けておらず、修復及び近代化されて復帰する]
『統合造船業営団』総裁アレクセイ・ラフマノフ氏によると、「アドミラル・クズネツォフ」の火災による損害額は、3億ルーブル~3億5000万ルーブルになるとの事です。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの2019年12月12日の火災の損害額は3億5000万ルーブルと見積もられた]
従来の『第35艦船修理工場』の乾ドックのサイズでは、「アドミラル・クズネツォフ」は入渠できませんでしたが、これを、同艦が入渠できるサイズに拡張する計画は以前から有り、PD-50沈没事故を受け、これが実行に移される事になりました。


[ムルマンスクの第35艦船修理工場は再構築(ペレストロイカ)される]
[ムルマンスクの第35艦船修理工場はロシア海軍空母アドミラル・クズネツォフ近代化改装の為にドックを拡張する]
『第35艦船修理工場』の2つの乾ドックを結合し、「アドミラル・クズネツォフ」が入渠できるサイズに拡張します。
[近代化改装中のロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは、ムルマンスク艦船修理工場の乾ドック拡張後にドック入りする]
この乾ドックは、取りあえずは「アドミラル・クズネツォフ」が入渠できるように最低限の工事を行ない、その後、2023年までに恒久的な施設として完成させる予定です。
なお、乾ドック拡張工事の最中、請負業者と発注者『第35艦船修理工場』との間で金銭トラブルが発生した為、2020年6月下旬に新たな請負業者として『オルゲネルゴストロイ』商会が選ばれ、工事が再開されました。

[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグはウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代改装を行なっているムルマンスク艦船修理工場を視察した]
この乾ドックへの「アドミラル・クズネツォフ」の入渠は、2022年6月になるようです。
[近代化改装中のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2022年夏頃に乾ドックへ入渠する]
なお、今回の件に関し、西側(英語圏)のメディアは、「アドミラル・クズネツォフの修理が2022年6月に再開される」などと報じていますが、元記事は、あくまでも「2022年6月に乾ドックへ入る」としか言っておらず、「2022年6月に工事再開」という意味ではありません。
ドックへ入らなくても出来る工事は今でも続行されています。
(例えば、蒸気タービン機関のボイラーの交換や飛行甲板、艦橋の工事など)
『Naval News』より
2021年11月12日配信
【ロシアの航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」は2022年6月に修理を再開する】
以前には、「アドミラル・クズネツォフ」は2022年に洋上試験を行ない、同年末に近代化改装を終えて復帰する予定でした。
[ロシア海軍北方艦隊のウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの近代化改装の完了予定時期は2022年末から変更されていない]
しかし、以前に「アドミラル・クズネツォフ」から取り外され、サンクトペテルブルクの『キーロフ-エネルゴマシュ』へ送られた蒸気タービンエンジンの修復が予定よりも遅れている為、洋上試験開始時期も遅れる事になり、近代化改装の完了時期も2023年末に延期される事になりました。
[ウシャコーフ勲章授与・重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフは2023年に近代化改装を終えてロシア海軍へ復帰する]
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