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ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ、ギニア湾で海賊に乗っ取られたコンテナ船を解放(2021年10月26日)


『タス通信』より
2021年10月26日22時39分配信
【ロシア海軍歩兵はギニア湾の海賊から20名のウクライナ人、ロシア人、ルーマニア人を救出した】
モスクワ、10月26日/タス通信

月曜日にロシア海軍歩兵により解放されたコンテナ船の乗組員には、20名のウクライナ市民が含まれていた。
北方艦隊戦闘艦支隊指揮官スタニスラフ・ワリク1等海佐は報道陣へ伝えた。

「船の乗組員チームは22名でした:ロシア人1名、ルーマニア人1名とウクライナ人20名。
全員が生存し、健常で(孤立した)部屋へ退避していました」

当局は指摘した。

ワリクは、船が乗っ取られたという国際海賊活動局からの報告を受けた後、彼はそこへヘリコプターを向かわせる決断を下したと話した。

「距離は80km以上あり、海域へ到着すると、乗っ取られた船の舷側に沿って移動する高速ボートを発見しました。
ヘリコプターの音を聞き、それを見て、ヘリコプター接近時には既にに8名の海賊がボートに乗り移り、ボートは30ノット以上の高速で離脱操船を始めました」
支隊
指揮官は話した。

彼によると、艦船支隊は完全な戦闘準備へと移り、北方艦隊支隊の全ての艦船の海軍歩兵対テロ活動グループが警戒に上がった。
「支隊は、最大速度でこの船の探知地点への移動を開始しました。
ルートの移動時間は2.5時間でした。
ヘリコプターは予備燃料で艦への移動飛行の実施を余儀なくされ、戦闘訓練の為に設定されている様々な全ての戦闘基準の引き出しのため、再び準備を行いました」
ワリク
は強調した。

彼は、この時には船の乗組員からの通信は発信されておらず、最上甲板には誰も居らず、海賊の乗るボートはかなりの長距離へと去っている事が知られていたと話した。
「既にこの時点で私は国際海賊対処局へ連絡し、私共は船と接触し、海賊は海域から出ており、その行動は停止した事を知らせました」
艦支隊
指揮官は指摘した。

[コンテナ船の検査]
ワリク
によると、将兵は海賊の誰かが船上に留まっているのか否かについての情報を持っていなかった。
「船へ接近すると、然るべき全ての予防措置を実施しました。
海軍歩兵の(強襲)グループは武装し、指示を受け、艦が活動海域へ到着すると高速艇へ乗りました。
ヘリコプターは空中からの火力カバーの為に再び上がりました。
更に、大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフから射出された無人装置の制御が行われました」

1等海佐は話した。

将兵はコンテナ船との接触の確立に成功した。
「その後、最も困難かつ危険な作業が始まりました~艦の火力カバーの下での強襲(火力)グループの乗船。
艦は乗っ取られた船から300メートル離れていた。
「海軍歩兵は迅速かつ的確に働きました」
艦支隊
指揮官は話した。

彼によると、6名の海軍歩兵船「リューシア」へ乗り込み、舷側に沿って進入し、半時間船を点検し、保護されていた乗組員を助け出しました。
「死傷者は居ませんでした。
全員生存し、健常であり、最上甲板へ上がり、温かく歓迎され、感謝され、ちょうど救助の為に海軍歩兵が抱擁するために駆けつけました」
ワリク
は述べた。

彼は更に、捜査官及び検察官で構成されるグループが続けて船へ乗り込んだ事を指摘した。
支隊指揮官によると、現在、船長の要請により船は艦支隊に護送されている。

[艦支隊]
救助曳船「アルタイ」、中型海洋給油船「アカデミック・パシン」、大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」
で構成される北方艦隊艦船支隊は、この3週間ギニア湾で行動していた。
ロシア船員は、民間船舶航行の安全を保障し、艦上航空隊の助力を得て水上状況の監視を行っている。



ロシア北方艦隊大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」(1982年1月10日就役/2010年12月7日再就役)は、2021年6月中旬にバレンツ海で戦闘訓練を実施しました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフはバレンツ海で対空戦闘訓練を実施した]

その後、北方艦隊最新鋭大型揚陸艦「ピョートル・モルグノフ」(2020年12月23日就役)と共にバレンツ海へ出航し、各種訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭大型揚陸艦ピョートル・モルグノフは海軍歩兵部隊の乗船訓練を実施し、バレンツ海へ出航した]


2021年6月28日、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」を含む北方艦隊艦船部隊は、『ロシア海軍の日』(7月の最終日曜日)にクロンシュタット泊地で行なわれる観艦式(主要海軍パレード)へ参加する為、セヴェロモルスクを出航し、バルト海へ向かいました。
[ロシア海軍北方艦隊の水上艦はバルト海へ向かった]

7月11日にクロンシュタットへ到着しました。
[2021年7月25日のクロンシュタットの『ロシア海軍の日』観艦式(主要海軍パレード)へ参加する北方艦隊の大型水上艦は現地へ到着した]

7月25日の『ロシア海軍の日』クロンシュタット泊地の観艦式へ参加しました。




観艦式が終わった後、北方艦隊の艦はクロンシュタットを去り、バルト海を出て北東大西洋へ入りました。

8月4日から北方艦隊指揮-参謀訓練が始まり、クロンシュタット『ロシア海軍の日』観艦式(主要海軍パレード)へ参加し、基地へ戻る途中の北方艦隊の水上艦も北東大西洋で演習へ参加しました。
[クロンシュタットの『ロシア海軍の日』観艦式(主要海軍パレード)へ参加した北方艦隊の水上艦は北東大西洋で演習を開始した]

主要海軍パレード及び指揮-参謀訓練へ参加した北方艦隊の水上艦~ロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」、フリゲート「アドミラル・カサトノフ」は、8月11日に母港セヴェロモルスクへ帰投しました。
[クロンシュタットとサンクトペテルブルクの『ロシア海軍の日』観艦式(主要海軍パレード)へ参加した北方艦隊の水上艦は母港セヴェロモルスクへ帰投した]

しかし、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」支援船(救助曳船「アルタイ」給油船「アカデミック・パシン」)はセヴェロモルスクへ戻らず、グレートブリテン島北東のマレー湾に投錨停泊しました。
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『MarineTraffic.com』より
【アカデミック・パシン】

8月11日、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」支援船マレー湾を去り、遠距離航海へ向かいました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフはグレートブリテン島北東沖から去り、遠距離航海へ出発した]

8月12日には、同じく主要海軍パレードへ参加した後にバルト海から出た太平洋艦隊プロジェクト20385コルベット「グレミャーシチー」(2020年12月29日就役)及び黒海艦隊プロジェクト12700対機雷防衛艦「ウラジーミル・イェメリヤノフ」(2019年12月28日就役)が合流し、8月13日に英仏海峡へ入りました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフと太平洋艦隊のコルベット"グレミャーシチー"と黒海艦隊の対機雷防衛艦ウラジーミル・イェメリヤノフは英仏海峡へ入った]
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8月18日にジブラルタル海峡を通過して地中海へ入りました。
「グレミャーシチー」「ウラジーミル・イェメリヤノフ」については触れられていませんが、おそらくは一緒に地中海へ入ったようです。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフはジブラルタル海峡を通過して地中海へ入った]

8月23日にアルジェリアアルジェ港を訪問しました。
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[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフはアルジェ港を訪れた]

8月25日にアルジェ港を出港し、地中海東部へ向かいました。
[ロシア海軍北方艦隊の大型対潜艦ヴィツェ・アドミラル・クラコーフはアルジェ港を去り、地中海東部へ向かった]

その後は地中海東部で行動し、9月中旬にキプロスリマソール港へ物資補充の為に寄港し、9月16日に出航しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2021年9月16日8時50分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」はキプロスで備蓄を補充した】

更にシリアタルトゥース港へ寄港した後、地中海を西進し、9月23日にジブラルタル海峡を通過して大西洋へ入りました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年9月23日15時8分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は大西洋へ入った】

9月25日には大西洋上で潜水艦の捜索訓練を行いました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年9月25日12時45分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は大西洋上で潜水艦の捜索へ取り組んだ】

その後、大西洋中部に位置する島国カーボベルデへ寄港し、10月1日に出航しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月1日20時45分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」はカーボベルデへの業務寄港を完了した】

なお、2014年3月のウクライナ危機の際に日本でも有名になったナタリヤ・ポクロンスカヤは、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」が出航した後の2021年10月13日にカーボベルデロシア連邦特命全権大使に任命されています。


カーボベルデは、2016年11月にロシアと艦船寄港簡略化協定を締結しています。
つまり、ロシア海軍の艦船は何時でも自由にカーボベルデへ寄港できます。
[ロシア海軍艦船のカーボベルデへの寄港手続きは簡略化される]

「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」支隊は大西洋を南下し、10月5日にはアフリカ沖で捜索救助演習を行ないました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月5日22時15分配信
【北方艦隊将兵はアフリカ沿岸で救助演習を実施した】

10月6日にギニア湾へ入り、同海域のパトロールを開始しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月6日18時45分配信
【北方艦隊将兵はギニア湾で船舶航行の安全を保障する】

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月11日19時45分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」はアフリカ沿岸で船舶航行の安全保障を開始した】

10月13日には海賊に乗っ取られた船を解放する訓練を行ないました。
給油船「アカデミック・パシン」が乗っ取られた船を演じました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月13日11時30分配信
【北方艦隊将兵はギニア湾で海賊に乗っ取られた船を解放する演習を実施した】

10月19日に赤道ギニアマラボ港へ寄港しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月19日19時55分配信
【北方艦隊艦船支隊はマラボ港~赤道ギニア首都への業務寄港を行なった】

そして10月26日にギニア湾海賊に乗っ取られたパナマ船籍のコンテナ船を解放しました。


11月1日にギニア湾を去りました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年11月1日16時45分配信
【北方艦隊艦船支隊はギニア湾での対海賊任務を完了した】

その後、再びカーボベルデへ寄港し、11月8日に出航しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年11月8日22時45分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」率いる北方艦隊艦船支隊はプライア港への業務寄港を完了した】

11月12日には大西洋上で対空戦闘訓練を行いました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年11月12日19時30分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は大西洋で仮想敵の攻撃を撃退した】

11月16日にはビスケー湾を通過しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年11月16日19時30分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は遠距離航海の最終段階へ着手した】

11月17日には英仏海峡(ラ・マンシュ海峡)へ入りました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年11月17日23時30分配信
【大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」はラ・マンシュ海峡へ入った】

今後、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」は母港セヴェロモルスクへ向かいます。
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