元ロシア海軍総参謀長はロシアに地中海作戦部隊を運用する能力が無いと言った

『インタファクス』より
【専門家:ロシア戦隊の艦船は地中海に1年以上留まることは出来ない】
モスクワ、3月1日、インタファクス

ロシアには、地中海において常時作戦行動を行なう部隊を設立するだけの能力は無い。
充分な戦闘艦と信頼できる物資・技術供給所を欠いているが故に。
元(ロシア)海軍総参謀長ヴィクトル・クラフチェンコ提督「インタファクス-AVN」に表明した。

「地中海戦隊を復活させるなどという話が何処から飛び出して来たのか、僕には理解できませんね。
このような声明は、 現実のリソースの裏付けを欠いた願望を、再び大声で叫んでいるに過ぎませんよ。
例え海軍に残されているもの(艦)からグループを集めたとしてもね、艦は全て1年で寿命が尽き、修理が必要になるでしょうよ」

ラフチェンコ氏は話した。
(2013年3月1日11時44分配信)


今回の記事に登場するヴィクトル・アンドレイヴィチ・クラフチェンコ氏は、1943年12月5日に生まれました。
現在、69歳です。
1968年にフルンゼ海軍高等学校を卒業して海軍士官となり、以後、1991年まで一貫して黒海艦隊ディーゼル潜水艦乗りとして勤務したサブマリナーです。

1991年にバルト艦隊司令官第1代理に就任、初めて黒海艦隊以外の部隊で勤務した後、1996年には古巣の黒海艦隊へ戻り、同艦隊司令官に就任しました。
ちょうどロシアウクライナ黒海艦隊帰属分割問題の真っ最中でした。
1996年に海軍大将へ昇進し、彼が司令官在任中の1997年にはロシアウクライナ黒海艦隊協定が成立し、この問題は一応解決しました。
黒海艦隊司令官在任中は大型対潜艦「ケルチ」に将旗を掲げました。
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1998年7月、ロシア連邦海軍総参謀長に栄転し、2005年2月まで務めました。
2005年に海軍を去りました。

今では、軍事評論家としてロシアメディアに出ています。
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[未完のネウストラシムイ型フリゲート3番艦トゥマンの建造が再開される ]


黒海艦隊司令官を務めたクラフチェンコ氏は、最近出てきたロシア海軍地中海作戦部隊の創設には批判的かつ懐疑的です。
[ロシア海軍の地中海常設作戦部隊が2015年に創設される]
[ロシア海軍地中海作戦部隊司令部が創設される]
[ロシア海軍地中海作戦部隊は10隻の艦船から成る]
[ロシア海軍のミストラル級は地中海作戦部隊の旗艦になるかもしれない ]

地中海東岸のシリアタルトゥースにはロシア海軍物資・技術供給所が置かれていますが、シリアは2011年1月以降内戦状態です。
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さすがにロシア海軍将兵が少数とはいえ滞在しているタルトゥース周辺には反政府軍も手を出しておらず、この地域に戦火が及ぶ可能性は有りませんが、不安定な地域にロシア海軍物資・技術供給所が置かれているという事実は変わりません。
クラフチェンコ氏は、そのようなタルトゥース「信頼できる物資・技術供給所」とは見ていません。

タルトゥース以外では、最近はキプロスリマソール港やギリシャピレウス港へロシア海軍艦船が寄港する機会が増えています。
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或いは、タルトゥースに代わる物資・技術供給所の候補として考えられているのかもしれませんが、今の所は具体的な話は有りません。

ロシア海軍地中海作戦部隊は、黒海艦隊、北方艦隊、バルト艦隊の艦船が派出されますが、北方艦隊バルト艦隊の基地(セヴェロモルスク、バルチースク)から地中海まで遠征できる大型水上艦(稼働状態に在る艦)は限られています。
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最も近い黒海艦隊からでも、地中海へ出せる比較的大型の水上戦闘艦は多いとは言えません。
2012年には、黒海艦隊から地中海へ派遣された水上艦は、ロケット巡洋艦「モスクワ」警備艦「スメトリーヴイ」以外は大型揚陸艦です。

クラフチェンコ氏は、その限られた大型水上艦地中海に常時展開させたとしても長続きせず、せいぜい1年くらいしか持たないだろうと見ております。
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