ロシア海軍の新型艦対空ミサイル"ポリメント-リドゥート"は対艦攻撃も可能になった
- カテゴリ:ロシア海軍の艦載兵器
『イズベスチヤ』より
2021年12月7日0時0分配信
【艦隊の保護者:ロシアのフリゲートは対艦ミサイルを得た】
それは仮想敵の航空機の撃墜と駆逐艦の破壊が可能になる

ロシアのプロジェクト22350「アドミラル・ゴルシコフ」型フリゲートは新たな能力を得た。
これらに設置されている高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」は、同時に航空機と海上目標を撃破できる。
海軍は既に一連の試験を完了しており、仮想敵水上艦の破壊に習熟した。
今や、フリゲートの標準的な高射ミサイル複合体は、無人機、有翼ミサイル、航空機、ヘリコプターの撃墜のみならず、コルベット、駆逐艦、その他の敵艦の撃沈が可能となった。
[フリゲートの試験]
軍当局の情報提供者が『イズベスチヤ』へ話したように、試験は数段階で数年に渡り行なわれ、今年の晩秋に完了した。
中でも特に、これには北方艦隊の一員であるプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」が関わっていた。
特定の段階においては、高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」のミサイル発射が行なわれた。
フリゲートの乗組員は、高射誘導ロケットの発射のみならず、このような打撃を与える際の行動手順へ取り組んだ。
情報提供者によると、全ての標的は撃破され、作業は成功と認められた。
海上目標への打撃は、複数のタイプの高射ミサイルにより与えられたが、それらの具体的な名前は明らかにされていない。
フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は、新たな兵器システムの試験へ積極的に関わっている。
その艦上では、今年、数回のミサイル「ツィルコン」の発射が行なわれた。
既に国防省は、11月末、白海エリアから400キロメートル以上離れた場所に在る海上目標へのこのミサイルの次の射撃に成功したと発表している。
対空防衛複合体には、海上目標への射撃能力を含む事が出来ると軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは『イズベスチヤ』へ話した。

「戦闘衝突の際、汎用高射ミサイルはフリゲートの打撃力を強化し、高価な弾の節約を可能にします」
彼は確信する。
「フリゲートは、敵の小型戦闘艦或いは艇を破壊する為にツィルコンやカリブルを費やす必要は有りません~それは高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"で沈めるのが理に適っています。
このようなケースは既に有ります。
2008年のロシア艦の攻撃中、グルジアの警備艇の1隻が高射ミサイル複合体オサーにより撃破されました」
今、海軍には2隻のプロジェクト22350フリゲートが含まれている~「アドミラル・ゴルシコフ」と「アドミラル・カサトノフ」。
計画によると、第3と第4の艦~「アドミラル・ゴロフコ」と「アドミラル・イサコフ」は2022年と2023年に海軍へ補充されなければならない。
以前、国防省はフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は係留試験を準備していると伝えた。
「アドミラル・イサコフ」は主ディーゼルエンジン、タービン、減速ギアの調整作業が進められている。
これらの艦も北方艦隊へ向かわなければならない。
合計で海軍は8隻のプロジェクト22350フリゲートを受け取る。
現在、軍艦「アドミラル・チチャーゴフ」と「アドミラル・アメリコ」が建造されている。
昨年6月にはフリゲート「アドミラル・スピリドノフ」と「アドミラル・ユマシェフ」が起工された。
更に2隻の艦の建造が準備されている。
[ポリメント-リドゥート]
高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」は、新世代艦に設置されている。
これは陸上対空防衛システムS-350「ヴィーチャズィ」を基に作成され、航空機、ヘリコプター、有翼ミサイルの迎撃の為に意図されている。
海上高射ミサイル複合体の構成には、4面フェーズドアレイアンテナの電波位置測定ステーション「ポリメント」が含まれている。
これは探知と目標指示を担当する。
高射ミサイルは艦首に在る垂直発射装置に配置される。
発射装置複合体は、各々が4セル或いは8セルのモジュールで構成される。
合計でプロジェクト22350フリゲートには、高射誘導ミサイルの為の32セルが配置されている。
複合体は、中距離ミサイル9M96E(50キロメートルまでの距離で目標を攻撃)或いは長距離高射誘導ミサイル9M96E2-1(有効距離150キロメートルまで)を発射できる事が知られている。
更にそれは、短距離高射誘導ミサイル9M100(距離10キロメートルまでの目標を攻撃)も発射できる。
梯形防衛を作成する為、様々な射程のタイプのミサイルを同時に発射装置へ配置できる。
発射の際は「コールド」ランチを使用する。
高射誘導ミサイルは、垂直配置輸送-発射コンテナから充填された圧縮空気により高度30メートルまで放り投げられる。
これは、最小迎撃距離の著しい低減を可能にする。
「ポリメント-リドゥート」は、他の海軍の艦にも装備されている。
特にこれは、プロジェクト20380コルベット「ソーブラジテルヌイ」と、このシリーズの以後の艦へ設置されている。
[強力な「アドミラル」]
艦隊で「アドミラル」或いは「アドミラル」フリゲートシリーズとも呼ばれるプロジェクト22350フリゲートは、単独でも様々な海軍グループの一員としても効果的な行動が可能である。
艦は良好な航海性能を持ち、抜きん出た信頼性が有る。
「アドミラル・ゴルシコフ」は海軍艦船支隊を率いて世界一周航海を行ない、この間に深刻な被害を被る事無く40000海里(少なくとも74000キロメートル)を走破した。
「アドミラル」は、海軍で最も強力なものの1つである。
これらは有翼ミサイル「カリブル」、対艦ミサイル「オーニクス」、極超音速の「ツィルコン」を使用できる。
フリゲートは更に130mm砲装置A-192Mの助力を得て水上目標と地上目標を破壊できる。
空中の敵から艦は高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」のみならず、2基の30mm砲装置「パラシ」でも防護される。
潜水艦の攻撃からは対潜複合体「パケート-NK」で保護される。
電波電子戦闘システムは、敵の探知と対艦ミサイルの攻撃を防ぐ。
『イズベスチヤ』は既に、フリゲートの艦上には、ボート及び水中ドローンを含む対機雷複合体「ディアマンド」を設置できると書いている。
これは艦から10キロメートルまでの距離で動作し、深度10メートルから100メートルまでの機雷を探知し、除去できる。
更に、無人機とヘリコプターを装備する。
自動制御システムにより、フリゲートは艦、航空機、更には地上部隊との行動の調整が可能である。
[ロシア海軍の新世代艦対空ミサイル「リドゥート」/「ポリメント-リドゥート」]
3K96「リドゥート」/3K96-2「ポリメント-リドゥート」は、ソヴィエト連邦解体後に開発されたロシア海軍の新世代高射ミサイル複合体であり、数種類の高射ミサイルを使用できます。
・遠距離高射ミサイル9M96E2:慣性、アクティブレーダーホーミング、射程距離120-150km
・中距離高射ミサイル9M96E:慣性、アクティブレーダーホーミング、射程距離40-50km

・近距離高射ミサイル9M100:赤外線ホーミング、射程距離10-15km

(ただし、簡易版の「リドゥート」では、おそらく9M96Eと9M100しか運用できない)
簡易版の「リドゥート」は、プロジェクト20380コルベットの2番艦「ソーブラジテルヌイ」(2011年10月14日就役)以降に装備されています。
(2008年2月27日に就役した1番艦「ステレグーシチー」は「リドゥート」が間に合わなかった為、代わりに高射ミサイル-砲複合体「コールチク-M」を装備)
更には、改良型のプロジェクト20385コルベットとプロジェクト20386コルベットにも装備されます。
ミサイルの管制や誘導は3座標レーダー「フルケ-2」により行なわれます。

プロジェクト20380コルベットの「リドゥート」ミサイル垂直発射機(計12基)


フルスペック版の「ポリメント-リドゥート」は、プロジェクト22350フリゲート1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)に初めて装備されました。
ミサイルの管制や誘導は4面フェーズドアレイレーダー「ポリメント」により行なわれます。

プロジェクト22350フリゲートの「ポリメント-リドゥート」ミサイル垂直発射機(計32基)

「ポリメント-リドゥート」の開発は相当難航したらしく、これが「アドミラル・ゴルシコフ」の就役を遅延させる事になりました。
2018年11月2日、ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将は、北方艦隊における「ポリメント-リドゥート」の国家試験中、様々なタイプの目標(つまり空中目標と海上目標)へ10回以上のミサイル発射が実施された事を明らかにしました。
『タス通信』より
2018年11月2日19時5分配信
【ショイグ:高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」の国家試験中に10回以上のミサイル発射が実施された】
これは、北方艦隊へ配備されたプロジェクト22350フリゲート1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」による「ポリメント-リドゥート」のミサイル発射を指しています。
同艦は、2018年10月に「ポリメント-リドゥート」のミサイル発射を少なくとも3回実施しています。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"はバレンツ海で高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"を発射した]
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"で海上目標と空中目標を撃破した]
ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"で空中目標を撃破した
これ以前~おそらくは、就役前の2018年5月初頭から7月初頭まで北方艦隊基地セヴェロモルスクに滞在していた期間~にも、「アドミラル・ゴルシコフ」は「ポリメント-リドゥート」の発射試験を実施していたようです。
2019年2月、「ポリメント-リドゥート」の国家試験は完了ました。
[ロシア海軍の新世代高射ミサイル複合体ポリメント-リドゥートの国家試験は完了した]
2019年前半、「ポリメント-リドゥート」はロシア海軍へ制式採用されました。
[ロシア海軍の新世代高射ミサイル複合体ポリメント-リドゥートは2019年前半に制式採用される]
国家試験を終えてロシア海軍へ制式採用された「ポリメント-リドゥート」ですが、今度は対艦攻撃の試験が行なわれる事になりました。
「アドミラル・ゴルシコフ」は、2021年10月28日にバレンツ海で対空ミサイル「ポリメントリドゥート」を対空目標と、更に海上目標へ発射しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月28日19時30分配信
【フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」乗組員はバレンツ海で高射ミサイル射撃を実施した】
これが今回の記事の最初で触れられている「今年晩秋に完了した試験」だったようです。
「アドミラル・ゴルシコフ」が試験を行なったミサイルは、おそらくは遠距離高射ミサイル9M96E2と中距離高射ミサイル9M96Eでしょう。
なお、プロジェクト20380コルベット「ソーブラジテルヌイ」は2014年6月に水上目標へ「リドゥート」へ発射していますが、これはおそらく短距離ミサイル9M100でしょう。
[ロシア海軍バルト艦隊のコルベット「ソーブラジテルヌイ」はリドゥ―ト艦対空ミサイルを海上目標へ命中させた]
記事中でも触れられていますが。対空ミサイルによる対艦攻撃は2008年8月上旬の南オセチア紛争で実際に行なわれており、アブハジア沖海戦で黒海艦隊の小型ロケット艦「ミラーシュ」は、グルジア海軍の戦闘艇を短距離高射ミサイル「オサー-M」で撃破しています。
2021年12月7日0時0分配信
【艦隊の保護者:ロシアのフリゲートは対艦ミサイルを得た】
それは仮想敵の航空機の撃墜と駆逐艦の破壊が可能になる

ロシアのプロジェクト22350「アドミラル・ゴルシコフ」型フリゲートは新たな能力を得た。
これらに設置されている高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」は、同時に航空機と海上目標を撃破できる。
海軍は既に一連の試験を完了しており、仮想敵水上艦の破壊に習熟した。
今や、フリゲートの標準的な高射ミサイル複合体は、無人機、有翼ミサイル、航空機、ヘリコプターの撃墜のみならず、コルベット、駆逐艦、その他の敵艦の撃沈が可能となった。
[フリゲートの試験]
軍当局の情報提供者が『イズベスチヤ』へ話したように、試験は数段階で数年に渡り行なわれ、今年の晩秋に完了した。
中でも特に、これには北方艦隊の一員であるプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」が関わっていた。
特定の段階においては、高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」のミサイル発射が行なわれた。
フリゲートの乗組員は、高射誘導ロケットの発射のみならず、このような打撃を与える際の行動手順へ取り組んだ。
情報提供者によると、全ての標的は撃破され、作業は成功と認められた。
海上目標への打撃は、複数のタイプの高射ミサイルにより与えられたが、それらの具体的な名前は明らかにされていない。
フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は、新たな兵器システムの試験へ積極的に関わっている。
その艦上では、今年、数回のミサイル「ツィルコン」の発射が行なわれた。
既に国防省は、11月末、白海エリアから400キロメートル以上離れた場所に在る海上目標へのこのミサイルの次の射撃に成功したと発表している。
対空防衛複合体には、海上目標への射撃能力を含む事が出来ると軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは『イズベスチヤ』へ話した。

「戦闘衝突の際、汎用高射ミサイルはフリゲートの打撃力を強化し、高価な弾の節約を可能にします」
彼は確信する。
「フリゲートは、敵の小型戦闘艦或いは艇を破壊する為にツィルコンやカリブルを費やす必要は有りません~それは高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"で沈めるのが理に適っています。
このようなケースは既に有ります。
2008年のロシア艦の攻撃中、グルジアの警備艇の1隻が高射ミサイル複合体オサーにより撃破されました」
今、海軍には2隻のプロジェクト22350フリゲートが含まれている~「アドミラル・ゴルシコフ」と「アドミラル・カサトノフ」。
計画によると、第3と第4の艦~「アドミラル・ゴロフコ」と「アドミラル・イサコフ」は2022年と2023年に海軍へ補充されなければならない。
以前、国防省はフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は係留試験を準備していると伝えた。
「アドミラル・イサコフ」は主ディーゼルエンジン、タービン、減速ギアの調整作業が進められている。
これらの艦も北方艦隊へ向かわなければならない。
合計で海軍は8隻のプロジェクト22350フリゲートを受け取る。
現在、軍艦「アドミラル・チチャーゴフ」と「アドミラル・アメリコ」が建造されている。
昨年6月にはフリゲート「アドミラル・スピリドノフ」と「アドミラル・ユマシェフ」が起工された。
更に2隻の艦の建造が準備されている。
[ポリメント-リドゥート]
高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」は、新世代艦に設置されている。
これは陸上対空防衛システムS-350「ヴィーチャズィ」を基に作成され、航空機、ヘリコプター、有翼ミサイルの迎撃の為に意図されている。
海上高射ミサイル複合体の構成には、4面フェーズドアレイアンテナの電波位置測定ステーション「ポリメント」が含まれている。
これは探知と目標指示を担当する。
高射ミサイルは艦首に在る垂直発射装置に配置される。
発射装置複合体は、各々が4セル或いは8セルのモジュールで構成される。
合計でプロジェクト22350フリゲートには、高射誘導ミサイルの為の32セルが配置されている。
複合体は、中距離ミサイル9M96E(50キロメートルまでの距離で目標を攻撃)或いは長距離高射誘導ミサイル9M96E2-1(有効距離150キロメートルまで)を発射できる事が知られている。
更にそれは、短距離高射誘導ミサイル9M100(距離10キロメートルまでの目標を攻撃)も発射できる。
梯形防衛を作成する為、様々な射程のタイプのミサイルを同時に発射装置へ配置できる。
発射の際は「コールド」ランチを使用する。
高射誘導ミサイルは、垂直配置輸送-発射コンテナから充填された圧縮空気により高度30メートルまで放り投げられる。
これは、最小迎撃距離の著しい低減を可能にする。
「ポリメント-リドゥート」は、他の海軍の艦にも装備されている。
特にこれは、プロジェクト20380コルベット「ソーブラジテルヌイ」と、このシリーズの以後の艦へ設置されている。
[強力な「アドミラル」]
艦隊で「アドミラル」或いは「アドミラル」フリゲートシリーズとも呼ばれるプロジェクト22350フリゲートは、単独でも様々な海軍グループの一員としても効果的な行動が可能である。
艦は良好な航海性能を持ち、抜きん出た信頼性が有る。
「アドミラル・ゴルシコフ」は海軍艦船支隊を率いて世界一周航海を行ない、この間に深刻な被害を被る事無く40000海里(少なくとも74000キロメートル)を走破した。
「アドミラル」は、海軍で最も強力なものの1つである。
これらは有翼ミサイル「カリブル」、対艦ミサイル「オーニクス」、極超音速の「ツィルコン」を使用できる。
フリゲートは更に130mm砲装置A-192Mの助力を得て水上目標と地上目標を破壊できる。
空中の敵から艦は高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」のみならず、2基の30mm砲装置「パラシ」でも防護される。
潜水艦の攻撃からは対潜複合体「パケート-NK」で保護される。
電波電子戦闘システムは、敵の探知と対艦ミサイルの攻撃を防ぐ。
『イズベスチヤ』は既に、フリゲートの艦上には、ボート及び水中ドローンを含む対機雷複合体「ディアマンド」を設置できると書いている。
これは艦から10キロメートルまでの距離で動作し、深度10メートルから100メートルまでの機雷を探知し、除去できる。
更に、無人機とヘリコプターを装備する。
自動制御システムにより、フリゲートは艦、航空機、更には地上部隊との行動の調整が可能である。
[ロシア海軍の新世代艦対空ミサイル「リドゥート」/「ポリメント-リドゥート」]
3K96「リドゥート」/3K96-2「ポリメント-リドゥート」は、ソヴィエト連邦解体後に開発されたロシア海軍の新世代高射ミサイル複合体であり、数種類の高射ミサイルを使用できます。
・遠距離高射ミサイル9M96E2:慣性、アクティブレーダーホーミング、射程距離120-150km
・中距離高射ミサイル9M96E:慣性、アクティブレーダーホーミング、射程距離40-50km

・近距離高射ミサイル9M100:赤外線ホーミング、射程距離10-15km

(ただし、簡易版の「リドゥート」では、おそらく9M96Eと9M100しか運用できない)
簡易版の「リドゥート」は、プロジェクト20380コルベットの2番艦「ソーブラジテルヌイ」(2011年10月14日就役)以降に装備されています。
(2008年2月27日に就役した1番艦「ステレグーシチー」は「リドゥート」が間に合わなかった為、代わりに高射ミサイル-砲複合体「コールチク-M」を装備)
更には、改良型のプロジェクト20385コルベットとプロジェクト20386コルベットにも装備されます。
ミサイルの管制や誘導は3座標レーダー「フルケ-2」により行なわれます。

プロジェクト20380コルベットの「リドゥート」ミサイル垂直発射機(計12基)


フルスペック版の「ポリメント-リドゥート」は、プロジェクト22350フリゲート1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)に初めて装備されました。
ミサイルの管制や誘導は4面フェーズドアレイレーダー「ポリメント」により行なわれます。

プロジェクト22350フリゲートの「ポリメント-リドゥート」ミサイル垂直発射機(計32基)

「ポリメント-リドゥート」の開発は相当難航したらしく、これが「アドミラル・ゴルシコフ」の就役を遅延させる事になりました。
2018年11月2日、ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将は、北方艦隊における「ポリメント-リドゥート」の国家試験中、様々なタイプの目標(つまり空中目標と海上目標)へ10回以上のミサイル発射が実施された事を明らかにしました。
『タス通信』より
2018年11月2日19時5分配信
【ショイグ:高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」の国家試験中に10回以上のミサイル発射が実施された】
これは、北方艦隊へ配備されたプロジェクト22350フリゲート1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」による「ポリメント-リドゥート」のミサイル発射を指しています。
同艦は、2018年10月に「ポリメント-リドゥート」のミサイル発射を少なくとも3回実施しています。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"はバレンツ海で高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"を発射した]
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"で海上目標と空中目標を撃破した]
ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は高射ミサイル"ポリメント-リドゥート"で空中目標を撃破した
これ以前~おそらくは、就役前の2018年5月初頭から7月初頭まで北方艦隊基地セヴェロモルスクに滞在していた期間~にも、「アドミラル・ゴルシコフ」は「ポリメント-リドゥート」の発射試験を実施していたようです。
2019年2月、「ポリメント-リドゥート」の国家試験は完了ました。
[ロシア海軍の新世代高射ミサイル複合体ポリメント-リドゥートの国家試験は完了した]
2019年前半、「ポリメント-リドゥート」はロシア海軍へ制式採用されました。
[ロシア海軍の新世代高射ミサイル複合体ポリメント-リドゥートは2019年前半に制式採用される]
国家試験を終えてロシア海軍へ制式採用された「ポリメント-リドゥート」ですが、今度は対艦攻撃の試験が行なわれる事になりました。
「アドミラル・ゴルシコフ」は、2021年10月28日にバレンツ海で対空ミサイル「ポリメントリドゥート」を対空目標と、更に海上目標へ発射しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年10月28日19時30分配信
【フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」乗組員はバレンツ海で高射ミサイル射撃を実施した】
これが今回の記事の最初で触れられている「今年晩秋に完了した試験」だったようです。
「アドミラル・ゴルシコフ」が試験を行なったミサイルは、おそらくは遠距離高射ミサイル9M96E2と中距離高射ミサイル9M96Eでしょう。
なお、プロジェクト20380コルベット「ソーブラジテルヌイ」は2014年6月に水上目標へ「リドゥート」へ発射していますが、これはおそらく短距離ミサイル9M100でしょう。
[ロシア海軍バルト艦隊のコルベット「ソーブラジテルヌイ」はリドゥ―ト艦対空ミサイルを海上目標へ命中させた]
記事中でも触れられていますが。対空ミサイルによる対艦攻撃は2008年8月上旬の南オセチア紛争で実際に行なわれており、アブハジア沖海戦で黒海艦隊の小型ロケット艦「ミラーシュ」は、グルジア海軍の戦闘艇を短距離高射ミサイル「オサー-M」で撃破しています。
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