ロシア海軍の将来原子力航空母艦の開発作業は進められている
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦

『インテルファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2021年12月9日7時0分配信
【ロシアは将来航空母艦の外観を研究している-軍事産業委員会協議会第1副議長】
モスクワ、12月9日、インテルファクス
ロシアの専門機関は新たな航空母艦の建造の必要性を評価し、同時並行でこのような艦の外観を作成する作業を進めている。
『インテルファクス』のインタビューに対し、ロシア軍事産業委員会協議会第1副議長アンドレイ・イェリチャニノフは述べた。

「ロシア連邦国防省は業界企業と共に、このような外観の兵器の必要性、そして更にその技術的実現の可能性を更に分析しております。
今、このような艦の建造の為の財政及び技術上のリスクを評価する作業が進められております。
引き続き、将来航空母艦のの外観も研究されております」
イェリチャニノフは話した。
彼は、ロシア唯一の航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」が2023年に復帰すると述べた。
「国の発注主は、重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフの修理及び近代化の全ての作業の完了時期を2023年に設定しました。
ムルマンスクでは、株式会社・艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』支所の乾ドック室の再建作業が完了します。
そこへの艦の設置は2022年に計画されております。
全種類の試験を考慮に入れ、アドミラル・クズネツォフは指定時期に海軍へ引き渡さなければなりません」
イェリチャニノフは話した。
『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは以前、ロシア連邦国防省から発注を受ければ、企業は新たな航空母艦を建造する用意が有ると繰り返し話した。
「航空母艦(とその航空群)作成プロジェクトの実現は、経済及び産業の多くのセグメントにおける10年以上に及ぶ技術的前進へと導く事を可能にすると確信しております。
造船所に加え、更に航空機製造、機械製造、原子力技術、機器製造、IT、兵器製造、冶金及び金属加工で」
以前のテレビ局『ズヴェズダー』のインタビューに対し、ラフマノフは話した。

ロシア海軍の為の航空母艦の提案として、『ネヴァ川計画設計局』はプロジェクト「ラマンチーン」を用意した。
更に、『クルイロフ国立研究センター』も自身のプロジェクトを提示した。
副首相ユーリー・ボリソフは、2019年の『インテルファクス』のインタビューに対し、新たな航空母艦の建造問題は議論を引き起こしていると言った。

「僕の観点は、非常に議論を引き起こす問題です。
今日に存在する強力な高精度手段は、このような物を攻撃する事は技術的、軍事的な観点から見て難しくありません。
特に、アメリカが脱退し、そして僕達も脱退を余儀なくされている中射程及び短射程ミサイル合意を考慮すれば」
ボリソフは指摘した。
「ですが、これは僕の問題では無く、政府の問題でも無く、これは国防省の問題です。
決定が下されたのならば、資金を求め、作成します。
僕達には、興味深いプロジェクトが有ります」
彼は語った。
「アメリカ人にとって航空母艦は、絶対に必要なものであり、彼等は別の大陸に居ます。
ただ単にその存在を保障する為に、彼らはそれを必要としています。
航空母艦は高度な防護手段を必要とします。
それは常に随伴するグループが無ければなりません。
これは多くのものを費やします。
蠟燭のゲームは値打ちが有るか?
この問題は常に発生します」
ボリソフは当時話した。
ロシア海軍の為の将来航空母艦Перспективный Авианосецの予備設計開発作業は2007年に始まりました。
将来航空母艦の設計を担当するのは『ネヴァ川計画設計局』になりますが、その叩き台となる概念設計案は、ロシア海軍向けなどの艦船の形状を研究する『クルイロフ国立科学センター』により作成されます。
『クルイロフ国立科学センター』は、2015年に多目的重航空母艦プロジェクト23000E「シトルム」を作成しました。
これは満載排水量9万~10万トンの通常動力の大型空母です。
[ロシア海軍将来空母概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」]
『クルイロフ』は、2018年8月下旬に軽航空母艦「シトルム-KM」の概念設計案を公表しました。
これは満載排水量44000トンの比較的小型の空母です。
[クルイロフ国立科学センターの半双胴(カタマラン)形式軽多目的空母は水中抵抗が大幅に低減する]
2019年6月末には76000トンの中型原子力空母の概念設計案の存在を公表しました。
[クルイロフ国立科学センターは半双胴形式の中型原子力空母の概念設計案を提示した]
一方、実際にロシア海軍向けとして建造される空母を設計する『ネヴァ川計画設計局』は、2019年7月上旬に将来空母設計案プロジェクト11430E「ラマンチーン」を公表しました。
これは満載排水量8万~9万トンの原子力空母です。
[原子力空母プロジェクト11430Eラマンチーンはサンクトペテルブルク国際海軍サロン(IMDS-2019)で公開された]
将来航空母艦の具体的な内容は未だ定まっていませんが、排水量は65000トン~70000トン程度になるようです。
[ロシア海軍の将来航空母艦は7万トン級になる]
[ロシア海軍の将来航空母艦は65000-70000トンになる]
つまり、上記の「シトルム」や「ラマンチーン」よりは小さな艦になります。
(「シトルム-KM」よりは大きいですが)
現用の航空母艦で最も近いサイズの艦は、グレートブリテン海軍の新鋭空母「クイーン・エリザベス」級になります。

ロシア造船業界も、以前から重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(約6万トン)よりも大きな航空母艦を建造できると表明しています。
[ロシア造船業界はアドミラル・クズネツォフよりも大型の新世代航空母艦を建造できる]
ただ、現在の所、将来航空母艦の建造開始の具体的な時期は未だ決まっていません。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の新たな航空母艦の建造を準備する]
[ロシア海軍の将来原子力航空母艦は『2024~2033年の国家軍備プログラム』へ含まれるかもしれない]
ですが、将来航空母艦の為の搭載機として、新たな艦上戦闘機の開発は既に始まっています。
[ミグは第5世代艦上戦闘機プラス艦上無人機を開発する]
[ロシア航空機製造業界はロシア海軍の為の新世代VSTOL艦上戦闘機の開発作業を進めている]
この他、将来航空母艦の搭載機として、艦上早期警戒機と艦上無人機も新たに開発されます。
[ロシア海軍航空隊司令官は語る]
将来航空母艦の為の電磁カタパルトの開発作業は2014年春頃から始まっています。
[ロシアは将来空母用の電磁カタパルトの開発を始めている]
[ロシア海軍将来正規空母の為の電磁カタパルトの開発は進められている]
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の為の電磁カタパルトが開発される]
将来原子力航空母艦の本格的な開発作業は2023年から始まります。
[ロシア海軍の為の7万トン級原子力空母の開発作業は2023年に始まる]
将来原子力航空母艦の設計には、ソ連時代に起工されたものの未完成に終わったプロジェクト11437重原子力航空巡洋艦「ウリヤノフスク」の設計が参考にされます。

[ロシア海軍の新世代原子力空母の開発には未完成の重原子力空母ウリヤノフスクの設計図が参考にされる]
ただしこれは、「ウリヤノフスク」のような艦を再び造るという事では無く、原子力機関の構造などを参考にするという事でしょう。
(将来航空母艦も「ウリヤノフスク」も原子力機関)
将来航空母艦を建造する造船所は、以前にインド海軍向けの航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」の改造(実質的に新造)を担当したセヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』が最有力候補となっております。

[ロシア海軍の為の将来原子力航空母艦はセヴェロドヴィンスク造船所(セヴマシュ)で建造される]
この他、将来航空母艦建造への協力企業(航空母艦の船体の一部を建造)として、サンクトペテルブルク市の『バルト工場』と『北方造船所』が候補に挙がっています。
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の開発と建造には15年掛かる]
『バルト工場』

『北方造船所』

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