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ロシア海軍北方艦隊で極超音速ミサイル"ツィルコン"の保管倉庫の建設が始まった

『イズベスチヤ』より
2021年12月14日0時0分配信
【保管区域:「ツィルコン」の為の基地の建設が始まった】

極超音速ミサイルの整備と修理の為の最初の施設は何処に現れるのか

極超音速ミサイル「ツィルコン」の為の基地が準備される。
ロシア国防省は既に、世界に同じものが無い弾の保管の為の施設の建設を始めている。
新たな施設は更に、これらの製品の整備と修理の為にも意図されている。
それが配置される正確な場所は明らかにされてないが、『イズベスチヤ』は、まず最初にインフラは北方艦隊の為に建設される事を突き止めた。
専門家は、彼らが国に防衛ドクトリンで重要な役割を果たしているので、新たな弾を最初に受け取る事を指摘した。

[北方から始まる]
『イズベスチヤ』
ロシア軍当局の情報提供者が話したように、ミサイル3M22「ツィルコン」の保管と整備の為の新たな基地は、4艦隊全て~北方艦隊、バルト艦隊、黒海艦隊、太平洋艦隊~の為に建設される。
施設の建設は既に始まっている。
最初にこのような基地を得るのは北方艦隊である。
彼らは、「ツィルコン」の保管、整備と修理の為の高水準のインフラを有すると情報提供者は付け加えた。

「北方艦隊という選択は、偶然では有りません」
軍事専門家ドミトリー・ボルテンコフは考える。
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「彼らは、ロシアの防衛ドクトリンで重要な役割を果たしています:潜在的な敵国の領土へ報復打撃を与え、大西洋や他の大洋海域、更には北極で空海水中作戦を行なう責任がありますので」

これに加え、「ツィルコン」の試験はバレンツ海及び白海エリアで実施されており、その発射は北方艦隊の一員として加わっているプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」或いはプロジェクト885「ヤーセン」潜水艦「セヴェロドヴィンスク」の艦上から行なわれている。

軍当局は既に、今年11月末にフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」白海エリアに在る標的への次の「ツィルコン」の射撃を実施したと発表している。
それは極超音速兵器のサイクル試験完了の枠組みで行なわれている。

ミサイルは複雑な技術製品であり、特定の条件下で保管されなければならないとドミトリー・ボルテンコフは説明した。

「これらの為に特別な技術的ミサイル基地が建設されます」
彼は話した。
「それはかなり複雑で、十分に保護された施設です。
このような弾の保管の為の部屋は、特定の温度モードが維持されます。
様々なミサイルの燃料は、ある温度或いは湿度に保たなければなりません。
どう見てもツィルコンは、それを必要としております。
このような基地の建設は、敵の外部からの影響~爆撃及びミサイル攻撃~から保護しなければなりません。
それは、これらの打撃を考慮に入れて設計されます。
火災或いは他の緊急事態の可能性を無視するわけには行きませんので、追加の保護システムを設置する必要が有ります」


このような基地では、ミサイルを受け入れて保管し、状態を検査し、よく整備されて指定時期に艦へ移送されると専門家は指摘した。

[「ヤーセン」と「アドミラル」の為の]
『イズベスチヤ』
は既に、「ツィルコン」「ペルミ」の名を受けたプロジェクト885M「ヤーセン-M」の第5の船体へ最初に標準装備されると書いた。
この潜水艦は2016年に工場で起工されたが、未だ進水していない。

艦隊では「アドミラル」と呼ばれるプロジェクト22350フリゲート「ヤーセン」に加え、将来的には近代化されたプロジェクト949A「アンテイ」原子力潜水艦重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」「ツィルコン」搭載艦の役を指名される。
それは、修理及び再装備の完了後にミサイルを得る事が出来る。

2019年に『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、極超音速ミサイル「ツィルコン」は更に、全ての新たなプロジェクトのロシア艦へ配置できると言った。

「ツィルコン」作成の科学研究作業は2009年に始まった。
海軍戦闘艦の艦上からの新たなミサイルの最初の発射は2020年10月6日に行なわれた。
フリゲートからの発射で、それは450キロメートル離れた水上目標へ命中した。

潜水艦「セヴェロドヴィンスク」からの極超音速ミサイル「ツィルコン」発射の動画は、今年10月に出てきた。
この日、潜水艦は水中と、深度40メートルの水中位置から発射した。
合計して2020年秋にフリゲートは将来弾の3回の射撃に成功した。
2021年に「ツィルコン」フリゲートから1発ずつでは無く、初めて少なくとも2基のミサイルの斉射で使用された。

ロシア海軍の需要の為の3M22の供給契約は、フォーラム『アルミヤ-2021』で署名された。
「ツィルコン」試験は完了し、来年にそれは海軍へ軍備として受け入れられるとロシア大統領ウラジーミル・プーチンは今年11月の防衛が主題の会議で述べた。
大統領によると、ミサイルのテスト中、完全に指示に沿って全ての目標を水中位置及び水上艦から撃破した。
ミサイルはマッハ9の速度を発揮し、1000キロメートル以上離れた潜在敵の艦及び施設を破壊できる。

ロシアの兵器庫は、海上配置のみならず極著音速兵器で補充される。
2019年11月、戦略用途ロケット軍の軍備として、最初のサイロ配置の極超音速グライダー「アヴァンガールト」がロケット連隊へ配置に就いた。

それは音速の27倍の速度のみならず、大陸間射程を有する。
この際に「アヴァンガールト」は方向と高度で飛翔軌道変更機動が出来る。

2017年から空中配置極超音速ミサイル「キンジャール」は試験戦闘当直に在る。

この弾の最初の搭載機となった10機のMiG-31Kから成る最初の飛行隊は、南方軍管区へ配置された。
「キンジャール」は1500キロメートルまでの距離で撃退し難い打撃を与える事が出来る。
複合体は、国の南方及び黒海の演習で何度も使用された。
5月には、シリアで行なわれる演習の為に一時的に再配置された。
「キンジャール」を有する航空機地中海上空で飛行を行なった。

『イズベスチヤ』が書いているように、他のモデルの極超音速ミサイルの開発と試験が行なわれている。
戦略爆撃機の為に、極超音速誘導ミサイル「グレムリン」と呼ばれる弾が用意される。
これはロケット機Tu-95及びTu-160へ装備する為に作成される。



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極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」(ジルコン、風信子石)は、以前に長距離超音速有翼ミサイル「バザーリト」/「ヴルカーン」「グラニート」、そして超音速ミサイル「オーニクス」を開発した科学生産合同『機械製造』が新たに開発しているミサイルです。

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[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]

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[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]

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[ロシア海軍は2019年に55基の超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領する]

科学生産合同『機械製造』は、長距離超音速有翼ミサイル「グラニート」の直接の後継となる筈だった「ボリード」(最大射程800km、飛翔速度マッハ4)の開発を1980年代末から開始し、1991年にはエンジンの最初の試験が行われたのですが、1990年代末には開発は中止されました。

「ツィルコン」の開発には、「ボリード」の開発作業の経験もフィードバックされているようです。


「ツィルコン」の発射試験は、2015年秋頃から始まりました。
[ロシア海軍の為の極超音速巡航ミサイル"ツィルコン"の試験が始まった]

初期の「ツィルコン」の発射試験は、アルハンゲリスク州ネノクサ村に在るロシア海軍ミサイル発射試験場で行なわれており、初期には失敗した事も有るようです。
[ロシア海軍の為の巡航ミサイルは試射中にアルハンゲリスク州ネノクサ村の住宅へ落下した]
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「ツィルコン」の発射試験は秘密裡に行なわれ、2016年4月に行なわれた試験では最大速度マッハ8を記録しました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は発射試験で最大速度マッハ8に達した]

「ツィルコン」の試験完了と生産開始は、2018年からスタートする新たな国家軍備プログラム(2018-2027年の国家軍備プログラム)において実現する事になります。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は新たな2018-2027年の国家軍備プログラムにおいて開発を完了し、生産を開始する]

ネノクサ村ミサイル発射試験場からの「ツィルコン」発射試験は、10回以上行なわれました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は10回以上の発射試験を行なった]

2019年2月20日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、教書演説において極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の開発は順調に進んでいると発言しています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の開発は滞りなく進んでいる]

地上からの発射試験に続き、海上での発射試験が北方艦隊プロジェクト22350フリゲートの1番艦「アドミラル・ゴルシコフ」(2018年7月28日就役)により行なわれる事になりました。
[ロシア海軍の新たな極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2019年末にフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"で洋上発射試験を行なう]

「アドミラル・ゴルシコフ」は2019年11月末に「ミサイル兵器」の試験の為、セヴェロドヴィンスクへ移動しました。

[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は新型ミサイルの試験を行なう為にセヴェロドヴィンスクへ到着した]

ただ、この時には発射試験は行わず、2019年12月末にセヴェロモルスクへ帰投しました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は母港セヴェロモルスクへ帰投した]

2020年1月初頭、「アドミラル・ゴルシコフ」バレンツ海「ツィルコン」の発射試験を行ないました。
ミサイルは500キロメートル以上を飛翔し、北ウラルの地上目標へ命中しました。
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[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は2020年1月に極超音速ミサイル"ツィルコン"の発射試験を行なった]

「アドミラル・ゴルシコフ」からの2回目の「ツィルコン」発射試験は、当初は2020年春に実施される予定であり、同艦は2020年4月初頭にセヴェロドヴィンスクへ回航され「ツィルコン」の運用(発射)に関する部分的な近代化改装が行なわれました。
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[ロシア海軍のプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)フリゲートは近代化される]

しかし、発射試験はコロナウイルスの影響により何度も延期されました。
[ロシア海軍北方艦隊の最新フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海で演習を行なう]

結局、白海で2回目の「ツィルコン」発射試験(海上目標に対しては初)が実行されたのは、2020年10月6日になりました。

[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は海上目標への極超音速ミサイル"ツィルコン"発射試験を行なった]

11月26日、「アドミラル・ゴルシコフ」白海から3回目の「ツィルコン」発射試験(海上目標に対しては2回目)を実行しました。
公表された動画を見る限り、発射は夜間(おそらくは11月25日深夜~11月26日未明)に実施されたようです。

[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海からバレンツ海の海上目標へ極超音速ミサイル"ツィルコン"を発射した]

12月11日、「アドミラル・ゴルシコフ」白海からチジャ射爆場の地上目標へ「ツィルコン」発射試験を実行しました。

[ロシア海軍北方艦隊の最新鋭フリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海から極超音速ミサイル"ツィルコン"を地上へ発射した]

2020年の「ツィルコン」発射試験は、全て成功と認められました。
具体的には、「驚くべき」命中精度を示したという事のようです。
[2020年の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"発射試験は全て成功と認められた]

2021年には「ツィルコン」の発射試験は7回程度の実施が予定されています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"は2021年に7回の発射試験を行なう]

フリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は、「ツィルコン」の試験を行なう為、2021年5月中旬にセヴェロドヴィンスクへ移動しました。
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[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の最終試験の為にセヴェロドヴィンスクへ向かった]

2021年7月19日、「アドミラル・ゴルシコフ」白海からバレンツ海の地上目標(距離350km以上)への「ツィルコン」発射試験を実施しました。

[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海からバレンツ海の地上目標へ極超音速ミサイル"ツィルコン"を発射した]

なお、2021年8月23日には、「ツィルコン」の供給契約が締結されています。
『タス通信』より
2021年8月24日19時37分配信
【国防省は極超音速ミサイル「ツィルコン」供給契約を締結した】

一方、原子力水中巡洋艦「セヴェロドヴィンスク」による水中からの発射試験は2021年9月の実施が予定されていましたが、10月にずれ込みました。
[ロシア海軍北方艦隊の原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスクは2021年9月に極超音速ミサイル"ツィルコン"発射試験を開始する]

10月3日、「セヴェロドヴィンスク」は浮上状態で「ツィルコン」を海上目標へ発射しました。


翌10月4日には潜航状態で「ツィルコン」を海上目標へ発射しました。

[ロシア海軍北方艦隊の原子力水中巡洋艦セヴェロドヴィンスク、水中から極超音速ミサイル"ツィルコン"発射(2021年10月4日)]

「ツィルコン」の水上試験艦であるフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」は、11月8日にセヴェロドヴィンスク白海海軍基地へ到着しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア北方艦隊広報サービス発表
2021年11月8日23時15分配信
【フリゲート「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」は白海海軍基地へ到着した】

「アドミラル・ゴルシコフ」は11月18日に白海から海上目標へ「ツィルコン」を発射しました。

[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は白海の海上目標へ極超音速ミサイル"ツィルコン"を発射した]

11月29日にも「アドミラル・ゴルシコフ」白海から「ツィルコン」を海上目標へ発射しました。

[ロシア海軍北方艦隊のフリゲート"アドミラル・ゴルシコフ"は再び海上目標へ極超音速ミサイル"ツィルコン"を発射した]

「ツィルコン」の発射試験は2021年末の完了が予定されています。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の発射試験は2021年末に完了する]

ただし、これは水上発射型に関する話であり、水中発射型の試験は未だ終わらないようです。
水中発射型「ツィルコン」の次の発射試験は、「ヤーセン」シリーズの6番艦「ペルミ」(2016年7月29日起工、2025年就役予定)で2024年に行なわれるとの事ですから、2021年10月初頭の「セヴェロドヴィンスク」による水上及び水中からの発射試験の結果を受け、何らかの改正や修正が行なわれるようです。
[原子力潜水艦からの極超音速ミサイル"ツィルコン"発射試験は2024年に再開される]

2021年11月下旬に「ツィルコン」の量産が始まりました。
[ロシア海軍の為の極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"の量産が始まった]
おそらくは水上発射型でしょう。

水中発射型「ツィルコン」ロシア海軍への供給は、2025年以降になるようです。
[極超音速ミサイル"ツィルコン"潜水艦発射型のロシア海軍への供給は2025年に始まる]


「ツィルコン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」対地/対艦巡航ミサイル「カリブル」の両方を発射できる汎用垂直発射機3S-14UKSKから発射できます。
(つまり、「カリブル」「オーニクス」と発射機を共有できる)

「ツィルコン」は、ロシア海軍の新世代艦であるプロジェクト22350フリゲート及びプロジェクト22350Mフリゲートプロジェクト885/885M「ヤーセン」原子力水中巡洋艦に装備されます。

この他、現在、大規模な近代化改装が行なわれている重原子力ロケット巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」にも装備されます。
[ロシア海軍北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフの近代化改装の完了は2023年になる?]

同様に大規模な近代化改装が行なわれるプロジェクト949A原子力水中巡洋艦(オスカーII級巡航ミサイル原潜)にも装備されます。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦イルクーツクは近代化改装により合計48基の巡航ミサイル(カリブル/オーニクス/ツィルコン)を搭載する]

「ツィルコン」は、実質的には「グラニート」の後継という位置付けになるようです。

この他、現在、設計作業が進められており、2020年代から建造が始まるロシア海軍第5世代原子力潜水艦「ハスキー」/「ライカ」級にも装備されます。
[ロシア第5世代多目的原子力潜水艦プロジェクト「ハスキー/ライカ」]

基本的には大型水上艦及び原子力潜水艦に搭載される「ツィルコン」ですが、より小型の艦へ搭載する為の小型ヴァージョンも開発されます。
[ロシア海軍の小型艦の為に極超音速対艦ミサイル"ツィルコン"軽量化型が開発される]

「ツィルコン」は、航空機や偵察衛星などと連動して運用されます。
[ロシア海軍の極超音速ミサイル"ツィルコン"は航空機や偵察衛星と連動する]
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