ロシア海軍はシエラ級原潜を復帰させる
- カテゴリ:ロシアの潜水艦
『イズベスチヤ』より
2013年3月5日0時01分配信
【ロシアはチタン潜水艦を復活させる】
潜水艦プロジェクト945「バラクーダ」及びプロジェクト945A「コンドル」は、原子炉、電子機器、兵器を更新する。

ロシア海軍は、船体がチタンでで作られているユニークな潜水艦プロジェクト945「バラクーダ」を(海軍の)編制へ戻す事を決定した。
チタン潜水艦は、1988年代に、より高い耐久性と磁気機雷に引っ掛からないが故に造られた。
しかしながら、チタンは鋼鉄より数倍も高価であるが故に、ソヴィエト連邦解体後、チタン潜水艦の建造の中止が決定された。
(ロシア)海軍総司令部の高位の情報提供者が「イズベスチヤ」へ話したように、「バラクーダ」を復活する決定は、1月の会議において(ロシア)海軍総司令官ヴィクトル・チルコフにより採択された。
「それは自然発生した結論ではありませんでした。私共は、徹底的に検討して結論を下しました。
(チタン製)潜水艦の復帰は、解体するよりも経済的妥当性があると」
対談者は「イズベスチヤ」に説明した。
現在、海軍の編制には4隻のチタン原子力潜水艦(深海探査用の小型原潜を除く)が在る。
それは2隻のプロジェクト945「バラクーダ」:K-239「カルプ」、K-276「コストロマ」と、2隻の近代化されたチタン潜水艦プロジェクト945A:K-336「プスコフ」とK-534「ニジニ・ノヴゴロド」である。
「バラクーダ」と「コンドル」の主要目標は航空母艦と潜水艦である。
それは、2門の650mm発射管と4門の533mm発射管から発射される魚雷を用いて破壊する。
「バラクーダ」と「コンドル」の特徴は、核有翼ミサイル「グラナート」を深度50-600mから発射できる事に在る。
空中からの攻撃に対し、潜水艦は高射ミサイル「イグラ」を撃つ事が出来る。
全ての潜水艦は、北方艦隊の第7潜水艦師団(ヴィジャエヴォ集落)の編制へ含まれているが、「カルプ」は1994年から艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」に在り、復帰を待っている。
最初の2隻の潜水艦の修理契約に「ズヴェズドーチカ」は署名した。
契約書に従い、工場は近代化とオーバーホールを実施しなければならない。

「ズヴェズドーチカ」の経営陣の一人が「イズベスチヤ」へ話した所によれば、潜水艦は核燃料と全ての電子機器を交換し、機器は点検、修理される。
更に、核動力炉の修理が行なわれる。
「スケジュールによれば、潜水艦K-239カルプは4月末までに海軍から工場へ移管されなければなりません。
この時点で、問題点の検出と承認されたプロジェクトの作業が行なわれます。
それ自身(カルプ)の作業は今年夏から始まり、楽観的なシナリオでは2-3年は掛かります。
おそらく、この期間は、複合体の供給者が明確ではない限り、延びる事になるでしょう。
カルプの後にコストロマが修理に置かれます」
「ズヴェズドーチカ」の代理人は説明した。
彼は、チタン潜水艦の船体が、その艦齢にも関わらず「良好な状態」にあると付け加えた。
「チタンは鋼鉄とは違い、腐食には晒されません。
ええそうです、騒音吸収用のゴムカバーを外したとしても、船体は真新しいままです」
艦船修理工場は付け加えた。
予備データによると、チタン潜水艦は新たな水中音響ステーション、戦闘情報管理システム、レーダー電波探知ステーション、GLONASS/GPSに基づく航海システムを受け取る。
更に潜水艦の兵器システムは変更され、地上目標などへの射撃を可能とする有翼ミサイル複合体「カリブル」(クラブ-S)が装備される。
チタン潜水艦の強さは、1992年にバレンツ海で原子力潜水艦「コストロマ」がアメリカの「ロサンゼルス」型潜水艦と衝突した件で実証されている。
ロシア艦は司令塔を少し損傷したのに対し、アメリカ艦は退役を余儀なくされた。

独立軍事専門家で海軍の歴史に関する著書を記しているドミトリー・ボルテンコフ氏は、「イズベスチヤ」のインタビューに対し、チタン原子力潜水艦の船体は国民の財産であると述べた。
「多用途原子力潜水艦グループの復活は、海軍において最も重要なプログラムの1つです。
残念な事に、潜水艦の総合行動日数は、(就役期間全体の)辛うじて3分の1になるかどうかといった所でした。
プロジェクト945の復帰は、確かに良い知らせです。
この(決定の)お蔭で、チタンの船体を持つ潜水艦は100年就役できる事でしょう」
彼は話した。
対照的に元(ロシア)海軍総参謀長ヴィクトル・クラフチェンコ氏は、1980年代に建造された潜水艦の復帰は正しい決定とは言えないと説明した。
「現代の上品質の鋼鉄は、チタン製(の潜水艦)と同じ深度に潜水艦が耐える事を可能とします。
従いまして、ソヴィエト時代とは異なり、チタン潜水艦には鋼鉄よりも特別な利点は有りませんね。
僕が思うに、新しいもの(潜水艦)を建造する方が優れているでしょう。
そのリソースは、より大きなものになりますしね」
クラフチェンコ氏は話した。
修理後、4隻全ての原子力潜水艦は、北方艦隊の第7潜水艦師団の編制へ復帰し、ヴィジャエヴォに駐留する事になるだろう。

記事中で触れられていますが、プロジェクト945/945A原子力潜水艦は、1980年代前半から1990年代前半に掛けて4隻がソ連/ロシア海軍へ就役しました。
プロジェクト945/945A原子力潜水艦は、全てロシア内陸部のニジニ・ノヴゴロド(旧ゴーリキー)に在る「クラースノエ・ソルモーヴォ」造船所で建造されました。

就役当初は「巡洋潜水艦」КрПЛに分類されていましたが、1992年6月3日付で「原子力大型潜水艦」АБПЛに類別変更され、就役時のKナンバーからBナンバーに変更されました。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト945「バラクーダ」(NATOコード名「シエラI」)】
K-239:1979年7月20日起工/1983年7月29日進水/1984年9月29日納入/1984年12月7日就役
K-276:1984年4月21日起工/1986年7月26日進水/1987年10月27日納入/1987年11月4日就役
B-276「コストロマ」はロシア海軍に在籍していますが行動は不活発であり、1番艦B-239「カルプ」は事実上退役しており、1994年からセヴェロドヴィンスク市に係留されています。

【プロジェクト945A「コンドル」(NATOコード名「シエラII」)】
K-534:1986年2月15日起工/1989年8月7日進水/1990年12月26日納入/1990年12月27日就役
K-336:1989年7月29日起工/1992年7月28日進水/1993年12月14日納入/1993年12月17日就役
B-336「プスコフ」は修理中であり、行動可能な艦はB-534「ニジニ・ノヴゴロド」のみです。

2012年10月、シエラII級原潜がアメリカ東海岸沖で発見された事がありましたが、これが近年中における唯一の遠海での行動事例のようです。
[シエラII級原潜、アメリカ東海岸沖で行動?]
このまま消え去るかに見えたシエラI/II級ですが、今回の記事によると、事実上退役している1隻を含め、4隻全てを近代化の上で復帰させるとの事です。
近代化に当たっては、有翼ミサイル「カリブル」が搭載されます。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
これまでに、ロシア海軍の現用の第3世代原子力潜水艦の内、プロジェクト949A(オスカーII級)とプロジェクト971(アクラ級)は近代化される事が明らかにされています。
[オスカーII級ミサイル原潜は「オーニクス」と「カリブル」を装備する]
[ロシア海軍のアクラ級及びキロ級はカリブル有翼ミサイルを装備する]
[ロシア海軍の戦略非核戦力は多用途原潜と原子力巡洋艦から成る]
[ロシア海軍は2020年までに15隻の多用途原潜を近代化する]
これに加え、プロジェクト945/945Aも近代化される事になるようです。
2013年3月5日0時01分配信
【ロシアはチタン潜水艦を復活させる】
潜水艦プロジェクト945「バラクーダ」及びプロジェクト945A「コンドル」は、原子炉、電子機器、兵器を更新する。

ロシア海軍は、船体がチタンでで作られているユニークな潜水艦プロジェクト945「バラクーダ」を(海軍の)編制へ戻す事を決定した。
チタン潜水艦は、1988年代に、より高い耐久性と磁気機雷に引っ掛からないが故に造られた。
しかしながら、チタンは鋼鉄より数倍も高価であるが故に、ソヴィエト連邦解体後、チタン潜水艦の建造の中止が決定された。
(ロシア)海軍総司令部の高位の情報提供者が「イズベスチヤ」へ話したように、「バラクーダ」を復活する決定は、1月の会議において(ロシア)海軍総司令官ヴィクトル・チルコフにより採択された。
「それは自然発生した結論ではありませんでした。私共は、徹底的に検討して結論を下しました。
(チタン製)潜水艦の復帰は、解体するよりも経済的妥当性があると」
対談者は「イズベスチヤ」に説明した。
現在、海軍の編制には4隻のチタン原子力潜水艦(深海探査用の小型原潜を除く)が在る。
それは2隻のプロジェクト945「バラクーダ」:K-239「カルプ」、K-276「コストロマ」と、2隻の近代化されたチタン潜水艦プロジェクト945A:K-336「プスコフ」とK-534「ニジニ・ノヴゴロド」である。
「バラクーダ」と「コンドル」の主要目標は航空母艦と潜水艦である。
それは、2門の650mm発射管と4門の533mm発射管から発射される魚雷を用いて破壊する。
「バラクーダ」と「コンドル」の特徴は、核有翼ミサイル「グラナート」を深度50-600mから発射できる事に在る。
空中からの攻撃に対し、潜水艦は高射ミサイル「イグラ」を撃つ事が出来る。
全ての潜水艦は、北方艦隊の第7潜水艦師団(ヴィジャエヴォ集落)の編制へ含まれているが、「カルプ」は1994年から艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」に在り、復帰を待っている。
最初の2隻の潜水艦の修理契約に「ズヴェズドーチカ」は署名した。
契約書に従い、工場は近代化とオーバーホールを実施しなければならない。

「ズヴェズドーチカ」の経営陣の一人が「イズベスチヤ」へ話した所によれば、潜水艦は核燃料と全ての電子機器を交換し、機器は点検、修理される。
更に、核動力炉の修理が行なわれる。
「スケジュールによれば、潜水艦K-239カルプは4月末までに海軍から工場へ移管されなければなりません。
この時点で、問題点の検出と承認されたプロジェクトの作業が行なわれます。
それ自身(カルプ)の作業は今年夏から始まり、楽観的なシナリオでは2-3年は掛かります。
おそらく、この期間は、複合体の供給者が明確ではない限り、延びる事になるでしょう。
カルプの後にコストロマが修理に置かれます」
「ズヴェズドーチカ」の代理人は説明した。
彼は、チタン潜水艦の船体が、その艦齢にも関わらず「良好な状態」にあると付け加えた。
「チタンは鋼鉄とは違い、腐食には晒されません。
ええそうです、騒音吸収用のゴムカバーを外したとしても、船体は真新しいままです」
艦船修理工場は付け加えた。
予備データによると、チタン潜水艦は新たな水中音響ステーション、戦闘情報管理システム、レーダー電波探知ステーション、GLONASS/GPSに基づく航海システムを受け取る。
更に潜水艦の兵器システムは変更され、地上目標などへの射撃を可能とする有翼ミサイル複合体「カリブル」(クラブ-S)が装備される。
チタン潜水艦の強さは、1992年にバレンツ海で原子力潜水艦「コストロマ」がアメリカの「ロサンゼルス」型潜水艦と衝突した件で実証されている。
ロシア艦は司令塔を少し損傷したのに対し、アメリカ艦は退役を余儀なくされた。

独立軍事専門家で海軍の歴史に関する著書を記しているドミトリー・ボルテンコフ氏は、「イズベスチヤ」のインタビューに対し、チタン原子力潜水艦の船体は国民の財産であると述べた。
「多用途原子力潜水艦グループの復活は、海軍において最も重要なプログラムの1つです。
残念な事に、潜水艦の総合行動日数は、(就役期間全体の)辛うじて3分の1になるかどうかといった所でした。
プロジェクト945の復帰は、確かに良い知らせです。
この(決定の)お蔭で、チタンの船体を持つ潜水艦は100年就役できる事でしょう」
彼は話した。
対照的に元(ロシア)海軍総参謀長ヴィクトル・クラフチェンコ氏は、1980年代に建造された潜水艦の復帰は正しい決定とは言えないと説明した。
「現代の上品質の鋼鉄は、チタン製(の潜水艦)と同じ深度に潜水艦が耐える事を可能とします。
従いまして、ソヴィエト時代とは異なり、チタン潜水艦には鋼鉄よりも特別な利点は有りませんね。
僕が思うに、新しいもの(潜水艦)を建造する方が優れているでしょう。
そのリソースは、より大きなものになりますしね」
クラフチェンコ氏は話した。
修理後、4隻全ての原子力潜水艦は、北方艦隊の第7潜水艦師団の編制へ復帰し、ヴィジャエヴォに駐留する事になるだろう。

記事中で触れられていますが、プロジェクト945/945A原子力潜水艦は、1980年代前半から1990年代前半に掛けて4隻がソ連/ロシア海軍へ就役しました。
プロジェクト945/945A原子力潜水艦は、全てロシア内陸部のニジニ・ノヴゴロド(旧ゴーリキー)に在る「クラースノエ・ソルモーヴォ」造船所で建造されました。

就役当初は「巡洋潜水艦」КрПЛに分類されていましたが、1992年6月3日付で「原子力大型潜水艦」АБПЛに類別変更され、就役時のKナンバーからBナンバーに変更されました。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト945「バラクーダ」(NATOコード名「シエラI」)】
K-239:1979年7月20日起工/1983年7月29日進水/1984年9月29日納入/1984年12月7日就役
K-276:1984年4月21日起工/1986年7月26日進水/1987年10月27日納入/1987年11月4日就役
B-276「コストロマ」はロシア海軍に在籍していますが行動は不活発であり、1番艦B-239「カルプ」は事実上退役しており、1994年からセヴェロドヴィンスク市に係留されています。

【プロジェクト945A「コンドル」(NATOコード名「シエラII」)】
K-534:1986年2月15日起工/1989年8月7日進水/1990年12月26日納入/1990年12月27日就役
K-336:1989年7月29日起工/1992年7月28日進水/1993年12月14日納入/1993年12月17日就役
B-336「プスコフ」は修理中であり、行動可能な艦はB-534「ニジニ・ノヴゴロド」のみです。

2012年10月、シエラII級原潜がアメリカ東海岸沖で発見された事がありましたが、これが近年中における唯一の遠海での行動事例のようです。
[シエラII級原潜、アメリカ東海岸沖で行動?]
このまま消え去るかに見えたシエラI/II級ですが、今回の記事によると、事実上退役している1隻を含め、4隻全てを近代化の上で復帰させるとの事です。
近代化に当たっては、有翼ミサイル「カリブル」が搭載されます。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
これまでに、ロシア海軍の現用の第3世代原子力潜水艦の内、プロジェクト949A(オスカーII級)とプロジェクト971(アクラ級)は近代化される事が明らかにされています。
[オスカーII級ミサイル原潜は「オーニクス」と「カリブル」を装備する]
[ロシア海軍のアクラ級及びキロ級はカリブル有翼ミサイルを装備する]
[ロシア海軍の戦略非核戦力は多用途原潜と原子力巡洋艦から成る]
[ロシア海軍は2020年までに15隻の多用途原潜を近代化する]
これに加え、プロジェクト945/945Aも近代化される事になるようです。
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