ロシア海軍向けだったプロジェクト11356Rフリゲート6番艦アドミラル・コルニロフに関する最終決定は未だ下されていない

『タス通信』より
2022年1月10日14時6分配信
【第6のプロジェクト11356フリゲートの運命についての最終決定は未だ下されていない】
モスクワ、1月10日/タス通信
沿バルト造船工場『ヤンターリ』(『統合造船業営団』へ加入)で建造された第6のプロジェクト11356フリゲートの運命についての最終決定は未だ下されていない。
沿バルト造船工場総取締役イリヤ・サマリンは『タス通信』へ言った。
「プロジェクト11356の第6の船体は現在保管されており、工場水域に在ります。
最終決定は下されておりません」
彼は、同プロジェクトの第6の船体の運命をロシア連邦国防省はどう決めているのかという質問に答え、こう話した。
当初の計画では、ロシア黒海艦隊の為に6隻のプロジェクト11356フリゲートの建造が予定されていた。
しかし、この計画はウクライナが動力装置の供給を拒否した後、修正の必要が有った。
その結果、黒海艦隊は3隻の同プロジェクトフリゲートを受け取り、3隻の船体が進水した。
2018年、沿バルト造船工場がインド海軍の為に2隻の船体を完成させ、もう2隻はロシアも参加してインドの造船所ゴア・シップヤード・リミテッドで建造する事で合意し、契約へ署名された。
ガスタービン装置はインドがウクライナから直接購入し、インド政府が『ヤンターリ』へ供給する。
沿バルト造船工場が建造する最初の2隻の艦のインド海軍への引き渡しは、2023年と2024年に計画されている。
プロジェクト11356のロシア版は、各フリゲートが8基のミサイル「カリブル-NK」或いは「オーニクス」の汎用艦載射撃複合体1組を搭載する。
インドのフリゲートは兵装としてロシア-インド製造の対艦ミサイル「ブラーモス」を受け取る。
ロシア側は、同名の合同企業へレウトフ科学生産合同『機械製造』(コーポレーション『戦術ミサイル兵器』へ加入)が参加している。
以前、沿バルト造船工場と『バルト工場』はインド海軍の為に6隻のプロジェクト11356フリゲートを建造した。
ロシア海軍向けのプロジェクト11356Rフリゲート(インド海軍向けの「タルワー」級フリゲートのロシア向けヴァージョン)は、現在までに6隻が起工され、3隻が就役しています。
[「タルワー」級(プロジェクト1135.6)]
[プロジェクト11356(タルワー級)の装備]
[プロジェクト11356R(改タルワー級)フリゲート]
1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」(2010年12月18日起工/2014年3月14日進水)は2016年3月11日に就役し、2016年6月9日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]
2番艦「アドミラル・エッセン」(2011年7月8日起工/2014年11月7日進水)は2016年6月7日に就役し、2017年7月5日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンはセヴァストーポリへ到着した]
3番艦「アドミラル・マカロフ」(2012年2月29日起工/2015年9月2日進水)は2017年12月27日に就役し、2018年10月5日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍の最新フリゲート"アドミラル・マカロフ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]
4番艦「アドミラル・ブタコフ」は2013年7月12日、5番艦「アドミラル・イストミン」は2013年11月15日に起工されました。
6番艦「アドミラル・コルニロフ」も2013年12月頃に起工されました。
しかし、この3隻は、ウクライナからのガスタービンエンジンの供給問題により建造が中断しました。
[ガスタービンエンジン代替問題]
ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシアの「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナの「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの主要パーツはロシアで製造し、最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていたのですが、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係も悪化し、ガスタービン生産の分業体制も瓦解しました。
この為、2016年初春頃からインドへの売却交渉が行なわれ、2017年2月にはインドへの売却が決まったと報じられました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為に建造されたプロジェクト11356Rフリゲートの4番艦と5番艦はインドへ売却される]
2018年11月20日、ロシアとインドは、インド海軍向けのプロジェクト11356フリゲート4隻を含む兵器輸出契約へ署名しました。
[ロシア海軍向けだった3隻のプロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦はインドへ売却された]
これにより、4番艦「アドミラル・ブタコフ」と5番艦「アドミラル・イストミン」はインドへ売却される事になり、建造工事が再開されました。

「アドミラル・ブタコフ」改め「ツシル」は2021年11月8日に進水しました。
[インド海軍向けのフリゲート"ツシル"(元ロシア海軍黒海艦隊向けフリゲート"アドミラル・ブタコフ")進水(2021年11月8日)]
しかし、6番艦「アドミラル・コルニロフ」に関しては、未だ最終的な決定は下されていません。

[ロシア海軍向けだったプロジェクト11356Rフリゲート6番艦アドミラル・コルニロフに関する最終決定は下されていない]
今更ロシア海軍が購入する可能性はゼロに等しく、完成する見込みはなさそうです。
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