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近代化改装されたロシア海軍バルト艦隊の警備艦ネウストラシムイはバルト海で洋上試験を開始した

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『タス通信』より
2022年2月17日18時40分配信
【カリーニングラードから警備艦「ネウストラシムイ」が修理後の試験へ出発した】
カリーニングラード、2月17日/タス通信

警備艦「ネウストラシムイ」は、カリーニングラード沿バルト造船工場『ヤンターリ』(『統合造船業営団』へ加入)での修理と近代化の後、試験の為にバルト海へ出航した。
水曜日に工場の広報サービスは発表した。

「2月15日、警備艦ネウストラシムイはバルト海へ出航し、受領-引渡試験プログラムの遂行へ着手しました。
海上への最初の出航中、艦の主動力装置と航法システムの動作が点検されます」

広報サービスの声明では、こう述べられた。

受領-引渡試験プログラムにおいて、総計で約30日間続く数回の海上への出航が計画されている。
艦上には工場の試運転チームと、修理及び近代化の後に艦を受領しなければならないバルト艦隊委員会が作業を行なう。
海上試験が完了すれば警備艦「ネウストラシムイ」海軍へ引き渡され、バルト艦隊での勤務へ復帰すると広報サービスは付け加えた。

警備艦「ネウストラシムイ」は2014年に計画修理実行の為、沿バルト造船工場『ヤンターリ』へ到着した。
問題点の洗い出しの結果により、修理完了期間は先延ばしされ、計画を上回る大量の作業が行なわれた。
主な作業は、艦のメカニズム部分の更新の為に行なわれた。
増速用エンジンは修復され、再び設置された。
兵装と支援メカニズムは近代化されたと工場の広報サービスは説明した。

沿バルト造船工場『ヤンターリ』は、1945年7月8日に『F.シーヒャウ造船所』をベースに設立された。
カリーニングラードに位置する。
小型-中型の軍用及び民間用の船舶の建造と艦船修理を専門としている。
70年間で工場は160隻の軍用艦と500隻以上の民間船を建造した。
現在、株式会社『沿バルト造船工場ヤンターリ』の支配者持ち分株式は、株式会社『統合造船業営団』を代表とする国に掌握されている。



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プロジェクト11540警備艦の1番艦「ネウストラシムイ」は、カリーニングラード『ヤンターリ』造船所で1987年3月25日に起工され、1988年5月25日に進水し、1990年12月28日にソ連海軍へ納入されました。
1991年3月14日にバルト艦隊へ編入されましたが、正式な就役式典となる海軍旗初掲揚式典が開催されたのは、ソ連邦解体後の1993年1月24日でした。

就役前の「ネウストラシムイ」(1991年11月)
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就役後、1994年、2002年、2004年、2006年、2007年にNATO海軍との合同演習『BALTOPS』へ参加しました。

2003年にはロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンイギリス訪問に同行し、ロンドンを訪れました。

2004年8月~9月には、初の地中海遠征を行ない、この間にフランス、スペイン、ポルトガルを訪問しました。

警備艦「ネウストラシムイ」は、2008年秋にロシア海軍で最初のアデン湾海賊対処任務に就きました。
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[ロシア海軍第1次ソマリア遠征]

2008年のアデン湾海賊対処任務の際に「ネウストラシムイ」が捕獲したソマリア海賊のボート
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そして2010年初頭、2度目のアデン湾海賊対処任務に就きました。
[ロシア海軍第6次ソマリア遠征]

2010年2月5日にはソマリア海賊7名を拘留しました。
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[ロシア海軍フリゲート「ネウストラシムイ」、ソマリア海賊拘留]
[ロシア海軍フリゲート「ネウストラシムイ」、ソマリア海賊を拘留(RIAノーボスチ)]

2011年6月にはデンマークコペンハーゲンを訪問しました。

2012年7月から9月に掛けて北方艦隊大型揚陸艦と共に地中海へ派遣されました。
[北方・バルト・黒海艦隊合同艦船グループの地中海遠征(2012年7月-9月)]

その後、オーバーホールが行なわれました。
[フリゲート「ネウストラシムイ」は長期航海の為に修理を実施する]

「ネウストラシムイ」は、2013年3月下旬にバルチースクを出港、3度目の海賊対処任務の為にアデン湾へ向かい、10月17日に帰投しました。
[フリゲート「ネウストラシムイ」は3度アデン湾から帰ってきた]


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その後、カリーニングラード『ヤンターリ』造船所へ回航され、修理および部分的な近代化改装(一部の電子機器の換装)が始まりました。

ガスタービン機関は、サマーラ工場で修理されました。
[ロシア海軍のフリゲート"ネウストラシムイ"のガスタービン機関はサマーラで修理される]

当初、「ネウストラシムイ」は2015年末までに復帰する計画でしたが、2016年末、そして2017年11月と何度も延期される事になりました。
[ロシア海軍のフリゲート「ネウストラシムイ」は2015年に復帰する]
[ロシア海軍バルト艦隊の警備艦(フリゲート)ネウストラシムイは2016年末に復帰する]
[近代化改装されるロシア海軍バルト艦隊の警備艦(フリゲート)ネウストラシムイは2017年11月に復帰する]

「ネウストラシムイ」の舷側番号は、就役以来「712」でしたが、2017年春頃に「772」へ変更されました。
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2018年2月14日14時30分頃(モスクワ時間)、『ヤンターリ』で修理中の「ネウストラシムイ」で火災が発生しました。
火災は同日16時31分に鎮火しました。
消火には54名の消防隊員と15両の消防車が参加し、負傷者は居ませんでした。

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2018年2月14日20時54分配信
【緊急事態省:警備艦「ネウストラシムイ」の火災は2時間で消し止められた】

「ネウストラシムイ」の修理完了は、2019年に延期される事になりました。
[ロシア海軍バルト艦隊の警備艦ネウストラシムイは2019年に近代化改装を完了する]
[ロシア海軍バルト艦隊の警備艦ネウストラシムイは2019年に近代化改装を終えて復帰する]

そして結局、2019年中の修理完了も実現せず、翌2020年に延期される事になりました。
[修理中の警備艦ネウストラシムイは2020年にロシア海軍バルト艦隊へ復帰する]

しかし、2020年中の復帰も実現せず、翌2021年に延期されました。
[ロシア海軍バルト艦隊の警備艦ネウストラシムイの近代化改装は2021年に完了する]

2021年8月18日、ようやく「ネウストラシムイ」の係留試験(造船所の岸壁で各機器の動作点検)が始まりました。
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[近代化改装中のロシア海軍バルト艦隊の警備艦ネウストラシムイの係留試験が始まった]
係留試験完了後、洋上試験の準備の為、2021年12月28日に『ヤンターリ』からバルチースク基地へ移動しました。
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[近代化改装されたロシア海軍バルト艦隊の警備艦ネウストラシムイは洋上試験の準備を行なう]

2022年2月15日、「ネウストラシムイ」バルト海へ出航し、洋上試験を開始しました。
洋上試験は約1ヶ月掛かり、これが終わればロシア海軍への引き渡しが可能となります。

ロシア海軍への復帰は、早くても2022年3月末でしょう。


プロジェクト11540警備艦は2隻がロシア海軍へ就役しています。

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2番艦「ヤロスラフ・ムードルイ」は1991年に起工された後、資金難で工事が中断され、2000年代半ば以降に工事が再開され、2009年6月19日にロシア海軍へ納入、同年7月24日にバルト艦隊へ編入され、正式に就役しました。
[ネウストラシムイ級2番艦「ヤロスラフ・ムードルイ」はロシア海軍へ納入された ]
[フリゲート「ヤロスラフ・ムードルイ」、バルト艦隊に編入 ]

2019年7月24日には就役10周年を迎えました。
[ロシア海軍バルト艦隊の警備艦ヤロスラフ・ムードルイは就役10周年を迎えた]

2019年10月から2020年5月までインド洋への遠距離航海を行ないました。
[警備艦ヤロスラフ・ムードルイのインド洋遠征(2019年10月-2020年5月) ]

その後はバルト海で行動しています。
[ロシア海軍バルト艦隊の警備艦ヤロスラフ・ムードルイは対水上砲撃訓練を行なった]

3番艦「トゥマン」は1993年に起工されましたが、1998年に工事は中止され、その後も再開される事は無く、2015年には正式に工事中止が決まりました。
[ロシア海軍は警備艦トゥマンと練習艦ボロジノの建造を完全に断念した]
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