『アゾフ・エクスプレス』へ従事するロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクはベルジャンシク港へ入港した
テレビ局『ズヴェズダー』より
2022年3月21日5時1分配信
【初めてのロシア艦:黒海艦隊の大型揚陸艦「オルスク」はベルジャンシク港へ入った】
ベルジャンシク港は作業がごった返している。
黒海艦隊の艦は、寂れたアゾフ海での航海を開始した。
今や、この方面へのロシアグループへの貨物や軍用車両の配達に掛かる時間は、遥かに短くなる。
黒海艦隊の大型揚陸艦「オルスク」は、ベルジャンシク港へ入った初めてのロシア連邦の軍用艦である。
同艦は、それだけでは無く、その用途上の目的の為に来た~車両の配達。
プロジェクト1171大型揚陸艦、NATO分類「アリゲーター」は、本当にこの爬虫類のように見える。
海の巨人の腹からは装甲輸送車が1両ずつ現れ、すぐさま列に並び、ロシア軍の配備場所へ移動する。
下船は本格的に進められている。
大型揚陸艦「オルスク」は、ベルジャンシク港へ入った最初のロシア艦である。
揚陸艦としての任務は、よく知られている軍用車両の配達だが、港湾クレーンの助力により装甲輸送車を降ろす方法は、非常に珍しい。
プロジェクト1171艦の設計上の特徴は、これを可能にする。
合計で作戦には10隻の大型揚陸艦が参加している。
この港を使用する機会を過大評価する事は困難である。
今、特殊作戦実施の南方側面は、車両や弾薬を含め、全ての必要なものを何時でも得る事が出来る。
同じ方法で人道支援物資も配達できる。
「ベルジャンシク港への大型揚陸艦の到着は、黒海艦隊が兵站問題でベルジャンシク港のインフラを完全に活用する機会を開く、真に画期的な出来事です。
黒海艦隊の大型揚陸艦が到着し、今、あなたの目の前で装甲輸送車を降ろしています。
そしてそれは我々のグループを強化するために行き、高位の司令部から指示された方向で行動します」
ロシア連邦黒海艦隊の士官の1人は話した。
明確な理由により、ベルジャンシクへ送り届けられた装甲輸送車の正確な数は明らかにされていないが、貨物や装備を配達するグループの兵站能力は大幅に向上した。
同プロジェクト艦は非常に広々としており、20両の戦車或いは40両の装甲輸送車などの多数の車両を積載できる。
水兵は、ウクライナ民族主義者の絶え間ないミサイル攻撃の下で作業を行なっている。
港湾領域には戦術ミサイル「トーチカ-U」の破片が散乱している。
しかし、1基のミサイルも目標へ到達しなかった。
海港、そしてそれと共に都市全体が、ロシア対空防衛の信頼できる保護下に在る。
ベルジャンシク自体には、マリウポリから難民が流入している。
寄宿舎をベースにした一時的な宿泊施設が展開されている。
全ての窮乏している人々へ避難所、食料、基本的な必需品が提供されている。
多くの人が自分の車を選択し、彼らの為にロシア国家親衛隊の兵士はガソリンの無料配布を用意した。
「我々は92オクタンのガソリンを配布しており、ディーゼル燃料の供給が予定されています。
ここでは、その場でリストを整理し、難民が並び、車1台あたり20リットルを配り、給油だけで無く・・・宿泊施設、食料、その他全ては完全に無料です」
ロシア国家親衛隊の軍人はコメントした。
これらの人々は、「アゾフ」大隊の過激派の砲撃の恐怖と危険の下で選択した。
過激派は、ロシア軍が支配する人道的回廊を認めていない。
自動車の「子供」の看板でさえ、ナショナリストを止める事は無い。
マリウポリには燃料が無く、誰かが「隠し財産」を持っている場合、その価格は非常に法外である為、難民の間でのガソリンの無料配布についての驚きは偽りの無い感情である。
一般的に混沌とした状況下で、他の誰かの悲哀から利益を得る準備を整えている人々が居る。
難民のミハイルとユーリーは、80~90キロメートルの距離で故郷の街から人を連れ出す為、5万グリブナ、つまり約15万ドルを支払うと話した。
「私達は全ての前に給油しましたが、翌日は何も有りませんでした。
給油塔は空で、殆どの人々は歩いています。
食料も、ガスも、照明も、何も有りません。
水を得る為には、地雷の下で給水栓の場所へ走り、水を集めます。
つまり、水は生命を犠牲にするかもしれないのです」
彼らは話した。
アゾフの民族主義者が街を去る際に火事に巻き込まれた自国市民の背中を撃った場合、ロシアの戦闘員は、逆に彼等へ配給食糧を与える。
子供達が乗った車は、安全な場所に着く前ですら、援助無しで残された事は無かった。
「私の息子は、ここへ兵士達に連れて来られましたが、彼には生後11ヶ月の小さな子供が居ます。
彼らはパンを、牛乳を、クッキーを持ってきました・・・それでも、助けて、助けて、そして私は多くを信じています」
マリウポリからの難民であるヴィクトルは指摘した。
何千人もの難民の中には、無論、ウクライナ軍の民族主義者や兵士が居る。
彼らは民間人に変装し、街から逃げ出そうとしている。
また、解放された領土でいわゆる「眠る細胞」として使用するために、彼らの指揮官からそのような戦術的策略の命令を受けたという情報も有る。
マリウポリからの出口にある全ての検問所では、街を出るす全ての人々を完全に監視している。
ウクライナ軍にとって、合法的に止める唯一の方法は、武器を置く事である。
プロジェクト1171大型揚陸艦の6番艦BDK-69は、カリーニングラードの造船工場『ヤンターリ』で1967年3月7日に起工され、1968年2月29日に進水、1968年12月5日に就役し、黒海艦隊へ編入されました。
ソ連海軍時代には、地中海、大西洋、インド洋へ進出し、活発に行動していました。
1972年6月~7月にはエジプトへ駐留しました。
ソ連邦解体後も2000年代初頭までは稼働状態に在りました。
上陸演習を行なうBDK-69(1997年撮影)

複合補給艦「べレジナ」と共に(2000年撮影)

2002年10月20日に「オルスク」と命名されました。
2004年からオーバーホールが始まりましたが、資金の割り当てが不十分だった為に作業は殆ど進まず、事実上予備役となっていました。
2014年8月から本格的な修理工事が始まりました。
[ロシア黒海艦隊のアリゲーター級揚陸艦2隻はセヴァストーポリで修理される]
オーバーホールは2017年10月下旬に完了し、10月27日には艦の点検の為に出航しました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2017年10月27日14時3分配信
【黒海艦隊の大型揚陸艦「オルスク」は計画修理後に出航した】
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
黒海地域情報供給部(セヴァストーポリ市)発表
2017年11月12日8時0分配信
【大型揚陸艦「オルスク」乗組員は艦の修理後の工場点検を完了した】
オーバーホール後の点検を終え、2017年12月中旬に艦隊へ復帰しました。

『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2017年12月12日13時6分配信
【黒海艦隊の大型揚陸艦「オルスク」は修理後に戦闘任務遂行へ着手する】
2018年には計9回の「シリア・エクスプレス」(黒海沿岸のロシア領からシリアへの貨物輸送任務)に従事しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクはシリアへ行く]
2019年には計4回の「シリア・エクスプレス」に従事しました。
2020年春までに計2回の「シリア・エクスプレス」に従事した後、セヴァストーポリの『第13艦船修理工場』でオーバーホールが行なわれました。
2021年7月初頭には同型艦「サラトフ」と共に黒海艦隊の演習へ参加しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクとサラトフは黒海で砲撃訓練を実施した]
l[ロシア海軍黒海艦隊航空隊は黒海上空で対艦攻撃訓練を実施した]
以後、3回の「シリア・エクスプレス」に従事しました。
・9月6日にボスポラス海峡を南下、9月24日に同海峡を北上
・10月13日にボスポラス海峡を南下、10月26日に同海峡を北上
・11月20日にボスポラス海峡を南下、12月8日に同海峡を北上
12月17日、「オルスク」は4度目となるシリアへの貨物輸送へ向かいました。

[ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクは『シリア・エクスプレス』に従事する]
12月27日にボスポラス海峡を北上して黒海へ入り、その後、セヴァストーポリへ帰投しました。
2022年1月13日にボスポラス海峡を南下して地中海へ入りました。
[ロシア海軍黒海艦隊の大型揚陸艦オルスクはシリアへの輸送任務(シリア・エクスプレス)に従事する]
1月24日にボスポラス海峡を北上して黒海へ入り、その後、セヴァストーポリへ帰投しました。
『ウクライナ特殊軍事作戦』開始後、ロシア軍は2月25日にアゾフ海沿岸のアゾフスコエへの上陸作戦を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊は夜間にウクライナへ巡航ミサイル「カリブル」を発射した]


その後、ベルジャンシク港を占領しました。


その後、3月20日までに黒海艦隊の大型揚陸艦「オルスク」が入港しました。

「オルスク」は軍用車両や各種装備品をベルジャンシク港へ輸送していますが、同艦を含め10隻の大型揚陸艦が同様の任務に就いています。
現在、黒海には13隻の大型揚陸艦(黒海艦隊所属艦7隻、北方艦隊所属艦3隻、バルト艦隊所属艦3隻)が居ますから、その殆どが動員されている事になります。
いわば、『アゾフ・エクスプレス』といった所でしょうか。
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