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近代化改装により巡航ミサイル「カリブル」を装備するポンプジェット潜水艦アルローサはロシア海軍黒海艦隊へ復帰する

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『タス通信』より
2022年6月17日9時5分配信
【情報筋:「カリブル」で武装する潜水艦「アルローサ」は黒海艦隊へ留まる】
モスクワ、6月17日/タス通信

近代化の結果、ミサイル複合体「カリブル-PL」搭載艦となったプロジェクト877V(パルトゥース)多目的ディーゼルエレクトリック潜水艦「アルローサ」バルト海への移転は取り止めとなった。
艦は黒海艦隊潜水艦旅団へ加わる。
『タス通信』セヴァストーポリの軍機関の情報提供者より伝えられた。

「修理と近代化の結果、黒海艦隊の潜水艦アルローサは、ミサイル複合体"カリブル-PL"搭載艦となり、第4独立潜水艦旅団へ加入します。
以前に計画されていたバルト艦隊への移転は、もはや関係有りません」

対談者は話した。

以前、クリミアの軍機関に近い『タス通信』の情報提供者は、潜水艦「アルローサ」黒海からバルト海への移転が計画されていると述べた。
黒海艦隊『第13艦船修理工場』での修理完了後、バルト艦隊へ行き、そこで建造中のプロジェクト636.3潜水艦の乗組員を準備するための訓練プラットフォームとなる。
当初、「アルローサ」の艦隊間移動は2020年に計画されていたが、修理の遅延により延期された。

『タス通信』は、この件に関する公式な情報を持っていない。

ディーゼルエレクトリック潜水艦B-871「アルローサ」は、ゴーリキー市(現ニジニ・ノヴゴロド)の『クラースノエ・ソルモヴォ』工場で建造され、1990年12月1日に海軍へ加入した。
潜水艦は、古典的なスクリューに代わり、最大限に隠密裏の動きを保障する噴水推進エンジンを装備するユニークなプロジェクト877Vにより建造された。

1990年12月から第153潜水艦旅団へ加わった。
1992年3月、乗組員チームの一部がウクライナへ忠誠を誓い、潜水艦乗っ取りの試みが発生した。
1993年6月の黒海艦隊分割後、ロシア黒海艦隊で唯一の稼働潜水艦となった。

2014年から2017年の期間に、ロシア連邦黒海艦隊へ6隻の新たなプロジェクト636.3ディーゼルエレクトリック潜水艦有翼ミサイル複合体「カリブル」搭載艦が補充された。
黒海艦隊潜水艦シリアの戦闘行動へ参加し、ウクライナ特殊軍事作戦の枠組みにおいて意図された戦闘任務を遂行した。



プロジェクト877V潜水艦B-871は、ロシア内陸部のゴーリキー(現ニジニー・ノヴゴロド)のクラースノエ・ソルモヴォ造船所で1988年5月17日に起工され、1989年9月10日に進水し、1990年12月30日に就役し、黒海艦隊へ配備されました。

プロジェクト877Vは、試験的に艦尾にポンプジェットを装備した実験艦です。
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1991年12月から1992年3月まで戦闘勤務を行ないましたが、1992年3月13日に乗組員の一部がウクライナへ忠誠を誓い、機関室を占拠して潜水艦の乗っ取りを試みました。
乗っ取りの試みは阻止されたものの、ソ連邦解体後のロシア・ウクライナ間の黒海艦隊分割・帰属問題も有り、更にはバッテリーの不調も有って1992年から1996年までは殆ど動きませんでした。

ただし、1996年2月10日公開のジャッキー・チェン主演の映画「First Strike」(ファイナル・プロジェクト)には、B-871が「出演」しています。

0:45から登場する潜水艦がB-871です。

1996年5月22日にバッテリーの交換を完了し、ようやく動けるようになりました。
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2004年1月5日に「アルローサ」と命名されました。
「アルローサ」は、ロシア宝石会社です。
【『アルローサ』公式サイト】

2011年6月にスペイン沖で実施された国際海軍演習『ボールド・モナーク-2011』に参加しました。


その後、2011年7月から2012年7月までバルト海沿岸のクロンシュタットで修理され、2012年9月にセヴァストーポリへ戻りました。
[ポンプジェット潜水艦アルローサは黒海へ戻る]
[ポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリへ戻った]

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2014年6月にセヴァストーポリ第13艦船修理工場(黒海艦隊直営)で修理及び近代化が始まりました。
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[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは近代化改装を行なう]
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサは近代化改装を行なっている]

「アルローサ」の近代化改装作業の完了時期は何度も延期され、2017年末の完了予定も実現しませんでした。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサの近代化改装は2017年に完了する]

2014年から2016年に掛け、黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦6隻が就役した為、黒海艦隊にとっては、「アルローサ」の復帰を急ぐ必要性は無くなりました。
[プロジェクト06363潜水艦]

そんな「アルローサ」ですが、今度はバルト艦隊へ転属させるという話が出てきました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはバルト艦隊へ転属する]
[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは近代化改装後にバルト艦隊へ転属するかもしれない]

『第13艦船修理工場』の岸壁に係留されていた「アルローサ」でしたが、2019年5月末に同社の浮きドックへ入りました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリの浮きドックへ入った]
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「アルローサ」の近代化改装作業の完了は2019年に予定されていましたが、またも延期されました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2019年に完了する]

「アルローサ」は、2021年6月26日に浮きドックを出渠し、『第13艦船修理工場』の岸壁へ移動しました。
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「アルローサ」の近代化改装作業の完了は、2021年11月に予定されていました。
[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2021年に完了する]
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しかし結局、「アルローサ」の近代化改装工事の完了は2022年5月にずれ込みました。
『タス通信』より
2022年5月6日20時4分配信
【セヴァストーポリで潜水艦「アルローサ」の修理が完了する】


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近代化改装により、「アルローサ」には巡航ミサイル「カリブル」の運用能力が付与されました。

以前にはバルト艦隊への転属が予定されていた「アルローサ」ですが、結局、黒海艦隊へ留まる事になるようです。
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